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ページ番号:73603
更新日:2025年9月30日
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令和7年第3回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げますとともに、3期目の県政を担当するに当たりまして、所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。はじめに、今般の台風18号の影響により台湾東部で発生した大規模洪水で、亡くなられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げますとともに、被害を受けられた方々にお見舞いを申し上げます。県といたしましては、近年、様々な分野で交流を深めてきた台湾の方々にお役立ていただくため、いち早く災害見舞金を贈呈することといたしました。被災地が一日も早く復興し、被災された方々が平穏な生活を取り戻されることを心から願っております。
次に、県政運営の基本姿勢について申し上げます。
私は、知事就任以来、「挑戦」「スピード感」「選択と集中」という3つの基本姿勢のもと、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現に向け全身全霊で取り組み、全国に誇る企業誘致実績や一人当たり県民所得の向上など数多くの成果をあげてまいりました。
今回の知事選挙におきましては、これらの成果とともに更なる改革の必要性を訴え、議員各位をはじめ多くの県民の皆様からのご理解とご支援のもと、3期目の県政を担わせていただくこととなりました。誠に光栄に存じますとともに、その責任の重さに改めて身の引き締まる思いであります。
私は選挙期間中、県内の市町村をくまなく回り、多くの県民の皆様の声を伺い、県政が抱える諸課題の現状をつぶさに見ると同時に、本県の可能性の大きさを再認識し、改めて「新しい茨城」づくりへの思いを強くいたしました。
今、我が国を取り巻く環境は、混迷する国際情勢や日本の経済的地位の低下など、大変厳しいものがあります。そして、物価高と実質賃金の低迷、さらには止まらない東京一極集中の中、本県を含む地方は、人口減少に伴う深刻な人手不足と地域社会の衰退の危機にさらされています。
私は、知事就任以来、この人口減少社会をどのように乗り越えていくかを常に考えてまいりました。環境が激変している時代にあって現状維持にしがみつくことは最も危険であり、「過去の延長線上に未来はない」との考えのもと、新しい時代にふさわしい新たな道を切り拓いていくことが必要であります。
そのため、私は、これからの4年間も、引き続き、失敗を恐れず挑戦する県政、スピードを重視し結果にこだわる県政、県民にとって優先順位の高い政策に資源を集中する県政を推進してまいります。そして、人口減少時代を力強く乗り越えていくため、国内外から「茨城に住みたい、住み続けたい」人が大いに増える、「活力があり、県民が日本一幸せな県」の実現を目指し、「新しい茨城」づくりに全力で取り組んでまいります。
まず、「新しい茨城」づくりに向けて重点的に進める3つの政策について申し上げます。
第1は、本県に他地域にはない特長をつくるための「差別化」であります。
人口減少社会において国内外から多くの人や投資を惹きつけるには、本県ならではの魅力と価値を創出する「差別化」が極めて重要です。このため、例えば、日立市における日立製作所との共創プロジェクトの推進に、県としても積極的に関わって未来の街づくりを推進したり、県植物園及び県民の森を、全国でも例のない特別な体験ができる場所にリニューアルするなど、常識にとらわれず新しい発想で工夫を重ね、本県独自の「差別化」に取り組んでまいります。
第2は、本県の将来の発展を見据えた「インフラへの投資」であります。
人口減少社会を乗り越えるための活力を生みだし、持続可能な地域社会を実現するための基盤となるインフラの整備には、しっかりと投資していくことが必要です。
主なものといたしましては、つくばエクスプレスについて、土浦延伸を推進し、沿線地域の活力を県北地域も含めた常磐線沿線地域に広げるとともに、茨城空港について、首都圏第3の空港となることを目指して路線拡充や機能強化を推進してまいります。また、水戸保健医療圏の病院再編を進める上で、県立中央病院と県立こども病院の統合、移転・建替に向けた取組を推進してまいります。
第3は、「多様な人材が活躍できる社会の実現」であります。人口減少社会においては、多様な人材がそれぞれの能力を活かして地域の発展に貢献できる社会づくりが不可欠です。このため、国籍や性別、年齢、障害の有無などに関わらず、誰もが能力と意欲に応じて活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。
次に、「新しい茨城」づくりに向けた4つのチャレンジについて申し上げます。
第1は、「新しい豊かさ」についてであります。
国内外から選ばれることにより、人口減少時代を乗り越えることができる県をつくるには、まずは、本県経済の成長を一段と加速し、豊かで経済力のある社会を構築することが必要であります。
まず、企業誘致につきましては、引き続き企業の立地ニーズに応じた産業用地の確保に取り組み、多くの企業の立地を推し進めるとともに、全国トップクラスの補助制度を活用し、高付加価値な成長産業の生産拠点・本社機能やグローバル企業のフラッグシップ拠点などの誘致に取り組み、若者が望む魅力的な雇用の創出に努めてまいります。
新産業の育成につきましては、県内企業の宇宙分野への参入促進や、宇宙ベンチャーの創出・誘致による宇宙ビジネスの拠点づくりのほか、世界に挑戦するベンチャー企業の創出・育成に取り組んでまいります。また、世界的にも中長期的な成長が見込まれる、ゲームやマンガ、アニメなどの制作を担うクリエイティブ・コンテンツ産業について、産官学連携のもと県内における振興に挑戦してまいります。
また、カーボンニュートラルの実現のため、引き続き、水素、アンモニアなどのクリーンエネルギーの拠点化や、高温ガス炉の実証炉の誘致などに挑戦してまいります。
一方、持続的な経済成長のためには、物価上昇を上回る持続的な賃上げを通じて経済の好循環を安定して実現していくことが極めて重要であります。このため、中小企業の賃上げ支援に加え、適切な価格転嫁や生産性の更なる向上を強力に後押しするとともに、引き続き、最低賃金水準の引上げに力を入れてまいります。
農林水産業につきましては、「儲かる農林水産業」の実現に向け、収益性の向上を図るための取組を一層推進してまいります。農業につきましては、経営規模の拡大による生産性の向上や、ブランド化や有機農業の拡大による付加価値の向上、輸出の促進による販路の拡大のほか、気候変動の影響への対応を進めてまいります。林業につきましては、自立した林業経営の確立に向け、経営体の収益性向上と県産木材の需要拡大に取り組んでまいります。水産業につきましては、「常陸乃国しらす」など新ブランドの販路拡大や、国内初となる養殖技術の開発に成功したボタンエビなどの養殖産業の創出・育成に引き続き取り組むほか、アメリカナマズなど未利用魚の活用や、ウナギの稚魚放流に取り組むなど、霞ヶ浦・北浦の新たな漁業資源の開拓に挑戦いたします。
また、人口減少により国内市場が縮小していく中、海外における販路開拓は一層重要性を増していることから、引き続き、県産品の更なる輸出拡大と海外販路の開拓に力を入れてまいります。
第2は、「新しい安心安全」についてであります。
安心安全な社会の実現は県政運営の基本であります。経済の活性化とともに安定した経済の好循環の実現を図り、そこから生み出された活力によって、医療や福祉、防災など、県民の命を守り、安心安全につながる生活基盤の更なる充実を図ってまいります。
まず、県民の命を守る医療提供体制の充実につきましては、政策医療分野における高度医療に係る機能の集約化など、医療機関の役割分担をさらに進め、より効率的な医療提供体制を構築してまいります。特に、県立中央病院と県立こども病院の統合を含む、水戸保健医療圏における病院再編や、鹿行保健医療圏における救急医療提供体制の強化については、喫緊の課題として、力を入れてまいります。
健康長寿日本一に向けては、「将来に向けた健康投資」という新たな視点で野菜摂取量を増やす取組を実施するなど、高血圧対策を強力に推進してまいります。併せて、全県民に向けた運動習慣の定着や、高齢者の介護予防、認知症対策にも力を入れてまいります。
障害のある人も暮らしやすい社会に向けては、県と民間事業者との役割分担の考えのもと、新たに整備した県立あすなろの郷セーフティネット棟を活用し、最重度の障害がある方に対する質の高いサービスを提供してまいります。また、障害者の就労機会の拡大や工賃水準の向上、障害者のニーズに応じたサービスの充実に努めてまいります。
安心して暮らせる社会に向けては、水道事業の広域連携を進めるとともに、下水道管路の老朽化対策に計画的に取り組むなど、上下水道事業の持続的な運営を図り、安心安全な暮らしの基盤を確保してまいります。
災害・危機に強い県づくりに向けては、想定を超える災害はいつでも起こりうることを念頭に、河川の堤防整備のみならず、調節池や田んぼダムの整備などの流域治水対策のほか、避難行動要支援者の避難支援体制の強化や避難所の生活環境対策、木造住宅の耐震化促進など、先手先手の防災・減災対策を講じてまいります。
原子力行政につきましては、安全対策の更なる徹底を図るとともに、東海第二発電所の再稼働の是非について、県民の安全安心の観点から、安全性の検証と実効性ある避難計画の策定に取り組み、県民の皆様にわかりやすく情報提供をした上で、県民や、避難計画を策定する市町村、並びに県議会のご意見を伺いながら判断してまいります。
第3は、「新しい人財育成」についてであります。人口減少時代において最も貴重な財産は「人」であり、多様な「人財」の活躍は「新しい茨城」づくりを進める上で何より重要でありますことから、人財の育成と誰もが能力と意欲に応じて活躍できる社会の実現に取り組んでまいります。
まず、次世代を担う人財の育成につきましては、基礎的な学力の向上を図るだけでなく、意欲ある中高生を対象として、英語とITを学ぶ特別プログラムを提供するほか、起業家精神の醸成に向けた取組をより一層推進してまいります。また、英語で英語以外の教科を学ぶ「イマージョン教育」を導入するなど、多様な才能を伸ばし、自ら考え未来を切り拓ける人財や、グローバル社会で活躍できる人財を育成してまいります。
また、魅力ある教育環境の整備につきましては、中高一貫教育校における教育内容の充実や、遠隔授業などによる学校同士の連携、高校と大学の連携の推進、児童生徒の興味・関心を追求できる新たな教育活動などに力を入れるとともに、教員の資質の向上や優秀な教員の確保、教員の働き方改革に努めてまいります。
日本一、子どもを産み育てやすい県づくりに向けては、結婚や出産から子育て期まで切れ目のない支援を充実させるとともに、AIマッチングによる結婚支援について、より広範囲での交流・マッチングにつなげるため、同様のシステムを導入している他県との連携を働きかけるなど少子化対策にしっかりと取り組んでまいります。
多様性を認め合い、誰もが活躍できる社会の実現に向けては、多様な人材の活躍を競争力につなげる「ダイバーシティ経営」の促進や、キャリア形成支援などによる女性活躍の促進、働き方改革の推進などに取り組んでまいります。
また、優秀な外国「人財」に選ばれる県づくりに向けては、インドなどからの優秀な人材の確保に力を入れるとともに、生活の困りごと相談などへの対応の充実や、遠隔医療通訳サービスの提供などによる生活環境の整備のほか、来年度から、県立高等学校において充実した日本語指導を行う「重点校」を、新たに県央、鹿行、県南、県西地域に1校ずつ指定して計6校体制に拡充するなど、教育環境の整備に力を入れてまいります。
併せて、地域社会の分断を招かない、外国人との秩序ある共生社会の実現に向け、外国人が、身近な地域で日本人と関係を構築し、社会に溶け込めるための仕組みづくりを進める一方、「適正雇用推進宣言制度」などを通じた、業界やサプライチェーン全体での「不法就労者を雇わない、雇わせない、見過ごさない」という意識の醸成や、県警察本部などと連携した、不法就労などのルール違反に対する厳格な対応の実施などにより、外国人の適正雇用を推進してまいります。
第4は、「新しい夢・希望」についてであります。
茨城の潜在能力をさらに大きく開花させ、将来にわたって夢や希望を描ける県にすることは私の使命であります。
我が国が急激な人口減少に直面する中、本県では、近年、人口の社会増加数が全国上位で推移しており、大都市圏に次ぐ「社会増」が定着しつつあります。今後もこの流れをより確実なものとするため、若者に魅力ある雇用の場づくりや県内企業の魅力発信の強化などによりUIJターンを促進するなど、若い世代を中心に本県への移住や二地域居住につなげ、「選ばれる」茨城づくりを加速してまいります。
観光につきましては、3か年にわたる「茨城デスティネーションキャンペーン」のプロモーションや、「花絶景」を切り口とした観光コンテンツの造成及び高付加価値化により、2024年の観光入込客数は6,180万人となり、昨年に引き続き好調を維持するとともに、観光消費額は4,447億円となり、過去最高を3年連続で更新しました。
この流れを確実なものとするため、「茨城デスティネーションキャンペーン」のレガシーを活かし、観光コンテンツの差別化や観光イメージのブランディングを推進することにより、更なる誘客促進を目指してまいります。また、本年11月29日に、茨城県植物園を全国初の泊まれる体験型植物園「ザ・ボタニカル・リゾート『林音』」としてリニューアルオープンいたします。
本県の発展の基礎となる陸・海・空の広域交通ネットワークをはじめとした社会資本の整備については、つくばエクスプレスの土浦及び東京延伸の推進や、茨城空港の機能強化のほか、来年度、全線開通見込みの東関道水戸線や圏央道の4車線化の整備促進などに取り組んでまいります。
最後に、県北地域の振興についてであります。
県北地域が「活力があり、持続可能な地域」となることを目指す「チャレンジプランNEXT」のもと、地域の強みであるものづくり企業の競争力強化や県北地域おこし協力隊の活躍促進、多彩な地域資源や常陸国ロングトレイルを活かした誘客、日立市における共創プロジェクトへの積極的な参画など、「仕事づくり」「人づくり」「にぎわいづくり」の取組を着実に推進してまいります。
以上、県政運営に当たっての所信の一端を申し上げましたが、私は、これまでの2期8年間において積み上げてきた成果により、大きく前進している茨城県を、これからの4年間でさらに飛躍させたいと考えており、引き続き、本県の潜在能力を更に引き出していけるよう、全力で取り組んでまいりますので、皆様方のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。
なお、今後の県政運営の基本方針となる新しい総合計画につきましては、来月、県総合計画審議会への諮問を予定しております。今後、審議会の委員の皆様に十分ご議論いただくとともに、県議会の「未来を拓く新たな茨城づくり調査特別委員会」での議論をはじめ、県民の皆様のご意見を踏まえながら、年度内を目途に策定してまいります。
続きまして、県政をめぐる最近の動きについてご報告申し上げます。
まず、物価高への対応についてであります。
現下の物価高の中、子育て世帯や、公定価格により報酬が決定され、価格転嫁ができない医療機関や福祉事業所などにおいては、家計や経営に大変厳しい状況が続いております。
このため、先の定例会において議決いただいた補正予算による、LPガス使用世帯への支援などに加え、緊急的な措置として、県立学校のほか、私立学校や私立保育所などの給食の負担増に対する支援や、医師少数区域において救命救急センターを運営する医療機関、並びに介護報酬引き下げに伴い減収となっている訪問介護事業所の運営支援などについて、今回提出した補正予算案に関係経費を計上したところであり、本支援の早期執行により、県民生活や医療・福祉分野の安定的な事業運営を下支えしてまいります。
次に、最低賃金引上げに向けた取組についてであります。
最低賃金の引上げは、最低限の生活保障というセーフティネットの観点と近隣他県からの人材確保の両面において、極めて重要な課題であると認識しております。
一方、本県の最低賃金の水準は、全国上位にある経済実態を正確に反映しているとは言い難いことから、私は、あらゆる機会を捉え、関係機関に対し、適切な賃金水準への引上げを強く働きかけてまいりました。
本年度は、6月に、「本県の経済実態に見合う全国9位相当額との乖離を5年から7年かけて解消する」という中長期的な目標について、県・労働団体・経済団体の三者間で合意を得るとともに、7月には、私自ら茨城地方最低賃金審議会において意見陳述を行うなど、引上げの必要性について粘り強く理解を求めてまいりました。
その結果、本年度の最低賃金の引上げ額は、国の引上げの目安額に6円上乗せした69円となり、最低賃金額は過去最高の1,074円とされたところであり、昨年の引上げ額52円を大きく上回った点において、一定の評価ができるものと認識しております。
県といたしましては、今回提出した補正予算案において、県内中小企業などに対し、最低賃金の地方上乗せ分の一部を補助する経費を計上したところであり、引き続き、三者間で合意した中長期的目標の達成に向け、関係機関への働きかけをしっかりと行ってまいります。
次に、茨城空港の利用促進についてであります。
茨城空港においては、2024年度の旅客数が、これまでの最多であった2019年度を上回り、約78万人と過去最多となりました。
国際線では、ゴルフ人気の高い韓国を重点市場と位置づけ、昨年10月に私自ら行ったトップセールス以降、継続して粘り強い交渉を重ねてきた結果、先月15日から、エアロKによる茨城空港と韓国の清州を結ぶ定期便の初就航が実現いたしました。
また、国内線においては、去る3月30日よりスカイマークによる福岡便が増便となり、過去最多の1日8便が運航しております。
一方、去る4月24日には、「茨城空港のあり方検討会」から、インバウンドを中心とした航空需要の高まりに対応するため、ターミナルビルの拡張などを柱とした、「茨城空港将来ビジョン案」が提言されたところであります。
今後、提言内容や、先月実施したパブリックコメントの結果などを踏まえたうえで、今月中に茨城空港の将来ビジョンを決定し、首都圏第3の空港として、日本の航空需要に対応できるよう、機能強化や利便性の向上に取り組んでまいります。
次に、企業立地の推進についてであります。
成長分野の本社機能の誘致につきましては、難病や希少な疾患の治療薬を開発する医薬品メーカーの日本新薬株式会社による、つくば市での研究開発拠点の拡充計画を、企業立地補助金の対象事業として、去る7月1日に認定式を行ったところであります。
また、現在開発を進めている県施行の工業団地「常陸那珂工業団地拡張地区」におきましては、本年5月のJX金属の立地決定に続き、先月、第2次分譲として、半導体関連企業3社の立地が決定するなど、着実に先端産業の集積が進んでいるところであります。
引き続き、若者が望む魅力的な雇用の創出に向けて、利益率の高い、高付加価値な先端産業の生産拠点や本社機能をはじめ、特にグローバル企業のフラッグシップ拠点の誘致活動を展開するなど、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。
次に、茨城空港の将来ビジョンについてであります。
インバウンド需要の急激な増加など航空需要を取り巻く環境の変化に対応するため、去る7月4日に、茨城空港が今後目指すべき姿・果たすべき役割、それらを実現するために必要な取組をまとめた「茨城空港将来ビジョン」を策定いたしました。
このビジョンにおいては、取付誘導路の複線化や駐機場の拡張など、空港の機能強化に向けた道筋を示しており、本県の将来の飛躍のための投資として、今後、本ビジョンの実現に全力で取り組んでまいります。
また、国際線の乗り入れに関する制限については、就航できない曜日や時間帯などが設定されておりましたが、去る7月18日に、私自ら中谷防衛大臣に要望を行った結果、先月7日には、制限の撤廃が実現し、更なるインバウンド需要の取り込みに向けた環境が調ったところであり、エアロKによる仁川路線の新規就航が11月に実現することとなりました。
県といたしましては、一層の路線誘致や増便に取り組み、国内外との交流拡大を図るとともに、首都圏第3の空港を目指し、必要な空港機能の強化や利便性の向上に取り組んでまいります。
次に、高血圧対策の推進についてであります。
本県は、脳血管疾患や心筋梗塞などの生活習慣病による死亡率が高く、その最大の要因である高血圧の対策強化が重要である一方で、高血圧に対する危機意識の低さが大きな課題となっております。
このため、今月26日から、筑波大学附属病院と連携し、塩分排出効果のあるカリウムを多く含む野菜の摂取を促進するとともに、高血圧の予防や治療を後押しするプレゼントキャンペーンを開始したところであります。
また、これらのキャンペーンは、継続していくことが重要でありますことから、本年度中に、第2弾、第3弾のキャンペーンを実施するための関係経費を今回提出した補正予算案に計上いたしました。
県といたしましては、筑波大学附属病院や関係機関と連携しながら、高血圧対策を強力に推進し、生活習慣病による死亡率の低下につなげるとともに、全国有数の野菜生産県である本県の強みを活かし、「茨城をたべよう」を合言葉として県産野菜の消費拡大も図ってまいります。
次に、カジキ釣り国際大会の開催結果についてであります。
先月29日から31日にかけて開催した「IBARAKI INTERNATIONAL FISHING FESTIVAL in Hitachinaka-Oarai Resort」では、本年5月に大会アンバサダーに就任いただいた元プロ野球選手の佐々木主浩さんと加奈子さんご夫妻のほか、過去最多となる外国人選手9人を含む総勢258人の方が大会に参加し、大変な盛況のうちに大会を終えることができました。
また、昨年度の開催の際に関係を構築した、メキシコとの関係をより一層深めるため、在日メキシコ大使館と連携したメキシコフードフェスタや大使館シェフによる料理教室を開催したほか、地元店舗が参加チームを応援する「サポーター店制度」の拡充に取り組み、ひたちなか・大洗地域の魅力向上や、海外富裕層を含む誘客の促進に弾みがつけられたものと考えております。今後も、大会開催による成果を一過性のものとせず、更なる観光誘客につなげていけるよう取り組んでまいります。
次に、Okukuji「X」の開催についてであります。
来月18日及び19日の2日間、サイクルルート「奥久慈里山ヒルクライムルート」と、トレイルコース「常陸国ロングトレイル」を組み合わせた、国内唯一無二のサバイバルレース「Okukuji『X』」を開催いたします。
本レースには、水戸ホーリーホックの元選手である本間幸司氏をゲストライダーに迎え、県北地域が誇る2つのアウトドア資源の認知度向上を図るとともに、入賞者に常陸牛や県産米を贈呈することにより、県北地域をはじめとした本県の魅力を広く国内外へ発信し、更なる誘客に取り組んでまいります。
次に、上曽トンネルの開通についてであります。
県の合併支援事業を活用し、石岡市と桜川市が両市を結ぶ上曽峠において整備を進めておりました県内最長となる全長3,538メートルの「上曽トンネル」が、今月27日に開通いたしました。
本トンネルの開通により、安全で円滑な交通が確保されるとともに、地域間のアクセス向上による交流促進や連携強化、物流・観光の活性化に寄与するものと期待しております。
最後に、提出議案等についてご説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算の補正に関するもの6件、条例その他17件、認定2件、報告1件であります。
まず、一般会計の補正予算についてであります。
今回の補正予算につきましては、中小企業への賃上げ支援のほか、長引く物価高対策のため、学校給食費への支援及び医療・介護分野における体制確保など、政策課題に早急に対応するために必要な事業について、予算措置を講じることといたしました。
この結果、今回の一般会計補正予算の総額は、123億38百万円となり、補正後の一般会計予算総額は、1兆2,765億12百万円となります。
次に、歳出の主なものについて申し上げます。
地域賃上げ加算支援事業7億61百万円
学校給食等物価高騰対策事業52百万円
地域救急医療確保緊急支援事業3億45百万円
訪問介護事業所緊急支援事業4億9百万円
国補公共事業の追加55億60百万円
などであります。
財源といたしましては、国庫支出金や有利な県債などを活用するとともに、所要の一般財源5億73百万円につきましては、令和6年度からの繰越金を充当することといたしました。
また、繰越明許費の額は一般会計ほか3会計で、389億4百万円となっており、債務負担行為の補正は、一般会計ほか1会計で14件であります。
条例は、「茨城県公告式条例の一部を改正する条例」など、改正するもの4件であります。
条例以外の議案としては13件で、「県有財産の取得について」などであります。
次に、認定は、令和6年度茨城県公営企業会計決算の認定並びに令和6年度茨城県一般会計及び同特別会計歳入歳出決算の認定の2件であり、報告は、専決処分の報告であります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。