ホーム > 茨城を知る > 県のご案内 > 知事のページ > バックナンバー > 知事記者会見録 > 2014年分 > 知事定例記者会見における発言要旨140917

ここから本文です。

更新日:2015年3月23日

知事定例記者会見における発言要旨140917

この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。

(作成:広報広聴課)
平成26年9月17日(水曜日)
11時17分~12時3分 会見室

 本県訪問団のベトナム訪問について(1)

茨城(幹事社):知事定例記者会見を始めさせていただきます。まず,知事から冒頭,ご報告があるということですので,よろしくお願いいたします。

知事:今,手元に資料を配付したところですが,10月5日から10日まで,ベトナムを県内各界の方たちと一緒に訪問することとなりましたので,報告をさせていただきます。
ご承知のとおり,この資料の右側のほうにも書いてございますが,3月16日に私とベトナムの農業農村開発大臣との間で農業協力に関する覚書を結ばせていただきました。そのときに,サン国家主席も来ておられましたが,サン国家主席からも,ぜひ茨城とベトナムとの関係を強化するためにベトナムを訪問してくれないかというお話がございました。
その狙いでございますが,農業分野の協力促進ということがもちろんメインになってまいりますが,それとあわせて,商工業の海外展開の促進,労働分野での意見の交換,ベトナムとの友好交流の促進等の4つを主な目的としてベトナムを訪問してまいりたいと思っております。
訪問団の構成でございますが,県と県議会,市町村長さん方,農業団体,経済団体,福祉・医療団体,食品輸出関係者,日本ベトナム友好協会茨城県連合会等でございます。あわせて85人程度になる予定でありますが,同時にジェトロのほうでベトナム投資環境視察ミッションという形で20人ほどが参加する訪問団を組んでおりますので,あわせると100人を超す形になってくるかなと思っております。
スケジュールですが,10月5日にハノイ入りをいたしまして,10月6日月曜日には,国家主席,農業農村開発大臣,計画投資大臣,労働傷病兵社会問題大臣を訪問する予定でございます。労働傷病兵社会問題大臣というのは,農業の研修生などの分野を担当される方でございます。
それから,10月7日にはナムディン省というところをぜひ見てほしいという話がございますので,ナムディン省を訪問してまいります。ここはハノイから結構離れているものですから,1日がかりの行程になってまいります。
10月8日にはホーチミンに飛びまして,ショッピングモール,また,筑波大学と提携しているチョーライ病院といったところを訪問してまいりたいと思っております。
また,10月9日にはドンタップ省,ここがホーチミンから3時間から4時間離れているかなり遠いところだそうでございますが,ぜひ見てほしいという話がございます。これも1日行程になってくるかなと思っております。
最終日には,これは極めて人数が少ない形になってくるとは思いますが,サイゴンハイテクパークを視察して帰国するという予定でございます。
その間,10月6日と10月8日には食品の輸出商談会も開催する予定でございますし,また,ジェトロのほうの投資環境視察ミッションと合同で何かやれればということなども検討しているところでございます。
私からの報告は以上です。

 15年目を迎えるJCO臨界事故について(1)

茨城(幹事社):ありがとうございます。まず,幹事社から1点質問させていただきます。ベトナムについては,また後ほどお聞きする社もあるかもしれませんが,今月の30日で東海村のJCO臨界事故から15年を迎えますが,知事の今の気持ち,ご所見を伺います。

知事:JCOの事故は,2名の方が亡くなられるという大変悲惨な事故であったわけでございますし,また,臨界事故としては我が国で初めてのものでもありました。そうした点で,私どもとしては,あの事故を絶対に忘れることなく,安全が第一だということで頑張っていかなければいけないと思っております。
その間,福島第一原発事故も起きております。そうした状況などを見ましても,15年経って,改めて事故を風化させてはいけないという気持ちを強く持っているところであります。

茨城(幹事社):今のJCOの現状についてどのようなご認識か聞かせていただけますか。

知事:JCOは,もう既に平成12年に(核燃料)加工事業許可の取消処分を受けているところでございまして,現在は放射性廃棄物の保管・管理及び設備の解体・撤去を行っているのみでございます。
JCOでは,放射性廃棄物の減容処理のための焼却施設の設置を行っていると聞いておりまして,年内にこの施設が完成する予定と聞いております。
また,10月にも試運転が開始されるのではないかと聞いているところでございまして,早期にこうした放射性廃棄物の処理が進むことを私どもとしても願っているところです。

茨城(幹事社):これから低レベル放射性廃棄物の焼却処分とか,あとは,不要な施設の解体・撤去というのが始まるということなのですが,15年経って,今からさらにこれだけ処理に時間がかかるということについて,改めて原子力事故についてどのようにお考えですか。

知事:JCOの事故の場合には,皆さん方もご承知のように,(濃縮ウランを)扱ってはいけない形で扱ってしまったことによって起きております。いずれにしても,事故は絶対に起きないような施設・設備というものをしっかりつくっていくことが必要だろうと思っております。それについては,原子力規制委員会のほうでしっかりと安全性の審査をしていくことが大事なのだろうと思っております。
また,扱う人たちも,安全文化とよく言われますが,安全が何よりも大事だということをしっかり認識しながら作業に当たっていくということであろうと思っております。
我々としましても,また,そうした審査結果を受けた形で事業所の点検をしっかりやっていきたいと思っております。現在,県内には原子力安全協定を締結している全事業所18事業所ございますが,ここを対象にして,事故・故障等の発生を想定した抜き打ちによる通報連絡訓練を再開し,実施をしているところでございます。今年度の後半には放射性廃棄物の保管・管理状況等についても立入調査を実施する予定としておりまして,平時からJCOを含めた原子力事業所の安全管理体制というものはどうなっているか,しっかり把握していきたいと思っています。

茨城(幹事社):幹事社からは以上です。各社さん,どうぞ。

 本県訪問団のベトナム訪問について(2)

NHK:ベトナムの訪問団についてお伺いしたいのですが,今年に入ってすごくベトナムとの関係性を重視しているようにいろいろな施策から感じるのですが,今なぜ茨城にとってベトナムなのかということを教えてください。

知事:フン・ベトナム大使には非常に茨城の農業に関心を持っていただいております。北海道は生産量としては多いものの,例えば,作物の種類などを考えていくと,茨城は日本一の農業県だと思っていただいているのではないかと思います。これからベトナムにとって,農業の発展を図っていくことが大変重要であるということがございます。フン大使のほうからは,国家主席をはじめとするベトナム側の要人に,ぜひ茨城との交流を積極的に進めたらどうかという進言がなされているのではないかなと思っております。
そうしたことを受けて,今回,国家主席のほうから,是非ベトナムを訪問してほしいという要請がございましたし,また,ナムディン省とドンタップ省人民委員会の委員長のほうからもぜひ来てほしいという要請を受けているところであります。こうした要請を受ける形で,我々として行ってみたいと思っております。
また,あわせて,ベトナム人につきましては,一般的には,頭もよくて人柄もいいというようなことが言われているところですので,そのような要請を受けた機会にあわせて,商工業ではどのような展開ができるのか,そのほか,今回の訪問団の中には農業関係者だけではなくて福祉関係者などもおられますが,労働問題に関していろいろな形で外国人の労働力がこれから必要になってくるのではないかというときに,ベトナムの状況がどのようなものなのか。また,日越の友好関係を深めるために日本ベトナム友好協会茨城県連合会がございますが,そこの幹部の方からもぜひ一緒に行きたいという話もございます。
やや団員の数が多くなっておりますが,県を挙げた形でベトナムとの交流をこれからどう促進していけばいいか意見交換し,さらに現地を見てきたいと思っています。

NHK:茨城県側の狙いなのですが,今,福祉関係というお話もあったのですが,単純に農業の話ではなくて,外国人の労働力をどう活かすかというところが知事の頭の中にあるのかなという印象があるのですが,いかがでしょうか。

知事:農業関係は比較的早い時期,もう既にJAほこたなどで始まっておりますが,全体として見れば,どうなっていくのかは日本政府の方針もありますので,すぐということにはなってこないと思います。ただ,全体がどういう状況かを早いうちから見ておく,あるいは,何かの顔合わせをしておくということは大変重要なのではないかと思っております。

NHK:茨城県側のどういう状況があるので今行くのかという,茨城県側の事情というところはどうなのですか。

知事:それは,農業などについては農業実習生ということがありますし,医療・福祉関係者も,今すぐというわけではないけれども,個人の立場で見てきたいという方もおられます。いろいろな方たちと一緒に行って,せっかく向こうの要人に会える機会でもありますので,そうした方たちも何かのきっかけをつくっていきたいと思っておられるのではないかと思います。

NHK:あえて伺うのですが,例えば,県内の労働力が今後減少していくことを考えたときに,あらかじめ外国人の活用を念頭に置きながら視察をする必要性を感じているということではないのですか。

知事:そこはなかなか県だけで進めるというわけにはいきませんから,もう少し大きな形で,日本政府として,外国人労働力をどのように活用していくのか,今までのような研修という形なのかどうかも含めて大きな課題があるだろうと思っています。それは国を挙げて検討していかなくてはいけないのだろうと思っています。
ただ,そうした中でも,いろいろな国がオープンになってきたというときに,ベトナムという国はどうなのだろうかということを知っておくのは悪いことではないと思っております。

茨城(幹事社):今回,ジェトロの訪問団も同行するということで,ジェトロ茨城事務所の所長さんは前任がベトナムだったということもあって,大きなチャンスだとジェトロも捉えているようですが,投資先としてのベトナムの魅力というのはどうお考えですか。

知事:投資先といっても,そこだけで製品を使うということはないわけです。ベトナムの人口は今,だいぶ増えてきていて,近いうちに1億人になるのではないかと言われていますが,それだけではなくて,もっと周りをにらんだ形での投資になっていくと思います。例えば,インドネシアは2億5,000万人も人口があるとか,そういうところもにらんだ形での投資ということになっていきますので,投資先として見る場合に,例えば,地価が安いかとか,支援制度があるかとか,あるいはまた,優秀な労働力が確保できるかとか,そしてまた,周辺への輸出がしやすい環境かどうかとか,そういう諸々のことが絡んでくるのだと思います。今の段階では,まだ私ども見てもおりませんのでわかりませんが,それを現地へ行って見てみるということが大事なのではないかと思っています。

茨城(幹事社):県の職員を8月からシンガポールに派遣されているということで,東南アジア全体を見据えた取り組みは今後どのように進めていくお考えでしょうか。

知事:私としては新年の挨拶でも,世界に開かれた茨城,ということをお話ししたのですが,これから特に海外に目を向けていかないと,企業の場合でも農業の場合でも,大変厳しい状況になってくると考えております。
例えば農業ですと,食料品に対する国内の消費,需要は間違いなく先細りになってくるわけですから,それをどういう形で補っていくのか。6次産業化ということも言われていますが,トータルな需要が減っていく中では,6次産業化したものを世界に輸出することも大事になってきます。そういう点から見て,外国に関心を払っていく,そしてチャンスがあれば輸出などに努めていくことは大変重要だろうと思います。
また,県内の中小企業などにとっても,先ほども申し上げましたが,どうやればグローバルな競争に勝てる製品がつくれるか。国内でつくり続けた場合,例えば,労賃がどんどん上がってくる。あるいはまた,円安もありますから,原材料はもちろんですが,それに加えて燃料費その他も上がってくる。そういういろいろな状況を考えたときに,国内でずっとつくっても素晴らしい競争力を持っていて輸出できるところはいいですが,そうはいかないところは何らかの形で別の解決策を探さなくてはいけない。そういう中で海外生産も一つのポイントになってくるのかなとは思っております。
我々としては,昔から申し上げていますが,グローバル競争に勝てるような環境を茨城の中につくっていきたいと考えておりますが,そうは言っても,円安などが極端に進んで電気料金が上がる,ガス代が上がる,そうなってくるとなかなか国内ではしんどいという企業も出てくるのではないかと思います。そういった点でも,今すぐ投資するとかいうことではなくて,海外を見ておく,ということは極めて大事なのかなと思っています。

NHK:今のベトナムの件で大きく2点ほどお伺いしたいのですが,まず1点は,今回の訪問の狙いということで,いろいろな協力促進であるとか,意見交換であるとかということが挙げられているのですが,何か目指すべき成果のお考えはお有りなのでしょうか。

知事:今すぐ,こういった分野で何かの成果が得られるかというと,私はそうはいかないのではないかなと思っております。
具体的に進み始めているのは農業分野の協力でありますが,これについては,もう既に研修生を向こうから受け入れるなど,具体的な事業が始まろうとしております。ただ,ほかの分野でそれぞれに出てくるかということになると,これはジェトロミッションの中で向こうへ行ってみて,いろいろな交渉を持った結果どうなるか,ということになってくると思います。
また,労働力の確保という点では,例えば,先ほど申し上げたようなことは,各農協は既に活用といいますか,受け入れを始めておりますが,さらに加えて,JA茨城県中央会としても,もうちょっと本格的にベトナムからの労働力の導入を考えているということもございます。加倉井会長も行かれますので,そういった中で具体的な進展があるかどうか,ということになってくるのだろうと思っております。

NHK:特に今回の訪問の中で,何か協定を結ぶことは今のところお考えではないですか。

知事:現段階ではまだ具体的にそこまでは考えておりません。ただ,向こうからどういう申し入れがあるかなど,それを待ってということになってくると思います。向こうとしては,ナムディン省とドンタップ省という具体的なところを見てほしい,その中から,3月に結んだ農業協力の覚書を踏まえ,どういう協力関係をこれから結べるかということを考えてほしい,という思いがあるようであります。
我々も,日程が窮屈な中で,ほぼ2日間をナムディン省とドンタップ省に割くことになってきますので,大変厳しい日程になっていますが,向こうのたっての要請でもありますので,その2省を訪問してきたいと思っております。

NHK:もう1点お伺いしたいのは,今回の訪問,ベトナムとの交流を深めるという中で,茨城空港を活用した交流の促進みたいなことは何かお考えでしょうか。

知事:そこまですぐということはなかなか難しいと思います。それはそれで別途進めていければと思いますし,ベトナムと茨城の交流が深まる中から,そういう方向に進むかどうかということは決まってくるのだろうと思います。今の段階で需要がそんなにあるかというと,なかなか難しいと思いますので,そこまで具体的な話はないと思います。

 茨城大学の住民意識調査結果について

東京:先日,茨城大学が原発に対する住民調査の今年の結果をまとめたのですが,その中で,東海第二原発のあり方について,回答者の44%が運転せずに廃炉を準備というふうに回答しています。対策を徹底するまで運転再開すべきでないとか,再稼働は凍結して白紙から議論すべきだ,これを合わせると8割を超えてしまうのですが,実際,この地域の人々の民意というか考え方としては,再稼働に反対といったものがあらわれているのではないかと思うのですが,知事として,この結果の受け止め,どのように考えていますでしょうか。

知事:今回の調査は,東海村,日立市南部,那珂市,ひたちなか市の住民のうち,20歳以上65歳未満の有権者各1,000名,合計4,000名を対象に調査が実施されたと聞いておりますが,有効回収数が1,095通,有効回収率27.4%であり,市町村別,地域別の結果がちょっとわからない形になっています。私としては大変関心はあるところなのですが。
こうした調査の結果につきましては,年ごとにやや波があるような感じもしております。一方,昨年,NHKさんが知事選のときにアンケートをやっております。このときにも,県内全域でやった場合には70%が廃炉と回答されていまして,この回答数が3,500人余ということでありますが,一方で,地元の東海村に限って見ると,51%が運転再開と回答しております。そして,この数が990人ということでありまして,今回の茨城大学の調査だけでこれが民意として固まっているものだということを判断することは難しいのではないかなと思っております。
先ほど申し上げましたように,地域による差,あるいはまた年ごとによる差,その他出てきておりますので,これからじっくりとそういうことについては意見を集約していく必要があるのではないかなと思っております。

東京:同じアンケートで避難計画は困難だという回答が6割あったのですが,これは県とか市町村に起因するものではなくて,社会的な状況とかインフラとか,一番厳しいのは日立からの声で,どこに逃げればいいのか,東は海で,南には東海第二原発,北には福島原発,山側に逃げるしかない。実際に逃げられるのかというような声も寄せられているのですが,策定しても住民は信じてくれるかどうかちょっとわからない状況もあると思いますが,この困難さというのはどのように考えていらっしゃいますか。

知事:96万人が対象ですから,避難計画をつくるのが極めて難しいというのは当然のことだろうと思っております。
ただ,それを30キロ圏内の市町村はつくっていかなくてはいけないわけでして,きちんと実効が上がるようなものをつくる。そのためのお手伝いを県としてもしていかなくてはいけないと思っております。
日立市について今お話がありましたが,東海第二発電所で事故が起きたときに,福島でも事故が起きているのかというと,それは今の状況から見てもあり得ないと思いますので,そうであれば山側だけではなくて福島のほうに逃げるということは十分に考えられる。常磐道を使って北へ行って,北から西へ逃げるという方法もありますし,いろいろな方法はあるのだろうと思っています。
我々としては,前々から申し上げていますように,できるだけ市町村単位でうまくまとまれるようにとか,あるいはまた,交通が錯綜しないようにとか,そういったことも考えながら広域避難計画をつくって,各市町村が具体的な計画をつくる場合の目安にしてもらいたいと思っているところであります。
ただ,困難さという中には,例えば,災害時の要配慮者の問題もあると思います。薩摩川内の例を見ておりましても,原子力発電所から10キロから30キロについては具体的な記述がない状況にございます。私どもも,そういったことも含めて,どういうふうにすれば県民,市町村民の皆さんに納得してもらえるのかということを頭に置きながら方向性を出していかなくてはいけないのだろうと思っています。

 日本原子力研究開発機構について

東京:もう1点なのですが,日本原子力研究開発機構の最近の事故・不祥事が続いている問題についてお聞きしたいのですが,まず,大洗研究開発センターでたまり水が廃棄物の貯蔵庫の床から見つかったが,それがどこから来たのかわからない。もう1点は,東海村の原子力科学研究所では,不審者の侵入を知らないうちに許して,1時間構内をうろつかれた。これはかなり深刻な問題だと思うのですが,茨城県庁での会見では,どうやって警備員が見逃したのかということは,核防護の観点から明らかにできないとおっしゃっていたのですが,東京の本部に電話したら,無線機の不調に気をとられて入られてしまったということです。どういう形であれ,県民に情報を伝えないという姿勢も問題だと思うのですが,これからの機構改革も控えていますし,この不祥事が続いているという件に関して知事はどのようにお考えでしょうか。また,県として機構側に何かものを申すというか,注意を促すようなことは考えていらっしゃるのか,教えてください。

知事:昨日も火災事故があったばかりであるなど,ここのところ,今ご質問にあったように,若干トラブルが続いております。
そういったことも踏まえて,最初の質問のときに申し上げましたが,JCOから15年も経っている,何となく緊張感もなくなるということでは困りますので,しっかりと安全性を最重要課題として取り組んでもらう。そのために,あわせて住民の方々の理解を得るための努力をしていかなくてはいけない。そうすれば,当然,公開ということももっと積極的にやってもらわなくてはいけない。いろいろなことを踏まえて,県としてどうしていくかを,今日,明日中にでも考えていきたいと思っております。厳重注意などをしていくことになると思います。

東京:ありがとうございます。決まったら教えてください。

 災害公営住宅について

NHK:東日本大震災から3年半が経ったのですが,災害公営住宅についてお伺いしたいのですが,茨城県が建設した水戸市の災害公営住宅の入居率が7%にとどまっているというところなのですが,これは立地を理由に諦めている方が取材の中でかなりいて,県としてはどういう認識でいらっしゃるのか教えてください。

知事:利用率が極めて低いということについては大変残念に思っております。立地の場所が悪いので諦めている人がおられるということですが,具体にそういう方についてもぜひ現地を見てもらうと大分違うのかなと。そんなに遠い場所でもないのですが。我々としては,いろいろな努力をして,利用率が上がっていくように頑張らなくてはいけないとは思っています。

NHK:実際に現地を見て諦めている方というのもいらっしゃって,実際に応急仮設に残っている方々というのは高齢者が多いというところに,県が事前に意向調査などを行わなかった,被災者の声を聞かなかったというところが原因にあるのではないかなと私としては思っているのですけれども,そのあたりは知事の認識としてはいかがですか。

知事:この地域の人は各地域から避難してきている方々ですので,最初の段階ですぐに災害公営住宅を希望するような被災者に焦点を絞りながら意向を聞くというのは難しかったのだろうと思います。現実にいろいろなところにいろいろな形で入ってきておられる。その実態を掴んで,災害時のフォローをするだけでも目いっぱいだったのではないかと思っておりますので,そこについてはもう少ししっかりしたらいいのではないかという声はあるかもしれませんが,それは甘んじて受けるとしても,災害の直後ということで,どうやって災害公営住宅の提供を早くするかということに目が向いてしまったということではないかと思っています。

NHK:仮になのですが,今後同じような災害があった場合にも,同じく意向調査などは行わずに,災害公営住宅の場所を県がまず決めるというやり方をとるのでしょうか。

知事:災害公営住宅を必要とするような災害が起きるかどうかというと,あまり起きないと思いますが,県が実施するのはかなり大規模で,市町村では対応できないものということで,それぞれの市町村の応急仮設住宅などにおられる方々も県の災害公営住宅を利用してくれるのではないかということで実施をしたところです。具体的には,市町村の今まで住んでいた地域で生活したいという人が多いということなどを踏まえれば,調査をする,しないというよりは,私は,現地といいますか,市町村がその地域内の人たちが住めるような災害公営住宅をつくっていくほうが利用率などが高まっていくのかなと思っております。
今回の場合には,全体的に大変多くの方たちが避難していたということで県も関与しましたが,基本的には市町村に実施していただいて,県は応援するという形のほうが,利用率その他の面,あるいは近くの人たちがまとまって入れる,そういった面も考えるといいのかなという感じはもっています。

NHK:そういう意味でいうと,市町村にどのように災害公営住宅の場所を決めたりすべきなのかということを,今回の事例でしっかり検証すべきではないかと思うのですが,その予定であったり,県独自で検証する必要があるのではないかなと思うのですが,そのあたりはいかがでしょうか。

知事:県独自というより,場所をどうするかは,市町村で考えていかないと,具体的な状況というのは県ではわかりませんから。市町村がこういうふうにやったらよかったのではないか,あるいはまた,県としてこういう応援ができたのではないか,例えば,災害公営住宅をつくるときに,市町村が本格的に取り組みたい,間違いなく自分のところでやっていくということであれば,技術者を派遣するという方法などもありますし,いろいろこれから協力関係を考えていく必要があるのだろうと思います。

NHK:繰り返すのですが,東日本大震災における県の災害公営住宅の建設を決めていった過程というのをしっかり検証すべきではないかと思うのですが,その必要性は特にないのでしょうか。

知事:検証はもちろんやっています。自分のところでどうしてこうなっているかということについては当然勉強していますし,今どうやれば利用率が上がるかという検討もしていると思います。

NHK:実際に担当課に聞くと検証などはしていないのですが,かつそれを公表もしていないのですが,もししていらっしゃるのであれば,それを公表すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

知事:もし検討していないのだったら,検討させます。

 15年目を迎えるJCO臨界事故について(2)

毎日:JCOの関連なのですが,15年前に避難のあり方をめぐって,地元と県,あるいは国の中で情報が十分伝わらなかったりして大分混乱していたかと思うのですが,内容は違うのですが,福島の事故でも同様に避難のあり方をめぐってかなり混乱が生じていたという経験があるかと思います。当時から知事として務めていらっしゃったというお立場として,15年前の避難のあり方に対して,ご自身の反省点があるならばどう考えていらっしゃるのか。今まさに広域避難計画をつくっていらっしゃいますが,次に同じような災害が起こったときに,同じような混乱を起こさないために,その反省をどうやって活かしていくのか,どうやって県としてリーダーシップをとろうと考えていらっしゃるのか,このあたりをお聞かせください。

知事:JCOの事故のときに一番我々が困ったのは,地元から情報が入ってこないということであります。当時の東海村の村上村長は,県からも国からも情報が入ってこない,連絡がとれなかったという話をしていますが,実は,あのときに防災行政無線が1回も使われていなかった。村のほうから県に対して1回も連絡がない。原子力安全対策課にはマスコミから電話が入ってきていて,この電話対応で目いっぱいになっている。村からほかの課には全然連絡がなかった。
これは僕は村上さんにも言っているのですが,県,国から入らない以前に,一番近くで情報を持っている,そこからこちらに情報が入ってこなかった。これが一番困ったことでありまして,JCOの現地には県からすぐ人を派遣しました。そうしたら,その人が,JCOから,この部屋で待っていてくださいと言われて,そこへ入ってしまい案内されたままになってしまった。たしか,東海村からも行った人がいると思いますが,その人もやっぱりそこへ入ってしまった。そこで,JCOのほうは事態の進展に慌てて役場のほうへ走ってしまった。現地に県から行っていた職員がいるということを忘れてしまったのか無視したのかはわかりませんが,少なくとも何の連絡もなしに村のほうへ走っていった。村のほうは原子力安全対策課にだけ電話連絡をしたがつながらなかった。その結果,我々のほうに全然情報が入らなくなってしまった。マスコミのほうが早い状況になってしまった。これが一番困ったことでありまして,そういったことのないような体制をしっかりつくっていくことが必要なのだろうと思っています。
これについては,新聞等では,県や国から情報が行かなかったという村長の話を載せておりましたが,その日の防災行政無線の記録を私は全部見ております。村からは1回も連絡が入っていません。そういうことなども踏まえて今後どうすればいいかということは,たくさん反省点はあるのだろうと思っております。
それから,今後どうするかということについては,当時と比べて,JCO事故を受けて,とりあえずの原子力災害対策特別措置法ができて,ある程度の対応がとれるようになったのですが,それに加えて,今度の福島第一原発事故があったということで,さらに国が中心になって災害対策をやっていくことになっております。ほとんどの指示は国が対策本部を設けてそこから出てくる形になっている。
私が今心配しているのは,事態がどんどん進展しているときに,国へ判断を仰ぐ時間があるのだろうかということです。例えば,JCO事故のときにも,当時の科学技術庁に,あることについて連絡をとったら,返事が1時間かかっても来ないというような事例もありました。
そういったことも含めて,国には迅速な対応がとれるような体制をつくっていただきたいと思いますし,県と市町村と国が一体になれるような対応をちゃんとしていかないとこれまでの経験が十分に生かされてこないのかなと思っております。

 林地開発許可に係る手続きの瑕疵について

読売:先日,農林水産部のほうから発表がありました常陸太田市の山林開発の関係なのですが,地元首長の意見を聴取しなかったというのは,うっかりミスもあるのである程度わかるのですが,その後,県の森林審議会に提出する資料を捏造したというあたりに,かなりコンプライアンス上の問題があると思うのですが,知事はこの案件を聞いたときに,どのように感じられたのかという率直な感想と,この案件を通じて,コンプライアンスについて改めてどのように感じたのかお伺いします。

知事:実は,出先もそうでありますが,森林審議会にどういう形で報告というか状況を説明したのかなというのが,正直言って一番気になったところです。そうしたら,出先機関の職員から口頭で電話か何かで聞いて,それを書いて提供したということです。そういった報告が私のところへ来ているのですが,そこも具体にちゃんと書類を確認していなければいけないはずですので,そういった点で二重に誤りを犯してしまっている。今ご指摘のとおりだと思いますので,二重に起きてしまったということについて大変残念に思っているところです。これからそういうことがないような体制をつくるべく,今,部内で検討を進めております。

 まち・ひと・しごと創生本部について

茨城(幹事社):国のほうで,安倍改造内閣で地方創生というのが大きな一つのテーマとして掲げていますが,その中で,まち・ひと・しごと創生本部が立ち上がりましたが,それに対する知事の期待感,またこういうふうにして欲しいという願いというか,そういった思いを教えてください。

知事:全省庁を挙げて一丸となってということでありますので,私どもとしてはそれをぜひ期待をしたいなと思っております。石破大臣に,そういった点で,まとめ役としての力を発揮していただけたらと思っていますが,例えば,もう既にご承知のとおりだと思いますが,総務省関係だけでも,これからの地域のあり方として,地方中枢拠点都市構想というものがこの間出されましたし,その前には定住自立圏構想というのも出されている。あるいは,国交省から国土のグランドデザインの中で高次地方都市連合という発想も出されている。
これらを見ましても,どれでいけばいいのか。昔の広域市町村圏事務組合というのをつくった頃もやはり同じような現象があったのですが,国として,こういったものを統合するといったことも必要になってくるのだろうと思います。
それから,地域としての受け皿をどうするか,生活をどうするかというだけではなくて,逆に今度は東京への一極集中を少しでも緩和するという大きな目標も示されているところであります。
その中で,一方では,容積率の緩和ということが言われています。容積率を緩和するということは,事務スペースがたくさんできやすくなるということでありますので,海外企業などがどんどん入ってきてくれればいいですが,アジアの拠点としての日本の地位というものは,ここ数年,年々下がってきてしまっている。そういう中で,今,アベノミクスで精一杯日本が頑張っている。そういうものが評価されて海外企業が入ってくるということになれば大変素晴らしいのですが,もしそういかなかった場合,容積率の緩和によって作られたスペースが少しでも安く提供されることで地方の企業が減ってしまうのではないか。そういったことについて何とか防がなくてはいけない訳でして,そういうトータルな考え方というものを石破大臣にはぜひ持っていただいて,今行われている施策でも見直してもらったらいいのではないか。東京への一極集中を少しでも和らげるためにどうすればいいか。工場等制限法というのもかつてありました。これが廃止されたのが平成14年の7月であります。大きな工場とか大学などは23区などには立地できないような制限があったわけですが,これに似たようなことを考えるとか,相当な荒療治をしないと私は一極集中は防いでいけないのではないかなと思っております。
工場などの地方分散とあわせて,いろいろな施策を組み合わせて,ぜひ本来の目的に沿った形での結果が出るように,石破大臣に辣腕をふるってもらえたらありがたいなと思っています。

茨城(幹事社):併せて,今後,都道府県にもそういった対策本部的なものをつくるということになっていますが,この間の議会の答弁でも知事を本部長とする組織をつくるということになっていますが,どういった時期までにそういうものを立ち上げる予定となっていますでしょうか。

知事:国のほうでは関係法案を多分国会に提出することになると思いますので,そういう法案の状況などを見ながら考えていきたいなと思っております。
地方でも,人口のビジョン,あるいは総合戦略といったものをつくるということが大きなテーマになってくると思いますが,法律にそのとおり書かれていくのかどうかとか,そういうものを見ながら,今後できるだけ早い時期に県としての本部をつくっていきたいと思っておりますし,また,県庁の中の本部だけではなくて,民間の方たちから意見を聞く体制もつくっていかなければいけないと思っています。

茨城(幹事社):各社さん,よろしいですか。ありがとうございます。

Adobe Acrobat Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。

このページに関するお問い合わせ

総務部知事公室報道・広聴課報道

〒310-8555 茨城県水戸市笠原町978番6

電話番号:029-301-2118

FAX番号:029-301-2168

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

質問:このページは見つけやすかったですか?