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更新日:2000年7月24日

女性の労働(上)-産業構造の変化が影響-

 平成10年11月13日紙上掲載

さて,皆さんは,一般的に女性の社会進出はめざましいものがあり,それに伴って女性の労働力人口も大きく伸びていると考えがちではないでしょうか。女性の15歳以上の総人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合,すなわち「労働力率」の推移を見てみますと,意外な結果が出ています=グラフ1。

本県の女性の労働力人口は,平成7年度で約60万人。労働力人口自体は若干の増減がありますが,昭和50年以降は着実に増加しています。しかしながら,労働力率を見ますと,本県・全国ともに一貫して伸びてきたわけではありません。
とくに,本県と全国とを比較した場合,本県は昭和35年から50年にかけて,急激に女性の労働力率が低下しています。これはいったいなぜなのでしょうか。

まず第1に考えられるものは,産業構造の変化でしょう。昭和30年代後半に始まった“高度経済成長”にあわせるように,本県でも“農業県から工業県へ”のスローガンのもとに,本県の産業構造は,農業をはじめとする第1次産業から製造業などの第2次産業へと変化していきました。農業基本調査によれば,昭和30年代後半から50年代前半にかけて農業従事者は3割近く減少しています。また,農業自体の機械化により,多人数で行っていた作業が少数で可能になるなど,従来農業県であった本県の労働力率の急激な低下は,この産業構造の変化の影響を大きく受けたものと考えられます。第2に,女性の高学歴化が考えられます。昭和30年度では高校進学率約50%,大学等進学率約8%でしたが,昭和50年度には前者が約90%,後者は約25%,さらに平成7年度には前者が約97%,後者は41%と,進学率は増加の一途をたどっており,このため15歳から19歳までの労働力率は約7ポイントも低下=グラフ2,女性の社会に出て働く年代は高年齢化しているといえます。

女性の労働力率を年齢別に見ますと,出産・育児の時期である30歳代を谷とし,20歳代前半と40歳代後半を山とするM字曲線を描く特徴があります。本県の25歳から29歳にかけての労働力率は増加傾向にありますが,女性全体の労働力率は,昭和50年以降,ほぼ横ばいとなっています。=グラフ1。

おりしも現在は,女性が一生の間に産む子供の数を示す合計特殊出生率が平成9年で本県が1.45人,全国に至っては1.39人と少子化の時代。労働力人口の減少傾向は経済成長を制約する恐れもあり,高齢者と並んで女性の社会進出は,労働力としても今後ますます注目されてくると思われます。

このような観点からも,女性にとって本当に“働きやすい”環境作りが急務となっていますが,“女性の働きやすさ”が全国第44位の本県としては,行政そして周囲の人々の,働く女性へのサポートのより一層の充実が望まれるところです。

 

グラフ1本県女性の労働力人口及び労働力率(全国・本県)の推移
グラフ2本県女性の5歳階級別労働力率の推移

  • 資料:国勢調査報告(総務省)

 

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