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ホーム > くらし・環境 > 人権・男女共同参画 > 人権 > 茨城県人権施策推進基本計画 目次 > 茨城県人権施策推進基本計画 第3 分野別施策の推進
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更新日:2025年7月14日
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女性の人権をめぐる動きについては,世界各国に共通した課題であるとして,国連は,昭和50年(1975年)を「国際婦人年」と定め,続く10年間を「国連婦人の10年」として位置付けるなど,世界的規模での取組が進められてきた。わが国においても,「女子差別撤廃条約」の批准(昭和60年(1985年))をはじめ,「男女雇用機会均等法」,「男女共同参画社会基本法(平成11年)」の制定などが進められるとともに,女性に対する暴力の関係では,「ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年)」,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年)」を制定するなどの法制面での整備が行われている。
本県では,昭和55年(1980年)に第2次県民福祉基本計画において「婦人の福祉の向上」が位置付けられて以来,昭和61年(1986年)の新県民福祉基本計画においても「女性の地位向上と社会参加の促進」として位置付けられ,平成2年(1990年)には庁内の推進体制として,「茨城県女性対策推進本部」を設置し,平成3年(1991年)には「いばらきローズプラン21」を策定するとともに,いばらきローズプラン21推進委員会を設置するなど,女性行政施策の推進を図るための体制を整備した。さらに,平成8年度から17年度までを計画期間として,男(ひと)と女(ひと)のよりよいパートナーシップの確立を基本理念とする「いばらきハーモニープラン」を平成7年度に策定し,また,「男女共同参画社会基本法」の理念を受け,平成13年3月に「茨城県男女共同参画推進条例」を制定(同年4月施行)するとともに,同法に基づく法定計画として「茨城県男女共同参画基本計画(平成14年3月)」を策定し,男女共同参画社会の実現に向けた施策の積極的な推進に努めている。
また,ドメスティック・バイオレンス対策として,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」に基づき,婦人相談所に「配偶者暴力相談支援センター」を設置し,休日夜間の相談対応や心理的ケアなどを実施するとともに,関係機関との連携を強化し,配偶者等からの暴力被害者の迅速かつ的確な保護に努めることとしている。
法律や制度は整備されてきているが,県男女共同参画社会県民意識調査(平成12年度女性青少年課。以下「県民意識調査」という)の結果では,「社会通念・慣習・しきたり」について「男性の方が非常に優遇されている」「どちらかといえば男性の方が優遇されている」と答えた人が,男女ともに約80パーセントという結果になっており,「男は仕事,女は家庭」という考え方に代表されるような,性別による固定的役割分担意識の解消が必要である。
そのため,行政と県民,事業者が一体となった総合的な取組を図れるような相互の連携・協力の強化を図る必要がある。
また,県は県民等からの様々な苦情等について,迅速に対応できるような体制の
整備を図るとともに,多様な媒体を通じた意識啓発や法律・条例等の周知,情報提供,調査・研究を行い,男女平等意識の醸成を図り,男女それぞれの人権が尊重される社会の構築に向けた取組を推進する必要がある。
女性の人権について理解を深めるとともに,男女が互いに認め合い協力し合う態度を育成するためには,男女共同参画の視点に立った教育・学習の充実が必要である。
男女がそれぞれの個性と能力を十分に発揮し,社会のあらゆる分野に参画していくために,生涯学習の振興は重要であり,多様化,高度化した学習需要への対応が望まれている。
学校教育関係者及び社会教育関係者に対する男女共同参画に関する理解の促進を図ることが求められている。
近年,配偶者等に対する暴力,特に,親しい間柄にある男性から女性に対する暴力(ドメスティック・バイオレンス)等については,大きな社会問題となっている。
県民意識調査では,殴ったりけったりという身体的な暴力の被害を受けたことが何度もあると回答した人が,女性5.0%,男性1.1%という結果となっており,「男女間における暴力に関する調査」(平成12年2月総理府(現内閣府))においても,同様な傾向がみられる。
このようなことから,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定(平成13年4月)され,実効性のある取組が求められている。
さらに,ストーカー行為などの暴力の根絶を目指し,「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(ストーカー規制法)が制定(平成12年5月)されている。
また,「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(男女雇用機会均等法)にセクシュアル・ハラスメント防止対策の徹底が明記され,事業主における取組が必要となっている。
そのため,配偶者等に対する暴力,特に,親しい間柄にある男性から女性に対する暴力(ドメスティック・バイオレンス)等を防止するための理解と協力が得られるよう啓発普及を推進するとともに,誰もが気軽に相談できる環境や保護体制の充実を図る必要がある。
売買春に対しては,その根絶に向けて,取り締まりの強化を図るとともに,被害者の保護や社会復帰支援などを図る必要がある。
さらに,セクシュアル・ハラスメント防止のための啓発をより一層推進するとともに,職場などにおける相談,カウンセリング等への取組の充実を図る必要がある。
情報化が進展する中で,新聞,書籍,テレビ,ラジオ,映画,インターネットなど多様なメディアからの様々な情報は,人々に大きな影響を与えている。
また,様々なメディアにおける女性の人権の尊重への配慮に欠けた,あるいは性別による固定的な役割分担意識に基づいた情報や性に関する情報等の氾濫などは,特に青少年への有害な影響が懸念されている。
そのため,女性の人権の尊重への配慮に欠けた,あるいは性別による固定的な役
割分担意識に基づいた情報の発信を防ぐためのガイドラインを作成するなどの対策が必要である。
国際婦人年(昭和50年)以来,男女共同参画社会の形成に向けての取組は,国連の取組等国際的な動きに連動する形で行われてきたが,近年はますます,政治,経済,文化など社会のあらゆる分野で情報化,国際化が進展している。
国際交流,国際理解のためには,国レベルの取組だけではなく,地域レベルでの男女が共に参画したNPO等の活発な活動が期待されている。
本県は,外国人登録者数が4万9千人を超えるなど,筑波研究学園都市をはじめとして,県内各地域における国際化が急速に進展しており,在住及び来県外国人の女性の人権が尊重される暮らしやすい環境づくりが必要である。
(ア)社会制度・慣行の見直しのための意識啓発や定期的な調査を実施する。
(イ)法制度の周知と法律知識(法識字)の普及を図る。
(ウ)県においては,関係各部局の連携強化に努め,男女共同参画施策を全庁的に推進する。
(エ)男女共同参画を推進するための拠点機能を充実強化し,各関係団体等のネットワークの推進と団体の活動 の支援を行う。
(オ)苦情等の申出及び申出の処理体制の充実強化を図る。
(カ)配偶者暴力相談支援センター・警察・福祉事務所などの,配偶者等からの被害者保護にかかわる関係機関の連携強化を図る。
(キ)広報誌,テレビ,ラジオ,インターネット等の多様な媒体を通じて,男女共同参画の視点に立った広報・普及活動の推進を図る。
(ア)学校における男女平等の意識を高める教育活動の充実を図る。
(イ)学校の教育活動全体を通じた男女共同参画を推進する実践的活動の充実を図る。
(ウ)男女共同参画を推進する教職員研修の充実を図る。
(エ)男女共同参画を実現する家庭科教育の充実を図る。
(オ)社会教育における男女平等教育プログラムの充実を図る。
(カ)社会教育関係者に対する意識啓発や研修の推進を図る。
(キ)男女平等観に立った家庭教育の推進を図る。
(ク)町内会等地域活動における男女共同参画に関する理解の促進を図る。
(ケ)夫婦共同による子育ての重要性について広報・啓発活動の充実を図る。
(ア)配偶者等に対する暴力の防止についての社会的認識の徹底を図るため,広報啓発を行う。
(イ)行政だけではなく,民間団体や地域住民等幅広い関係者との連携を促進し,地域を挙げての取組の推進を図る。
(ウ)企業において,「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」に基づき,セクシュアル・ハラスメント防止対策が図られるよう啓発を行う。
(エ)県において,相談員の配置や研修の実施など,セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進を図る。
(オ)被害者に対する相談・カウンセリング体制の充実を図るとともに,携わる職員研修の充実を図る。
(カ)被害者の精神的負担を軽減し,その立ち直りを支援するための活動の推進を図る。
(キ)シェルターの設置等被害者に対する一時保護,救済,自立支援体制の整備や支援の充実を図る。
(ク)配偶者暴力相談支援センター・警察・福祉事務所などの,配偶者等からの被害者保護にかかわる関係機関の連携強化を図る。
(ア)男女共同参画の視点に立ち,女性の人権に配慮した情報の発信に対する理解と配慮を促進する。
(イ)県で発信する情報・刊行物に対するガイドラインを策定し,メディアにおける人権尊重の推進を図る。
(ウ)「青少年のための環境整備条例」の遵守の徹底による有害環境の浄化を推進する。
(エ)人権に配慮したメディア・リテラシー(情報を活用できる能力)向上のための広報啓発を行う。
(オ)学校教育における情報モラル教育の推進を図る。
(カ)生涯学習における情報を活用できる能力の向上に関する学習の推進を図る。
(ア)男女共同参画に関する取組や現状について国際理解を深めるために,情報収集と提供を行う。
(イ)国際規範・基準等に対する理解を深めるための広報啓発を行う。
(ウ)広く県民の参加を促し,国際交流,国際協力の推進を図る。
(エ)若い世代の国際交流,国際協力を図るための施策を展開する。
(オ)外国人女性に対する人権の尊重への配慮とともに,各種相談,支援等の充実を図る。
(カ)県のホームページによる情報発信のほか,外国人向け情報提供の充実を図る。
(キ)ホームページの多言語化を段階的に図ることなど,情報提供の多元化により,外国人に開かれたまちづくりを推進する。
(ク)外国語による公共表示等により,暮らしやすい環境づくりを推進する。