わたしたちの県議会 茨城県議会
平成11年第2回定例会



 議会は、6月17日の本会議において、次の5つの意見書を可決し、内閣総理大臣など各省庁にその実現方を要望しました。

百里飛行場の民間共用化の事業費の確保に関する意見書
 茨城県は、広大な可住地や豊富な水資源に恵まれるなど大きな発展可能性を有しており、これまでもこうした可能性を生かし、豊かな県土づくりを進めてきたところである。
 今後さらに、茨城県が発展をとげていくためには、これまで以上に広域的かつ多様な交流圏域を見据え、幅広い地域との交流・連携を推進していくことが重要である。
 特に、今日、本格的な高速交通時代を迎え、県民の航空需要は非常に増大しており、より広域的な地域交流を可能とする空港整備の必要性が高まっている。
 このような観点から本県では、従来から進めてきた高速道路や重要港湾などの交通ネットワークの整備に加え、空港の整備を県政の最重要課題として取り組んでいるところである。
 百里飛行場の民間共用化は、全国主要都市への到着時間の大幅な短縮による人・物・情報の交流やその整備と一体となった地域づくりに大きく寄与するものであり、茨城県のさらなる発展を支えるために不可欠の基盤整備である。また、東関東自動車道水戸線や北関東自動車道などの開通により、北関東地域など近接地域の航空需要への対応も可能となるものである。
 よって、国においては、空港整備7カ年計画に位置付けられた百里飛行場の民間共用化の事業費を確保されるよう強く要望する。

JR紛争の早期解決に関する意見書
 国鉄改革法により国鉄が分割・民営化され、JR各社に移行して12年が経過した今日まで、JR各社と旧国鉄職員等の採用・配属問題などの紛争が続いていることは憂慮すべき事態である。
 特に、北海道、九州を中心とする採用問題について、昨年5月、東京地方裁判所で中央労働委員会命令を取り消す判決が言い渡され、中央労働委員会が控訴したことから、紛争の更なる長期化が懸念される。
 長期にわたる紛争は、当事者はもちろん家族にも大きな影響を及ぼしており、人道的な見地からも、早期に解決されることが求められている。
 よって、政府においては、関係当事者が紛争解決のための話し合いの場に着くよう働き掛けるなど、一日も早い紛争の解決に向けて努力するよう強く要請する。

介護保険制度の円滑な導入に関する意見書
 介護保険制度は、21世紀の高齢社会に適切に対応するため、現行の福祉・医療制度の再構築を図り、利用者本位の新たな介護システムを構築しようとするものであり、この制度を円滑に運営していくには、国、都道府県、市町村及び被保険者である国民が相互に協力し、支え合っていくことが重要である。
 このため現在、国、都道府県、市町村においては、緊急の課題として、サービス基盤や実施体制の整備に鋭意努力しているところである。
 国においては、現在の地方財政が危機的状況にあることから、都道府県、市町村に過重な財政負担を強いることのないよう、迅速かつ十分な対応を行うことが不可欠である。
 よって、地方公共団体の財政負担に対する明確かつ十分な財政措置をはじめ、次の事項について万全の措置を講じるよう強く要望する。

1 介護保険給付に対する県の公費負担、財政安定化基金の設置・運営、介護保険審査会の運営、事業者・施設の指定、介護支援専門員の研修等に要する財政負担に対して必要な財政措置を講じること。
2 介護保険制度の円滑な運営を図るため、特別養護老人ホームなどの施設整備、ホームヘルパーなどの人材確保等介護サービス基盤の整備充実に対する十分な財政措置を講じること。
 また、民間サービス事業者の参入を促進するため、適正な介護報酬の設定をするとともに、早急にその額を提示すること。
3 介護を必要とする者が適切なサービスを利用することができるよう、次のような対策を講じること。
(1)市町村が減免した保険料や利用料について、市町村に対し、国において十分な財政措置を講じること。
(2)高額介護サービス費の設置に当たっては、被保険者の所得の実態に応じた措置を講じること。
4 介護保険制度施行後に、当初の予想を大幅に上回って介護サービス需要が増大した場合などには、市町村に保険財政運営に支障を来さないように、国が責任を持って財政措置を講じること。
5 住民が支払う保険料や利用料、要介護認定の考え方や手続き、介護サービスの内容など介護保険制度について、国においても的確に広報し、制度導入に対する住民の真の理解と協力が得られるよう努めること。

定住外国人の地方参政権の確立に関する意見書
 我が国に定住している外国人は、地域に生活の基盤を置き、納税その他の社会的義務を果たすとともに、その構成員として、社会、経済、教育、文化等多くの分野において地域活動に参加し、地域社会の発展に大きな貢献をしている。しかしながら、定住外国人が地方政治に参加する途はいまだ開かれていない状況にある。
 こうした中で、最高裁判所は、平成7年2月、定住外国人に対して法律をもって地方参政権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない旨の判断を示したところである。
 よって、政府は、すべての住民が共生できる地域社会の形成に向け、定住外国人の地方参政権の確立に積極的に取り組まれるよう強く要望する。

オウム真理教団への対策に関する意見書
 毎日の生活を安全で安心して暮らしていけることが、県民はもとより国民すべての願いであるが、坂本弁護士一家殺人事件をはじめとして、松本サリン事件や地下鉄サリン事件等の非人道的な事件が、全国民を震撼させたことは、まだ記憶に新しいところである。この凶悪な犯罪について、オウム真理教団の一連の主犯者等が起訴され、裁判が進められている。
 オウム真理教団の活動拠点や道場等は依然国内に多数存在しているが、最近では新たな拠点を取得する動きも活発になってきており、教団活動に対する不安感から、全国的に様々な形で地域住民との間に軋轢が生じている。
 本県においても、猿島郡三和町、鹿島郡旭村等において、活動拠点を求めてオウム真理教信者の進出が顕在化しており、地元住民の不安はもとより、地元自治体においてもその対応に苦慮しているところである。また、地元住民は、これまでの平和で静かな暮らしを守るため、日常の生活や仕事を犠牲にしながら、オウム真理教信者の立ち退きを求め住民運動を続けている状況にあり、深刻な社会問題となっている。
 よって、政府においては、このような状況を深く認識され、地域住民の不安を解消し、平和な生活を営むことができるよう、オウム真理教団に対し法的整備を含めた対策を早期に講じるとともに、より警戒体制を強化するため警察官を増員するよう、強く要望する。