カンショ産地のさらなるパワーアップに向けて(2020年2月)

鉾田市
JAほこた根菜部会甘藷部研究会

(写真1:目揃会の様子)

カンショ産出額日本一の鉾田市では、カンショづくりに適した水はけのよい火山灰土と温暖な気候を生かして高品質なカンショ生産に取り組んでいます。
今回は、JAほこた根菜部会甘藷部の中で、収量・品質向上に向け日々熱心に研究活動に取り組む研究会を紹介します。

年間を通した需要に応える長期貯蔵

写真2:箱詰めされ出荷を待つ紅あずま

(写真2:箱詰めされ出荷を待つ紅あずま)

主力品種は、ほくほく甘い「紅あずま」、ねっとり甘い「紅まさり」「紅はるか」「シルクスイート」で、その中でも「紅はるか」は全体の約5割を占めています。平成30年度の部員は100名、作付面積は143.9ha、販売金額は5億6000万円です。
近年、年間を通した消費需要に対応するため、従来の施設に加え、平成29年に新たなキュアリング貯蔵施設が稼働し、一度に貯蔵できる量が大幅に増加しました。キュアリング処理を行い、病原菌の侵入を防ぐことで長期貯蔵が可能となり、翌年のカンショの出荷が始まるまで安定した周年出荷が可能となりました。
また、早期収穫(9月上旬~10月上旬頃)の紅はるかは糖度がのりづらいため、予冷処理(二晩冷蔵処理)で強制糖化した後に出荷し、食味の向上に努めています。

産地のレベルアップにつなぐ研究活動

(写真3:新品種「ふくむらさき」の栽培試験での調査株)

甘藷部内には研究会が組織されており、17名の会員が収量・品質向上に有効な栽培方法を日々研究しています。毎年研究会員の圃場にて、新しい肥料・農薬などの資材や品種・系統比較、有機物施用など多くの実証圃を設置しており、昨年は計9課題、12か所で試験を行いました。
最近は、需要の増加に伴い栽培面積が増えている紅はるかやシルクスイートの課題解決に力を入れており、吸肥量の多い紅はるかの特性に合わせた肥効調節型肥料の実証や、シルクスイートの丸いも軽減、系統比較試験などに取り組んでいます。実証圃の設置や収穫調査は、研究会員や関係機関、メーカーなど多数参加のもと実施し恒例行事となっています。現場で結果を共有することは課題や結果の早期解決につながっています。また、連作による地力低下に起因する外観品質や収量低下の課題解決に緑肥作物を導入した結果、収量・品質が向上し有効な結果が得られました。

これらの活動を通して得られた情報は甘藷部全体に還元し、産地のレベルアップにつなげています。さらに今年度は、資質向上を目的とした栽培勉強会を開催し、研究会員のスキルアップを図っています。

研究会の飽くなき挑戦

写真4:収量・品質を確認している様子(左)現地検討会の様子(右)

(写真4:収量・品質を確認している様子(左)現地検討会の様子(右))

当研究会は、30~60代と幅広い年代で構成され、研究会議は多様な意見が飛び交い非常に活気ある場となっています。
「考えたことはすぐ試す」をモットーにメンバー同士切磋琢磨しながら、産地をパワーアップさせるため研究会の挑戦は続きます。

(写真:JAほこた根菜部会甘藷部のポスター)

 

茨城県鹿行農林事務所経営・普及部門(鉾田地域農業改良普及センター)

2020年01月28日