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更新日:2020年12月2日

 令和1年度年報

畜産センター本所

肉用牛研究所

養豚研究所

 畜産センター本所飼養技術研究室

デヒドロエビアンドロステロンを用いた牛体内胚採取成績向上に関する試験研究 

期間・区分

平成28年度~令和2年度,国補 

背景・目的

デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は性ホルモンの前駆物質であり,ヒトでは婦人科領域を含め様々な効果が認められている。

そこで,黒毛和種繁殖雌牛におけるDHEA及びその硫酸抱合体であるDHEA-Sと体内胚採取成績の関連性を分析するとともに,DHEAの投与により体内胚採取成績を向上させる方法を確立することで,より効率的な体内胚採取方法を確立する。 

方法

1.黒毛和種繁殖雌牛における血中DHEA(-S)濃度と体内胚採取成績の関連性の分析

当センター飼養牛27頭及び農家飼養牛5頭の血清を用い,これらの血中DHEA,DHEA-S及びEstradiol(E2)濃度と,体内胚採取成績(回収卵数,正常卵率)との関連を分析した。

2.DHEA-S投与時の血中濃度動態の確認

DHEA-S製剤を黒毛和種繁殖雌牛2頭に200mg静脈内投与し,接種時,接種後1h,2h,3h,4h,8h及び24h(1日後),48h(2日後),72h(3日後),96h(4日後),120h(5日後),144h(6日後),168h(7日後),192h(8日後)に採血を行い,血中DHEA,DHEA-S及びEstradiolの濃度を測定した。 

成果・評価

1.黒毛和種繁殖雌牛における血中DHEA(-S)濃度と体内胚採取成績の関連性の分析

野外採卵時に採血した牛では,DHEA及びDHEA-Sが高値でも回収卵数及び正常卵数が

多い傾向がみられた。

2.DHEA-S投与時の血中濃度動態の確認

DHEA及びDHEA-Sの血中濃度の推移は,投与後約1時間で最大となり,その後速やかに低

下することが確認された。

今回,オブシンク処理時に,GnRH製剤の代わりにDHEA-S製剤を使用したが,血中E2濃度の推移をみると,1頭は96時間後(4日後),もう1頭は72時間後(3日後)に最高値に達した。一般的に,GnRH製剤を投与後,半日から1日後が受精適期であることを考えると,DHEA-S製剤によりエストロジェン濃度が高くなり発情が誘起できる可能性は低いと考えられた。 

黒毛和種性選別精液を用いた体内胚採取における受精率向上方法の検討

期間・区分

平成28年度~令和1年度,県単 

背景・目的 

市場価値の高い黒毛和種雄子牛を選択的に生産できる一方で,牛体内胚採取において正常胚率が低い性選別精液を,深部注入器を用いた人工授精技術を活用することにより,効率的に黒毛和種雄子牛を生産する技術の確立を図る。 

方法    

供試牛に常法にて過剰排卵処置を行い,通常又は性選別精液を用いて人工授精を行い,7日後に子宮灌流液にて採胚し,胚の受精率について比較検討した。また,性選別精液を用いた人工授精を行う際に,深部注入器を用いて授精を行い,7日後に子宮灌流液にて採胚し,胚の受精率について比較検討した。 

成果・評価 

通常精液を通常の人工授精器で授精し採卵する区(対照区)で5頭,雄性選別精液を通常の人工授精器で授精し採卵する区(試験区1)で5頭,雄性選別精液を深部注入器で授精し採卵する区(試験区2)で5頭,計延べ15頭で採卵を実施し,受精率の比較検討を行った。その結果,試験区1で受精率72.9%であったのに対し,深部注入器を使って授精した試験区2では受精率72.2%であり,受精率に差はみられなかった。また,性選別精液を使用して採取した胚をセンター飼養ホルスタイン種4頭,黒毛和種1頭に移植したところ,2頭が受胎した(受胎率40.0%)。

牛の受精卵移植技術普及定着に関する研究

期間・区分

平成2年度~,県単 

背景・目的 

黒毛和種の受精卵移植技術の普及定着を図るためには,農家への安定した受精卵の供給と凍結保存受精卵の高い受胎率が必要である。そのために,受精卵の効率的な生産及び凍結・融解技術の確立を図る。 

方法

当センター飼養の供卵牛及び農家飼養牛(共に黒毛和種)を供試牛として,常法で過剰排卵処理を行い採卵した。凍結方法は,耐凍剤を用いた緩慢冷却法で行った。  

成果・評価

センター飼養供卵牛延べ103頭で採卵した結果では,回収卵数687個のうち正常卵数は321個で,1頭あたりの平均正常卵数は3.1個,正常卵率は46.7%であった。

農家飼養黒毛和種雌牛延べ55頭では,回収卵数259個のうち正常卵数は153個で,1頭あたりの平均正常卵数は2.8個/頭,正常卵率は59.1%であった。農家飼養ホルスタイン種雌牛延べ3頭では,回収卵数13個のうち正常卵数は5個で,1頭あたりの平均正常卵数は1.7個/頭,正常卵率は38.5%であった。

県内農家等への受精卵譲渡個数は215個であった。

乳用牛へのファイトケミカル給与による繁殖成績及び乳生産性向上技術の開発に関する試験研究

期間・区分

平成29年度~令和3年度,国補 

背景・目的

ファイトケミカルの一種であるスルフォラファンは,ブロッコリーの新芽等に多く含まれ,細胞内でのグルタチオン生成を促す作用を持ち,ヒトでの試験では抗酸化能や肝機能を改善させることが報告されている。これを乳用牛に投与することにより,グルタチオンの体内合成を促し,分娩前後における酸化ストレスを低減させることによる繁殖成績向上技術を開発する。 

方法

スルフォラファン含有粉末を,分娩約2週間前から分娩後8週間にわたり10g/日/頭ずつ給与し,スルフォラファン代謝物,グルタチオン類,過酸化脂質(T-BARS)等を測定した。

また,酸化ストレスの指標として過酸化脂質(T-BARS)の有効性を確認するため,カテーテルによる胃液採取前後で血中濃度を比較した。 

成果・評価

スルフォラファン代謝物について,血漿から検出されなかったSFN-Acetyl-Cysが尿から検出された。ヒトでは,SFN-Acetyl-Cysが代謝経路の最終産物であるとの報告がある。しかし,試験区及び対照区間における測定結果はほぼ同程度であった。グルタチオン類については,GSHが分娩1週間後に増加し,それに伴いGSSG/GSH比が低下する傾向にあった。T-BARSについては,分娩1週間後に増加する傾向にあった。しかし,試験区及び対照区間における測定結果はほぼ同程度であった。一般血液成分については,肝機能の指標(高値で肝機能障害)とされるGGT値が,試験期間をとおして,試験区が対照区よりも低めに推移する傾向にあった。試験区3頭,対照区3頭に人工授精を実施し,各区2頭が受胎した。初回授精日数はそれぞれ約65.3日,84.3日であった。

試験牛3頭のT-BARSは,胃液採取前と比較して採取直後に僅かに上昇したが,採取後2時間が経過しても低下しなかった。

高能力乳用牛の効率的な飼養管理技術の開発

期間・区分

平成27年度~,県単

背景・目的

産乳と繁殖性が両立した高能力牛の総合的な飼養管理技術を確立するために,国産自給飼料の利用法,暑熱・酸化ストレスを低減させる周産期の飼養法を検討する。

方法

トウモロコシサイレージ等自給飼料を活用したTMRやサプリメントの給与,BCSを考慮した乾物摂取量の調整,血液生化学検査を活用した疾病の早期発見・治療が乳質,繁殖性等に及ぼす影響を調査した。さらに,AIやIoTを活用したスマート酪農について検討するため,県内外の搾乳ロボット活用事例に関する調査を行った。

成果・評価

今年度の年間の平均体細胞数は240千/mlであり,前年度の253千/mlよりも低下した。さらに,年間の搾乳量は約296t,売却数量は約270tであり,前年度の搾乳量は約276t,売却数量は約256tで前年度を上回った。

また,搾乳量について夏季(6~10月)とそれ以外の時期での平均乳量の減少率を比較したところ,今年度の減少率は0.4%(夏季:24,660kg/月,それ以外の時期:24,764kg/月)であり,前年度の減少率11.4%(夏季:21,417kg/月,それ以外の時期:24,176kg/月)よりも低下した。

さらに,県内1か所,県外3か所の搾乳ロボット導入農家及び試験研究機関を視察調査し,ロボット搾乳により省力化できた点,乳量・乳質への影響,メンテナンス状況等を聞き取り,導入・普及する上での課題を洗い出した。

飼料作物品種選定試験・ 高能力飼料作物品種選定調査

期間・区分

昭和58年~,県単    平成23年~,受託 

背景・目的

イタリアンライグラス及び飼料用トウモロコシについて,本県の気候・風土に適合した優良品種を選定し,県奨励品種決定の基礎資料とすることにより,本県の自給粗飼料の生産性向上を図る。 

方法

イタリアンライグラス

両試験合わせて早生~中生の14品種について生産力検定を行った。前年度の10月22日に播種し,施肥等は県耕種基準を準用した。

飼料用トウモロコシ

両試験合わせて早生~中生の11品種について,生産力検定を行った。4月24日に播種し,施肥

等は,県耕種基準を準用し,収量調査は黄熟期に行った。 

成果・評価

イタリアンライグラス

早生品種の出穂始は,標準品種である「はたあおば」を含む「クワトロ-TK5」,「SI-14(タチユウカ)」,「ハルユタカ」の4品種が最も早かった。また,5日遅れで出穂始となった「ライジン」,「ワセ王」が最も遅かった。1番草,2番草の乾物収量の合計は,早生品種では「ハルユタカ」が,中生品種では「ナガハヒカリ」が最も多かった。中生品種では品種間で収量に差はみられなかった。

飼料用トウモロコシ

早生品種,中生品種では品種間で乾物総収量に,どの熟期でも差はみられなかった。雌穂の乾

物率では,早生品種で「2H722(ZX3158)」と「タカネスター」,中生品種で「32F27」が有

意に高かった。

 

 畜産センター本所 生産技術研究室

家畜ふん堆肥の燃料化による環境負荷低減技術の研究

期間・区分

平成28年度~令和1年度,県単 

背景・目的

畜産経営の専業化,経営規模の拡大が進んだことにより,家畜排せつ物を地域内のみ

で利活用することが困難なケースが多く,広域的な流通が必要となったほか,燃料利用など農業以外での新たな利活用方法の検討が求められている。

家畜ふん堆肥を燃料化する上での課題として,水分の低減技術と燃焼灰の利用方法が

あげられる。そこで本研究では,畜産センター内に設置した無煙小型燃焼機を使用し,燃焼による家畜ふん堆肥の減量化と熱エネルギー回収利用,及び燃焼灰の肥料効果について検討し,環境負荷低減技術の確立を図る。 

方法

1.低コスト水分低減化技術の検討(平成28,29年度)

夏・冬期における切り返し等による水分低減化方法とボイラー排熱利用による水分低減化方法を比較し,時期毎の堆肥乾燥効率を検証する。

2.燃焼熱利用システムの構築(平成29~31年度)

小型燃焼機―温水機を用い,燃焼による堆肥の減容化及び燃焼熱を利用した温水循環シ

ステムの構築を行う。

3.燃焼灰利用方法の検討(平成30,令和1年度)

ポット試験により,燃焼灰の肥料効果及び土壌改良効果について検討する。 

成果・評価

密閉縦型発酵処理施設で発酵処理された豚ぷん堆肥は,木質資材と混合して燃焼させ

ることで,重量ベースで90%以上の削減が可能であることが分かった。また,窒素ベースでも95%以上が削減可能である。燃焼灰は,過リン酸石灰に比べて若干肥効が劣るもののリン酸源として肥料利用が可能であることから分かった。

以上のことから,豚ぷん堆肥の燃焼利用は,養豚業が盛んな地域において,圃場への

還元される余剰窒素量の低減が可能であり,環境負荷低減に有用な手法の一つであるといえる。

 

豚舎排水の窒素除去並びにリン回収・利用に関する試験研究

期間・区分

平成27年度~令和1年度,国補

背景・目的

霞ヶ浦は過剰な窒素やリンの流入による富栄養化が問題となっており,流域内の全事業所には「霞ケ浦水質保全条例」により厳しい排水基準が定められている。しかし,都市下水と比較して窒素,リンの濃度が濃い豚舎排水を河川放流可能な水質にするためには,従来の浄化方法だけでは不十分であり,別途追加の浄化処理を行う必要がある。

近年,都市下水の終末処理場や工場での廃液処理において,新たな排水処理技術としてアナモックス菌およびMAP反応が利用され始めている。しかし,これらの技術を養豚排水に利用する際には未だ解決されていない問題が多く存在しており,実用化はされていない。よって今回は,これらの技術を養豚排水処理に用いる際の最適な運転条件について検討する。

方法

1.アナモックス反応(窒素除去技術)

500mlスケールの汚水処理装置を用いて,アナモックス菌を槽内に捕集する担体の種類による窒素除去能力の違いを調査した。

2.MAP反応(リン除去技術)

本県畜産センター養豚研究所の排水処理施設にMAP反応槽(実容積1.5㎥)を設置し,「固液分離した実排水(固液分離液)」または「固液分離前の一次処理水」について,処理前後の各種成分分析(pH,Mg,P,Ca,無機態窒素)及びMAP結晶の回収量を調査した。

成果・評価

1.アナモックス反応

アナモックス菌を保持する担体として,不織布,炭素繊維,コンクリートの3種を比較したところ,不織布を用いた際に最も高い窒素除去能力が確認された。また,養豚排水の浄化処理にこの菌を用いる場合,従来法による処理を行った後の排水と反応させることによって,窒素除去が効果的に起こる可能性が示された。

2.MAP反応

固液分離液,一次処理水とも,実排水レベルでは水質の変動が大きくリン除去率も変動したが,リン濃度の高い一次処理水では固液分離液よりもリン除去率の変動が少なく,MAP結晶の回収量も多くなった。

 

活性汚泥モデルと新規窒素除去反応アナモックスの利用による畜産廃水処理技術の高度化

期間・区分

令和1年度~3年度,受託

背景・目的

霞ヶ浦は窒素等水質汚濁物質の過剰な流入による富栄養化が問題となっており,流域内の全事業所には「霞ケ浦水質保全条例」により厳しい排水基準が定められている。しかし,都市下水と比較して窒素の濃度が濃い畜産廃水を河川放流可能な水質まで浄化するためには,従来の浄化方法(活性汚泥法)だけでは不十分であり,新しい浄化処理技術の早急な開発が求められている。

昨年度までの試験により,80L規模の活性汚泥処理装置において曝気槽を低溶存酸素条件で運転することにより,通常の条件と比較して窒素除去能力が改善することが判明した。

このことから,今年度は50,000Lの実規模曝気槽を用いて,80L試験の再現性の確認を行った。

方法

実規模活性汚泥処理施設における年間の水質調査

溶存酸素濃度制御を行っていない状態の実規模連続曝気活性汚泥処理施設内の年間の水質を測定するとともに,その際の溶存酸素濃度と窒素除去能力の関係についても検証した。

成果・評価

実規模活性汚泥処理施設における年間の水質調査

4月~10月の春季~夏季と比較して,11月~3月までの秋季~冬季は研究所内の豚

飼養頭数が多くなることから,流入廃水中の窒素濃度が高くなることが判明した。 

測定期間中に70%以上の高い窒素除去能力を発揮していた場合の多くは,曝気槽

内の溶存酸素濃度が偶発的に1.0mg/Lを下回っていた時に見られていた。このことから,曝気槽内の溶存酸素濃度を低く保つことにより,窒素除去能力が改善される可能性が示唆された。

今後は,曝気槽内の溶存酸素濃度を常に低濃度に制御した際の窒素除去能力を測

定していくとともに,冬季の流入廃水の濃度上昇への対策を行っていく。

 

地鶏のおいしさに関連する遺伝子の解明及び次世代鶏作出技術の確立

期間・区分

平成28年度~令和2年度,国補 

背景・目的

奥久慈しゃもの原種鶏は,当センターのみで約30年閉鎖群で維持されているため,鶏群の近交度上昇に伴う近交退化と呼ばれる不良形質の発現が懸念されている。そこで,今後の対策の一つとして,鶏種別系統の外部導入により同近交退化発現を解消し,かつ本来の奥久慈しゃものおいしさを保持した次世代鶏の作出が可能か研究する必要がある。 

方法

1.次世代鶏を用いた肉用鶏(G2・TL)と奥久慈しゃも(J・TL)の比較調査

アラキドン酸関連遺伝子を保有した優良群と保有していない不良群のG2・TL及びJ・TL

について,発育調査,解体検査,食肉成分,脂肪酸組成の測定,及び分析型官能評価お

よび実需者の評価により比較した。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立

兵庫牧場から導入した831系統軍鶏(外部軍鶏)の雄と現在維持している軍鶏の雌をア

ラキドン酸関連遺伝子情報を活用し交配させた次世代鶏の第一世代(G1)に,3度J系

統軍鶏を戻し交配した雑種第三世代(G4)を作製した。 

成果・評価

1.次世代鶏を用いた肉用鶏(G2・TL)と奥久慈しゃも(J・TL)の比較調査

発育調査及び解体検査の結果,G2・TLで増体に優れていた。JTL分析型官能評価の結

果,甘味,酸味,うま味,後味,香りの強さ,脂っぽさ及び好ましさについて優位な差

は見られず,実需者の評価でも好ましさに差はなかった。

J・TL優良群のモモ肉100g中のアラキドン酸含有量の平均が0.116gであったのに対し,不良群では0.108gであり,J・TL優良群が有意に高かった。

2.遺伝子選抜による次世代鶏作出技術の確立 

G3の225羽,J系統軍鶏の249羽について遺伝子の解析を行い,アラキドン酸関連遺

伝子の保有状況により選抜し,優良選抜群(雌79羽,雄67羽)の遺伝子型の固定を完

了した。J系統軍鶏の雄123羽とG3の雌95羽を交配して G4を作製した。

 肉用牛研究所 改良研究室

牛改良事業

期間・区分
昭和27年度~,県単

背景・目的
優良種雄牛を適正に飼養管理し,高品質な凍結精液の生産と譲渡を行う。

方法
種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。

成果・評価
候補種雄牛を含め11,135本を生産し,5,149本を譲渡した。(※試験配布,廃用除く)

 

肉用牛広域後代検定推進事業(直接検定)

期間・区分
平成11 年度~,県単


背景・目的
肉用牛の改良を図るため,遺伝的能力評価の高い繁殖雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産され
た雄子牛について能力を調査し選定する。

方法
公益社団法人全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。

成果・評価

名号 母父 DG 365日補正体重(kg) 審査得点 結果
稲乃大重 久茂福 百合茂 1.18 410.0 84.0 選抜

 

 肉用牛広域後代検定推進事業(後代検定)

期間・区分
平成4年度~,県単

背景・目的                            
直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。

方法
公益社団法人全国和牛登録協会で定める産肉能力検定(現場後代検定法)に基づいた。
1.検定場所
畜産センター肉用牛研究所
全国農業協同組合連合会茨城県本部肉用牛哺育育成センター
民間農場
2.供試牛頭数
概ね18頭/1種雄牛
3.出荷月齢
去勢 29か月齢未満
雌  32か月齢未満

成果・評価
候補種雄牛「北平関」の産子について検定を終了した。新型コロナウイルスの蔓延防止措置によって茨城県肉用牛育種改良推進協議会を開催出来なかったため,選抜の是非については保留している。能力値については能力評価基準値を枝肉重量,バラ厚,脂肪交雑が満たしている。
 

  枝肉重量   kg ロース芯面積 ㎠ バラの厚さ  ㎝ 皮下脂肪の厚さ   ㎝ 歩留基準値   % 脂肪交雑 BMSNo
基準値 64.750 11.154 1.217 -0.208 1.733 2.451
北平関 99.176 10.100 1.541  0.013 1.192 2.858

 (能力値はR2.12月育種価参照)

下線は基準値以下を示す

 

 肉用牛研究所 飼養技術研究室

夏季における暖地型牧草利用による放牧実証試験

期間・区分
平成28~令和1年度,県単

背景・目的
県内の放牧地では寒地型牧草が多く利用されており,夏枯れによる生産量の減少がみられる。このため,夏季の収量が高い暖地型牧草を寒地型牧草と組み合わせることにより,放牧地の生産量の平準化が図られ,1年を通して計画的な放牧が可能になると期待される。
暖地型牧草であるソルガム類は生産量が多く,また再生草が伸長するので夏から秋にかけて集約的な放牧利用が可能と考えられるが,近県における放牧利用の事例はない。また,シバ型の暖地型牧草であるバヒアグラスは,定着すると安定的な植生を維持できるので粗放的放牧に適しており,種子代も安価であるが,初期生育が悪いので草地造成や越冬性に難がある。
そこで,夏季の集約的放牧としてソルガム類の畑地及び転作田の乾田等における利用と,粗放的放牧法としてバヒアグラスによる放牧地等での利用を検討した。

方法                               
1.ソルガム類
1)品種 ヘイスーダン,ロールスイートBMR
2)播種様式・播種量および時期 散播,条播 5kg/10a 5月下旬~6月上旬
3)施肥量および時期 N-P-K 6kg/10a 播種時
4)放牧方法 硝酸態窒素含量を確認後実施
5)調査項目 収量,採食利用率,牧養力,栄養成分等
2.バヒアグラス
1)試験処理 除草剤区:播種18日前に除草剤を散布し播種
     耕起区 :播種18日前に除草剤を散布し,前日に耕起後播種
2)播種様式・播種量および時期 散播,3kg/10a 6月上旬
3)施肥量 元肥 N-P-K 各3㎏/10a 消石灰 40kg/10a 追肥 N-P-K 各4㎏/10a
4)管理方法 雑草が伸張したら随時放牧を実施
5)調査項目 出芽数,被度,草高,牧養力等
  
成果・評価
1.ソルガム類
ソルガム類を夏季放牧利用(7~9月)する場合は,30CD/10a程度が可能。また,収量,硝酸態窒素含量を考慮すると出穂期近くなってから利用した方が良い。放牧で利用する品種は,「ロールスイートBMR」が適している。
2.バヒアグラス
バヒアグラスは,茨城県北地域においても越冬が可能で,栄養成分はノシバ程度であった。造成時の播種量は,3kg/10a程度で充分で,夏季(7月~9月)に30CD/10a程度が可能である。

 

ウエットエイジング並びに加熱による科学的変化が牛肉のおいしさ向上に及ぼす影響に関する試験研究事業

期間・区分
平成28年度~令和2年度,特電

背景・目的
エイジング(熟成)は食肉をよりおいしくする保管技術であり,エイジング中の牛肉ではタンパク質の分解による遊離アミノ酸の生成,核酸の分解によるイノシン酸の生成,脂肪の酸化など様々な科学的変化が起こり,牛肉のおいしさに影響を与えることが知られている。また,和牛肉には輸入牛肉にない和牛特有の香りである「和牛香」の存在が知られている。これまでの牛肉の香気成分に関する研究によると,和牛香はラクトン類およびアルコール類,アルデヒド類が寄与しているとされている。しかし,これらの遊離アミノ酸や脂肪酸,香気成分などは牛肉の種類や熟成条件,加熱条件により異なった生成パターンを示すものと考えられる。そこで,本研究では牛肉のウエットエイジングによる科学的変化の検討と実際に食す条件に近い加熱による科学的変化を,おいしさを構成する呈味や香り,テクスチャーを網羅的に検討する。

方法
1.供試肉
黒毛和種牛肉(去勢,A4等級,胸最長筋)を真空包装下で10~45日間熟成した(2℃)。
2.試験内容
1)理化学分析
TBARSの測定を行った。
遊離脂肪酸量の測定を行った。
2)香気成分分析
供試肉の香気成分分析を行った。
香気成分:ガスクロマトグラフィー質量分析計

成果・評価
1.理化学分析
熟成により加熱牛肉中のTBARS値の増加が確認された。
熟成により生肉中の遊離脂肪酸の増加が確認された。
2.香気成分分析
熟成により加熱牛肉中のアルデヒドおよびピラジン類の増加が確認された。
熟成による加熱牛肉中のアルデヒド類の増加は、脂質酸化による遊離脂肪酸の増加が要因と推察された。

 

早期母子分離・人工哺乳による黒毛和種子牛の生産性向上技術の確立

期間・区分
令和1年度~5年度,県単

背景・目的
現在,肉用牛繁殖経営は戸数・飼養頭数ともに減少しているため,黒毛和種子牛価格が高騰し,肥育経営を圧迫しており,子牛の増頭が求められている。早期母子分離は,母牛の発情回帰の早期化による分娩期間の短縮が見込まれるため,子牛の増頭に繋がる有効な技術である。しかし,農家等から「人工哺乳の労力や経費がかかる,子牛の発育や咆哮に不安がある,人工哺乳期間が不明確である」等の声が寄せられている。大規模の肉用牛繁殖経営で取組みは見られるが,その技術は体系化されておらず,小規模の繁殖経営での取組みは少ない。また,早期母子分離に伴って,子牛の第一胃へのプロトゾア定着の遅れや,ビタミンB1(チアミン)合成能低下の報告があることから,その影響の研究要望がある。
そこで,以下の1~4を調査し,早期母子分離・人工哺乳期間短縮による子牛生産技術を体系化する。
1.早期母子分離および人工哺乳が子牛の発育に及ぼす影響
2.早期母子分離が子牛の第一胃に及ぼす影響
3.早期母子分離が母牛および子牛の咆哮に及ぼす影響
4.早期母子分離が母牛の繁殖性に及ぼす影響 

方法
1.供試牛
黒毛和種子牛および母牛 各9頭(試験実施中も含む)
2.試験配置
1)子牛
対照区:90日齢で母子分離,人工哺乳なし(3頭)
試験区A:3日齢で母子分離,60日齢まで人工哺乳(3頭)
試験区B:3日齢で母子分離,90日齢まで人工哺乳(3頭)
2)母牛
対照区:分娩後90日で母子分離(3頭)
試験区:分娩後3日で母子分離(6頭)
3.試験期間
1)子牛:出生~240日齢まで
2)母牛:分娩~受胎まで
4.調査項目
発育,健康状態,飼料摂取量,ルーメン性状(VFA,プロトゾア数,pH),血液性状(β-ヒドロキシ酪酸,遊離脂肪酸,一般血液性状),咆哮回数および繁殖性を調査した。

成果・評価
早期母子分離により咆哮回数の低減および繁殖性が向上する傾向が見られた。早期母子分離・人工哺乳が子牛の発育および第一胃に及ぼす影響は継続調査中。

 

 養豚研究所 育種研究室

 

ランドレース種系統造成試験

期間・区分

平成29年度~令和6年度,県単

背景・目的

一般的な肉豚の生産現場では,三元交雑豚を肉豚として肥育するため,雄系,雌系

の品種について総合的な育種改良が必要である。そこで,本県産銘柄豚をはじめとす

る優良な三元交雑豚を安定的に生産するため,系統豚「ローズL-3」の後継豚とな

る優秀なランドレース種作成に向けた系統造成を行う。 

方法

平成30年度に「ローズL-3」に国内の種豚場や海外の種豚場から導入した精液を交配し,場内で選抜・育成した。さらに,県内外から優良な種豚を導入して基礎豚とし,基礎豚同士で交配させ,系統造成を開始する。

系統造成概要

1年一世代で選抜・交配を繰り返して第五世代で造成を完了する。

集団の規模:一世代ごとに雄10頭,雌40頭を選抜し,系統造成を行う。

交配:10~11月に交配し,2~3月にかけて集中分娩させる。

一次選抜:体重30kg時に1腹から雄1頭・雌2頭を選抜する。

二次選抜:体重105kg時に雄10頭・雌40頭を選抜し次世代の生産に使用する。

BLUP法アニマルモデルを用いた総合育種価を元に選抜するが,肢蹄・体型等は独立淘汰法を用いる。 

成果・評価

家畜改良センター,宮城県,千葉県および県内種豚場から雌18頭,雄5頭を導入した。

所内で育成・選抜した豚と合わせて雌47頭,雄10頭を基礎豚とした。

10月から12月にかけて基礎豚同士で交配をおこなった。

2月から3月にかけて系統造成第一世代候補豚462頭を生産した。

 

ローズ改良普及試験

期間・区分

昭和45年度~ 県単 

背景・目的

大ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」は,本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚等として,平成15年度から農家に供給してきたが,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきたため,平成25年度に系統豚の認定を取り消した。

しかし,生産農家からは大ヨークシャー種の払い下げの要望が多く,この優良な系統豚の資質を高品質豚肉生産の基礎として長期間利用するため,外部から優良な種豚や精液を導入し,開放型育種手法の開発及び確立を図りながら,農家ニーズに対応した高能力純粋種豚を作出・供給し,広域的な改良効果を生み出していく。

また,農研機構畜産研究部門からの委託研究「家畜の生涯生産性向上のための育種手法の開発」のうち,「豚の生涯生産性における総合評価手法の開発」の課題を行う。 

方法

常時種雄豚6頭,種雌豚18頭を飼養した。交配は可能な限り血縁の遠い種雄豚を用いるとともに,適宜外部から優良な種豚(精液)を導入し繁殖集団を構成する。集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績などを調査する。

豚の生涯生産性における総合評価手法の開発としてデュロック種の種雄豚を用いて定期的に精液を採取し,温湿度と精液性状のデータを取る。

デュロック種系統豚について産子数,産子体重,離乳頭数,離乳時体重等の繁殖形質と体長,体高,管囲等の体尺形質,肢蹄等の形質について測定する。 

成果・評価

交配計画に基づき,33組の交配を行った。

19腹の分娩があり,子豚184頭(雄91頭,雌93頭)を生産した。

種豚候補として,13頭(雄6頭,雌7頭)を選抜した。

育成豚を養豚農家に27頭(雄14頭,雌13頭),人工授精用精液を173本売却した。

畜産草地研究所の委託試験については,平成31年3月~令和2年2月のデータを農研機構畜産研究部門へ提出した。

 

ランドレース系統造成における新たな育種方法の検討

期間・区分

令和1年度~4年度,県単 

背景・目的

豚の系統造成では,閉鎖群で1年1産の選抜を繰り返す手法が一般的である。このため,繁殖能力の向上を改良形質とする場合,2産目以降の繁殖性に関する知見が得られていないのが現状である。

そこで,閉鎖群での種豚選抜において,2産目以降も安定した繁殖成績を有する種豚の選抜手法を確立し,種豚の長期供用と生産性の向上を目標とした新たなランドレース種系統豚の造成を行う。 

方法

系統造成の各世代において,初産離乳後の発情再帰,受胎状況等を調査することにより,選抜形質への応用を検討する。

受胎状況等:妊娠期(30~40日令)でのと畜採材による胎児数等の確認

      自然分娩による繁殖状況の確認 

成果・評価

ランドレース種育成豚を用いた調査の結果,交配後40日令前後での採材により,正常胎児および異常胎児が確認できた。

妊娠40日令時での採材により分娩時の生存産子数の想定が可能である。

 

体細胞クローン技術の高度化及び遺伝子組換えブタの維持・保存に関する研究開発

期間・区分

平成19年度~,県単 

背景・目的

医療用モデル豚として開発された遺伝子組換えブタ(TGブタ)について,遺伝子のホモ化を行うとともに,小規模集団での系統維持法の開発及び将来に向けたTGブタの増殖技術の確立を目指す。 

方法

低密度リポタンパク質受容体(LDLR)遺伝子をノックアウトし,高脂血症・動脈硬化症を発症するTGブタ(LDLRブタ)について,ホモ化された遺伝子型を保持する個体を維持するとともに,体型が小型の個体の選抜を行う。

また,大学等医療実験施設からの要望により適宜豚を提供する。 

成果・評価

2腹の分娩があり,子豚8頭(雄5頭,雌3頭)を生産した。

雌2頭の提供を行った。

 

 養豚研究所 飼養技術研究室

 

系統豚維持試験(ローズD-1

期間・区分

平成29年度~ 県単 

背景・目的

デュロック種の系統造成を平成24年度から開始し,平成28年度に造成を完了した。一般社団法人日本養豚協会「ローズD-1」として系統認定された。

本試験では,この系統豚を,本県を代表する銘柄豚肉「常陸の輝き」や「ローズポーク」を始めとした高品質豚肉生産が,安定して利用できるよう,「ローズD-1」の能力を保持しながら群を維持し,農家に育成豚および人工授精用精液を供給する。 

方法

1.交配は血縁係数の低い個体で交配した。

2.集団の遺伝的公正,繁殖・育成成績,産肉成績を調査した。

3.育成豚は,県内の養豚農家に供給した。

4.維持群の構成は,種雄豚14頭,種雌豚36頭とした。 

成果・評価

平均血縁係数21.23%,平均近交係数は7.47%,遺伝的寄与率変動係数は0.89であ

った。 (表1)

哺乳開始頭数は7.7頭,離乳頭数は5.9頭で,育成率は79.6%であった。(表2)

1日平均増体量(DG),ロース断面積(EM),筋肉内脂肪含有量(IMF)は,表3のと

おり。

県内養豚農家に対し,105頭の雄育成豚,9頭の雌育成豚を供給し,人工授精用精液

は,2,492本供給した。 

 表1 集団の遺伝的構成

項 目 平成29年度 平成30年度 令和1年度
平均血縁係数(%) 20.27 20.54 21.23
平均近交係数(%) 5.93 6.81 7.47
遺伝的寄与率変動係数 0 0.48 0.89

 

 表2 繁殖・育成成績

年度 分娩腹(腹) 哺乳開始頭(頭) 離乳頭数(頭) 育成率(%)
平成30年度 71 8.2±2.9 7.0±2.7 85.2
令和1年度 68 7.7±2.7 5.9±3.3 79.6

 表3 発育成績・産肉成績

年度        
DG(g) EM(c㎡) IMF(%) DG(g) EM(c㎡) IMF(%)
平成30年度 1,098±72.0 36.8±4.7 4.94±1.22 1,020±42.0 37.9±5.1 5.60±1.40
令和1年度 975±19.0 37.5±6.2 5.20±2.59 957±194.0 34.0±4.7 3.89±1.20

 

系統豚維持試験(ローズL-3

期間・区分

昭和62年度~,県 

背景・目的

ランドレース種系統豚「ローズL-3」(2011年度認定)は,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」や高品質豚肉の基礎豚として長期間に渡り,安定して利用することを目的に,認定時の能力を保持しながら近交係数・血縁係数の上昇を最小限に抑える維持と供給を行う。 

方法

「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ,繁殖・育成成績,産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝的構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持した。更に育成豚および人工授精用精液を養豚農家に供給した。 

成果・評価

維持頭数:雄7頭,雌46頭。

繁殖・育成成績:のべ48腹分娩。一腹平均ほ乳開始頭数は8.40頭,3週齢の育成率は90.1%。

産肉成績:30kgから105kgまでの一日平均増体重は雄で842.1±19.2g,雌で773.4±37.1g。背脂肪厚は雄で1.4±0.1cm,雌で1.2±1.3cm。ロース断面積は雄で27.6±2.0㎠,雌で26.0±2.7㎠。

集団の遺伝構成:平均血縁係数は28.31%,平均近交係数は9.87%,遺伝的寄与率変動係数は2.46だった。

供給頭数:育成豚を99頭(雄1頭,雌98頭),また,人工授精用精液を42本払い下げた。

 

デュロック種系統豚「ローズD-1」の肉質改善試験

期間・区分

令和1~5年度,県単 

背景・目的

豚肉の品質には,種雄豚の能力が大きく影響している。当所で生産するデュロック種系統豚「ローズD-1」は,筋肉内脂肪含量(IMF)が高い特徴を有し,「常陸の輝き」などの県内ブランド豚肉の生産に活用されており,更なる能力の高位平準化が求められている。

そこで,優良な肉質を有する豚肉の生産促進と安定的生産のため,遺伝子解析を用いてIMFに関連する遺伝領域を特定し,ローズD-1のIMFについて高位平準化を図る。 

方法

「ローズD-1」のIMFに係る遺伝領域の探査のため

1.全種豚のIMF値推定のため,産子の検定およびと畜後の肉質検査を行った。

2.種豚およびその産子についてDNA解析を実施。 

成果・評価

IMF関連遺領域の探査に向けて,ローズD-1産子の発育成績およびIMFの調査,DNA解析データの集積を実施した。

 

発酵魚粉給与による効率的な豚肉生産技術の確立試験

期間・区分

平成30年度~令和4年度,国補 

背景・目的

安定的な養豚経営を行うには高品質な豚肉を安定的に生産する技術の導入が求められている。本県で生産される豚枝肉の上物率は全国平均49%と比べ44%と低いことから,上物率を向上させるための飼養技術の確立が求められる。

耐熱性抗酸菌のひとつであるアシドロ菌®によって発酵処理された魚粉(以下,アシドロ発酵魚粉)は,残渣として廃棄される魚のアラを原料としており,ω-3脂肪酸等飼料として利用価値が高い成分を豊富に含んでいる。

そこで,アシドロ発酵魚粉をブタに給与することで,発育関連遺伝子の発現や発育等に及ぼす効果等を調査し,飼料効率の向上及び発育の均一化等に有効な発酵魚粉の給与方法の確立を目指す。 

方法

供試豚:LWD種去勢豚10頭(試験区1:3頭・試験区2:3頭・対照区:5頭)

1.給与飼料:試験区1,2は慣行飼料にアシドロ発酵魚粉を6%添加

2.給与期間:肥育期(試験区1体重30kg~出荷,試験区2体重30kg~100kg)

3.調査項目:遺伝子発現動態(ロース,肝臓等),発育成績(1日平均増体量等),肉質成績(水分含量,保水力,クッキングロス,脂肪融点等),枝肉格付け,脂肪酸化度等 

成果・評価

試験区1において,ロース部位のPPARα遺伝子の発現が有意に増加した。

試験区2においてクッキングロスが有意に増加した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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