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更新日:2025年6月3日

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令和7年第2回定例会(知事提案説明要旨)

令和7年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。

米国関税政策の影響と対応

はじめに、米国の関税政策の影響と対応についてであります。

米国現地時間の4月2日、トランプ大統領は世界各国を対象とした関税政策を公表し、我が国も例外なく相互関税が適用されたほか、自動車などに対する追加関税が課されることとされました。

公表の後、程なくして相互関税の一部について適用を一時停止したとはいえ、この関税措置が我が国の産業・経済、そして世界経済に大きな影響を与えかねないことに変わりはなく、世界的な景気の下振れが懸念されているところです。

私は、こうした事態を重く受け止め、関税政策発表後直ちに、関係部局に対し、情報収集や全庁的な対応策の検討を指示したうえで、専用の相談窓口を県庁内に設置したほか、売上が減少した中小企業が利用できる、有利な融資制度の周知を行ってまいりました。

また、全国知事会を通じ、政府が米国に対して関税政策の見直しを求めることを要望するとともに、農林水産物の国内外の販路開拓・拡大など、日本経済への影響緩和を速やかに図るよう要請したところであります。

県といたしましては、引き続き、県内産業・経済への影響を把握・分析しつつ、事業者の米国以外への販路開拓に対するサポートなど必要な支援に万全を期すとともに、日米政府間の交渉の状況を的確に把握しながら、必要な対策を躊躇なく、スピード感をもって講じてまいります。

人口減少時代の危機を乗り越える茨城づくり

次に、人口減少時代の危機を乗り越える茨城づくりについてであります。

先日公表いたしました常住人口調査の結果、本年4月1日現在の本県人口は、約36年ぶりに280万人を下回りました。

また、総務省が4月に公表した、2024年10月1日現在の人口推計によりますと、日本人の人口は前年同月から約89万8千人の減と過去最大の減少数となり、本県においても、約2万8千人の減と人口減少が進んでおります。

一方、外国人を含めた「社会増加数」については約6千人となりました。本県の「社会増加数」は、近年、全国上位で推移しており、東京都や大阪府などの大都市圏に次ぐ社会増が定着しつつあります。

私は知事就任以来、人口減少時代の到来を見据え、強い危機感のもと、利益率の高い職場を創出するための戦略的な企業誘致をはじめ、本県の経済力を高めるための施策を中心に、積極果敢に挑戦してまいりました。

今後も、加速度的に進む人口減少による危機を乗り越えていくため、本県人口の社会増の拡大に向け、国内外から選ばれる茨城づくりに全力で取り組んでまいります。

企業立地の推進

次に、企業立地の推進についてであります。

急激な人口減少社会においても、本県の活力を高め続けられるよう、私は、これまでの任期8年間の中で、戦略的な企業誘致に特に力を入れて取り組み、工業団地の分譲価格の見直しや全国トップレベルの補助制度の創設、約20年ぶりとなる県施行の工業団地開発などを果断に実行してまいりました。

その結果、2024年の工場立地動向調査におきまして、本県は、県外企業立地件数が8年連続で全国第1位、工場立地件数が2年連続で全国第1位となったほか、設備投資額も知事就任以降の累計で1兆円を超えるなど、全国に誇る成果を上げております。

また、県施行の工業団地「常陸那珂工業団地拡張地区」におきましては、先月、半導体材料で世界有数のシェアを誇るJX金属の立地が決定したところであり、本社機能の一部移転も含めた先端素材分野における製造・開発の中核拠点化や、雇用の創出とあわせて、本県の経済を力強く牽引していただくことを期待しております。

引き続き、戦略的な誘致活動や産業用地の整備を進めるとともに、全国トップレベルである最大100億円の補助制度を有効に活用して、グローバル企業のフラッグシップ拠点の誘致を図るなど、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。

賃金水準の引上げと適切な価格転嫁

次に、賃金水準の引上げと適切な価格転嫁についてであります。

持続的な経済成長のためには、企業収益を労働者に適正に配分することにより、賃金の上昇、消費の拡大という好循環を生み出すことが必要であることから、物価高騰を上回る実質賃金の上昇を実現することが何より重要であると認識しております。

また、本県の最低賃金額は、1人当たり県民所得が全国第3位、経済実態を示す総合指数が全国第9位である一方、全国第14位の水準にとどまっており、本県の経済実態を正確に反映しているとは到底言い難い状況にあります。

このため、昨日実施した中央要望において、私自ら、厚生労働省及び経済産業省に対し、実質賃金の引上げに向けた経済団体などへの働きかけや必要な支援を行うこと、地方の最低賃金額に地域の経済実態が正しく反映される仕組みとすることなどについて強く要請したところであります。

また、こうした要請と併せて、県といたしましては、物価上昇を上回る賃上げを促進するため、大幅な賃上げを実施する中小企業などを県が積極的に支援する「いばらき賃上げ支援事業」を本年度から新たに立ち上げるとともに、適切な価格転嫁により持続的な賃上げの原資を確保するため、先月1日から価格転嫁に関する専門の相談窓口を開設したほか、中小企業に専門家を派遣し価格転嫁のノウハウを提供するなど、新たにプッシュ型の伴走支援を実施してまいります。

今後とも、私が先頭に立ち、経済団体をはじめとする関係機関への働きかけを一層強化するとともに、賃上げに取り組む中小企業などを支援することにより、賃金水準の引上げを実現し、経済の好循環を安定して実現できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

外国人材の活躍促進

次に、外国人材の活躍促進についてであります。

急激な人口減少に伴う人手不足が大きな問題となる中、本県産業を支える優秀な外国人材を確保するため、人材の確保・育成から生活・教育環境の整備に至るまで、外国人材から選ばれる県づくりを目指して、あらゆる施策を推進しているところであります。

まず、人材の確保につきましては、インド人材の県内企業でのインターンシップの実施などによる就職マッチングの支援のほか、介護事業者などを対象とした海外現地視察を実施し、採用活動の支援を行うことにより、外国人材の円滑な受け入れ、定着へとつなげてまいります。

また、生活・教育環境の整備につきましては、外国人からの生活の困りごと相談などに母語で対応する「IBARAKIネイティブコミュニケーションサポーター」を70名まで増員したほか、外国人児童・生徒が安心して学べる環境整備のため、昨年度からモデル的に4校に配置している日本語支援員について、今月以降、外国人児童・生徒が多い8市町の小中学校約50校に拡充してまいります。

さらに、本年8月には、高度外国人材などの定着や外資系企業の誘致を促進するため、本県がつくば市に誘致したインターナショナルスクールが開校予定であり、今後も引き続き、外国人の方々の生活・教育環境の充実に取り組んでまいります。

一方、本県において不法就労者数が増加していることから、外国人材の労働環境の改善や法令に沿った適正な雇用の促進に向け、本年度から、産業戦略部に「外国人適正雇用推進室」を新たに設置したところであり、「不法就労者を雇わない、雇わせない、見過ごさない」のスローガンのもと、全県的な意識醸成を図ってまいります。

あわせて、県内事業者や業界団体による「適正雇用推進宣言制度」を創設し、イオンリテール株式会社から第1号となる宣言をいただいたところであり、引き続き、新たな事業者を募るとともに、宣言事業者・団体の自主的な取組を通じて、業界やサプライチェーン全体での適正雇用を促進してまいります。

また、県警察本部や東京出入国在留管理局、茨城労働局などと連携して、農業などの不法就労者が多い業種や時期、地域を絞った重点パトロールの実施や、事業者を個別訪問して啓発・指導を行う「適正雇用促進キャンペーン」を展開してまいります。

こうした取組により、優秀な外国人材が安心して就労・生活し、長期的に活躍していただけるよう、世界から選ばれる県づくりを一層加速してまいります。

本県への観光需要の取り込み

次に、本県への観光需要の取り込みについてであります。

本年のゴールデンウィーク期間中の観光入込客数は約235万人と、県内各地の観光地に多くの方々にお越しいただきました。中でも、国営ひたち海浜公園には、約40万人が訪れ、コロナ禍以降では最多の入園者数を記録するなど、大変な賑わいを見せたところであります。

また、インバウンド誘客については、台湾や韓国を重点市場に位置付け、市場ニーズを踏まえた戦略的な誘客プロモーションを展開した結果、昨年の外国人延べ宿泊者数が、速報値で、台湾が47,710人泊、韓国が33,610人泊となり、ともに過去最多となったところであります。

加えて、茨城港常陸那珂港区においては、先月15日に「セブンシーズマリナー」が寄港するなど、本年度は過去最多となる8隻の外国クルーズ船の寄港が予定されており、引き続き、クルーズ船の誘致に積極的に取り組んでまいります。

一方、アクアワールド茨城県大洗水族館では、人気キャラクターとのコラボイベントや、特別企画「超サメ展」の開催など、年間を通じた事業展開に加え、戦略的なプロモーションによる魅力発信を行った結果、2024年度の入館者数は、2023年度と比べ5万人超の大幅な増加となる約126万人と、2002年の開館年度に次ぐ歴代2位の水準となりました。

また、本年10月には、県北地域の2大アウトドア資源である、「奥久慈ヒルクライムルート」と「常陸国ロングトレイル」を活用した国内唯一無二のサバイバルレース「Okukuji『X』」を初めて開催し、両コースの全国的な認知度向上を図るとともに、本レースの開催を契機とした県北エリアの宿泊ツーリズムを推進するほか、会場や休憩所で地元産品を提供するなど、本県の魅力を国内外に広く発信してまいります。

さらに、日本初の泊まれる体験型植物園としてリニューアル予定の県植物園及び県民の森については、愛称を「ザ・ボタニカル・リゾート『林音』」と決定したところであり、本年11月の開園に向け、引き続き準備を進めてまいります。

今後も、インバウンドをはじめとした観光需要を効果的に取り込むため、本県の強みを活かしたプロモーションや観光イメージの形成・ブランディングなどに取り組み、旺盛な観光需要を逃さず捉え、本県への観光誘客を加速させてまいります。

茨城空港の利用促進

次に、茨城空港の利用促進についてであります。

茨城空港においては、2024年度の旅客数が、これまでの最多であった2019年度を上回り、約78万人と過去最多となりました。

国際線では、ゴルフ人気の高い韓国を重点市場と位置づけ、昨年10月に私自ら行ったトップセールス以降、継続して粘り強い交渉を重ねてきた結果、先月15日から、エアロKによる茨城空港と韓国の清州を結ぶ定期便の初就航が実現いたしました。

また、国内線においては、去る3月30日よりスカイマークによる福岡便が増便となり、過去最多の1日8便が運航しております。

一方、去る4月24日には、「茨城空港のあり方検討会」から、インバウンドを中心とした航空需要の高まりに対応するため、ターミナルビルの拡張などを柱とした、「茨城空港将来ビジョン案」が提言されたところであります。

今後、提言内容や、先月実施したパブリックコメントの結果などを踏まえたうえで、今月中に茨城空港の将来ビジョンを決定し、首都圏第3の空港として、日本の航空需要に対応できるよう、機能強化や利便性の向上に取り組んでまいります。

農産物や加工食品の輸出拡大

次に、農産物や加工食品の輸出拡大についてであります。

本県農産物や加工食品の輸出拡大に向け、これまで、かんしょやコメ、常陸牛を主力として、アジアや北米を輸出拡大の主なターゲットと位置付け、私自らトップセールスを展開するとともに、現地関係者との継続的な関係構築を図ることにより、輸出先や販売ルートの拡大に戦略的に取り組んできた結果、2024年度の農産物の輸出額は前年度の約1.8倍となる31億8千万円、加工食品は前年度の約1.7倍となる41億7千万円と、いずれも過去最高額を更新いたしました。中でも農産物の輸出額につきましては、私の知事就任前の約24倍に拡大したところであります。

また、去る4月19日から20日にかけては、本年1月の台湾でのトップセールスを契機として、現地日本小売店での茨城フェアの開催が実現できたほか、今月11日には台湾大手小売店のバイヤーが来県し、産地視察や加工食品事業者への訪問が予定されるなど、今後、台湾における本県産品のプレゼンスがますます高まるものと期待しております。

引き続き、米国による関税政策の影響も注視しながら、更なる輸出拡大に向け、市場ニーズを的確に捉えたスピード感のある営業活動に取り組み、新たなマーケットの獲得に全力で取り組んでまいります。

農産物のブランド化の推進

次に、農産物のブランド化の推進についてであります。

メロンにおいては、質・量ともに日本一の産地育成に向け、高級店における高価格での販売に取り組むとともに、品質についても、先月28日に、県オリジナル品種の「イバラキング」と本県産の赤肉メロンを対象とした「KING & QUEEN コンテスト 2025」を開催し、優れた逸品を選出いたしました。

入賞したメロンは、都内果実専門店や百貨店などにおいて、過去最高価格となる1玉1万3,500円で販売されるなど、市場をはじめバイヤーや消費者から高い評価をいただいているところでございます。

また、2023年9月から販売を開始した最高峰ブランドである「常陸牛 煌」については、これまで県内市場に限定して出荷しておりましたが、去る3月5日から、首都圏での評価獲得を目指し、東京食肉市場への出荷を開始いたしました。その結果、これまでの常陸牛の約1.6倍の価格で取り引きされるなど、従来の和牛にはない美味しさや品質の高さについて市場から高い評価をいただいたところであります。

さらに、4月からは、常陸牛全体のブランド強化に向け、従来の「霜降度合」によらず、和牛の美味しさに大きく影響を及ぼすオレイン酸の含有比率や飼育月齢などの基準に基づき、品質の良い常陸牛を県が認定し表示する、全国初の制度を開始するとともに、都内丸の内エリアの飲食店21店舗でメニューフェアを開催したところ、「和牛特有の脂っこさがなく、他の銘柄にはないおいしさがある」「赤身にしっかりとした味わいがありとても良い」といった評価をいただきました。

今後も、本県の誇る農産物について、積極的な販路拡大や、有名飲食店でのフェアの実施などによるブランド力の強化を図り、高付加価値化による生産者の所得向上を強力に後押ししてまいります。

中国・陝西省との交流推進

次に、中国・陝西省との交流推進についてであります。

去る4月17日から20日にかけて、中国・陝西省を、県議会、日立市、県日中友好協会などとともに訪問し、パンダ誘致活動を通じて交流を積み重ねてきた本県と陝西省との間で、「友好県省関係の発展に関する覚書」を締結いたしました。

今回の覚書締結を契機として、経済・人的交流、ジャイアントパンダ保護など幅広い分野での交流をより一層推進するとともに、本年10月に本県で開催予定の、「第18回日中友好交流会議」などにより、友好関係発展に向けた機運醸成を図りながら、正式な友好提携協定の締結を目指し、パンダ誘致活動のみならず、中国との経済交流や人的交流に一層の弾みがつくよう取り組んでまいります。

活力を生むインフラ整備

次に、本県の活力を生むインフラ整備についてであります。

本県と千葉県とをつなぐ都市軸道路につきましては、圏央道インターパークつくばみらいをはじめ、沿道での企業立地が進展するなど、地域の活力を生む原動力として整備が進む一方、周辺の利根川渡河部においては、慢性的に渋滞が発生し、両県の交流や連携、物流などの妨げになっております。

このため、本年1月、私自ら国土交通大臣に対し、未整備となっている本県と千葉県をつなぐ(仮称)利根川橋梁の早期整備を強く働きかけたところ、去る4月1日に、新規事業化が実現できたところであります。

引き続き、本県と千葉県が一体となる経済圏が確立され、人口増加や企業立地の促進など本県の更なる発展につながるよう、一日も早い開通を目指してまいります。

また、茨城港常陸那珂港区に就航している外貿定期コンテナ航路については、去る4月29日から、韓国とを結ぶ1航路が増設され、計5航路となり、更なる利便性の向上が図られたところであります。

今後とも、荷主企業や船会社へのポートセールスを積極的に行い、貨物の集荷、航路の拡充を図るとともに、貨物需要の増加や船舶の大型化へ対応するための整備に取り組んでまいります。

県といたしましては、産業・観光の振興や交流促進など、本県の活力をさらに高めていくため、引き続き、国や地元市町村と連携しながら、県の発展を支える道路や港湾などのインフラ整備を着実に進めてまいります。

提出議案等

次に、提出議案等についてご説明申し上げます。

今回の提出議案は、予算の補正に関するもの1件、条例その他10件、報告1件であります。

まず、一般会計の補正予算についてでありますが、(仮称)神栖特別支援学校の校舎建設工事の期間延長に関する債務負担行為の補正であります。

条例は、「職員の勤務時間に関する条例及び職員の休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例」など、改正するもの8件であります。

条例以外の議案としては2件で、「工事請負契約の締結について」であり、報告は、専決処分の報告であります。

以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。

 

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