わたしたちの県議会 茨城県議会

平成13年第2回定例会


 議会は6月18日の本会議において、次の4つの意見書を可決し、内閣総理大臣、関係閣僚などにその実現方を要望しました。

地方税財源の充実強化に関する意見書

 地方財政は、長引く景気の低迷により税収が落ち込んでいることに加え、これまでの景気対策に伴う公債費の増大等により、極めて厳しい状況にある。
 このため、本県では、歳出の抑制等徹底した行財政改革に取り組んでいるが、地方行政のかなりの部分が国により義務づけられている中にあって、地方自治体のみによるこれ以上の取り組みは限界にきている。
 現在、国において構造改革の議論が行われているところであるが、真の地方分権を実現するためには、地方税財政基盤の充実強化を図るという観点に立って、地方の実情を十分に踏まえ、議論されていくべきである。
 特に、地方交付税については、地方の固有財源として、各地域の住民が等しく一定水準の公共サービスが受けられるように財源を保障するという重要な役割を担っており、地方税財源の充実強化を図ることなくして、削減すべきではない。よって、国においては、次の事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

1 地方交付税については、地方自治体間の財源の不均衡を調整し、各地域における必要な行政サービスを保障する財源調整機能を有しており、今後も充分その役割が果たせるよう、その総額の安定的確保を図ること。

2 地方税については、所得税や消費税など国から地方への税源移譲を早期に実現し、その拡充を図ること。なお、税源の移譲に当たっては、財源不均衡による行政サービ スの大きな地域間格差を生じさせないよう、十分配慮すること。

農業の持続的発展に関する意見書

 農業経営を取り巻く環境は、野菜・果実の輸入急増による価格の長期低迷により、生産農家に大きな影響を与えている。特に本県においては、しいたけ、ねぎ等の輸入増大により厳しい農業経営となっている。
 このような中、ねぎ、生しいたけ、畳表については、200日間を予定とする一般セーフガード暫定措置が発動され、一刻も早い発動を望んでいた生産農家にとっては朗報であり一定の評価をするものである。
 しかしながら、この暫定措置は期間が限定されており、期間内に生産農家の経営改善、経営基盤並びに産地体制の強化を確立することは困難であると思われる。
 よって、国においては、農業の持続的発展と農業経営の安定のため、次の事項の実現に向けて特段の配慮を強く要望する。

1 国家社会、国民生活の安定と安心を維持するため、将来にわたり食料供給の安定が図られるよう国内農業の生産を基本とした食料政策を確立すること。

2 野菜等の輸入急増および生産・流通の変化に対応できる産地づくりのための構造改革について、その方向を明らかにするとともに、生産農家が安心して農業に取り組めるよう万全の対策を講ずること。

3 生産農家の経営改善を図るため、一般セーフガード措置を発動すること。さらに、暫定措置発動以外の緊急監視対象品目に対しては、早急な政府調査を行うこと。

4 監視対象品目以外に、輸入の急増により本県の生産農家に大きな影響を与えているとみられる「ほしいも」・「れんこん」について、早期に実態調査を行うこと。
 さらに、必要に応じ監視対象品目に加えること。

道路整備の充実と財源確保に関する意見書

 道路は、豊かな生活の実現と国土の均衡ある発展を図るための最も基本的な社会資本であり、その整備については県民が熱望するところである。
 茨城県は、首都圏に位置していながら、全国第四位の広大な可住地面積を有し、数多くの中小の都市が県内にくまなく分散しているため、都市間相互を連絡する道路延長は全国第二位であり、これまで懸命の整備にもかかわらず、改良率、整備率ともに全国で最も低いレベルにある。
 また、都市と同様に人口も各地に分散しており、鉄道やバス等の公共交通機関の整備水準が低いことから、安全で安心して豊かな暮らしをするためには、道路は最も重要でかつ必要不可欠な交通手段である。
 このため、本県においては、21世紀の地域間の交流・連携による活力ある地域づくりや豊かなくらしづくりを支援するとともに、良好な生活環境を創造するために、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道等の高規格幹線道路から、国道、県道及び生活を支える市町村道等の道路整備を一層促進することが是非とも必要である。
 よって、茨城県議会は、いまだ立ち遅れている道路整備を着実に推進するとともに、渋滞対策、バリアフリー化、道路環境対策などへの取り組みを一層充実させるため、道路整備特定財源の目的や受益者負担という性格を踏まえ、所要の道路整備費の確保を図られるよう強く要望する。

警察官の増員に関する意見書

 本県は首都圏に位置し、県南県西地域を中心に人口増が著しく、また、常陸那珂港の供用拡大、高速道路網の整備、つくばエクスプレスの開通、百里基地の民間共用化など大型プロジェクトが推進されているほか、ワールドカップサッカー大会が開催されるなど、県勢の発展はめざましいものがある。
 こうした中、本県においては、事件、事故の発生件数が増加の一途をたどり、その形態も広域化、複雑化しており、また180キロメートルに及ぶ海岸線には多くの港湾を有し、密輸や密入国が懸念されるなど、安全で安心できる生活を求める県民に大きな不安を与えている。
一方、本県警察官1人当たりの負担は、平成13年度の増員後においても、人口で全国第2位、免許人口で第2位、凶悪犯罪認知件数で第5位、重要窃盗犯認知件数で第3位、道路実延長で第3位、交通事故発生件数で第4位であるなど、各般にわたって過重な業務負担となっている。
 さらには、過重な業務負担の軽減とともに、警察官の士気高揚についても強く期待されるところである。よって、国におかれては、このような本県の実情を十分に勘案し、県民の安全で安心できる生活を確保するため、本県警察官の大幅な増員を行い、警察体制の強化を図られるよう強く要望する。


県議会は、平成13年6月18日の本会議において、次の決議をしました。

「教科書の公正な採択を求める決議」

 教科書は、学校教育において重要な役割を果たすものであり、その採択は、採択権者である教育委員会において、その自主的な判断と責任により適切に行われるべきものである。
 しかし、最近、教科書の採択をめぐって何らかの働きかけを行おうとする政治的な動きがあるとの報道が相次いでおり、憂慮に耐えないところである。
 教科書について見解を表明することは基本的に自由であるが、それが政治的・社会的圧力となり、採択権者の判断に影響を及ぼし、公正な採択が損なわれるようなことは断じてあってはならない。
 したがって、われわれは、関係者に対し、それぞれの活動が教科書の公正な採択に影響を与えることのないよう、慎重な対応をとることを要請するとともに、採択権者である教育委員会に対しては、教科書を採択するという責任の重大さを自覚し、外部からの様々な圧力に影響されることなく、自らの判断と責任において、公正中立かつ適切に教科書が採択されんことを本議会において決議する。