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更新日:2022年2月18日

令和3年茨城県広報コンクール特選受賞感想文・講評「映像部門」

感想:53分の長編映像に込めた想い
阿見町 町長公室 秘書広聴課
広報戦略室 係長 山本英宏

 

 阿見町の最大の特徴として、「長く海軍の町としての歴史を歩み、忘れることのできない多くの事柄を風土と歴史の中に刻み込んでいること」、そして「全国19か所で行われていた予科練教育の中心的な役割を担ってきたこと」が挙げられます。

 このことから、映像製作にあたり「予科練」をテーマに取り上げることはすぐに決まりました。しかし、15年におよぶ「予科練」の歴史すべてを表現することは難しい…。構成については、とても頭を悩ませました。

 監督・脚本をお願いした映画監督の松村克弥さんと熟考を重ね、さまざまな案の中から、現在も語り部として活躍する「町在住の元予科練生」を取材し、その方の経験や体験に基づいてストーリーが展開する、本作「若鷲に憧れて〜元予科練生の回顧録〜」が完成しました。

 53分という長編の映像作品ではありますが、現在の予科練平和記念館を舞台に、俳優の石井正則さん等に出演いただき、当時の資料写真や映像を活用するとともに、生活や訓練の一部を再現ドラマで表現するなど、映画さながらの映像作品に仕上がったと思います。

  今後もさまざまな世代の方々にご視聴いただき、この映像を通して「予科練という教育機関」や「当時の少年たちの想い」に触れ、現在の阿見町を知り、訪れていただくきっかけになれば幸いです。この度は、特選に選定いただき誠にありがとうございました。

 

講評:筑波学院大学経営情報学部
   ビジネスデザイン学科 助教 兼
   地域連携センター委員 堀聖司

 

 広報映像コンテンツは、情報発信のための手段だけでなく、受け手の視聴形態の多様化が急速に進むなかで、意図や内容の焦点を定めて製作/制作することが求められる時代となっています。

 

 今年度においても、記録として残しておきたい内容を集大成的に映像化した作品や、短編をシリーズ化して定期的に配信することを意図した作品、地域の魅力を伝える映像ライブラリーを構築し、今後の多媒体での活用も意図したと思われる作品など、多様な作品が集まりました。制作された方々の地域広報に対する熱意に思いを巡らせながら大変興味深く拝見すると同時に、これらの作品を「映像」というフォーマットにおいて同じ基準で審査する、ということの難しさも感じました。

 

●特選 阿見町「若鷲に憧れて ~元予科練生の回顧録~」

 広報映像という枠組みにとどまらず一編の映画として、地域に残る戦争の記憶を後世に語り継ぐ重厚な作品です。阿見町在住の元予科練生の方による体験の映像化が、作品を観る者に史実を伝えるだけではない生身の強い印象を残します。この作品のように、広報を長期的視点でとらえたコンテンツの制作も地域行政が担う重要な役割だといえましょう。

●準特選 取手市「取手市名誉市民 木内 幸男 氏 ~高校野球と共に歩んだ人生~」

 この作品も特選と同様、アーカイブとしての意義が高い作品です。茨城県の高校野球史に大きな足跡を残した木内氏の歩みが、ご本人や関係者へのインタビューと取材資料で丁寧に構成されており、記念碑的な映像作品となっています。

●入選 小美玉市 たまたま小美玉またまた小美玉(四季バージョン)

 思わず口ずさみたくなる「ぐるっとまわってまたまた小美玉」という語感のよいフレーズが非常に効果的で、四季折々の明るく楽しい小美玉市の魅力的な映像が、軽快な音楽と相まって自然と見る者の印象に残る作品です。

●入選 IBARAKI 大子

 有名な観光名所の映像はPR効果が高い反面、強い印象を残すことで、他の角度から見た地域の魅力を薄めてしまいがちです。しかし、この作品では思い切って有名どころを使用しないことで、落ち着いた雰囲気の映像によって大子町の新たな魅力を伝えようとする意欲を感じました。

●入選 日立市 まるごとひたち情報ネット 東日本大震災から10年 ~あの日を忘れない~

 映像コンテンツのデジタル化が進んだことで、制作者(発信者)も視聴者も、メディアの選択肢が多様化・細分化しています。その反面、断片的な映像がインターネット上に散在し、全体像の把握が難しいことも多くなっています。この作品のように、地域の綿密な記録を体系的にまとめて残していくこと、風化させないための新たなコンテンツを制作することは重要な意味を持つと感じます。

 

講評:東海大学文学部
         広報メディア学科 教授 河井孝仁

 

  行政広報の一環としての映像を評価するには、単に「美しい」とか、「興味深いストーリーである」ということでは足りない。常に「何のために」という目的の説明、「その目的は実現できたのか」という結果説明が、行政から主権者へのアカウンタビリティとして求められる。

 その意味では、このコンクールにおいて、本来は成果指標の明確化やその指標の実現度合いが必要となると考える。今後の課題となるだろう。

 そのうえで、今回の特選となった阿見町の「若鷲に憧れて~元予科練生の回顧録~」は、 脚本、俳優の演技を含め完成度の高い作品であることは確かである。また、様々な物事を複眼的に見る力、地域の風景の見え方を変える力を持つことにも意義を持つ内容であると考える。その一方で、この映像によって、市民の幸せにつながる何を達成しようとしたのか、そしてそれは達成できたのかという視点を持つことが重要となる。

 このことは、準特選となった取手市の「取手市名誉市民 木内幸男氏~高校野球と共に歩んだ人生~」についても言うことができる。インタビューの構成は適切で、丁寧な字幕もあり、納得できる内容であり、記録映像としても意義があると思われる。しかし、この内容で、応募時に記載されていた「全市民を対象として全世代をターゲットにする」という状況が実現できるのか、いささか明確ではない。高校野球に興味のない市民への訴求を図るのであれば、取手市と高校野球の関係など、さらに踏み込みが必要だと考える。

 審査員として興味深く見たものに、古河市のYouTuberを起用した作品がある。YouTuberの力が十分に生かされ、ふるさと納税返礼品となる炊飯釜の紹介には引き込まれるものがあった。ただし、YouTuberの起用にあたっては、そのYouTuberの番組がどのような人に登録されているのかなどの分析が必要になる。今回ターゲットとする「返礼品の詳細情報を求めている人」が、どのようにして、この映像にたどり着くのかという戦略についても応募時の記載が欲しかった。

 今回の応募作品全体として、そうした戦略性が十分に明確になっているものが多くはなかったという印象は残った。

 

  

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