わたしたちの県議会 茨城県議会
平成9年第1回定例会


 議会は、3月17日及び25日の本会議において、次の3つの意見書を可決し、内閣総理大臣など各省庁にその実現方を要望しました。


動力炉・核燃料開発事業団東海事業所における安全管理に関する意見書

 去る3月11日に、動力炉・核燃料開発事業団東海事業所のアスファルト固化処理施設において発生した火災及び火災爆発は、周辺住民に大きな不安と危惧の念を与えた。
 このような事故は、県民生活の安全を守る立場から、安全管理の体制に問題があるといわざるを得ない。
 また、今回の事故にあたり、迅速かつ的確に県及び周辺住民等への連絡がなされなかったことは、誠に遺憾である。
 平成7年12月に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故はいまだ記憶に新しいところであるが、この教訓がいかされていないのではないかとの疑念を抱かざるを得ない。
 よって、政府におかれては、原因の早期究明と事故の再発防止に努められることはもとより、動力炉・核燃料開発事業団に対し、迅速かつ的確な連絡体制の確立並びに安全管理の強化について、厳しく指導されるよう要望する。


平成9年度畜産・酪農政策価格及び政策に関する意見書

 畜産・酪農を取り巻く状況は、平成3年4月の牛肉の輸入自由化以降、販売価格の低落等の中で、経営環境が悪化するとともに、農家数が大幅に減少している。また、ウルグァイ・ラウンド農業合意により、平成7年4月から、段階的な関税率の引き下げやミニマムアクセスによる一定量の輸入義務化等が実施され、一段と厳しい競争を強いられている。
 一方、国においては、こうしたことを受け、生乳生産枠の流動化に対する支援、地域肉豚基金の造成に対する支援や、農家負担軽減支援資金等の金融対策が措置されているところである。また、平成7年度に公表された17年度を目標とする「農産物の需要と生産の長期見通し」「酪肉近代化基本方針」等では、意欲的な生産見通しが示されている。
 しかし、生産コストの大半が購入飼料費で占められている畜産経営の中で、今後ともわが国の畜産・酪農の生産基盤と自給率を維持し、畜産農家の経営安定を図っていくには、農家自らの努力によるコストの削減にも一定の限界があり、コストを償い再生産を可能とする政策価格の維持と関連対策を確保することが不可欠となっている。
 よって、国においては、これら畜産・酪農を取り巻く環境を十分斟酌され、平成9年度の加工原料乳保証価格等の畜産・酪農政策価格の決定に当たっては特段の配慮をされるとともに、将来を展望した酪農・肉用牛対策や、畜産経営における種々のコスト低減対策を具体化し、その政策を着実に推進されるよう強く要望する。


地方公共団体が出資している法人に対する議会及び
監査委員の権限の拡大に関する意見書

 地方公共団体が出資している法人(以下「出資法人」という。)は、地域社会や複雑多様化する住民の行政需要に応え、民間の経営ノウハウなどを活用し、地方行政を補完するものとして多く設立されてきている。
 地方自治法(第243条の3第2項)において、地方公共団体の長は、出資法人の経営状況を説明する書類を毎年度作成し、議会に提出する義務があるが、その範囲は地方公共団体が資本金、基本金等の2分の1以上を出資している法人等に限られている(同法施行令第152条第1項)。
 また、同法(第199条第7項)において、監査委員は出資法人について監査することができるが、その範囲は地方公共団体が資本金、基本金等の4分の1以上を出資している法人に限られている(同法施行令第140条の7第1項)。
 しかし、出資法人の業務が多岐にわたり住民生活に深いかかわりをもつとともに、その経営が地方公共団体の財政に及ぼす影響も大きくなっており、出資法人に対する議会の監視権限や監査委員の監査権限は、ますます重要性を増している。
 よって、国においては、下記事項について早急に関係地方自治法令の改正を図られるよう強く要望する。

  1. 議会へ地方公共団体の長が経営状況を説明する書類を提出する出資法人の範囲を拡大すること。
  2. 監査委員が監査をすることができる出資法人の範囲を拡大すること。

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