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更新日:2025年6月1日
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令和7年5月21日(火曜日)、鹿島地帯特産指導所で標記検討会を開催し、生産者、JA担当者、関係機関等、計91名(うち生産者45名)が出席しました。検討会では、鹿南地域の特産であるピーマン、ワカマツ、センリョウの試験課題について、昨年度の結果報告と、ほ場見学を行いながら今年度の計画を検討しました。
令和6年度試験成績と令和7年度試験設計について、ピーマンは3課題(環境制御技術、天敵昆虫タバコカスミカメを用いた総合防除技術、アスパラガスを用いた線虫防除技術)、新規課題として1課題(オルソトスポウイルスの媒介昆虫アザミウマ類の防除対策技術)、ワカマツ・センリョウは1課題(若松、センリョウにおける新たな安定生産技術の確立)の説明を行いました。
ピーマン生産者からは、増収効果の高い炭酸ガス施用技術や、しおれ軽減に有効な醸造酢施用、アザミウマ類の防除効果が確認できたタバコカスミカメの導入を前向きに検討する意見が多く聞かれました。また、アスパラガスの栽培試験は、初めてほ場を見る生産者も多く、管理作業や収穫開始時期について、生産者から質問が出るなど、関心の高さが伺えました。
センリョウ・ワカマツ生産者からは、センリョウ葉を活用したほ場からの簡易な疫病菌検出技術(ベイト法)や、疫病対策を目的としたソーラーパネル下でのプランター栽培の関心が高かったほか、品質向上を目的としたワカマツの短茎化について、活発な意見交換が行われました。また、センリョウの土用芽※を用いた挿し木栽培のほ場を見学し、人手不足の解消や近年需要が高まるホームユース向けの大量生産など将来を見据えた効率的な増殖技術についても検討しました。
夏の土用のころに芽吹き、品質を損なうことから取り除かれる新芽のこと
鹿島地帯特産指導所では、これからも生産者や関係機関と連携し、産地の発展につながる試験研究を行っていきます。
写真1 ピーマン環境制御に関する説明 写真2 若松についての説明
4月23日(水曜日)に、独立行政法人国際協力機構筑波国際センター(JICA)の課題別研修「小規模農家の生計向上のための野菜生産技術」コースの受講生12人が鹿島地帯特産指導所を見学しました。
当所からは、儲かる農業実現に向けて取り組んできたこれまでの研究成果の紹介や、産地の各生産団体と一体となって取り組んできた現地検討会の様子を紹介しました。また、現在の産地情勢についても説明するとともに、試験研究課題の概要について説明を行いました。
その後、ピーマン栽培ハウスに移動し、炭酸ガス施用による収量向上試験や、天敵導入によるアザミウマ防除試験の概要について研究員から説明を行いました。意見交換では、受講者から「炭酸ガスの燃料は何を使っているのか」、「天敵であるタバコカスミカメの移動能力は高いのか」といった質問がありました。受講生の母国では、環境制御や天敵を活用した果菜類の栽培は珍しいとのことで、施設栽培への関心の高さが伺えました。
次に、センリョウ栽培施設に移動し、プランター栽培や疫病菌に対する農薬の試験について研究員から説明を行いました。受講生からはセンリョウの用途や、農薬に関わる質問がありました。
鹿島地帯特産指導所では、これからも関係機関と連携し、試験研究に取り組んでいきます。
写真 ピーマン栽培技術に関する意見交換の様子