わたしたちの県議会 茨城県議会

平成19年第1回定例会で可決された意見書

《意見書》


JR不採用問題の早期解決を求める意見書

旧国鉄が分割・民営化され、既に二十年が経過しているが、その過程で発生した職員の不採用問題は今もなお解決していない。

平成十五年十二月、最高裁が「国鉄が採用候補者名簿の作成に当たり、不当労働行為を行った場合には、国鉄もしくは国鉄の法的地位を引き継いだ清算事業団は使用者責任を免れない」との判断を下したことに留意し、平成十六年六月、I L O (国際労働機関)は、「政府に対し問題解決のため、政治的人道的精神に基づき、すべての関係者と話し合いを推進するように勧める」と勧告している。

問題発生から二十年経過し、不採用のままとなっている当時の職員も高齢化しているため、人道的見地に立って速やかに現実的な問題解決を図ることが必要である。

よって、政府においては、I L O 条約批准国の一員として、J R 不採用問題の早期解決に向けて努力されるよう強く要望する。


ウイルス性肝炎対策の推進を求める意見書

我が国には、C 型肝炎患者がおよそ二百万人、B 型肝炎患者がおよそ百五十万人もいると推測されている。ウイルス性肝炎は慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行する深刻な病気である。B 型、C 型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染し、その大半が、輸血、血液製剤の投与、予防接種における針・筒の不交換などの医療行為を原因とするものと言われている。

こうした中、B 型肝炎については、集団予防接種によるB 型肝炎ウイルス感染被害者が、国を被告として損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決が昨年六月十六日に言い渡され、最高裁判所で国の行政責任が確定した。また、C 型肝炎についても、ウイルス感染患者が国と製薬企業に損害賠償を求めた訴訟が係争中となっている。

現在、国は肝炎対策として、肝炎ウイルス検診や普及啓発等などの施策に取り組んでいるところであるが、肝炎患者の早期発見及び早期治療に向け、肝炎ウイルス検診の拡充、確実に治療につながる医療体制の整備など、さらなるウイルス性肝炎対策の充実を図る必要がある。

よって、国においては、ウイルス性肝炎対策の一層の推進を図るため、次の措置を講ずるよう要望する。

  1. 検診体制の拡充と検査費用の負担軽減をすること。
  2. 治療体制の整備を図るとともに治療法等の研究開発を促進すること。
  3. 治療等に係る費用の負担軽減を図ること。

タクシー事業の規制緩和の見直しを求める意見書

改正道路運送法が施行され五年になるが、タクシー事業の経営は、参入規制等の緩和を受けて、全国的な規模で大幅な事業者数・車両数の増加が著しく、各地で供給過剰が進展し、事業経営を圧迫している。

また、一部地域ではコストを無視した際限のない値下げ合戦が行われ、利用者の混乱と不信が発生し、また、タクシー乗務員の長時間労働や過労運転による健康破壊、極端な低収入による生活破壊をもたらし、さらには、交通事故を誘発する恐れも生じている。

本県においても、タクシー需要が大幅に減少する中、新規参入事業者による運賃・料金の価格競争が行われ、乗務員の労働条件や事業経営に大きな問題が生じている。安全輸送の確保の上でも影響が生じる虞れがあり、早急な是正が必要となっている。

よって、今後とも、タクシーを利用者・住民にとって安全で快適な公共性の高い交通機関として確保していくため、タクシーの運賃・料金については、同一地域・同一料金とするよう強く要望する。


日豪EPA交渉に関する意見書

日豪E P A (経済連携協定) については、昨年十二月十二日、両国首脳会談において交渉を開始するとの合意がなされ、本年四月二十三日及び二十四日に第一回会合が開催されることとなった。

豪州が、我が国への輸出品の中で、強い関心を持っている農林水産物は、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖など、我が国にとって極めて重要な品目であり、これらの品目については、日豪両国間に大きな生産性格差が存在している。

品目の特性を考慮しないまま一律に関税撤廃が行われれば、新たな経営安定対策の導入や食料供給コストの縮減など、現在進めている我が国の農業構造改革の取り組みに支障が生じるばかりでなく、農林水産業への壊滅的な打撃となり、関連産業や地域経済にも甚大な影響を及ぼす恐れがある。

更には、食料自給率が低下するとともに、農林水産業の持つ水源の涵養や伝統文化の伝承など多面的機能が低下し、社会全体への影響が懸念されるところである。

ついては、日豪E P A 交渉にあたっては、国益を重視し、衆参両院の農林水産委員会決議等を踏まえ、次の事項の実現を強く要望する。

  1. 農林水産業の構造改革など生産現場が現在行っている努力を無にし、我が国農業の崩壊に繋がることのないよう、米、麦、牛肉、乳製品など重要品目に対する例外措置を確保すること。
  2. 現在進行中のW T O 農業交渉における我が国の主張に基づいた、整合性のある適切な対応を確保すること。
  3. 交渉期限を定めず、粘り強く交渉するとともに、豪州が我が国の重要品目の柔軟な取り扱いについて十分に配慮しない場合は、交渉の中断も含め厳しい判断をもって臨むこと。 合併に向けての取り組みは合併構想を策定していく。


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