ナシ栽培と真剣に向き合う(2022年8月)

                  石岡市
JAやさと梨部会

 

八郷地域のナシ栽培は、筑波山麓の温暖な気候と栽培に適した土壌、東京から70㎞圏内という地理的条件に恵まれ、明治初期に始まりました。
その中で、品質の高いナシを出荷するために、この地域に選果場が誕生しました。

JAやさと梨部会には、小幡梨選果場、園部梨選果場の2つの選果場があります。
それぞれ約40年の歴史があり、各選果場で厳正な選果を行い、高品質な果実を出荷しています。
出荷者は、小幡梨選果場で31名、園部梨選果場が23名、全体では、54名の部会員が43㏊のナシを生産し、選果場を運営しています。


(写真1:果実の肥大状況の確認をする見回り会)

 


「恵水」を安定出荷につなぐ

現在、生産量全国2位を誇る茨城県の中でも、JAやさと梨部会は有数の赤なしの産地です。
出荷される主な品種は、「幸水」「豊水」「恵水」「あきづき」「新高」で、県育成品種「恵水」は平成25年から栽培がスタートしました。

当時、園部梨選果場の場長で県梨組合連合会の副会長でもあった飯村健一さんが「恵水」の導入に尽力しました。
普及センターと部会が一丸となり、作りこなせるよう試行錯誤を3年繰り返し、安定して収穫できるようになりました。
さらに、適期収穫について何度も検討を重ね、出荷にいたりました。 

(写真2:今年の「恵水」の開花期は、天候に恵まれました)

 

 

講習会では、飯村さんが講習会の中心となり「恵水」の摘果について話し合います

出荷が始まった当初は、販売のための準備を収穫と選果が終わった後の夜に行い、現在の出荷体制になるまでに多くの努力を重ねました。
それは、現在の安定した栽培や出荷につながっています。

 

令和4年現在、「恵水」の栽培面積および出荷量も年々着実に増加しています。
その根底にあるのは、適期収穫された品質の良い果実を出荷するという意識です。 
飯村さんは、場長を退いた現在も、石岡市での「恵水」の栽培・選果において、摘果の徹底や果実品質の規格について助言し、栽培の中心となり高品質果実生産に貢献しています。

(写真3:講習会のようす
    自然と飯村さんが講習会の中心となり「恵水」の摘果について話し合います)

 



写真4:都内高級カフェで提供されたパフェ

カフェとのコラボや輸出でPR

石岡市では、シーズン中にナシのPRを普及センター等関係機関と連携して行っています。
令和3年度は都内高級カフェとのコラボにより、「恵水」がパフェに変身しました。
令和4年度は、10000果に1つといわれる「幻の恵水」の取り組みに挑戦します。

また、輸出による産地のPR活動にも取り組みました。
令和元年に初めてシンガポール、香港への出荷を行い、令和2年も輸出を行いました。

令和3年はコロナ禍によりJAやさとからのナシの輸出はありませんでしたが、今後も機会があれば取り組んでいきます。

(写真4:都内高級カフェで提供されたパフェ)

 


ナシで就農するなら石岡市へ


JAやさと梨部会では、平成25年に石鍋一樹さんが新規就農者として就農しました。
それから約10年、JAやさと梨部会を支える戦力になりました。
石鍋さんは就農当時を振り返り、「就農した場所が別の地域だったら、営農の継続は難しかったかもしれない」と言います。
それほどまでに、地域の生産者の助言や技術的支援によって、ナシ経営者になれたと感じています。

JAやさと梨部会は、真剣にナシ経営に取り組もうとする方を、営農していけるよう支援します。

(写真5:せん定講習会のようす)


県南農林経営・普及部門


2022年08月10日