○茨城県議会基本条例
平成24年12月27日
茨城県条例第90号
茨城県議会基本条例を公布する。
茨城県議会基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会の役割及び運営(第3条―第11条の2)
第3章 議員の責務及び役割(第12条―第18条)
第4章 県民と議会との関係(第19条―第23条)
第5章 議会と知事等との関係(第24条―第27条)
第6章 議会改革等(第28条―第29条の2)
第7章 政治倫理(第30条・第31条)
第8章 議会事務局等(第32条・第33条)
第9章 補則(第34条・第35条)
付則
明治11年,明治政府は府県規則を制定し,翌12年3月最初の茨城県会議員の選挙により,45名の議員が選出され,同年4月に歴史的な第1回の茨城県会通常会が開催された。以来,本県議会は,先人達の英知を継承しつつ不断の努力を重ねながら,県勢の発展のために活動を行ってきたところである。
平成12年4月のいわゆる地方分権一括法の施行等,近年の地方分権の流れの中で,地方自治体の自己決定権が拡大するなど,地方自治をとりまく環境は大きく変化しており,地方においては,自主性や自立性をより一層高めていくことが求められている。
このため,議事機関としての議会は,その構成する議員が,執行機関の長である知事とともに,県民から直接選挙により選任された二元代表制の一翼を担う存在として,その果たすべき役割がますます増大してきている。
本県議会は,県民の意思を県政に反映させるため,知事その他の執行機関と緊張ある関係を保ち,対等の立場において,公正かつ公平な議論を尽くし真の地方自治の実現を目指すとともに,議会が期待される権能を十分に発揮するためには,議会の基本理念及び議会や議員の役割等を明確にし,より県民に開かれ,県民から信頼される議会を構築する必要がある。
ここに,本県議会は,日本国憲法及び地方自治法に基づき,県民福祉の向上及び県勢の発展に寄与するため,県民から選ばれた代表としてその責任を自覚し,真の地方自治の実現に向け全力を尽くすことを決意し,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,茨城県議会(以下「議会」という。)の基本理念を明らかにし,議会の役割及び運営,茨城県議会議員(以下「議員」という。)の責務及び役割,県民と議会との関係,議会と知事その他の執行機関(以下「知事等」という。)との関係その他議会の基本的な事項を定めることにより,議会の権能を最大限に発揮しながら,県民の負託に的確にこたえ,もって県民福祉の向上及び県勢の発展に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 議会は,二元代表制の一翼を担い,県の意思決定を行う議事機関として,県民の意思を県政に反映させるため,公正かつ公平な議論を尽くし,真の地方自治の実現を目指すものとする。
第2章 議会の役割及び運営
(議会の使命)
第3条 議会は,県民を代表する議員の議会活動を通じて,県民の多様な意見を集約し,県政に反映させることを使命とする。
(議会の役割)
第4条 議会は,次に掲げる役割を担うものとする。
(1) 議事機関として,議決により県の意思決定を行うこと。
(2) 知事等の事務の執行について,監視及び評価を行うこと。
(3) 県政の課題に関し,政策の立案及び提言(以下「政策立案等」という。)を行うこと。
(4) 意見書,決議等により,国等に意見表明を行うこと。
(5) 県政の課題,審議等の内容について,県民に明らかにすること。
(令3条例59・一部改正)
(議会運営の原則)
第5条 議会は,その権能及び機能が最大限に発揮されるよう,合議制の機関としての審議の充実を図るとともに効率的かつ透明性の高い運営を行うものとする。
(本会議及び委員会)
第6条 本会議は,全議員で構成し,議会の最終的な意思決定を行うものとする。
2 常任委員会は,県政の課題に対応して機動的に開催し,その機能を十分に発揮するよう運営するものとする。
3 特別委員会は,県政の課題に対応して特に必要がある場合に設置し,その機能を十分に発揮するよう運営するものとする。
4 前3項に定めるもののほか,本会議の運営並びに委員会(常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会をいう。以下同じ。)の設置及び運営については,茨城県議会会議規則(昭和35年茨城県議会規則第1号)及び茨城県議会委員会条例(昭和35年茨城県条例第46号)の定めるところによる。
5 定例会の回数については,茨城県議会定例会の回数を定める条例(昭和31年茨城県条例第27号)の定めるところによる。
(令3条例59・一部改正)
(議会の会期)
第7条 議会は,県政の課題に的確かつ柔軟に対応するため,適切に本会議を開くことができるよう,会期を定めるものとする。
(審議等の充実)
第8条 議会は,多様な方式による議員の質問及び質疑等により,真摯な議論の展開及び充実に努めるものとする。
2 議員は,議員相互の討議を行うことにより,論点及び争点を明確にするとともに,政策立案等を推進するものとする。
(議員による検討組織の設置)
第9条 議会は,本会議及び委員会の審議等によるほか,県政の課題に関して,調査又は協議等を行う必要があると認めるときは,議員で構成する検討組織を設置することができる。
(調査機関の設置)
第10条 議会は,必要があると認めるときは,学識経験を有する者等で構成する審査又は調査のための機関を設置することができる。
2 議会は,必要に応じて,前項の調査機関に,議員を構成員として加えることができる。
(調査)
第11条 議会は,議案及び知事等の事務に関する調査を行うほか,県政及び議会活動に関する課題の解決に資するため,必要な調査研究を行うものとする。
(災害等への対応)
第11条の2 議会は,県民の生命又は生活に直接影響を及ぼす災害その他非常の事態(以下「災害等」という。)が発生した場合は,県民及び地域の状況を的確に把握し,知事等に速やかに必要な要請を行うことその他議会の役割を踏まえた必要な対応を行うものとする。
2 議会は,前項の対応を協議するため,議員で構成する災害等対策会議を設置するものとする。
3 議会は,災害等が発生した場合における活動の方針を策定するものとする。
4 議員は,災害等が発生した場合は,緊急的な調査活動を行うことその他地域の状況に応じた必要な対応を行うものとする。
(令3条例59・追加)
第3章 議員の責務及び役割
(議員の責務)
第12条 議員は,選挙によって選出された県民の代表として,その負託にこたえるため,県政の課題及びこれに対する県民の意思を的確に把握し,議会活動を通じて,県政に反映させる責務を有する。
(議員の役割)
第13条 議員は,前条の責務を果たすため,次に掲げる役割を担うものとする。
(1) 本会議,委員会及び議案の審査又は議会活動に関し協議又は調整を行うための場(以下「会議等」という。)に出席し,審議,審査等を行うとともに,必要に応じて議案を提出すること。
(2) 県政の課題について,必要な情報収集,調査及び研究並びに政策立案等を行うこと。
(3) 県民の代表として県民全体の利益を考えるとともに,県民の意思を的確に把握し,県政の課題解決のため,政策の実現に取り組むこと。
(4) 県政及び議会活動について,県民に対して説明を行うこと。
(令3条例59・一部改正)
(議員の活動原則)
第14条 議員は,前条に掲げる役割を果たし,県民の意思を県政に反映させるため,その任期期間中は,常に議員としての自覚をもって議員活動を行わなければならない。
2 議員は,議会活動に必要となる資質の向上を図るため,研修及び調査研究に取り組むなど,不断の研さんに努めるものとする。
(会派)
第15条 議員は,議会の活動を円滑に行うため,会派を結成することができる。
2 会派は,議会内の議員団体として,所属議員の政策能力の向上等に努めるとともに,積極的な政策立案等を行うものとする。
3 会派は,政策立案等に関し,必要に応じて会派間で協議,調整等を行うものとする。
(政務活動費)
第16条 政務活動費については,議員の調査研究その他の活動に資するため,茨城県政務活動費の交付に関する条例(平成13年茨城県条例第35号)で定めるところにより,会派に交付するものとする。
2 会派又は議員は,茨城県政務活動費の交付に関する条例で定めるところにより,政務活動費の使途を明らかにしなければならない。
(平24条例94・一部改正)
(議員報酬)
第17条 議員報酬については,茨城県議会の議員の議員報酬,期末手当及び費用弁償に関する条例(平成13年茨城県条例第36号)の定めるところによる。
(議員の定数及び選挙区)
第18条 議員の定数及び選挙区については,茨城県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和56年茨城県条例第62号)の定めるところによる。
第4章 県民と議会との関係
(県民の参画の推進)
第19条 議会は,県民が議会活動に参画する機会の確保を図るものとする。
2 議会は,県民の意思を的確に把握し県政に反映させるため,公聴会及び参考人の制度の積極的な活用を図るなど,意見交換等県民参画の充実に努めるものとする。
3 議会は,請願及び陳情が提出されたときは,適切に処理するものとする。
4 議会は,議会活動を通じて,県民の主権者としての意識の醸成に努めるものとする。
(令3条例59・一部改正)
(県民への説明責任)
第20条 議会は,議会運営並びに政策の立案及び決定等について,県民に対して説明する責務を有する。
(広報広聴活動の充実)
第21条 議会は,県民に開かれた県議会を実現するため,多様な手段を活用し,広報広聴活動の充実を図るものとする。
(会議等の公開等)
第22条 議会は,その意思決定に至る過程を県民に対して明らかにするため,会議等を原則として公開するとともに,議案等に対する会派等の賛否を速やかに公表するものとする。
2 議会は,県民のため会議等が傍聴しやすい環境の整備により,公開の実効性を確保するものとする。
(情報公開)
第23条 議会は,茨城県議会情報公開条例(平成12年茨城県条例第87号)で定めるところにより公文書の開示を行うほか,議会活動に関する情報の提供に努めるものとする。
第5章 議会と知事等との関係
(知事との関係の基本原則)
第24条 議会は,二元代表制の下,議決権を有する機関として,執行権を有する知事との権能の違いを踏まえ,互いの役割を尊重しつつ,対等かつ緊張ある関係を保ちながら,自らの権能を最大限に発揮し,共通の目標である県民福祉の向上及び県勢の発展に取り組まなければならない。
(議会への説明等)
第25条 知事等は,次に掲げるときは,議会に対し,事前にその内容を説明するものとする。
(1) 予算を調製したとき。
(2) 県政に係る基本計画,県民生活に重要な影響を及ぼすような条例その他の重要な政策又は施策について,基本方針,素案その他これらに類するものを作成し,又は変更したとき。
2 知事等は,予算の調製及び前項第2号の重要な政策又は施策の作成又は変更に当たっては,これらに関連する議会の政策立案等の趣旨を尊重するものとする。
(令3条例59・一部改正)
(監視及び評価)
第26条 議会は,知事等の事務が適正かつ公平,及び効率的に執行されているかを監視し,その効果及び成果について評価するとともに,必要と認めるときは,知事等に対し,適切な措置を講ずるよう求めるものとする。
(政策立案等)
第27条 議会は,議員提案による条例の制定,議案の修正,決議等を通じて,積極的に政策立案等を行うものとする。
第6章 議会改革等
(令3条例59・改称)
(議会改革の推進)
第28条 議会は,地方分権の進展等の社会情勢の変化に対応し,継続的に議会改革に取り組むため,議員で構成する推進組織を設置するものとする。
(交流及び連携の推進)
第29条 議会は,他の地方公共団体の議会との交流及び連携を積極的に推進することにより,議会活動の活性化を図るものとする。
(情報通信技術の活用)
第29条の2 議会は,情報通信技術を積極的に活用することにより,議会活動の充実を図るものとする。
(令3条例59・追加)
第7章 政治倫理
(政治倫理)
第30条 議員は,県民の負託により県政に携わる権能及び責務を有することを深く認識し,県民全体の奉仕者としての自覚を持ち,公正かつ公平を基本として,常に品位の保持及び政治倫理の向上に努めなければならない。
(資産等の公開)
第31条 議員の資産等の公開については,政治倫理の確立のための茨城県議会の議員の資産等の公開に関する条例(平成7年茨城県条例第65号)の定めるところによる。
第8章 議会事務局等
(議会事務局)
第32条 議会は,知事等の事務執行の監視及び評価,政策立案等に関する議会の権能を発揮し,議会活動を円滑かつ効率的に行うため,議会事務局の機能の強化及び組織体制の整備に努めるものとする。
(議会図書室)
第33条 議会は,議員の調査研究等に資するため,議会図書室を適正に管理運営するとともに,その機能の充実に努めるものとする。
第9章 補則
(他の条例等との関係)
第34条 この条例は,議会に関する基本的事項を定める条例であり,議会に関する他の条例,規則等を制定し,又は改廃するときは,この条例の趣旨を十分に尊重しなければならない。
(条例の見直し)
第35条 議会は,社会情勢の変化,県民の意見等を踏まえ,必要に応じてこの条例の見直しを行うものとする。
付則
この条例は,公布の日から施行する。
付則(平成24年条例第94号)抄
1 この条例は,地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する規定の施行の日から施行する。
(施行の日=平成25年3月1日)
付則(令和3年条例第59号)
この条例は、公布の日から施行する。