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更新日:2019年2月28日

#01 ワーホイ!ワーホイ!|ケンポク切絵探訪記

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ケンポク切絵探訪記

朝9時、水戸駅で小林敦子さんと合流。

小林「どこに行くんでしたっけ」
中岡「さぁどこへ行きましょう。とにかく北へ向かいましょうか」

ということで、ひとまず茨城県北の最奥部、大子町へと向かうことにした。プロローグに書いたとおり、この日帰り旅に目的地はない。結論ありきではない取材をして、記事を書くという目的のみが存在するのだ。

水戸から大子町へ北上するには下道しかない。八溝山から流れる久慈川沿いに南北に走る国道118号をひたすら車で北上する。水戸市から那珂市に入り、30分もすれば、やがて「県北」の南端である常陸大宮市へと至る。

国道沿いには大型のチェーン店が立ち並んでいる。巨大なケーズデンキが目に入る。

中岡「ケーズデンキの“ケー”って何の“ケー”なのか知っていますか」
小林「えーと、えーと」
中岡「加藤さんの“K”なんですよ。昔はカトウデンキっていう名前だったんですよ」

はたして、この旅で取材すべき対象は見つかるのだろうかと、不安になる。ふと車窓を見やると、いつしか田園風景が広がっている。

小林「中岡さん!これ!車を止めてください!」
中岡「は、はい!」

我々の目に突然、不思議な風景が飛び込んできた。

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ワーホイ 1月12日実施」とある。

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看板のそばには、4本の長い竹が立っていて、「鳥追い」「ワーホイ」と書いてある。なんだろう!? 車をそばに止めて近づいてみる。

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稲藁を三角錐になるように積んだ、高さ5メートル以上の大きなヤグラ。

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竹が組まれている。外側を何かで覆えば、中は畳3畳ほどの小屋になるだろう。

大空に掲げられていた「鳥追い」とは、毎年小正月(1/14・15)に東日本の農村で行われているお祭りで、子どもたちが鳥追唄を歌いながら鳥追棒で鳥を追払うさまを演じ、害鳥に田畑を荒されないように祈る。上の竹組みは製作途中の小屋のようで、実際には外側は覆われる。お祭り当日、子どもたちはこの小屋に入って餅を食べ、「ワーホイ、ワーホイ」と唱えながら夜を過ごしたことから、いつしか行事の名前に転化していったようだ。ちなみに、この三角錐のヤグラには正月飾りを入れて、燃やしてしまう。いわゆる「どんど焼き」である。茨城県のあちこちで、名前は違えど、こうした「どんど焼き」と「鳥追い」が合わさった行事が行われているらしい。

あいにく、ワーホイが行われる1/12にここに来ることは難しいが、来年はちゃんと計画して、子どもたちを連れてここに来ようと思った。ボォーボォーと火柱を立てて燃え盛る様子を見たら、きっと大喜びするに違いない。街の暮らしでは焚き火さえ禁じられているのだから、こんな行事には絶対にお目にかかれないだろう。ワーホイを見たことのある人生と見たことのない人生だったら、見たことがある人生が良いに決まっている...。とぼんやり考えているあいだ、小林さんは黙々とスケッチしていた。

***

後日、切絵と手書きのコメントが送られきた。

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ワーホイに突然出会えたことによって、これからの旅路が楽しみになった。

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絵・小林敦子(外部サイトへリンク)
編集/文/写真・中岡祐介(三輪舎(外部サイトへリンク)

 

 

小林 敦子(こばやしあつこ)
1989年岡山生まれ。筑波大学芸術専門学群美術専攻特別カリキュラム版画卒業。2014年よりフリーのイラストレーターとして活動。切り絵や水彩で身近なモチーフを描く。料理と植物とDIY好き。ktasybc.tumblr.com(外部サイトへリンク)

 

 

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