わたしたちの県議会 茨城県議会

平成19年第2回定例会で可決された意見書

《意見書》


第二期地方分権の推進を求める意見書

 本県財政は、平成16年度からの3年間で一般財源が約1,000億円も減少し、未曾有の財政危機に直面している。

 この状況に鑑み、茨城県議会は、今般、財政再建等調査特別委員会を設置し、歳入、歳出、行政組織の全般にわたって、聖域なき行財政改革を断行することとしたところである。

 そもそもこの財政危機の主たる原因は、この3年間で本県の税収が約1,000億円増えているにもかかわらず、地方交付税等が約2,000億円も削減されたことにあり、財政力の強い一部の団体を除いては、全国的にも同様の傾向にある。

 国と地方の役割分担の明確化と権限・財源の移譲が不十分なままで、一方的に地方一般財源総額を減少させることは、このままであれば、全国的に行われている懸命の財政危機対応を恒常化させ、地方をますます疲弊させることとなる。

 先般、地方分権改革推進委員会が、目指すべき改革の方針である「基本的な考え方」をとりまとめたが、今後の改革にあたっては、真に地方分権に資する改革が実現できるよう、下記事項について強く要望する。

  1. 地方交付税は地方固有の財源であり、国の裁量に左右されることなく、地方の財源不足に対応した交付税総額を確保すること。なお、後年度に財源措置するとした地方債の元利償還金に係る 約束分や、大幅な増加が見込まれる社会保障関係費などについても地方財政計画の策定を通じて 適正に反映すること。
  2. 「地方にできることは地方が担う」の基本原則が貫徹されるよう、国と地方の役割分担について徹底した見直しを行い、国から地方への権限と財源の移譲を進めるとともに、国の関与・義務づけの廃止・縮小を推進すること。
  3. 地方が担うべき事務と責任に見合うよう、国と地方の税源配分をまずは5:5となるよう地方税源の充実強化を図ること。その際、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するとともに、税源偏在の是正のための措置を講じること。
  4. 直轄事業負担金については、直轄事業が全国的視野の下に国家的政策として実施されながら、地方公共団体に対して、維持管理費の負担も含めて個別に財政負担を課すものであり、極めて不合理なものであることから早急に廃止すること。
  5. 地方公共団体の財政の健全化に関する法律案に係る各種基準については、地方の発展可能性を削ぐことのないよう、各自治体の状況等を充分に斟酌したうえで、地方の努力が報われるよう設定すること。
  6. 公債費負担の軽減対策により財政の健全化が図れるよう、高金利地方債の繰上償還制度の拡充等適切な措置を講じること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

ふるさと農道緊急整備事業の期間延長に関する意見書

 ふるさと農道緊急整備事業は、平成5年度の制度創設以来、農業農村の振興と定住環境の改善に大きな役割を果たしてきた。

 しかしながら、本県においては、義務的経費の増大や地方交付税の削減などによる公共事業費の抑制に伴い、平成19年度までの実施期間内に完了できない状況にある。

 本事業は、人口減少・高齢化が進み活力が低下している農村地域を活性化し、「美しい国」の原点である「ふるさと」を守っていく施策として有効であるとともに、県及び市町村にとっても。農産物流通の基幹道路となるなど、大変、有意義なものであることから、平成20年度以降も制度の期間を延長するよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


道路整備の推進と必要な財源の確保を求める意見書

 道路は、日常生活や経済・社会活動を支える最も基本的な社会資本であり、本県の新しい飛躍と県土の均衡ある発展を図り、豊かで安心できる地域社会をつくるためには、道路ネットワークの整備がより一層重要である。

 本県では、これまで、常陸那珂港や茨城空港などの大規模プロジェクトの推進に合わせ、それらを支える高規格幹線道路や直轄国道などからなる道路ネットワークを精力的に整備してきた結果、平成18年の企業立地面積が全国第1位となるなど、経済活動の向上・躍進にも大きく寄与しているところである。

 しかし、ネットワークの全体が完成することで本来の機能が十分に発揮される高規格幹線道路の整備は、未だ6割程度であり、今後も着実かつ早期の整備が求められる。また、直轄国道については、4車線化率が22%と関東で最も低く、依然県内各地で慢性的な渋滞が発生する要因となっていること、県が管理する国県道については、急カーブ等交通危険箇所、幅員狭小箇所、右折レーンがない信号設置交差点等の改善を要する箇所が合わせて3,000以上もあることなど、これらの早期解消が県民から強く望まれているところである。

 このような中、昨年12月、政府において「道路特定財源の見直しに関する具体策」が閣議決定された。今後、政府において、この内容に従い道路整備に関する中期的な計画の策定、各種の具体的な措置の検討が進められると考えられるが、その際、上記の事情に鑑み、次の事項に留意されるよう強く要望する。

  1. 東関東自動車道水戸線、北関東自動車道、首都圏中央連絡自動車道の高規格幹線道路については、環境改善並びに首都圏の防災機能強化のためにも、ネットワークを途切らすことなく、国家的見地から国が責任を持って確実に整備すること。
  2. 国道4号、国道6号、国道50号、国道51号の直轄国道については、地域間の連携を強化し、地域の活力を引き出すために、国が責任を持って確実に4車線化の整備をすること。
  3. 住民の安全・安心を支える道路、平成の市町村大合併の下で適切な行政サービスを提供するために不可欠な道路等、地域が必要とする道路整備が着実に進められるよう配慮すること。
  4. スマートICの推進、ETC割引の一般有料道路への拡大等により既存高速道路ネットワークの効率的活用を図ること。
  5. 国の道路財源制度の見直しに当たっては、地方の道路整備が未だに不十分な現状に鑑み、道路整備を計画的かつ重点的に推進するため、道路整備事業の地方負担金も含めた道路整備の財源確保について、特段の配慮をすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。



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