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更新日:2014年2月20日

知事定例記者会見における発言要旨140220

この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。

(作成:広報広聴課)
平成26年2月20日(木曜日)
13時00分~14時10分 庁議室

 平成26年度当初予算案等について(1)

毎日(幹事社):幹事社の毎日新聞です。
今日は,説明事項があるということで,まず,知事からお願いします。

知事:まず,一つには,第1回定例会に提案する予算案その他の概要を説明させていただきたいと思います。
既に具体的な事業については説明をしているところでございますので,基本的な考え方について説明申し上げたいと思います。
まず,国におきましては,平成26年度当初予算案を「経済再生・デフレ脱却と財政健全化をあわせて目指す予算,社会保障・税一体改革を実現する最初の予算」と位置づけて,一般会計の予算総額で95兆円余の予算を編成しているところであります。また,消費税率の引き上げ後の反動減を緩和し,成長力を底上げするとして,5.5兆円の平成25年度補正予算も編成しているところであります。
こうしたことを受けて,国の地方財政計画が策定されておりますが,通常収支分につきまして83兆円余となっておりまして,前年度比で1.8%の増となっております。
また,地方一般財源総額については,前年度比でプラス1.0%の増となっているところであります。
一方で,震災からの復旧・復興に係る震災復興特別交付税が引き続き別枠で5,700億円計上されておりますほか,防災・減災対策のための緊急防災・減災事業債による手厚い財政措置が継続されたところであります。
こうした状況を踏まえて平成26年度予算を編成したところでありますが,引き続き東日本大震災からの早期復旧と復興に全力を挙げて取り組むとともに,防災体制を充実強化し,災害に強い県土づくりを進め,本県を再び発展の軌道に乗せられるよう取り組んでまいりたいと考えております。
また,東日本大震災及び福島第一原発事故以降,県内では大変な勢いで人口減少が進んでいるところでございます。一方では,地域間競争も激化しており,元気な地域づくりをこれまで以上に強力に進めていかなければならないと考えております。
こうしたことを前提に,働く場の確保など,経済・雇用対策に積極的に取り組みますとともに,産業大県づくり,生活大県づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。
来年度の一般会計の予算規模は1兆904億円,対前年度比119億円増で,プラス1.1%となっております。これは,緊急輸送道路の整備や津波遡上対策など,復興関係の公共事業を中心に,東日本大震災関連事業を大幅に増額したことなどによるものであります。
また,震災関連の経費を除いた伸び率は,前年度比でマイナス0.3%となっております。
次に,歳入歳出の具体的な内容でございますが,県税収入につきましては,地方消費税率の引き上げ,あるいは企業業績の回復による法人二税の増などにより4%の増を見込んでおります。
また,地方交付税につきましては,臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税として,ほぼ昨年と同程度の額を見込んでおります。
次に,歳出でありますが,東日本大震災への対応といたしまして,被災者の生活再建支援や,中小企業の経営支援を継続しますほか,風評被害対策などに取り組んでまいりたいと考えております。
また,防災体制の強化に一層重点的に取り組むこととし,堤防のかさ上げなどの津波対策や耐震強化岸壁の整備,県立学校の耐震化,さらには,防災情報ネットワークの再整備などを進めてまいります。
次に,経済・雇用対策でございますが,中小企業の資金繰りをより円滑なものとするために,借換制度を新たに創設してまいります。
また,県内中小企業や農林水産業者の海外への販路拡大を支援するため,ジェトロ貿易情報センターの誘致や,海外の展示会への出展支援などの施策を盛り込んでおります。
さらには,新たな産業を創出するためのベンチャーファンドの創設や,コンテンツ産業の育成支援などにも取り組んでまいります。
また,特別会計,企業会計を含んだ公共事業費につきましては,国補,県単合わせて約1,159億円で,前年度比でプラス11.1%となっているところであります。
雇用対策につきましては,基金を活用いたしまして,県事業での雇用創出人数3,800人以上を確保することとしております。
次に,産業大県,生活大県づくりの主なものについて申し上げます。
一つには,人が輝くいばらきづくりとして,小学校における少人数学級を5年生,6年生まで拡充し,中学1年生まで全ての学年で少人数学級を導入してまいります。
次に,活力あるいばらきづくりという点では,中小企業等の海外展開の支援,あるいは,コンテンツ産業の育成などとあわせて,農地の集約化のための取り組みへの支援などを行ってまいります。
また,住みよいいばらきづくりということでは,小児医療費助成事業,いわゆるマル福の対象年齢を,外来は小学6年生,入院は中学3年生まで拡大してまいります。
さらに,児童生徒の通学路の安全対策等々に予算を計上しているところであります。
そして,次に,(別葉の)資料をごらんいただきたいと思います。
今申し上げたようないろいろ個別の事業があるわけですが,特に,今回の予算において特徴的なものとして,三つほどここに書かせていただいております。
一つには,「世界に開かれたいばらきづくり」ということで,大変グローバル化が進んできておりますので,それに対応するための体制の整備と施策を書いてございます。
まず,体制の整備につきましては,本県の国際政策全般を取り扱う窓口機能及び総合調整機能を強化するため,国際政策統括監を設置します。また,国際課を知事直轄に移管してまいります。
具体的にどういうことに取り組んでいくかということでありますが,一番上にあります中小企業海外進出支援事業,これはジェトロ貿易情報センターを誘致して相談などに乗っていくこととあわせて,中小企業や,特に農業者等の海外展開を支援してまいりたいと考えております。
また,常陽銀行がシンガポールに事務所を持っていますので,県職員をそこに派遣して,現地情報の収集,進出企業への情報提供,海外展開を検討する企業への支援などを行ってまいりたいと考えております。
また,その次に,いばらき農産物等輸出拡大事業と書いてありますが,海外展示会への出展支援などを行ってまいりたいと思っております。
さらに,空港就航対策利用促進事業,あるいは,外国人観光客誘客促進事業,さらには,国際社会で活躍できる人材育成事業などを新しいものとして取り組んでいるところであります。
一番最後に書いてあるものは,ハワイ大学における英語指導法研修へ教員を派遣するものであり,これは,今度,小学校で英語教育が格段に拡大されることになっておりますので,それに対応した英語ができる先生方の養成のためのものであります。
二番目に,「女性が輝く社会づくり」ということで,安倍政権の中でも,これからの成長というものを考えた場合,活力ある地域社会をつくっていく上で,女性が創造力を発揮して,社会に参画して,もっともっと元気になってもらわなければいけないということが強調されているところでございますが,左側に書いてありますように,体制の整備として,産業界,労働界,女性起業者などからなる会議を設置して,そこで女性の雇用の場における活躍推進やキャリア形成の支援,働きやすい職場環境の整備,就業・起業支援等の方策など,そういったことについて広範な意見をいただいて,施策に反映してまいりたいと思っております。
具体的な事業については,右側に書いてありますが,ハーモニートップセミナー,これは,市町村長や経営者などトップの方々に集まっていただいて,シンポジウムや交流会などを開催するということでございまして,トップの方々に意識改革を図っていただこうということであります。
それから,次が女性のチャレンジ支援で,起業を目指す,新しい会社をつくりたいといった女性のための研修会,あるいは,女性のキャリアアップのための研修会などを実施してまいります。
それから,女性の活躍応援宣言登録制度でありますが,企業や団体において,女性の職域拡大など,女性の活躍に関する目標を設定して宣言する制度を実施していきたいと思っております。
それから,女性の管理職への登用推進でございますが,県庁をはじめ,もっともっと女性を登用していけるように,市町村,企業,団体などといっしょになって努力をしていきたいと考えております。
最後が,「県北地域の振興」ということであります。
県北地域におきましては,ご承知のとおり,急激な人口減少,あるいはまた高齢化が見られるところであります。地域資源の活用などにより,定住人口の確保や交流人口の拡大を推進して,少しでも活力を維持していきたいということで,体制の整備という点では,県北振興監を設置してまいります。また,県北振興室を県北振興課に改めていくこととしております。
上のほうに書いてございます定住・移住の促進ということで,定住人口の減少のペースを少しでも落としていきたい。あるいはまた,交流人口を増やしていきたいということで,定住・移住の促進,さらには,交流人口の拡大,これまでも体験型教育旅行というのはやっていますが,これらをもっともっと盛んにしていきたいと思っておりますし,また,平成28年度の開催に向けて,アートフェスティバルといったものを県北地域で実施していきたいと思っております。
また,SLも平成24年度に運行いたしましたが,平成26年度にも運行していきたいと考えております。
さらには,食資源の活用ということで,県北地域には,例えば,常陸秋そば,これは極めてすばらしいものでありますので,こういったものについて,例えば,材料を提供して,安くそばを食べてもらえるようなお店を募集して,そこで多くの人に味わってもらって,広めていきたいといったような発想のもとに事業展開をしていきたいと思っております。
この「世界に開かれたいばらきづくり」,「女性が輝く社会づくり」,「県北地域の振興」といったような点が,今回の予算の中で,人が輝く元気で住みよいいばらきづくりの観点とは別な観点から見た事業でございます。

 ベトナム社会主義共和国チュオン・タン・サン国家主席来県について(1)

知事:それから,もう1枚資料があると思います。3月16日から19日まで,チュオン・タン・サン・ベトナム社会主義共和国主席及び同令夫人が国賓として来日されることになっております。滞在中,天皇皇后両陛下がご会見になられるほか,宮中晩餐会を催され,また安倍総理大臣が国家主席と会談し,夕食会を催す予定となっておりますが,資料を見ていただきますと,3月16日に来られて,すぐ午後には茨城県訪問ということになっております。茨城の農業に大変関心を持っていただいているところでございまして,今,農協などもベトナムとの関係をいろいろ強めているところでありますが,ベトナムのフン駐日大使が,茨城の農業をベトナムのほうでも少しでも見習っていって,食を確保できないだろうかということで,年中こちらにも来ていただいているところでございます。フン大使がサン主席に対して,ぜひ茨城を見たらどうかということを推薦していただいたのではないかと思いますが,到着早々に茨城県を訪問していただけることになっております。
私どもとしても,現地を見ていただくこととあわせて,県内のいろいろな方と会っていただくために,歓迎の夕食会を開催していきたいと思っております。
以上です。

 平成26年度当初予算案等について(2)

毎日(幹事社):では,幹事社の毎日新聞から何点か質問させていただきます。
今も説明がありましたが,今回の予算の編成において反映した,知事の考え方や思いについてお伺いできますか。

知事:これまでも進めていますが,災害からの復旧・復興は,風評被害対策を含めてまだ途上でありますから全力で取り組む。残っている事業にはできるだけ市町村と協力しながら早く対応していくということが基本であります。
また,風評被害についても,きょうも汚染水の問題がニュースで報道されていましたが,何とか国にも働きかけて,風評被害対策をしっかりやってもらいたいと思っております。
またあわせて,災害に強い県土づくりという部分がかなりウエイトが高くなってきているところでありまして,緊急輸送道路はもとより,津波対策等々に予算を計上しているところでございます。
また,緊急経済対策といいますか,雇用の確保をはじめとして,今の景気を少しでもよくできるように国といっしょになってやっていかなければいけないと思っておりまして,経済・雇用対策にも力を入れたところであります。
特に,その中で経済の面でいうと,世界との関係というものをもっともっと考えていく必要があるのではないかということで,「世界に開かれたいばらきづくり」というものを別の大きなテーマとして書いてあるところであります。
既にジェトロ貿易情報センターの誘致については取り組んでいるところでありますし,また,常陽銀行とも,県職員の派遣について,ビザの関係などありますが,できるだけ協力してほしいということで,今,調整を進めております。
さらに,中小企業ばかりではなくて,農産物の輸出ということが,攻めの農業ということの中で国でも大変重要なポイントになってきておりますので,こういったことにも力を入れていきたいというつもりで,「世界に開かれたいばらきづくり」というものを掲げさせていただきました。
また,一方では,こうしたこととあわせて,産業大県,生活大県づくりということはずっと続けていかなければいけないことでありますので,財政の関係もあって,いきなりとはいきませんが,今度,小学5,6年生に少人数教育を導入する。そして,中学1年生までで実施できるということになってくるとかなり進んだほうになってくると思っております。
今,安倍内閣の下でも教育再生が大変大きな課題になっているわけでありますが,そういった中での本県における独自の活動としてやっていきたいと思っておりますし,特に,道徳教育については,本県が国内で一番先に平成19年度から県立高校の1年生で導入しているところでありますが,これを高校2年生でも月1回ぐらい導入できないかということで検討を進めていくことにしております。
一方,少子化対策ということで,この間も森少子化担当大臣も来られて,出会いサポートセンターなどについて大変関心を持たれて帰られましたが,そういったこととあわせて,親の負担の軽減という点で,マル福,小児医療費助成事業の対象の拡大に思い切って踏み込むことといたしました。
これについても,最初,小学6年生までと考えておったのですが,皆さん方の強い要請を考え,あるいはまた,入院の場合には,特に,費用が大分かさむということも考えて,中学3年生まで拡大することとしたところであります。
そういった形で,生活大県づくりという意味でも,少しずつではありますが,中身を充実させていきたいと思っております。
また,「女性が輝く社会づくり」と「県北地域の振興」については,これは新年の訓示でも職員にも話したところでありまして,これから人口減少が急速に進んでいく中で,そしてまた,男女共同参画社会づくりを進めていかなければいけない中で,県としても女性が活躍できる環境をつくるということにいろいろな方の知恵を借りながら取り組んでいく必要があるのではなかろうかと思って,こういった形でまとめさせていただきました。
「県北地域の振興」については,グリーンふるさと振興機構がどうなるか,今,廃止の方向で進んでいるわけでありますが,そういったことも見据えながら,県北地域については,これから急速な人口減少,高齢化がさらに予測されますので,それに対応するための方策をみんなで考えていきたい。そして,県だけではなくて,市町村長さん方も含め,トータルに考えていかなければいけないということで,調整役として県北振興監を設置することにしたところです。

毎日(幹事社):2点目なのですが,今回の予算編成に当たって苦労された点,工夫された点についてお伺いできますでしょうか。

知事:予算編成の上でというよりは,大分厳しい話も出てきていましたので,地方財政対策の中で,一般財源がどれだけ国のほうからきちんと手当てしてもらえるのかということ,具体的には,地方交付税がどうなるのだろうかとか,あるいはまた,災害関係の特別枠の予算,最終的には5,700億円確保されたのですが,震災復興特別交付税がどうなるのだろうかとか,いろいろ心配するところがあったものですから,そういうものがどうなってくるかなということを非常に気にしておったところであります。結果的には,まあまあのレベルになったのかなと考えております。

毎日(幹事社):予算の関連で,最後に1点なのですが,今回,さまざまな政策を掲げられていますが,特に知事が注力された施策について,改めてご説明いただけますでしょうか。

知事:先ほど来申し上げていますように,災害に強い県土づくりというものを長期的に目指していく中で復旧・復興に徹底して力を入れていくということとあわせて,これからの茨城をどう考えるかといったときに,前々から「人が輝く元気で住みよいいばらきづくり」というものは言ってきておりますが,それは分野ごとの発想ということになっております。それを貫くような横軸的な発想で,資料に書いてあります三つのテーマを出してみたということでありまして,こういった視点で仕事を進めることが大変大事になってくるのかなと思っております。
例えば,「世界に開かれたいばらきづくり」では,例えば,多文化共生社会をどうやってつくっていくかとか,いろいろな課題があるわけであります。そういったことを何とか県がリードする形でやっていければいいなと思っております。
大企業などはもうそんなことは当たり前のこととしてやっているわけですので,中小企業,あるいは農家などに対して,我々としてお手伝いできるところがあったらと思っております。
また,女性の活躍という意味でも,茨城の場合,やや保守的なところがあるものですから,これもほかの県以上に力を入れないとなかなか進展しないのかなと心配しております。県北地域についてもいろいろ取り組んできているのですが,先ほど来申し上げていますような人口減少・高齢化というものは,流れとして全然止まる様相がないということで,何とかこれに対して少しでも抵抗していかなくてはいけないと思っております。

 ベトナム社会主義共和国チュオン・タン・サン国家主席来県について(2)

毎日(幹事社):最後に,1点なのですが,予算とは別なのですが,来月,サン・ベトナム国家主席が茨城県を訪問されるということで,先ほど,県内の農業をアピールされるということだったのですが,サン国家主席は具体的に県内のどちらに訪問されて,県として,農業のどういう点をアピールされたいかというのを改めてお伺いできますでしょうか。

知事:,何カ所か提案している中から視察箇所を選定されることになっておりまして,大使自身,近々,現地を見て,それで決めていきたいという話をしておられます。
栽培の現場,あるいは加工の現場,あるいは研究の現場,そういったところを主席にぜひ見ていただきたいというようなことを大使は言っておられますが,時間の関係で,どのぐらい見られるかということはちょっとまだ決まっておりません。もう少したたないと発表はできないのではないかと思います。

 震災三周年を前にした所感等について

東京A:3.11前で最後の会見ということなのでお聞きします。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から3年が経ちますが,3年が経った社会のありようとか,政治,経済のありよう,国民の意識,それについて何か感想があったらお聞きしたいと思います。
それと,これまで三年,復旧・復興を進めてきたわけですが,それについての考えがあればお聞かせください。

知事:三年間,市町村や被災者の方々と一緒になって復旧・復興に取り組んでまいりました。やれることは着実に進んできていると思っております。ただ,なかなか時間がかかるものがある。例えば,漁港一つとってみても,ヤードを確保しなければ次の工事ができないとかいろいろな問題があります。また液状化対策も含めて遅れているものも若干ありますが,全体としては着実に進んできている。
一方,例えば,水戸市でも,市役所とか市民会館とかをまだ建て直していないわけでありまして,市町村ごとに見れば,これからやらなくてはいけない仕事が随分ある所もあるなという感じはいたします。
全体として見れば,例えば,港湾でも公共岸壁は全部供用開始しておりますし,道路でも不通箇所は1カ所しかなくなってきておりますので,かなり着実に復旧・復興は進んできていると思っております。
ただ,まだまだ解決策が見えないのが原発事故のへ対応であり,これを今後どのように進めていくのか。特に,国のほうで,疫学調査なども含めてどのようにやっていくのかということについては,大変関心を持っております。少なくとも,汚染水の放流ということで,妙な噂がたって,また水産物を買ってくれる人が減ってしまうとか,県北のホテル・旅館のお客さんが減ってしまうとか,そういった事態にはならないようにしてもらいたいと思っております。
我々としては,そういうことをしっかり進めていくための予算ではないかと思っております。

東京A:三年経って,政治とか社会とか経済のありように対して感想があれば。

知事:そういう意味では,今,現状を申し上げたのですが,我々は今のところはまだまだ災害に強い県土づくり,あるいは南海トラフ,東南海トラフ地震への心配などで関心が強いと考えておりますが,一般の人たちがこれをどうやって記憶にとどめておいて,災害についての準備をしていくかという意味では,原発事故も含めて,大分意識が薄くなってきているのかなという感じがします。
そういった意味で,今度の三周年の追悼記念式典も3.11ということで,毎年,思いを新たにしていく意味において必要があるのではないかと思っております。それは亡くなられた方々に対して追悼するということとあわせて,これからどういうふうに我々が過ごしていけばいいか,社会をつくっていけばいいかということについて意識を新たにするものでもあるのだろうと思います。

 エネルギー基本計画について

東京A:原発の再稼働について,現政権は,原子力規制委が審査で安全が確認できた原発は再稼働していくという,判断を規制委のほうに投げているわけですが,一方で,政府は,まだ閣議決定はされていないのですが,エネルギー基本計画の中で,原発は重要なベース電源と位置づけようとしているという動きがあると聞いています。
知事は,かねてから,3.11以降,減原発を主張されてきましたが,これは今の政権とはずれるというか,ちょっと立ち位置がかわってくると思います。ロードマップとか,減らす原発の指針,それとどういった原発を減らしていくのか,減原発について,そのお考えをお聞きしたいのですが。

知事:減原発については,今度のエネルギー基本計画の中で,将来どのくらい原発に依存するのかということも示されれば本当はありがたいのですが,それについても各党間での考えの違いなどもあるようであります。私としては,前々から申し上げていますように,まず,政府として安全を確約できる,そして,地元の方たちも納得してくれるというものについては,ある程度早期に再稼働させてもいいのではないか,一方で,いろいろな条件から安全を確約するまでには時間がかかる,安全を確認ができない,あるいは地元で猛烈な反対がある,そういったところについては,場合によったら再稼働をやめてしかるべきではないか,その間にあるものについてはしっかりと時間をかけて検証するということを申し上げてきているところであります。
その中で,ある程度原発が動き出した段階で,日本のエネルギー事情がどうなっているのか,省エネルギーが進んで,それほど依存しなくてもよくなっているのであれば,その段階で原発をそんなに増やさなくてもいいでしょうし,(逆に,)まだまだエネルギーが足りない,また,地球温暖化の関係で問題もあるということであれば,ある程度原発のウエイトを残していかなくてはいけないかもしれない。そういう考えでおりますので,今の段階でいくら(減らす)ということまでは言えないと思っています。

 東海第二発電所の再稼働について

東京A:先日,浜岡原発が再稼働に向けて申請しました。この地にある東海第二原発も,再稼働に向けて内部で準備を進めているようなのですが,新しい規制基準に合わせるように防潮堤を建設するとなると,17メーターの防潮堤をつくるために,保安林を一部,用途変更しなければならないということなのですが,この保安林の指定解除については知事の管轄する事項になると思います。この時点で,原電のほうから,形式的に正しくて,書類上のミスのない申請が上がってきた場合,知事はその保安林の指定解除に同意されるというか,指定を解除するお考えでしょうか。

知事:これは,確か,地元の意見を聞かなくてはいけなくなっていたのではなかったかな。

東京:地元の意見も聞くようになっています。

知事:ですから,地元の意見も聞いた上で,十分検討していかなければいけないと思っています。
ただ,私は,防潮堤をつくるといったことについては必ずしも否定的ではありません。これは,今の状況であっても,もっと安全を確保するということは必要なわけでして,より安全を確保するための一つの手段になるのであれば,それはつくっていけばいいのではないかと思います。
ただ,いつも申し上げていますように,それによって,原電の経営,将来計画がどうなるのかということでありまして,その負担に耐えられるというのであれば,つくってもらったほうが,我々にとっては安全なわけであります。再稼働するかどうかということとは別でありまして,再稼働できなくなったときに,その負担が残っても,原電としてやっていけるということであれば,それはつくってもらったほうが一番いいわけです。
つくったからといって,再稼働とは限りませんよということであります。

東京A:仮定に仮定を重ねて申し訳ないのですが,そうすると,地元が難色を示した場合でも,経営的にペイできるという原電さんの判断があれば,防潮堤の建設や保安林の指定解除にも応じるというお考えですか。

知事:そこまではまだ決めていません。ただ,我々として,防潮堤をつくることに反対はしない。ただ,つくるために(保安林の指定解除が)必要というときに,地元がどういう意見をだしてくるかということも踏まえて判断していきたいと思います。

東京A:ありがとうございます。

知事:今の段階で結論を持っているわけではありません。

 平成26年度当初予算案等について(3)

朝日:今回の予算編成は,昨年の知事選挙以降初めての予算編成となったと思うのですが,選挙の際の公約はどのように反映されているのでしょうか。

知事:例えば,小学校での少人数学級の拡充については,選挙当時は,実は,国のほうで少人数学級をもう少し上の学年まで実施するのかと思ったのですが,国の予算化はストップしてしまいました。しかし,県としては,これから教育に力を入れるという点で,小学校全学年で少人数教育を行っていきたいということを予算に盛り込んでいます。
また,先ほども申し上げましたが,小児医療費の助成制度についても拡充しますということを言ってまいりました。選挙のときには,実は,小学校全学年までという発想でいたのですが,いろいろ考慮して,入院の場合の負担の重さなどを考え,中学3年生の入院まで拡大したといったようなこともあります。
あるいは,世界に開かれたという意味では,先ほど来お話ししていますが,こういった面では民間ベースのほうがよっぽど早いわけですので,そういった点で少しでも県内の中小企業や農業関係者と一緒になって,これからの新しい時代に向けた県づくりを進めなくてはいけないなということで,こういうものを取り入れさせていただきました。
今回の公約には入れておりませんでしたが,例えば,これまで,道路を整備する,港湾を整備する,それによってどちらかというと製造業中心の企業誘致を図ってきた。それは今の段階では,圏央道もまもなくできてくるということで,ある程度結果をだしている。
しかし,これから,それだけでいいのだろうか。これから,日本の将来を考えた場合に,ものづくりや最先端の科学技術というのも大切でありますが,コンテンツ産業といったことも言われるわけです。そういう日本としての特色ある分野も伸ばしていく必要があるのではないか。そういう点で,いろいろなベンチャーもいるわけですので,ベンチャーの育成ということにも取り組んでいく必要があるのではないか。そういった面なども織り込んでいます。

朝日:先ほどから前向きなお話がたくさんありましたが,一方で,県債がかなり増えているかと思います。今回は通常県債のほうも出ていると思うのですが,そのことについてどうお考えですか。

知事:公共事業関係も全部含めれば,ここ数年で通常分の県債は減っているはずです。東日本大震災関連事業などを除いて20億円ほど今回は増えておりますが,一方で返しているものも多いものですから,例えば,県債残高でいうと,通常県債については,今年度の当初段階で1兆3,060億円あったのが,来年度は1兆2,652億円ということで,だいぶ減っております。ピークのときにはこれが1兆4,288億円ありました。それと比べれば1,600億円ほど通常県債については残高が減ってきております。
そういうことで,我々としては,県債依存度をだんだん減らしていきたいとは考えておりますが,今回の県債発行総額1,500億円のうちで,特例的県債が約1,000億円ですから,これは構造的な問題として国に解決してもらわなくてはいけないのではないかと思っております。

朝日:特例的県債なのですが,後に国が交付をしてくれるので,使えるものは上限まで使ってしまったほうがいいとお考えになるのか,それとも,借金は借金なので,好ましくないというふうにお考えになりますか。

知事:これは,言ってみれば準地方交付税ですから。全部,後で地方交付税でみてもらえるもので,こちらに負担が残らない県債でありますから,これは全部使わなければもったいない話です。

朝日:そうしますと,表向きの県債残高というか,いわば借金ですが,あくまでも表向きですが,それは全くというか,なかなか減らないという状況が多分続くのではないかと思いますけれども。

知事:表向きのものは減りませんね。地方財政対策をどう講ずるかによりますが,これはなかなか減っていかないと思います。
ただ,平成26年度のように税収増がかなり見込まれるときにはこれは減ります。しかし,今の状況のままでいくと,社会保障費がだいぶ増えていくのは間違いないですから,消費税でその分をずっと賄っていけるのかどうかというと,数年後にはかなり厳しい財政状況になってくることが予想されます。ですから,経済がどうなるかによって,だいぶ変ってくるのかなという感じを持っています。

朝日:あともう1点が,県債管理基金からの繰替運用なのですが,これはあくまでも緊急避難的措置かと思うのですが,もう11年ですか,続いていると聞いております。この緊急避難的なものが半ば常態化しているのですが,これについて知事はどうお考えでしょうか。

知事:当初予算の段階で手当てしきれていないけれども,執行の中で何とかその部分を生み出していくように努力をしていきたいと思っています。
これまでも予算を執行する中でその部分の解消を図ってきたところであります。今年は60億円になっておりますが,前年よりだいぶ減っていますから,これは十分に年度内に節約その他で解消していけると思います。

朝日:最終的にはつじつまが合うというか,手をつけなくても済むという形になるということだと思うのですが,それであるならば,当初からきちんとすべきではないかと思うのです。今年はいいとして,この先,次の年度の予算などで継続してこのような措置をやめるというようなお考えというのはあるのでしょうか。

知事:当初の段階で,例えば,今までの例で言うと,税収を厳しく見込んでいますから,最終の段階になると見込みより多くなってきている。そういったことなどもありますから,強気で税収を見込むということは可能かもしれませんが,財政的に大変厳しいということを県民の皆さんにもわかってもらうためにも,確実な税収を見込んで,それでひょっとしたら足りない部分については,県債管理基金からの借入れという形で示していくほうがいいのではないかと思っています。

産経:朝鮮学校の運営費補助金に関してお聞きしたいのですが,今年度同様,来年度も減額されて計上されるということですが,減額される理由と,他県では補助金を見送る自治体も出てきている中,茨城県は補助金を計上する理由をお聞かせください。

知事:朝鮮学校がある都道府県が27あるのですが,そのうち3分の2は来年度も予算化していくのではないかと聞いております。
どのような数字かということになりますと,児童生徒数が減少しましたので,その関係で予算額を減らしています。今年度の当初予算が159万8,000円だったのですが,来年度は146万2,000円になっております。
どうして続けるのかということでありますが,義務教育に相当する初級部・中級部の児童生徒の教育環境を維持していくという点で,子どもたちの教育の関係でもありますから,そこは国と国との関係がどうなっているかということももちろん大事ではありますが,とりあえずは計上し,これから事態がよほど変なほうにでも展開しない限りは支給していくことになると思います。

茨城A:今回,重要政策の中に入っています県北振興についてお伺いします。
県北地域の振興というのは,茨城県の課題として,ここ近年始まったわけではなく,かなり長年続いていることだと認識しておりますが,今回,ここまで力を入れるというこのタイミングというか,なぜそういうふうな思いに至ったかをお伺いできますか。

知事:グリーンふるさと振興機構などについても,解散するということになっているものですから,いろいろな作業が進められています。
そういう状況の中で,機構が解散してしまったら,本当に県北振興にどういう形で取り組むかという点で,なかなか今の体制では十分ではないのではないかということで,今回,県北振興監を設置することにいたしました。
県内にいろいろ動きがある中で,県北の場合は厳しさが際立っている。特に,県北の山間部は厳しい状況にあると思っています。もちろん,臨海部の方も大変ではありますが,臨海部については日立などの企業が立地しておりますし,東京ガスなどもこれから入ってまいります。
いろいろな動きがありますが,山間部については,どういったことをやっていけばいいのか。今,教育旅行その他力を入れて,大分来てもらっていますが,地元でそれだけで生活していけるような職業というのはなかなか見つけにくい状況になってますので,それを少しでも,県も一緒になって考えていって,対策を見出せないかということです。

茨城A:その中で,定住・移住の促進ということで,かなり具体的に進められていくのかなと思ったのですが,実際に定住・移住を促進させるためには,知事として,具体的にどのような政策を考えていますか。

知事:これは,具体的にいえば本当に難しいですよ。ただ,これに書いてありますように,事業を起こしてもらえばそこで生活していけるようになる。この事業がなければほかに行かざるを得ない人たちがこちらで生活できるようになるとか,そういう点で,どんどん歯抜けになっていくのを防ぐという意味はあるのだろうと思っておりますし,地域おこし協力隊が常陸太田市に入ってきてくれていますが,あの中には,今度,地元の人と結婚する人がいたり,定住したりしてくれています。ですから,いろいろな形で来てもらうということが極めて重要ではないかと思っています。
例えば,若者のアイデアを期待する県北地域の企業と都市部のインターン希望の学生とのマッチングというのがありますが,こういった形でこちらに入ってくれれば,定住などのきっかけになるのではないかと思っていますし,いろいろなきっかけづくり,一回来てもらう,知ってもらうということが極めて大事ではないかと思っています。

日刊工:経済・雇用対策についてお伺いします。歳出の内訳で,雇用対策事業で関係している労働費がかなり増えている一方で,商工費については,11.1%減という状況になっておりますが,この予算配分について,知事はどのようにお考えなのかお聞きしたいのですが。

知事:商工費が減っているのは,中小企業向け制度融資の貸付規模を実態に合わせて新規の貸付枠などを減らすようにしていますので,その関係です。これは貸付がどうなるかによって商工の予算はこんなに波打つものですので,以前は,例えば,東日本大震災の緊急融資などがあった時は大きく増えますし,そういうものが終わってくるとだんだん落ち着くような格好になってまいります。雇用については,緊急雇用対策のいろいろなものがありますが,それぞれ事業の期限が切られています。その期限にあわせて,いつ,どう使うのかということで計画的にやっているのですが,例えば起業支援型などは今年度の途中から始まったものが来年度フルになりますので,そうするとそういうものが増えてくる。
緊急雇用の対策費の中でやっておる部分です。

日刊工:商工費の部分が減少しているのは,そんなに悪い話ではないということでしょうか。

知事:これは制度融資の金額の変動ですから,我々としては枠は確保しています。例えば,今年どれだけ借りられているか,今年特別要因があるかどうか,あるとすればそれを除いて一般的なペースではこのくらい借りられている。そうすると,来年度もそのくらいでいくかどうか,といったことを見ながら枠を確保しています。例えば東日本大震災緊急融資ですと,最初はこんなに減ってしまうかと思ったら,年度末にかけて少し上がり初めているのです。それで,それを元にして計上するなどしています。
ただ一方で,ほかに2つ大きな融資制度あるのですが,それがものすごく需要が少ない。東日本大震災緊急融資のほうに行ってしまって。その貸付金の枠を思いっきり減らしています。その関係です。パワーアップ融資と,セーフティネット融資が去年と比べて半分以下になっていると思います。

事務局:今年は,パワーアップ融資が320億円,セーフティネット融資が390億円なのですが,来年度はそれを一本化いたしまして,それを370億円に。

知事:制度融資が今後減るということですが,これは実態に合わせてやっていますので,心配はありません。

 広域避難計画について

東京B:予算から少しずれるのですが,広域避難計画のことについて幾つか伺います。
広域避難計画のなかなか策定が進んでいない中,できるだけ早くということだとは思うのですが,いつごろまでに策定をするのか,その見通しがあれば教えてください。

知事:今,はっきりした見通しは持っておりません。我々,広域避難計画をどのように作ればいいのかということについて,なかなかはっきりとした考え方を持てないでいます。例えば,原子力の関係で,どこでスクリーニングをやるのか。例えば,この間の原発事故の時もそうですが,いきなり避難所へ飛び込まれると,避難所の人たちは,ひょっとしたら現地から来たのだから放射性物質がくっついているのではないかと,拒否反応なども出ます。では,どこでスクリーニングやるのかといったら,避難元でやっていたらこれこそ避難が間に合わない。いちいちやってられませんから。では受入側へ来てすぐにやるのか。どこでやるのかといったことを原子力規制委員会に聞いてみてもはっきりした返事がないのです。ですから,そういうことなども含め,例えば,安定ヨウ素剤の配布をどうするのか。5キロ以内は別として安定用素材を持って逃げるのかどうか,そういった様々な問題があります。今,具体的に始めておりませんが,これから計画を具体化していくとなると,避難路の想定をどうするか,避難先をどうやって確保するか。あるいは,災害時要援護者の避難対策をどうするのか。特に,災害時要援護者の避難対策の部分をどこまで作ればいいのか。個別の入院している人それぞれについて,ベッドがおおよそこれだけあって,平均して6割から7割埋まっているから,そのくらいの人数をちゃんとカウントしながら,1人に何人づつ介助者をつけるかなど,そこまで作るのであれば,また,対策を考えなくてはいけないし,そこまではいいというのかどうかがわからない。
市町村の避難計画だと当然やらなくてはいけないことになってくるのかもしれませんけれども,県としてどのレベルまでやればいいのか,避難計画の作り方についても,我々にきちんとある程度の指針などを示してほしいと原子力規制委員会の委員長などに会う度に言っているのですが返事が来ません。このため,なかなか具体化が進んでいない状況にありますけれども,国からの指針などがいつまでも来ないのであれば,いずれ何らかの対応策を考えなければならないことなども,今後の課題になっております。

東京B:そのように,国,規制委からガイドラインみたいなものが示されなくて,一方,事業者側も,特段,敷地外のことには関与してこないという状況で,県だとか市町村が責任を押しつけられているようなことはないでしょうか。

知事:責任を押しつけられていると考えるかどうかは,それは取り方が様々だと思いますが,いずれにしても原発事故が起きたときにどう対応するかは,地方自治体の責務として考えておかなければなりませんので,広域避難計画もつくっていかなければと思っております。しかしながら,再稼働するかしないかもまだはっきりしていない中で,いつまでに作成しなければならないという状況には今はないものですから,いろいろな広域避難計画作成のための条件をしっかり示してほしいということを言っています。

東京B:昨年行った県の試算では,東海第二原発から30キロ圏内に住む方が全員避難を完了させるまでに30時間以上かかるというような試算が出されて,最近,民間でも50時間以上というのがあったりしますが,その避難をしている最中に,ある程度の被ばくをするという可能性も十分考えられると思います。そうした中で,避難が長時間にわたってしまうというときに,知事として,最大この時間までなら避難と言えるのではないかとか,そういった考え方はありますでしょうか。

知事:それは今は持っていません。ただ,避難のやり方はいろいろあるのだろうと思います。例えば高速道路を一方通行にできるか,アメリカなどではハリケーンのときに一方通行にしてしまうなど,いろいろな避難の方法があるので,条件をどう設定するかによって避難時間も変わります。それから,前に公表したシミュレーションは,5キロメートル以内の人が避難するのにものすごく時間がかかるようになっていますけれども,5キロメートル以内の人だけの避難であれば歩いて出ればすぐにPAZ圏外に避難できます。ですから,どのような形で避難するのか,はっきり方向づけができておりませんので,避難のあり方についてトータルで考えていかなければならないのだろうと思っています。

 2月中旬の暴風雪・大雪の被害への対応について

NHK:今の原発事故などとも絡んでくるのですが,それとは若干離れるかもしれないですが,今回の山梨県や群馬県,埼玉県での豪雪の被害なのですが,今時点,知事として,お考えというのは特にまだ難しいのかもしれないですが,事務方に何か指示を出されているというようなことというのはありますか。

知事:うちの県内のことに関して。山梨の応援という意味ではなくて。

NHK:応援なども含めてなのですが,仮にこうしたことが県内で発生した場合にどう対応するか。また,そういったいわゆるゲリラ豪雪みたいな今回の事態に,震災とか原発事故が複合して起きた場合にどうしたらいいかとか,そういったところについて,所感なり,また,具体的なご指示なりあればお伺いします。

知事:震災と豪雪が同時発生という形での地域防災計画というものはつくっておりませんけれども,地震と原発事故についてはもちろんつくっていきます。例えば,竜巻と大震災の際にはなど,どこまでどうするのか,いろいろな想定がありますので,現実的には,基本となる地域防災計画をつくっておき,それを参考にしながら運用していくことになるのではと思います。
今の段階で言えば,本県では,農作物,農業施設の被害が非常に多いものですから,被害を受けた農家への支援策として,災害融資資金の低利化・無利子化ということを,あるいは施設の復旧に対する補助制度をつくってもらえるよう国への要望活動などをやっていきたいと思います。

NHK:今時点で,具体的に出されたご指示というのは何かございますか。

知事:豪雪と震災と組み合わさったときに,複合災害のときにどうするかということ。

NHK:そうですね。豪雪だけでもいいのですけれども。情報収集とか,そういったことでも。

知事:豪雪は本県の場合,どのぐらい想定できるのかということですけれども,今回の豪雪でも県では69年ぶりだったか,ものすごく久しぶりで。

NHK:恐らく,観測史上初めてということです。

知事:豪雪によって県全域が一斉にやられることはまずあまり考えられません。ですから,それぞれの市町村にも協力をいただきながら,豪雪被害にあった地域の除雪その他に努める,あるいは食料など物資の支援に努めることになると思います。

 平成26年度当初予算案等について(4)

茨城B:道徳教育についてお聞きしたいのですが,知事は,中教審でも道徳教育の推進について語られていますが,これまで,茨城で高校1年生に対して道徳教育を十分やってきた成果というのをどういうふうに見て,また,改めて今回,平成28年から高校2年生にも拡大していきたいという意向の中で,そういう流れについてはどういう考えで今回こういう予算化ということになったのでしょうか。

知事:道徳教育を導入した後,先生と生徒本人,家族それぞれにアンケートを行っておりまして,アンケートの答えを見ていますと,それなりに効果は出てきていると思っております。
それから,戦前は旧制中学まで道徳教育があったことを考えると,今の新制の高等学校でも道徳教育はあってしかるべきではないかと考えています。そういうことで,どこまで拡大していくかは,受験の問題などその他もあって難しい面がありますので,高校2年生についてはどのぐらい導入すればよいか,今,月1回とかそういうことを考えておりますが,少なくとも高校1年生まで学んできた道徳ということについて,2年生になりますから,自分でいろいろ考える道徳,行動する道徳,教えられて考えるのではなく,自分の頭で積極的に考えるような道徳が必要になってくるのではと思っています。そういった点で,どのような教科書を使えばよいのか,どのような教え方をすればよいのかといったことについて,研究するための予算を今回計上しているところです。先生方からの感想として,道徳の授業について研究している時間がない,教材を十分に使い切れない,などいろいろな意見がありますので,そういったことも踏まえてこれから検討していく必要があると思います。

茨城B:もう1点,英語教育と理科教育もやはり知事の強い思い入れがある予算なのかなと思っています。英語教育に関しては,さきほど仰られましたように,世界に開かれたグローバル化を意識した中で,小学校教員の英語の指導力を向上させるという意味では,これが種まきというか,そういったものを期待して,今後の将来を見据えたことのスタートと言える予算なのでしょうか。

知事:将来どうするのか,具体的なことは聞いておりませんが,いずれにしても担任が英語を教えるような状況になってくると思います。国語や数学,音楽の先生などが英語を教えるようになりますので,英語の個人の実力をつけるという意味ではそれぞれに勉強してもらわなければいけないかもしれません。しかし,指導方法についてはなかなか自分で勉強しきれないと思います。現在,ハワイ大学と茨城キリスト教大学が連携して英語教育の指導方法について研究が進められておりまして,かなり良いプログラムができたと聞いています。来年度,21人ほど送りまして,5年間で105人送って,そういった人たちが,例えば同じ学校やブロック内の先生方に指導方法をまた教えていくといったことを考えています。今回の研修は,英語力そのものが短期間でつくわけではないですが,英語がある程度できるという前提に立って,どうすればより良い教え方ができるかというためのものです。

 福島第一原子力発電所の汚染水について

時事:冒頭で少しお話がありましたが,汚染水のことでお伺いしたいのですが,報道ベースでしか自分も知らないのですが,きょうの午前中に東電が会見をして,高濃度の汚染水が100トン,堰外に漏れたということがありました。100トンというのは,去年の夏の300トンに次ぐ規模ということなのですが,まず,これに対して,茨城県として,具体的に東電とか国に再発防止を求めるといったアクションを起こすような考えがあるのかということと,震災から3年というで,汚染水というは大きな壁になっているかと思うのですが,改めて汚染水への対策をお聞かせいただければと思います。

知事:汚染水への対策については,政府の皆さん方が来られるたびに,徹底して対策をやっていただきたいと申し上げています。国が積極的に全面に出るということで今やっているのですが,必ずしもその効果が十分に現れているとは思えない部分もあります。例えば山のほうから流れてくる水を(原子炉建屋のエリアを通さずに)全部敷地外へ出してしまえばいいのではないかなど,いろいろなことを国に言っているのですが,なかなか現実的には動き出していない。そういった点で,これからどんどん汚染水が溜まっていったときにどうするのか,今,一部では,ある程度の濃度以下,国際的な基準濃度以下になったものは海洋放出してもよいのではないかなどとも言われはじめていますが,やはり魚を食べる方はどう捉えるかなど,いろいろなことが出てくるものですから,我々としては汚染水対策を徹底して早くやってほしいと思っています。
ただ,今回のことについて何かを言っていくかということについては,まだ実態もよくわかりませんので,特別なことは今は考えておりません。

時事:ありがとうございます。

知事:それでは,いいですか。では,よろしくどうぞお願いします。

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