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更新日:2025年7月14日

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茨城県人権施策推進基本計画 第3 分野別施策の推進

2 高齢者

(1)国、県の動向

人口の高齢化は世界的な規模で急速に進んでおり,わが国では,2015年には4人に1人が65歳以上という本格的な高齢社会が到来すると予測されている。
高齢化対策に関して国際的には,昭和57年(1982年)に「高齢化に関する国際行動計画」が,平成3年(1991年)には「高齢者のための国連原則」がそれぞれ採択され,また,翌年(平成4年)には,平成11年(1999年)を「国際高齢者年」とする決議が採択されている。わが国においては,「長寿社会対策大綱」(昭和61年閣議決定),さらには,「高齢社会対策基本法」(平成7年)に基づく,「高齢社会対策大綱」(平成13年12月閣議決定)によって,国際的な動向も踏まえながら各種の対策が講じられている。
 本県としては,昭和62年(1987年)5月に「茨城県高齢化対策推進本部」を設置し全庁的な取組体制を整備するとともに,昭和63年(1988年)には,高齢化社会において県が取り組むべき施策の方向や具体的な手法を明らかにした「茨城わくわくプラン」を策定し,高齢化対策関連施策を総合的に推進してきた。
 また,平成6年(1994年)3月には「茨城県老人保健福祉計画」を策定し,平成12年(2000年)3月には,平成12年4月の介護保険制度施行にあわせ,茨城県高齢者保健福祉計画及び茨城県介護保険事業支援計画の総称である「いばらき高齢者プラン21」を策定した。また,このプランについては,介護保険財政の安定化とニーズに対応した高齢者保健福祉施策の充実強化を図るため見直し,平成15年3月に「第2期いばらき高齢者プラン21」を策定している。
 このプランに基づき,高齢者が要介護状態になっても自立し,安心して生活できる環境を整備するとともに,高齢者が豊かな人生経験や知識を生かして積極的に社会参加し,地域住民や若い世代とふれあいながら,健康でいきいきと生きがいを持って暮らすことのできる社会づくりを積極的に推進している。

(2)現状と主な施策推進上の課題

ア 高齢者の学習・社会参加

人々の価値観や家族観,行動様式,生き方などが大きく変化する中で,高齢者は,自分の健康増進・趣味,ボランティア等の社会活動に参加している。高齢者がそれぞれの生活課題等に応じて必要な学習を行い,自らの個性と能力を伸ばし,生きがいのある充実した生活を送れるようにすることが重要な課題となっている。
そのため,
 ・社会参加活動に対する啓発や情報の提供
 ・高齢者が更に参加しやすい場の提供や機会の充実
 ・高齢者が,自主的・主体的に地域づくりに参画できるような環境の整備
を進める必要がある。

イ 高齢者の雇用

高齢者は,60歳以上の求職者100人に対して求人が約12人という状況であり,完全失業率も60~64歳は8.1%(平成13年度)と厳しい状況にある。
 60歳定年制が多い中で,原則として65歳に支給開始となる年金制度であることか
ら,高齢化の進展に伴い,今後ますます,勤労意欲の強い高齢者が増える状況にある。
 そのため,高齢者が,その意欲と能力を発揮することが出来る多様な就労の機会を確保することが必要である。
 また,60歳以上定年の完全定着を図るとともに,65歳までの継続雇用を促進する必要がある。

ウ 高齢者の権利擁護

高齢者の中には,加齢に伴う判断能力の低下や身体機能の減退により,身の回りのことや金銭管理が困難となり,虐待,金銭の搾取等権利を侵害される事例があるが,民生委員やホームヘルパーでは適切な対応がとれない状況にある。
 これらの問題に対処し,判断能力が十分でない者を保護・支援するため,本人や家族からの申し立て(所要の申し立て費用等が必要)に基づいて,「後見人」,「保佐人」,「補助人」を選任する成年後見制度が平成12年4月から開始された。
 成年後見制度は,財産管理及び身上監護に関する契約等の法律行為全般を行う仕組みであるが,判断能力が不十分な者に対しては,日常生活上必要な福祉サービスの利用援助や金銭管理を行う等のサービスを提供する必要がある。
 また,高齢者への虐待については,早期に発見し対応できる体制を整備するとともに,虐待を防止する取組を推進する必要がある。

エ 保健・医療,福祉サービス供給体制の整備

急速な高齢化により,寝たきり,痴呆,一人暮らしといった,生活上何らかの支援を必要とする高齢者が増加している。
 介護を必要とする高齢者が安心してサービスを受けられるよう,介護サービス基盤の整備に努めるとともに,高齢者が住み慣れた家庭や地域の中で,継続して自立した生活が送れるよう,介護予防や生活支援などの保健・福祉サービスを総合的・効果的に提供できる体制を整備する必要がある。
 また,介護保険施設等における身体拘束廃止に向けた取組の支援や意識啓発活動,痴呆介護実務者研修等を通じて,より質の高い介護サービスの提供を確保する必要がある。

オ 高齢者にやさしいまちづくり

 高齢者の一人暮らしや高齢者夫婦世帯が増加している中で,安全・快適に暮らすことが出来る良質な住宅や高齢者が使いやすい公共施設等の整備が必要になっており,高齢者が安心快適に暮らすことの出来る,生活基盤を確保する必要がある。
 また,高齢者は,社会・経済的条件から,住宅賃借等の場合に差別されることもあり,高齢者向け賃貸住宅需要に対応して,高齢者が差別されることなく安全かつ円滑に入居することの出来る住宅を確保する必要がある。
 さらに,高齢者人口の増加に伴い,高齢者が関係する交通事故の発生件数は年々増加傾向にあり,この10年間で約2倍となっている外,高齢者が被害者となる事件も増加,10年間で約3倍となっている。高齢者の事件・事故の被害を未然に防止するためには,きめ細かな交通安全教育,交通安全施設の整備,運転者対策,防犯教育等を推進する必要がある。

(3)今後の取組方針

ア 意識啓発活動の推進

(ア)高齢者に対する尊敬や感謝の心を育てるため,施設などとの交流を深め,児童生徒が高齢者とのふれあいを体験する機会やボランティア活動への参加を推進する。

(イ)長寿をたたえる事業などを通じて,高齢者を敬愛する意識を醸成し,高齢者の人権や福祉についての県民の理解を深める。

イ 生きがい対策の推進

(ア)老人クラブ等との連携を深めるとともに,スポーツ活動,教養講座,意識啓発等を行う「高齢者はつらつ百人委員会」等の活動を支援し,社会参加活動,生きがいづくり事業を促進する。

(イ)高齢者と児童等との世代間交流による生活文化等の伝承活動等を促進する。

(ウ)各地域において活動する老人クラブ等への助成を行い,地域交流の促進を図る。

(エ)高齢者の社会参加に関する情報の収集・提供を行うとともに,学習,社会参加活動に係る相談体制の充実を図る。

ウ 就労対策の推進

(ア)長年にわたり培った知識,技能,経験を発揮することができる雇用の場を確保するため,希望すれば65歳まで働くことができる環境整備に努める。

(イ)定年退職後等において,生きがいの充実や社会参加を希望する高齢者に対して,臨時的,短期的な就業の場を提供するため,シルバー人材センターやミニシルバー人材センターの充実強化を図る。

エ 高齢者の権利擁護への対応

 茨城県社会福祉協議会に設置した「地域福祉権利擁護センター」における権利擁護事業の積極的な推進を図り,判断能力が不十分な者が地域で自立した生活が送れるよう必要な援助を行う。
 また,高齢者に対する虐待への対応については,県が設置する高齢者総合相談センター,国民健康保険団体連合会が設置する相談窓口等への早期相談の啓発や,在宅介護支援センターにおける高齢者実態把握調査の徹底などにより早期発見に努めるとともに,国の動向を踏まえ,市町村との連携を図りながら,虐待防止対策について検討する。

オ 保健・医療,福祉サービス供給体制の整備

(ア)いばらき高齢者プラン21(高齢者保健福祉計画と介護保険事業支援計画の総称)に基づき,在宅サービスの一層の充実を図るとともに,特別養護老人ホーム等介護保険施設の整備を図る。あわせて,高齢者が要介護状態にならないよう,市町村が実施する介護予防教室や運動指導などの介護予防事業,外出支援や軽度生活援助サービスなどの生活支援事業を推進することにより,地域における高齢者の保健,福祉サービスの供給体制の整備を推進する。

(イ)介護サービス従事者に対する研修の実施など人材養成・研修体制の整備に努めるとともに,施設における安全管理の充実・強化と自己評価,第三者評価を推進するなど,介護サービスの質の向上を図る。特に,痴呆性高齢者の介護については,痴呆介護実務者研修の充実強化を図るとともに,痴呆の正しい理解のための意識啓発を推進する。

(ウ)介護保険施設等における身体拘束廃止のため,相談体制を整備するとともに,意識啓発活動を推進する。

カ 高齢者にやさしいまちづくりの推進

(ア)「ひとにやさしいまちづくり」の普及・啓発を推進する。

(イ)「ひとにやさしいまちづくり条例」に基づき,病院や百貨店など多くの人が利用する施設,道路や公園などの公共施設について,高齢者の身体的機能の衰えがハンディキャップとならないような施設整備を推進する。

(ウ)高齢者をはじめとするすべての人が,安心していきいきと暮らせるよう,保健・福祉・医療等が一体となり,ユニバーサルデザインに配慮した人にやさしいまちづくりのモデルとして『やさしさのまち「桜の郷」』の整備を推進する。

(エ)公営住宅においては,高齢者に配慮した住宅のバリアフリー化を推進する外,高齢単身・夫婦世帯等を対象として,福祉施策と連携して生活援助員の派遣を行うシルバーハウジング・プロジェクトの取組の拡大を図る。

(オ)民間賃貸住宅においては,高齢者向け優良賃貸住宅の供給促進を図るとともに,高齢者円滑入居賃貸住宅の登録・閲覧制度により,高齢者の方が安心・円滑に入居できる賃貸住宅の情報提供を行う。

(カ)高齢者の交通事故防止対策として,高齢者の利用度の高い福祉施設等の周辺地域に,バリアフリー対応型信号機を整備するなど,高齢者にやさしい道路環境の整備を推進する。
 また,現在推進している,参加・体験・実践型や出前式の交通安全教育の外,民間ボランティア「シルバー・サポーター」の高齢者世帯への訪問による交通安全指導,防犯指導及び各種安全情報の提供等,高齢者のライフスタイルに合わせた各種安全活動を関係機関・団体と連携しながら推進する。

*ユニバーサルデザイン:

まちづくりや商品開発において,高齢者や障害者をはじめ誰もが分け隔てなく快適に利用できるよう,   形や機能を設計段階から取り入れていくこと。バリアフリーの考え方をさらに進めたもの。

このページに関するお問い合わせ

福祉部福祉政策課人権施策推進室

〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-3135

FAX番号:029-301-6200

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