わたしたちの県議会 茨城県議会

平成14年第3回定例会


議会は9月20日の本会議において次の4つの意見書(水田農業経営の安定に関する意見書、高規格幹線道路の整備促進に関する意見書、ゆたかな教育を実現するための教育予算に関する意見書、義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書)を可決し、衆・参両院議長、内閣総理大臣などにその実現方を要望しました。

水田農業経営の安定に関する意見書

 水田農業については、需要に応じた米の計画的生産と自給率の低い麦、大豆等の本格生産を目指す水田農業経営確立対策が進められている。
しかしながら、米については、需給ギャップが拡大する中で、生産調整は過去最大の目標面積を抱え、不公平・不公平感が拡大するとともに、生産調整を実施してもなお米価格は低下するなど閉塞というような状況に立ち至っている。また、本作化を進めている麦・大豆においては、湿田など条件不利地域が本県に多いことなどから、より高品質を求める実需者ニーズに応じきれず、販売に苦慮する状況となっており、農家経営に与える影響は大きなものとなっている。
 よって、国においては、水田農業経営の安定に向けて、次の事項について早期に実現されるよう強く要望する。

1 麦・大豆などの食料自給率向上を基本として、水田農業の担い手が長期的な展望に立って営農計画を描けるような新たな施策を構築すること。
2 米をはじめ麦、大豆の価格安定に加え、生産調整については生産調整実施者に対する経営安定対策などのメリット措置を充実させるとともに、助成体系や制度を簡素化し、生産者に分かりやすい対策とすること。
 また、湿田など土地条件や米の需要動向に十分配慮して適地適作を進めること。
3 大豆の生産・流通について、需給調整のための体制整備や播種前契約の導入等により、安定した販売価格の維持や交付金等の早期支払いができるよう配慮すること。
4 需要にあった高品質な麦・大豆を安定的に生産できる新品種の早急な育成を図ること。

平成14年9月20日
茨城県議会議長 香取 衛

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣


高規格幹線道路の整備促進に関する意見書

道路は、豊かな県民生活の実現と県土の均衡ある発展を図るための最も根幹的な社会資本であり、高規格幹線道路から生活関連道路にいたるまで、中長期的視野に立って、一体的・計画的に整備させるべきである。
 国の道路関係4公団民営化推進委員会の中間報告においては、採算性が重視され、国が必要として定めた北関東自動車道、東関東自動車道水戸線及び首都圏中央連絡自動車道の事業の全面執行について、凍結、道路規格の見直しを含む再検討や新たに地方負担を求めることなどが出され、本県にとって憂慮すべき事態であり、今後、豊かな県土の発展や地域の振興に大きな支障になるとともに県財政をさらに逼迫させることが懸念される。
 よって、茨城県議会は、国の特殊法人等整理合理化計画に基づく日本道路公団などの改革には賛同する。しかし、本県の発展に必要不可欠な高速道路については、絶対に事業を凍結することなく、有料道路制度を最大限に活用し、新たに県の負担を強いることなく、計画どおり国の責任において整備が促進されるよう強く要望する。


平成14年9月20日
茨城県議会議長 香取 衛

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
国土交通大臣
行政改革担当・規制改革担当大臣


ゆたかな教育を実現するための教育予算に関する意見書

 21世紀を迎え、豊かな人間性と創造性に富み、自らの能力・適性・興味・関心等に応じて主体的に行動できる人材を育成していくことは大変重要なことである。
 このため、学校教育では、基礎学力の定着の上に児童生徒の一人ひとりの可能性を余すことなく発揮できるよう、個に応じたきめ細かな指導を推進することが不可欠であるとして、昨年、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」が一部改正され、平成13年度を初年度として5年間で教職員定数の改善を図るとした、少人数指導加配を柱とする「第七次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画」が示されるとともに、学級編制の弾力化に関する規定が整備されたところである。
 しかし、今回の改正においては、不登校、いじめなどの教育課題に対応する教職員の加配措置に係る改善がなされていないこと、また、都道府県の実態に応じて学級編制の弾力化が図れるとしたことは高く評価されるものの、これに必要な国からの定数加配や財源措置がないことなど、まだまだ充分な改善計画とはいえないのが実情である。
 よって、政府においては、「第七次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画」の前倒し実施を実現するほか、不登校、いじめなどの教育課題に対応する教員の加配措置に係る改善を含めた、新たな教職員定数改善計画を策定するとともに、都道府県が行う学級編制の弾力化に伴って必要となる教員の定数加配や財政措置を講じるよう強く要望する。


平成14年9月20日
茨城県議会議長 香取 衛


(提出先)
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
総務大臣


義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書

義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る制度として定着しており、現行教育制度の重要な根幹をなしている。
 しかしながら、政府は、昭和60年度以降、国と地方の費用負担の見直しを進め、これまでに教材費、旅費、恩給費及び共済費に係る追加費用等を国庫負担の対象外として、一般財源化を行ってきたところである。
 さらに、今後は厳しい財政状況の中、学校事務職員及び学校栄養職員に対する給与費、教職員に係る共済費長期給付負担金や退職手当等が国庫負担の対象から除外されることが懸念されるところである。
 こうした国から地方への負担転嫁は地方財政を一層圧迫するのみならず、義務教育の円滑な推進に大きな影響を及ぼすおそれがある。
 よって、政府においては、地方に新たな負担転嫁を行うことなく、義務教育費国庫負担制度を堅持するよう強く要望する。
 なお、仮に、義務教育費国庫負担制度を見直す場合においても、地方交付税による一般財源化だけではなく、交付金等の確実な財源的保障を行うよう要望する。

平成14年9月20日
茨城県議会議長 香取 衛


(提出先)
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
総務大臣