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ホーム > 県政情報 > 広報・広聴 > 広報 > 茨城県広報コンクール > 令和6年茨城県広報コンクール審査結果 > 令和6年茨城県広報コンクール「映像部門」特選受賞感想および審査員講評
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更新日:2025年2月5日
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かみね動物園の「環境エンリッチメント」
この度は名誉ある賞に選出いただき、誠にありがとうございます。
また制作に携わった全ての方々に心から感謝申し上げます。
日立市かみね動物園は、日立っ子にとって、子どもの頃の遠足や、家族団らん、青春時代のデートスポットとして世代を超えて長年親しまれ、愛されてきました。
本動物園では、単なる娯楽施設としての役割だけでなく、種の保全や子ども達への教育・環境教育、生態の調査研究などの役割も担っています。さらに近年は、茨城大学などと連携し、動物たちがストレスなく健やかに生活できる環境づくりを進める環境エンリッチメント対策にも力を入れているところです。
本動画では、飼育員の1日に密着し、日々どんな仕事をし、動物たちと真剣に向き合いながらも、来園者が訪れるたびに新たな発見をしてもらえる場所作りのため日々奮闘する飼育員の姿を追いました。
創意工夫を凝らした飼育展示などの「環境エンリッチメント」の取組にも焦点を当て、視聴者に伝わるようカメラワークや文字演出を工夫しました。
今後もさまざまな世代の方々にご視聴いただき、動物を愛する人たちと、動物園の意義、魅力をともに再認識し、新しい視点で動物園を知るきっかけとなれば幸いです。
また飼育員という職業に対する興味関心を持ってもらい、将来、飼育員を目指す若者が増えること、そして何より、実際に動物園を訪れ、幸せそうな動物に会いに来ていただき、それを見た皆さまが幸せな気持ちになることを願っています。
今後も、日立市の魅力を発信するため、様々な視点での企画・制作を目指していきます。
特選を受賞された日立市の「【かみね動物園 飼育員密着取材】「環境エンリッチメント」とは?」は、動物の可愛さや飼育員の熱心さがよく伝わる、ずっと見ていたくなる映像であり、高く評価できると考えます。ただ、そうした内容に目が奪われ、テーマとされている「「環境エンリッチメント」とは?」については必ずしも十分には理解できない部分も残りました。行政が作成する映像は常に何らかの目的を持つはずです。今回の映像が環境エンリッチメントの理解を促進するものと考えた場合、映像前後で環境エンリッチメントへの理解の向上が実現したのかを調査することも重要な意義を持つと考えます。
準特選となった筑西市の「ツウだ筑西胃喰王【めし処よこた編】」は、私としては最も優れたものだと考えました。これからは積極的に取り組むことが求められる縦型動画に挑戦し、インパクトの強い映像になっていました。ところどころにある文字だけのシーンにも迫力があり、インパクトにつながっていると評価します。案内人のキャラクターも明確であり、わかりやすい内容であり、実際に食べてみたい気持ちにさせられました。
入選の笠間市の「候チャンネル(道の駅かさま編)」については、ターゲットが明確な興味深い動画になっています。視聴者に想定している台湾の人々にとって、道の駅かさまがなぜ魅力になるのかがさらに深掘りできているとなおよかったでしょう。一方で、私がYouTubeを確認した時点では再生回数が200回程度にとどまり、映像をつくるだけではなく、この映像に、視聴者をどう引き込むのかが課題になると考えます。
広報コンクールとしては「映像部門」としての評価になりますが、本来、広報とは認知を広く獲得し、対象を明確にして関心を惹きつけ、着地点に誘導し、信頼と共感を提供した上で、期待する行動を促進する一連の仕組みだと考えます。そうした一連の流れの中で、映像がどこでどのように働くかを常に意識した取り組みが求められると考えます。
特選の動画は、環境エンリッチメント大賞を受賞したかみね動物園の取り組みを通じて、動物福祉や動物園の役割について深く考えさせる内容でした。特に、動物福祉の観点から、動物たちの生活環境をより自然に近づける工夫や、動物本来の行動を引き出す取り組みが丁寧に描かれており、視聴者に強い印象を与えます。動画内では、生き生きと暮らす動物たちの姿がリアルに描かれ、動物園が単なるレジャー施設ではなく、動物福祉や教育の重要な場であることが再認識されます。
特に興味深かったのは、動物園の「裏側」に焦点を当てた視点です。飼育員が行う餌の準備、動物の健康管理、行動観察といった日常業務が詳細に描かれ、こうした地道な努力が動物たちの豊かな暮らしを支えていることが分かりました。飼育員の献身的な姿勢を浮き彫りにすることで、動物園が単なる動物の展示場ではないことを視聴者に伝えることに成功しています。
一方で、準特選の筑西市の取り組みは、これからの市の広報のあり方を考える上で非常に示唆的でした。デジタル化の進展や市民ニーズの多様化に対応する広報の進化が求められる中、SNSやAIを活用した個別化情報配信は重要な要素となっています。これらの施策は、市民との信頼関係を築き、地域社会全体の安全と安心を支える基盤となり、地域密着型の情報発信が広報の重要な柱となると考えられます。地元のイベントや成功事例、住民の声を取り上げることで、視聴者が市の広報に関心を持つきっかけを作ることができます。さらに、エンタメ性を高めた広報や、SDGsを軸とした持続可能な取り組みのPRが進むことで、広報活動はより魅力的かつ社会的意義を持つものへと進化していくでしょう。
さらに、地域間連携による効率的な広報活動も今後の重要な方向性です。近隣の自治体と連携し、広域的な課題や観光資源を効果的に発信することで、コスト削減と情報発信力の強化が期待されます。このように、デジタル技術と地域性を融合させた魅力的な広報が、これからの市の広報の鍵となるといえます。視聴者に新たな視点を提供し、共感や理解を促すこれらの取り組みが、今後もさらに進化していくことを期待しています。