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更新日:2021年10月15日

知っていますか?薬の品質の話

品質確保の話

薬は法令によって品質や有効性、安全性に関して厳しい基準が設けられています。

衛生研究所では品質確保の一環として、流通している医薬品を対象として、有効成分の溶出性(お薬を飲んだ後の薬の溶け方)や定量(決められた量が含まれているか)の試験を行い、承認されている規格から逸脱していないか確認を行っています。近年は、医療費の問題等から使用が促進されているジェネリック医薬品(後発医薬品)を中心に試験を行っています。

試験で使用する装置

溶出試験器 液体クロマトグラフ2 分光光度計
溶出試験器 液体クロマトグラフ 紫外可視分光光度計

溶出性の話

口から飲んだ錠剤やカプセル剤は、消化管内で溶けた後、腸から吸収されて効果を発揮します。そのため、溶出性は吸収される有効成分の量を決める大きな要因となります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と生物学的に同等(薬を飲んだとき、血液中の有効成分の濃度が同等である)であることが求められており、その指標の一つとして溶出試験規格が設定されています。

溶出性モデル 溶出性グラフ

溶出試験の話

溶出試験は、体の中で起こる薬の溶け方を再現している試験です。水または胃液や腸液等と同じpHの試験液を入れたガラス容器内の温度を37℃に保ち、錠剤やカプセル剤の溶け方を調べます。ひとつの薬に対して6個試験を行い、個々の溶出率が全て規格値を満たしていれば、適合と判定します。

溶出試験 

 

過去の溶出試験の結果(過去5年間・平成29年度~令和3年度)

流通量が多い医薬品等を対象に5年間で7成分99医薬品の溶出試験を実施しました。

成分名(商品名:効果)

結果

アゼルニジピン錠(血圧降下薬)

12

全て適合

バルサルタン錠(血圧降下薬)

15

全て適合

ピオグリタゾン塩酸塩錠(糖尿病治療薬)

15

全て適合

ナフトピジル口腔内崩壊錠

(前立腺肥大に伴う排尿障害治療薬)

15

全て適合

グリメピリド錠(血糖降下薬)

18

全て適合

パロキセチン塩酸塩錠(抗うつ薬) 13 全て適合
ミノドロン酸錠(骨粗鬆症薬) 11 全て適合

保健所が収去してきた医薬品の数になります。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)について詳しく知りたい方はこちら

最後に

薬は、高齢の方や病気の治療中の人が飲むものという印象があるかもしれませんが、健康な人でも咳が出たときに咳止めを飲んだり、頭痛で痛み止めを飲んだりします。薬は案外私たちにとって身近な存在なのです。薬の品質確保の一端ではありますが、今後も衛生研究所では薬の品質確保に努めていきます。

 

このページに関するお問い合わせ

保健医療部衛生研究所理化学部

〒310-0852 茨城県水戸市笠原町993-2

電話番号:029-241-6652

FAX番号:029-243-9550

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