コギク「常陸サマースノウ」

生物工学研究所果樹・花き育種研究室

写真:常陸サマースノウの花

(写真:常陸サマースノウ)

品種の特徴

常陸サマースノウは花色が白色で、光沢のある照り葉とのコントラストが映える品種です。現地試験における生産者の評価は「まとまりのよい頂点咲きの草姿で、作りやすい」とおおむね良好です。また、市場関係者からは「葉色が良く、ボリューム感のある草姿がとても良い品種だ」と評価をいただいています。
切り花を生けた後、蕾からの花弁の展開がやや遅いですが、商品性には問題なく長く楽しめる品種といえます。

栽培

8月出荷の作型で行います。定植は4月下旬に行い苗が十分に活着したら摘心し、伸長してきた側枝を1株当たり3本残して整枝します。フラワーネットは伸長に応じて上げていきます。無病苗を用いるとともに、病害虫の予防的防除を徹底します。

育成の経緯

平成15年に夏秋ギクの自然交配種子を採種し、得られた実生個体から育種目標にかなった系統を選抜しました。平成19年に現地ほ場と園芸研究所において適応性試験を実施しました。また、市場性を調査して優良と認められたため、平成21年6月に品種登録を出願し、平成23年3月に「常陸サマースノウ」の名称で登録されました(登録番号第20657号)。

育成の裏話

「常陸サマースノウ」は、平成16年7月にバージンフラワー(種を播いてから初めて咲く花)を咲かせました。白色の花と光沢のある照り葉とのコントラストに加え、まとまりのよい頂点咲き(注)の草姿に着目して、品種になる可能性が高いと判断して選抜しました。


注釈
注:頂点咲き
花が頂点(頭)の方で揃う咲き方。飾った時の見栄えやボリューム感、加工業者の作業性を考えた場合、花が頂点(頭)の方で揃って咲く草姿が市場で求められる。