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ホーム > 県政情報 > 広報・広聴 > 広報 > 茨城県広報コンクール > 令和6年茨城県広報コンクール審査結果 > 令和6年茨城県広報コンクール「広報紙部門」特選受賞感想および審査員講評
ページ番号:70844
更新日:2025年2月28日
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広報紙で変わってはいけないもの。変わるべきもの。
今回の受賞は、市民をはじめとした読者の皆さま、印刷、配送、点訳や朗読、広報ボランティア、そして、歴代広報担当職員といった、これまで広報龍ケ崎に携わってきた方々が、それぞれの想いが詰まったバトンをつないできたからこそだと感じています。皆さまにお祝いと感謝をこの場をお借りして伝えさせていただきます。
受賞した紙面は「つないだ時を未来へ」をテーマとした市制施行70周年の記念イヤーに、広報ができることを考える中で「私たちが作っている広報紙の歴史、制作過程をどれくらいの人が知っているのだろう」という疑問がきっかけで生まれた企画です。
そこで、『広報龍ケ崎』がこの街にあり続ける理由」と題し、本市の広報紙の歴史や広報紙への想い、そして、広報紙が配布されるまでの過程を特集しました。
特に意識したのは、読者が「初めて知った」「そうだったんだ」と感じ、龍ケ崎を誇りに思ってもらえるような仕掛けを複数作ることでした。
制作の中で、編集側の視点でも発見がありました。歴代広報紙を読み込むと、時代とともに、広報紙の役割やニーズが変わり、紙面構成の変化もみられ、変わることの大切さを感じました。
一方、「市民目線を常に」ということや、紙面を通じ、街を繋ぐ、誇りに感じる大切なツールであることは変わらず、広報紙が果たす重責を感じたところです。
今回の受賞を励みに『りゅうほー』は、デジタル化が進む中で変化しつつも変わらない役割を担うため、龍ケ崎の歩み、一人ひとりの表情をこれからも記し続けます。
特選、準特選、入選4作品は、企画や文章表現、編集デザインなど総合的に優れ、特に巻頭の企画特集は担当者の熱量の高さを感じるものばかりでした。
特選の「広報龍ケ崎 りゅうほー(10月前半号)」は市制施行70年特集号でした。広報紙が常に市の歴史を見詰め、市と市民の橋渡し役を果たしてきたことが良く分かりました。短文で構成し、読みやすいレイアウトが印象的でした。愛称「竜報(りゅうほー)」の採用、全国自治体に先駆けたパソコンによるデジタル編集システムの導入が、ともに1991(平成3)年で、この年が現在につながる大きな転換点だったことはニュースでした。また、紙面で掲載したイベントや行政施策が、SDGs(持続的な開発目標)の17目標のどれに当たるかを紙面の隅に表示する工夫も、きめ細かな紙面づくりを印象付けています。
準特選の「市報ひたちなか(11月10日号)」は市誕生30年の特集号でした。スポーツ・文化で活躍する出身者ら著名な人たちの声は読み応えがあり、30年の軌跡が年表やトピックで簡潔にまとめられています。ブロック編集中心で全体的に読みやすいと感じました。特に、A4判の広報紙が大半の中、タブロイドの大きさを生かした市長と30代男女の座談会の大胆なレイアウトが目を引きました。振り返りではなく、今と将来を語り合う内容も良かったと思います。
入選4作品のうち「広報もりや(11月号)」は、子どもを巡る「食」について、子どもの読者を意識してか、非常に分かりやすい文章でまとめられていると感じました。「広報とうかい(11月10日号)」は、デマンドタクシーと路線バスの具体的な利用方法や活用事例が図や写真で分かりやすく編集されていました。「広報みと(9月1日号)」は、明治の大横綱・常陸山右衛門の強さだけでなく、人間的な素晴らしさを後世に伝えたいという気概を感じる特集でした。「広報常総(11月号)」は、幅広い年代の3人の声が地元愛にあふれ、石下プロジェクトの今後の広がりが楽しみになる記事・編集でした。
私は現場の記者によく、「飾り包丁を駆使せよ」と伝えています。家庭料理とは異なり、プロの料理人はプロならではの一工夫を凝らして、目を楽しませます。その一手間で料理をおいしく感じてもらうわけです。新聞記事なら、イラストやグラフや図表、記者の解説などを添えることで、一般の方がSNSなどで発信する情報と差別化でき、付加価値のあるプロの仕事にできます。広報紙は、回覧板的な情報伝達にとどまらず、読んで幸せな気持ちになったり、その自治体への愛着がわいたりする紙面を目指してほしいと感じています。
特選となった広報龍ケ崎「りゅうほー」は、市制施行70年を記念し、表紙には創刊号以降の表紙をあしらいました。中面は、年表や過去の記事を並べて、市の歴史、広報紙の歴史をたどれるようにしました。テレビの情報番組のような話し言葉で表現しているのが出色の出来で、内容の濃さの割にスッと読めました。制作過程が詳述されているのも、親近感がわいてきました。
準特選の「市報ひたちなか」も市制30年を記念しました。冒頭はゆかりのある人の談話を置き、中面では市の歩みを写真で振り返り、若者と市長の座談会を配置しました。現在―過去―未来という構成は、新聞社の記事とも親和性があり、大変読みやすかったです。表紙を含め、色づかいもソフトで、学校の卒業アルバムや文集をめくっているような、優しい気持ちになりました。
入選4作品のうち、「広報もりや」は、「食」がテーマ。内容が濃いのに加え、児童の写真が秀逸でした。「広報とうかい」は村内の交通サービスを紹介。利用方法や説明会の告知などの業務連絡を、利用者のポーズ写真やインタビューなどと取り混ぜて効果的に配置していると感じました。「広報みと」は、まず表紙の力士のイラストが目を引きました。内容も濃く、常陸山谷右衛門の業績や志を称揚しつつ、地域の求心力も高める効果があったでしょう。「広報常総」は、まちおこしに取り組む3人に焦点を当てました。内容は大変よかったですが、全員男性だったのが惜しまれました。
上位に入選する自治体はほぼ常連になっています。他の自治体も、人員や予算の制約の中、知恵と工夫とセンスで、地元の魅力をさらに高めてほしいと願っています。