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更新日:2016年2月22日

 

知事定例記者会見における発言要旨160219

この資料は,県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。

 

・平成28年度当初予算案等について

 ※資料:平成28年度当初予算関係資料

・震災5周年を前にした所感等について / 平成27年9月関東・東北豪雨災害への対応について

・広域避難計画について

 

(作成:広報広聴課)
平成28年2月19日(金曜日)
11時21分~12時00分 庁議室
 


 ○平成28年度当初予算案等について


NHK(幹事社):知事から新年度予算案等の報告があるということですので,よろしくお願いします。

知事:お忙しいところお集まりいただきまして,ありがとうございます。

もう既に財政課から詳細についてご説明申し上げていると思いますが,第1回定例会に提案いたします来年度予算案等について,私から大きな方針等についてお話をさせていただきたいと思います。

まず一つには,国の動きでございますが,今,円高・株安等々で大変微妙な時期に来ているわけでありますが,政府としては,一貫して,何とかデフレを脱却したい,経済の好循環をもたらしたいということで,今年度の補正予算,あるいはまた,来年度の当初予算の編成が行われているところであります。

私どももそれと歩調を合わせる形で県の予算編成を行ってきたところでありまして,トータルで1兆1,208億円,対前年度比約405億円,3.5%の減ということで決定をさせていただいたところであります。

この大きな中身でございますが,一つには,東日本大震災,あるいは関東・東北豪雨からの復旧・復興というものがございます。これによって災害に強い県土づくりを進めるということが一つございます。

それから,もう一つ,大きな柱としては,地方創生関連の予算ということであります。これにつきましては,新しく新型交付金が来年度の国の予算に計上されているところでありますが,それとあわせて,国の補正予算では地方創生加速化交付金がつくられたところであります。その加速化交付金の関係で,DMO観光地域づくりや公共交通関係の充実などについての予算を計上させていただいております。

また,来年度の地方創生推進交付金につきましては,つくばの科学技術を活用した成長産業創出プロジェクトなどを計上させていただいているところであります。

それとあわせて,TPP対策,あるいは一億総活躍社会実現のための対策といったことについて力を入れますとともに,あわせて,間もなく県の新しい総合計画の方向が決まるところでございますので,それを受けた形で,生活大県,産業大県づくりということを進めていくこととしております。

また,予算の規模その他は今申し上げたとおりでございますが,今年度の補正予算の中で,がん対策基金を20億円,それから,文化振興基金を20億円計上していく予定としております。

さらに,最近の状況を踏まえまして,組織面で少し充実強化を図っていきたいと考えております。

一つには,商工労働部の名称を商工労働観光部に改正いたします。そして,その中に観光局を設置してまいります。

また,国体・障害者スポーツ大会局,これはほかの県におきましても大体この時期につくっているということもありますので,私どもとしても3課体制でつくってまいりたいと考えております。

それから,子ども・子育ての関連の政府の施策の充実,消費税のアップ等々も行われてきているところでございますので,子ども政策局というものをつくって子ども対策の充実を図ってまいりたい。特に,少子化対策室を課に格上げしてまいりたいと考えております。

そういったことで,政府の大きな方針を受けながら,県独自の方向も見出していくべく予算編成を行ったところでございます。

特に,来年度から始まります県総合計画につきましては,イノベーション大県という新たな茨城の将来像も示されているところでございますので,そういったものを目指して県の予算を編成してきたというのが実情でございます。

以上です。

NHK(幹事社):まず,今発表いただいた予算案と組織の関係から質問させていただきます。今,概要をお話しいただいたのですが,知事として,予算案に対する考え方と,今回の目玉というか,これは推したいなとかいうものがあれば教えていただければと思います。

知事:一番はやはり地方創生ということであります。災害からの復旧・復興はもちろん大事で,これはもうやらなくてはいけないといったものですが,地方創生はどういうことをやるかということについて,各地域の知恵比べになってくるのではなかろうかと思っております。

そういった点で,日本の大きな流れとして,今,観光なども脚光を浴びてきているところであります。来月には台北便も週4便就航する予定になっておりますが,爆買い等々といった言葉も見られるように,そういった海外からの観光客をどうやって自分の地域の需要などに結びつけていくかということも大変大事になってくるのだろうと思いますし,また,高齢化時代を迎えて,時間に余裕のある人も増えてまいりますから,そういった点で国内の観光客を呼び込むことも大事だろうと思っております。

そして,3県(茨城,群馬,栃木)のDMOをやらせていただくことにしておりますが,そういった人たちが茨城だけで満足できるかというと,なかなかそうもいかないだろうということで,3県で合同していろいろな施策に取り組もうとしております。

農業につきましても,TPP,6次産業化,あるいは輸出の促進といったことが言われているわけですが,アンテナショップも3県で共同してベトナムに出していくことを予定しているところでございまして,できるだけ広域的な形で事業の推進なども行っていければいいなと思っております。

そのほか,地方創生につきましては,前々から既に発表しておりますが,県北アートフェスティバルや,あるいは,つくばりんりんロードと霞ヶ浦湖畔の自転車道を結びつけた80キロメートルを超す大規模サイクリングロードの整備などに努めてまいります。

とりあえずは,交通標識などを直して,その後,必要な部分については立体交差化なども進めてまいりたいと思っております。

NHK(幹事社):冒頭で,災害からの復興のお話があったと思うのですが,地方創生などを進めていくに当たって,まずは災害からの復興対策ということを第一に念頭に置くという意味合いでよろしいでしょうか。

知事:はい,そうです。

茨城:今回,震災関連分が減っているということで,全体ではマイナスになっていますが,知事としては,ある程度思い切った予算案を組めたとお考えでしょうか。

知事:税収なども,景気の動向を反映して,ある程度戻ってきております。震災復興特別交付税が減っていますので,一般財源総額としては,本県の場合,減っておりますが,全体としては明るい方向に来ているのではないかと思っておりまして,それを活用して,例えば,先ほど申し上げた2つの基金などについても,それぞれ20億円という形で積ませてもらう。これも金額的にはほかの県と比べてもかなり大きいほうですので,かなり思い切った形でできたのかなと思います。観光局の設置,子ども政策局の設置といったことについても,本県の場合,リーマンショックの後から急激に財政状況が悪化していましたので,あまり思い切った施策に取り組みにくかったのですが,そういった点でも少し明るい方向を打ち出していけるような状況が出てきつつあるのかなと思っています。

茨城:今回,県税収入が増えているようですが,県財政についてどのようにお考えでしょうか。

知事:今,景気が非常に不透明な状況になっていますので,どうなるか非常に心配しているところです。自動車関連はまだこれからも好調のようですが,電機関係が厳しくなっているとか,今日の新聞等に書いてありました。

そういった中で,日本経済がどうなのかということを一番心配しております。円安傾向がある程度続いていくのであれば,企業の業績はいい方向にいけるのだろうと思います。大企業が良い方向に行く。それにつられて,まだまだ十分とは言えない中小企業の景気回復が行われていってくれれば,県の財政も良い方向にいけると思いますが,そこについてはあまりはっきりしたことを言えない状況であります。

ただ,これまでの間にかなり保有土地対策等々も進んできましたので,(財政的な)重荷が減ってきているというのは事実です。

茨城:あと,県独自の方向を示すということで,イノベーション大県ということがありましたが,そちらについては今後どのように進めていこうとお考えでしょうか。

知事:科学技術創造立県ということをずっと申し上げてきましたが,さらにそれだけではなくて,もっともっとイノベーションを行いながら先頭を走っていくのだという意味でイノベーション大県という名前をつけてもらえたのだと思います。

私は,前々から申し上げていますように,日本がこれから国際社会の中で一定程度の地位を保っていくためには,外貨を稼げるような産業,科学技術というものをどう打ち立てていくかということが一つの大きな鍵になってくると思います。そのためにG7科学技術大臣会合などもつくばに誘致いたしまして,つくばの科学技術を世界に広めていきたいと思っているところであります。

また一方で,食糧などを輸入するためにどんどん外貨が使われていってしまっても大変なので,日本の農業をどう育てるか,TPP対策などにどう対応していくかということも大変大事だろうと思います。その中で,私は,茨城が日本の農業を代表する県として,しっかりした手を打っていかなくてはいけないなと思っています。そういった点で,6次産業化,輸出などにつきましても,今度,アグリビジネス推進室を改組し,「6次産業化・輸出推進室」とさせていただくことにしております。

朝日:県債残高が通常県債と臨時財政対策債など特例的県債のトータルでも減少しているところですが,それは,これまでも通常県債はだいぶ前から減ってきているので,さほど大きな意味はないと考えるのか,どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

知事:臨財債も含めて県債残高の総額が減少するということが極めて大きな意味があると思います。それは,臨時財政対策債という交付税の不足を補う分も含めて県債残高が減ってきているというものでありますから,全体の財政構造が健全化に向けて動き始めているととっていいのではないかと思います。

朝日:通常県債では,圏央道の負担金が減っているので発行額が減っていると聞いていますが,今後も県債発行は国の事業に左右されるということでしょうか。

知事:国の事業に左右されるといいましても,何十億円程度の範囲ではなくて(大きく)影響を及ぼすのは経済状況だと思います。税収がどうなってくるか,交付税がどうなってくるかによって県債残高は大きく変わってくると思います。ですから,今のような景気の状況が続いていくのであれば,良い方向に動いていってくれるのかなという期待をしております。

ただ一方で,それでは税収,交付税が減ってきたときに,今のままの支出を続けていくのかということもありますので,そういった状況になったときに,どういう形で行財政改革に取り組んで,財政規模をどのぐらいに持っていくのかも含めて,県債残高についてどの程度がいいのかについては,十分頭に置きながら,できるだけ縮減していくという方向でやっていく必要があるのではないかと思っています。

ただ,明らかに将来に大変良い影響を及ぼすような事業について,起債をすればやれるのに,一般財源がないからというのでやめていくというようなことは私はやるべきではないと思っています。

朝日:県債管理基金から十何年連続で繰り入れていたのが,ここ2年連続で繰り入れをやめたということですが,これは県の財政にゆとりが出てきている一つのあかしというふうに見てもいいのでしょうか。

知事:これまでも当初予算では繰り入れを計上していましたが,結果的には繰入れないで済んできたわけで,そういったことも含めて,今年度,来年度とそれもやらなくて済むというのは,良い方向に向いているととっていただいていいと思います。

毎日:今回,県単の公共事業などを含めて,比較的,県でいろいろ独自のものを取り入れたと思うのですが,税収が安定的に伸びているということがあったと思うのですが,近く予想される消費税増税については,景気が世界的な状況でも不透明な中で,懸念も大きいのではないかと思うのですが,そのあたりの関連と,増税に対してはどのようにお考えでしょうか。

知事:これは,今予測するというより,消費税の税率アップをできるような環境をどうやってつくっていくかという方向で,努力をしていくべきだろうと思っております。

そういう中で,今回,県単公共事業を増額したのは,景気が良くなっているのかということになるかと思いますが,実は先ほど申し上げましたように,平成10年度から急激に県単公共事業を減らしています。ですから,今度増やしたとしても,まだとてもとても,かつてのレベルから言えば大変低い水準にあるわけであります。

最近,特に,道路に損傷があって瑕疵責任を問われるということが心配される場所が大分増えてきていますので,そういったことについて重点的に取り組んでいこうということで,金額的には今回6%という増額はしておりますが,本当はまだまだ積んでいきたいぐらいのレベルだと思います。

毎日:ということは,県単公共事業を積み重ねていくというのはしばらく続けるお考えだということでしょうか。

知事:そうですね。財政的に許されるのであれば,続けていかないと。最近,道路の損傷が激しいところが大分出てきていますので,それはやっていきたいと思います。

毎日:今年度と同規模ぐらいをしばらく続けるということでしょうか。当然,時々の財政力によるとは思うのですけれども。

知事:最低でも今年度ぐらいはやっていかなければいけないと思います。

読売:先ほどの関連なのですが,公共事業を減らしてきていまして,道路や河川の整備は要望があったかと思うのですが,知事の中でも,ようやく本格的に着手できたという思いが強いのでしょうか。

知事:そうですね。大分前々から,道路の損傷が激しくなっているということについては,いろんな人から聞いているところでありましたので,こういった方面に力を入れなくてはいけないということは考えていましたから,そういった点では,それほど大きくはありませんが,一歩を踏み出したのかなと思います。

読売:これは関東・東北豪雨などの災害は,いつ,どこで起きるかわからないということもあるのでしょうか。

知事:それともちょっと違って,道路の痛みが激しくなってきているということですね。ずっと県単の維持補修関係は減らしてきていますので,ものすごく厳しい状況できていました。それを少し修正したという感じでとってもらえればいいと思います。

読売:続けて,消費税増税と関連すると思うのですが,小児と妊産婦に対するマル福(医療福祉費支給制度)の拡充は,これで範囲が90%ぐらいの人がカバーできるということで,かなり画期的なのかなとお見受けするのですが,知事の思いみたいなものはありますでしょうか。

知事:これも財政的になかなか許されなかったので延ばしてきていた面があります。年齢的に言えば,中3までの入院ということで,(全国で)上から数えても手厚い対策をしてきたのですが,ただ,そうは言っても,今お話にありましたように,カバー率が低かった。これを何とかしなければいけない。今までずっと昔のレベルの所得制限額に据え置いてきたのですが,いつか直さなければいけないという思いは持っていたものですから,今年,消費税アップ,それに伴う増収などが見込まれるという中で,思い切って踏み込んだわけです。

読売:先ほどの公共事業もそうですし,福祉面もそうなのですが,新年度は転換点にしたいという思いが見受けられますがいかがでしょうか。

知事:子ども・子育て関連は極めて重要な分野として,今,注目を浴びているところでありますが,所得制限などを上げることによって,もう既にレベル的には各市町村はそこに行ってしまっているのですが,各市町村の財政面での支援になるということで,各市町村がさらにその前を行ってくれるという効果も考えられますので,そういった点では,現在の動きを踏まえた対策を講じたと。講じられるような財政状況にもなっているということだと思います。

産経:朝鮮学校への運営費補助金についてお伺いいたします。新年度予算案でも,朝鮮学校に対して前年度と同額の160万円の補助金が計上されていますが,この金額の根拠を教えてください。それから,朝鮮学校への補助金をめぐっては,拉致問題などを理由として,東京都などは既に数年前から打ち切っておりますが,茨城県が継続して負担している理由をお聞かせください。

知事:根拠につきましては,平成24年度に経常費の国庫補助単価をもとにいたしまして,1人当たり,初級部4万4,000円,中級部4万6,000円という金額を設定しておりまして,それ以降,この単価にしておるところであります。

このときに,(それまで)定額補助できたものですから,他と比べて1人当たりの単価が大きくなっており,それを修正して他の県の平均並みにしました。その結果が,当時,238万5,000円支給していた補助が,来年度でいうと160万2,000円になってくるわけで,かなり縮減はできております。

これから,この補助制度についてどう考えるかでありますが,これは茨城朝鮮初中高級学校の初級部,中級部の児童生徒の教育環境を維持向上させるということで予算計上をしてきたところでありまして,日本で義務教育が無償化されているといったことも踏まえての対応をしてきたわけでございます。今回の核実験,あるいは弾道ミサイルの発射等々を受けて,新聞報道によれば,政府でも何らかの通知を出すというような話も聞こえてきているところでありますので,そういった状況,あるいはまた他県の状況なども踏まえながら,今後,検討してまいりたいと思っております。

産経:今,知事がおっしゃった先日の北朝鮮の核実験ですとか,事実上のミサイル発射ということで,日本政府の制裁措置の一環として,文部科学省が補助金を出さないようにという通知を出すことを検討されて,知事にもそれを踏まえてご回答をいただいたのですが,補助金を実際に執行されるのは例年年度末というふうに伺っているのですが,今年度分はまだ払われていないと思うのですが,文部科学省からそういう通知が来た場合は,これについても同じように対応されるのでしょうか。

知事:文部科学省に問い合わせしたところ,通知を出すかどうかも含めて,今の段階では答えられないという返事をもらっております。

その通知がどういう形で来るのか,今年度分についても,差し止めといいますか,中止するようにという話で来るのかどうか,そういったことも踏まえていく必要があると思います。

人道的な見地からの補助ですので,例えば入港禁止などといった他の措置とは少し違うのかなという感じはいたしますが,政府の方針が決まってくるということであれば,それは地方としても考えていかなければいけない重要な要素だろうと思います。 

毎日:組織改編についてですが,なぜ観光ということを部の名前につけることを考えたのでしょうか。

知事:例えば,審議会などはもう商工労働観光審議会という名前になっているのですが,これから観光というものが,産業としての分野でもかなり大きなウエイトを占めてくるのではないかなという感じもいたします。今回,実は,国際観光課というものをつくることとしておりますが,国際的な動きが非常に大きくなってきており,それに対応できる体制をつくっていくことも必要なのではないかと思っております。

そうした諸々のことを踏まえての今回の改正でありまして,ほかの県などを見ておりましても,かなりの県で観光という名前を入れておりますので,遅きに失したぐらいではないかと思います。

毎日:今年それをしたという部分については,知事としての思い入れなり意気込みみたいなものがあるのですか。

知事:例えば,茨城空港の国際線一つ取ってみましても,ついこの間まで(週)6便だったものが8便になって,今,12便になっており,さらにこれが,来月,台北便で週4便増えるというように,急激に伸びてきております。

また,いろいろ海外向けのキャンペーンなども充実してやってきているところでありますので,そういった点で観光局をつくって,観光面にもっと力を入れていかなければいけないということを考えた次第であります。

茨城:イメージアップの関連で,いばキラTVの事業費が半分になっておりますが,どのような要因があって,また,今後どのように事業を進めていくお考えでしょうか。

知事:もともと雇用の場の確保(ということ)もいばキラTVはかなり大きな要素になっていた事業です。そういった点で,本来であれば,雇用基金が終了したということは,雇用対策としてはもうやめてもいい話になってくるわけですが,いばキラTVはいろいろな人に親しまれ始めているということもあって,どういうふうに効率的に運営していくかということを考えた結果がこういう形になった次第です。生中継的なものを減らして,オンデマンド的なものを増やすという方向に持っていくことによって経費を随分節約できる。そういう形で移行していってもあまり視聴者には大きな影響を与えないで済むのではないかということも踏まえて,必要最低限の金額を計上したということです。

 

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 ○震災5周年を前にした所感等について  / 平成27年9月関東・東北豪雨災害への対応について


NHK(幹事社):来月で東日本大震災から5年を迎えるということに鑑みまして,知事の所感というか,今後の課題等をお伺いしたいと思います。

また,昨年9月の関東・東北豪雨も来月10日で半年を迎えるということに当たっての所感・課題等もあわせてお願いします。

知事:東日本大震災の関係で言いますと,間もなく5年が経過しようとしているわけですが,県内にも,県外からの避難者が大部分ではありますが,約4,000人の方々がまだ避難をしている状況にあります。

そして,福島その他,極めて厳しい状況下に置かれているところもたくさんあるということで,さらに復旧・復興に力を入れていく必要があるのだろうと思っております。

本県の場合,復旧関係につきましては,大津漁港が来年度に終わりますと,県有施設関係は全て終了いたします。ただ,一方で,風評被害その他,典型は輸出ですが,農産物の輸出その他が非常に大きな影響を被っておりますし,また,観光客が特に県北臨海部のほうには来てくれないといったこともあります。

そういった形で影響がかなり残っておりますので,それをどう払拭していくかということとあわせて,これから復興創生期間ということになりますので,災害に強い県土をどのようにつくり上げていくかということが大変大事になってくるのではなかろうかと思っております。

それから,関東・東北豪雨につきましても,まだ約40人の方が避難所生活を送っておられるということもありますので,そういったことについて,しっかり市と一緒になって対応していくことが大事なのだろうと思っております。

そのほか,諸々の対策につきまして,県としてはできるだけのことをやってきたつもりですが,今後どういう問題が出てくるのか,それも市とも相談しながら対処をしてまいりたいと思っております。あわせて,東日本大震災もそうですが,災害に強い県土をつくっていかなくてはいけませんので,鬼怒川緊急対策プロジェクトをはじめとして,どういうふうにすれば頻発している大雨などにも対応していけるのかということを十分に検討していく必要があるのだろうと思います。

 

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 ○広域避難計画について 


朝日:今ほど,東日本大震災の影響などについて所感を述べていただいたのですが,原子力発電所も停止してしばらく経つということで,それについての影響はどのようにお考えでしょうか。

知事:停止していることによる影響といえば,それは,例えば,定期点検などが入っていないとか,地元の経済面へはかなり大きな影響が出ていると思います。

それ以外にどういう影響が出ているかということになりますと,我々としては,影響というよりは,原子力災害に対してどう対応をしていくかという課題のほうが主になっていると考えておりまして,今,国の原子力規制委員会でいろいろと審議も行われているところでございますから,それに向けて県内の対応をどうしていくかということになってくるのだろうと思います。

朝日:その一つに,広域避難計画があると思うのですが,去年のうちに県外避難先確保を目指していたものをまた延ばされたということで,今の時点ではいつごろをめどに決まりそうでしょうか。年度内は目指していらっしゃいますでしょうか。

知事:県外の避難先の場合には,こちらはお願いする立場になってまいります。そして,相手方でも,県だけではなくて,受け入れを具体的にする市町村の考え方というものも聞きながら進めていかなければいけないものですから,必ずしもいつまでというようなこと(で期限)を切るのは難しいと考えております。

2月16日に群馬県内の市町村での説明会もやっておりますので,福島ももう2月10日に済んでおりますが,3月中にほかの3県で何とか市町村説明会をやらせていただいて,少しでも前に進めていければなと思っています。

朝日:ほかにも,いろいろペンディングされた部分,スクリーニングやヨウ素剤の関係があると思うのですが,なかなかそういったことが示されないと,市町村のほうでも計画が具体に策定できないという状況があると思うのですが,いつごろまでに示していきたいというのはありますでしょうか。

知事:スクリーニング体制などについては,国が示したマニュアル,あるいは避難先の確保状況などを踏まえながら,実施場所,実施体制を検討しているところであります。

どの地域にどのぐらい受け入れてもらえるかということによって,スクリーニングできる場所を確保できるのかどうか,どちらでやったほうがいいのかどうか,いろいろな課題が出てくると思いますので,そうした検討をしていくには,ある程度,どのような形で避難先を確保できるか,どこへ避難してもらえばいいのかということが見えてこないとなかなか決めにくいのかなと思っています。

一斉に(避難先の)現地へ行っても並んでしまいますし,こちらでやっていたら遅れてしまいますし,いろいろ難しい課題があるので,どこでやればいいのかということについては,国ともいろいろ相談しながら決めていきたいと思います。

朝日:ヨウ素剤のUPZでの配布の方法などについてもまだ詰まっていないということですか。

知事:UPZのほうについてはですね,とりあえず,この間,PAZ内については配布を始めたところでありますので,まずそっちをしっかりやっていくことが大事だろうと思っています。それからその周辺に広げていくということだろうと思います。

朝日:もう備蓄は済んでいると思うのですが,そういう効率的な配布を考えて進めていくということですか。

知事:市町村と相談していくということです。

朝日:広域避難計画の関連なのですが,茨城県では住民参加の訓練について実施されていないと思います。他県では割と実施しているのですが,計画が完全ではない中でも,そういう訓練を実施して実効性を検証していくというような考えはおありでしょうか。

知事:住民参加ということになると,かなり大規模,本格的なことをやらないと意味がなくなってきます。何百人ぐらい参加しただけではなかなか実態に合う訓練になるのかどうかということにもなってまいります。

私どもも,JCOの事故を踏まえまして,その後ずっと毎年9月30日に訓練を行っていたのですが,東日本大震災に伴う原発事故の後は,今のところどうやったらいいのかということについてももう少し考えていかなくてはいけないのかなということで,住民参加型の訓練は行っておりません。

県及び市町村の防災業務関係者の対応能力の向上を図るための訓練を実施しているところでして,昨年の3月11日でも,16機関・121名が参加して,事故の進展状況において発せられる各種指示,要請等への対応や,県と関係14市町村及び原子力オフサイトセンターとのTV会議を通じた情報の提供とその共有方法の確認のほか,原子力オフサイトセンターの陽圧化手順の確認を行ったところです。

ですから,そういう形で,今のいろいろな制約下で何ができるかということをやっていっているというのが実情です。

朝日:住民が参加することで,参加人数が少なくても,住民の方に意識を持ってもらうことだったり,参加した方が意見を言ってそれを反映して,より実効性のある住民目線の計画ができるかなというメリットもあると思うのですが,それでも実施は難しいのでしょうか。

知事:今おっしゃったぐらいのものですと,例えば,一方通行の導入も含めて,何百人単位でしたら,東海村のJCO事故後の訓練でもう既に何度かやっております。それではまた同じ程度のレベルになってしまうし,各市町村も具体的にどう対応していいか,相手方がどこになるのかということも踏まえて,高速道路へ誘導するのか,一般道で行くのか。そういうことも含めて行わないと,実際のときには訓練のときと全然違った格好になってしまう。訓練をやっておいて,条件反射的に具体的にその方向へ動けるというようにしておくことが非常に大事だと思いますので,そういった点では,違った形で訓練をやってしまっていると逆目(訓練と実態が異なること)になってしまう。そういうことも踏まえて行っていく必要があるのだろうと思います。

朝日:今の観点を含めてなのですが,全国最多の避難対象者を抱える茨城県として,広域避難を考える上での難しさを改めてどういうふうにお考えでしょうか。

知事:かつて,JCO事故後の訓練を行った際にも,ものすごい渋滞を引き起こしたりしていますから,具体的にやるのだとすれば,まずは交通規制をどうするか,高速道路も含めてやれるのかやれないのか。極めて大がかりなものをやらないと高速道路へ届くまでの訓練ぐらいにしかならないと思います。ですから,その後どうするかの訓練はできないですね。

だから,もしやるのであれば,交通規制をそう簡単に年中やるわけにはいかないから,きちんとある程度実効性があるような計画,これでやらなくてはいけないなと思われるような計画ができた段階で,たくさんの機関に参加していただいて,それでやっていくのが本来のあり方だと思います。

朝日:今のところは未定ということでよろしいのでしょうか。

知事:そうですね。

NHK(幹事社):ありがとうございました。 

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