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更新日:2016年3月24日

H13主要成果

 

1.砂質土壌におけるコシヒカリの玄米千粒重向上のための窒素施肥法(土壌肥料研究室)
2.県南地域における「コシヒカリ」の湛水土中点播栽培技術(水田利用研究室)
3.水稲の乾田直播早期播種における苗立率向上(経営技術研究室)
4.輪換畑における黒大豆エダマメ栽培法(水田利用研究室)
5.酒造好適米品種「ひたち錦」の高品質栽培のための窒素施肥法(作物研究室)
6.「あきたこまち」の千粒重を増大させる生育指標値(水田利用研究室)
7.有機質肥料を利用したコシヒカリの良食味米生産技術(土壌肥料研究室)
8.打込式代かき同時播種機による苗立ち安定化を図るためのカルパ-はく離程度(経営技術研究室)
9.水稲ロングマット水耕苗の育苗法と移植栽培の作業体系(経営技術研究室)
10.ロングマット水耕苗の植え付け本数と欠株が収量に及ぼす影響(経営技術研究室)
11.簡易にコナギのスルホニルウレア系除草剤抵抗性を検定できる発根法(作物研究室)
12.速効性肥料と肥効調節型肥料の全量基肥施肥による大豆の増収効果(作物研究室)
13.夜間照明が「常陸秋そば」の生育、収量、品質に及ぼす影響(作物研究室)
14.ディスク駆動型不耕起播種機の汎用利用(経営技術研究室)
15.クロタラリア属植物の導入によるダイズシストセンチュウの被害軽減効果(病虫研究室)
16.色素原料用ムラサキマサリはサツマイモ立枯病に対して抵抗性を有する(病虫研究室)
17.芳香誘因トラップを利用したアシナガコガネ成虫の効率的な捕獲方法(病虫研究室)
18.コスト低減に主眼をおいた大規模水稲作経営モデル作成の指針(経営技術研究室)
19.露地野菜のコスト低減方策(経営技術研究室)
20.露地野菜経営における環境保全型輪作技術の特徴と導入条件(経営技術研究室)
21.持続的農業組織の類型化と適用技術(経営技術研究室)
22.土壌の可給態りん酸は高感度反射式光度計で簡易に定量できる(土壌肥料研究室)
23.オガクズ牛ふん堆肥の腐熟化にともなう内容成分の経時的変化(土壌肥料研究室)
24.豚ぷん由来堆肥の亜鉛・銅濃度の推定(土壌肥料研究室)
25.畑土壌における家畜ふん堆肥連用による重金属の蓄積(土壌肥料研究室)
26.3種の畜ふん資材の窒素肥効率(土壌肥料研究室)
27.有機物施用量の違いが硝酸態窒素の溶脱に及ぼす影響(環境研究室)
28.窒素収支からみた秋冬ハクサイの持続可能な施肥管理(土壌肥料研究室)
29.畑地使用農薬の火山灰土壌における鉛直浸透性(環境研究室)


 

1.砂質土壌におけるコシヒカリの玄米千粒重向上のための窒素施肥法
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
鹿行地域にある土壌の、窒素肥沃度が低い砂質土壌では、基肥窒素量が多く、分施回数も多い。また、この地域は、水稲の玄米千粒重が低いことも特徴である。このため、鹿行地域の砂質土壌において、施肥窒素の利用率が高まる肥効調節型肥料を利用し、施肥量を削減するとともに、水稲の玄米千粒重を向上させる窒素施肥法を明らかにする。

[成果の要約]
窒素肥沃土の低い砂質土壌におけるコシヒカリ栽培では、基肥にゆめひたち用の全量基肥肥料を用いて、慣行の総窒素量の6~7割を施肥し、これに10a当たり1キログラムの穂肥窒素を組み合わせる。これにより、慣行と同等の収量が得られ、玄米千粒重を慣行に比べて0.5g程度向上させることができる。

[成果の活用面・留意点]
ゆめひたち用の全量基肥専用肥料をコシヒカリに用いる場合は、砂質土壌(上新田統、須田浜統)のみとする。また、肥沃度の高い水田では倒伏しやすくなるので、コシヒカリには絶対使用しない。


 

2.県南地域における「コシヒカリ」の湛水土中点播栽培技術
担当:水田利用研究室
[背景・ねらい]
茨城県における水稲直播面積は他県に比べ少ないものの、年々増加傾向を示し、稲作経営の中に定着しつつある。従来から直播栽培向け品種として「キヌヒカリ」や「ゆめひたち」を進めてきたが、米価が低迷している現在、米価の高い「コシヒカリ」の直播栽培技術を確立する要望が高くなってきている。そこで、湛水直播の中でも倒伏に強いといわれている打込式代かき同時播種機を用いたコシヒカリの湛水土中点播栽培について検討した。

[成果の要約]
適正播種深度を確保するのには、ゴルフボ-ルの露出高5~20ミリメートル程度の播代硬度とし、ひたひた水状態から水深3センチメートル以下で30×20センチメートルに播種する。基肥窒素量は、慣行施肥が移植の40%減肥、全量基肥ではLP40とLP120のブレンド肥料で安定した収量・品質が得られる。

[成果の活用面・留意点]
1)中粗粒グライ土及び泥炭土(山土客土)における4月下旬に打込式代かき同時播種機を用いて播種した結果である。
2)代かきはていねいに行い、均平にこころがける。
3)播種機の作業速度は、標準の0.5m/sとする。標準速度より速くすると播種後の形状が点播にならず、条播に近くなる。
4)播種後は4~7日間落水し、田面をかためる。中干しは、田面に足跡がつかない程度まで強めに行う。


 

3.水稲の乾田直播早期播種における苗立率向上
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
県内における乾田直播栽培の播種適期は4月下旬以降であるが、他の春作業との作業競合や、気象要因による作業の遅延が問題とされるため、計画的な播種を可能とする早期播種技術が求められてきた。そこで、早期播種でも苗立率が向上する条件を明らかにする。

[成果の要約]
水稲乾田直播栽培の旬別平均気温6℃前後の早期播種では、種子をチウラム剤で種子消毒し、播種深度2センチメートル以内に播種することで苗立率向上が可能である。ただし、旬別平均気温が13℃前後となる播種適期と比べると苗立率は劣るので、播種量は8~10キログラム/10aと適期播種より2キログラム程度増量する必要がある。

[成果の活用面・留意点]
1)試験場所は水戸市上国井町農業研究所圃場。供試チウラム剤の商品名はアンレス、チウラム80(ともにチウラム成分80%)。供試品種はコシヒカリ。
2)アンレス処理は10リットルの水にアンレス1キログラムを溶かした溶液に種子を2分間浸漬し、チウラム処理はチウラム80を種子重量の0.2%種子粉衣したものを使用した。
3)地域により旬別平均気温に違いがあるので注意すること。
4)播種量を2キログラム程度増やすことで、種苗費は10a当たり約1,300円高くなる。


 

4.輪換畑における黒大豆エダマメ栽培法
担当:水田利用研究室
[背景・ねらい]
米の生産調整強化に伴い、輪換畑において麦・大豆が導入されているが、収量・品質が不安定なため、作付け面積は伸び悩んでいる。そこで、販売に有利な新たな転作作物の選定とその栽培技術の開発が強く望まれている。このため、本試験では付加価値の高い黒大豆のエダマメを用い、輪換畑に適した品種の選定を行うとともに、収穫時期幅の拡大、高品質安定栽培技術を開発した。

[成果の要約]
輪換畑におけるエダマメは黒大豆「濃姫」が適し、その栽培法は、トンネル栽培で4月上旬、露地栽培で5月上~中旬までに定植し、畦幅30センチメートル、株間15センチメートルの密植栽培で多収が得られ、6月中旬~7月中旬に収穫できる。基肥窒素量は県畑栽培基準の半分の0.4キログラム/aで実用上問題ない。収穫適期は、開花期以降の日平均積算気温が1000℃を越えてから3日間程度である。

[成果の活用面・留意点]
1)県南地域の輪換畑(中粗粒グライ土)における試験結果である。
2)育苗は128穴セルトレイで行った。
3)生育期間が梅雨時期にかかるので、排水対策を徹底する。
4)収穫適期が短いので、莢の色の変化に注意する。
5)普及対象地域は県下全域とする。


 

5.酒造好適米品種「ひたち錦」の高品質栽培のための窒素施肥法
担当:作物研究室
[背景・ねらい]
平成13年度より奨励品種に採用した本件初育成の酒造好適米「ひたち錦」の高品質・安定栽培法を明らかにする。

[成果の要約]
酒造好適米「ひたち錦」の高品質栽培のためには、基肥窒素量はコシヒカリの3割減程度とし、出穂20日前に窒素成分で0.2キログラム/a追肥する。「移植後60日目の草丈×SPAD値※」は1800以下の生育とすることが重要である。

[成果の活用面・留意点]
1)表層腐植質多湿黒ボク土での試験結果である。この土壌におけるコシヒカリの基肥窒素施肥量は0.6キログラム/aである。
2)一般に千粒重は26.0g以上が求められており、「移植後60日目の草丈×SPAD値」が適正生育量の1800以下であれば、ほぼ基準を満たす。
3)今後も試験を継続し、平成14年度普及に移せる技術として発表する予定である。
※葉緑素計SPAD-502による測定値


 

6.「あきたこまち」の千粒重を増大させる生育指標値
担当:水田利用研究室
[背景・ねらい]
本県の「あきたこまち」は現在、良質・良食味米として高い評価を得ているが、今後ともその評価を高め、かつ産地間競争にも打ち勝っていくためには品質の高位安定化を図っていく必要がある。そこで、「あきたこまち」の品質向上の一つである千粒重増大を図るための適正籾数と生育指標について明らかにしようとする。

[成果の要約]
「あきたこまち」の千粒重は、平方メートルあたり籾数を32,000~33,000粒に制御することで、21g以上得られ、収量も540キログラム/10a確保できる。このための生育指標は、最高分げつ期の茎数が500~650本/平方メートル、幼穂形成期の「茎数×葉色値」が2,200程度(茎数:500~600本/平方メートル、葉色:3.5~4.0)である。

[成果の活用面・留意点]
1)中粗粒グライ土における4月下旬移植での結果である。
2)慣行施肥で、穂肥は出穂前18日を目標に窒素0.3キログラム/aを施用した場合の結果である。


 

7.有機質肥料を利用したコシヒカリの良食味米生産技術
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
近年、米の生産過剰や米消費動向の激変から、有機農産物および特別栽培農産物に係わるガイドラインに即した付加価値の高い特色ある米作りとして100%有機質肥料を利用したコシヒカリの良食味米生産技術の確立が求められている。そこで、有機質肥料を利用してコシヒカリの無化学肥料栽培を慣行(化学肥料)栽培と対比して実施し、施肥法の違いが生育・収量および食味に及ぼす影響を明らかにする。
注)有機質肥料:100%動植物質の有機を混合造粒した粒状肥料

[成果の要約]
有機質肥料を利用したコシヒカリの無化学肥料栽培では、慣行(化学肥料)栽培と同量の基肥窒素を移植の2~4週間前に施肥し、同量の穂肥窒素を出穂20日前に施肥すれば、慣行栽培と同等の収量が得られ、良食味米が生産できる。

[成果の活用面・留意点]
1)この成果は、細粒グライ土における試験結果である。窒素肥沃度、保肥力の高い圃場を対象とする。
2)有機質肥料は窒素成分1キログラムあたりの単価が高いので、無農薬、減農薬栽培と組み合わせて付加価値の高い米を生産し、有利販売に努める。


 

8.打込式代かき同時播種機による苗立ち安定化を図るためのカルパ-はく離程度
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
水稲湛水直播では、広く種子へのカルパ-コ-ティングが行われており、苗立ちの安定に寄与しているが、湛水直播の中でも代かき同時打込点播栽培は打込ディスクでカルパ-コ-ティング種子を播種するため、カルパ-のはく離が問題とされている。そこで、カルパ-はく離の軽減を図るため、カルパ-コ-ティング種子水分減少割合および打込回転数とはく離程度の関係について明らかにする。

[成果の要約]
打込式代かき同時播種機による播種作業は、カルパ-はく離からみてカルパ-粉衣籾の重量減少率5%以内、打込回転速度1,030rpm以下の条件で行う。苗立向上を目的にカルパ-種子を加温する場合は、24時間以内に播種するようにする。

[成果の活用面・留意点]
1)打込式代かき同時播種機(K式PS-248-SX8T)を用いた結果である。
2)市販のコ-ティングマシンを用いて乾籾の2倍重被覆した種子の結果である。


 

9.水稲ロングマット水耕苗の育苗法と移植栽培の作業体系
注)2課題をまとめてあります
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
米の価格低迷が続く中で、所得を維持確保するためには生産性の向上と高品質生産を図る必要がある。このため、大区画圃場への対応と大規模稲作経営の省力化および低コスト化に資するため「ロングマット水耕苗移植栽培技術」を確立する。

[成果の要約]
1)育苗法
種子は、6mの播種床に乾籾換算で2キログラム播種する。施肥は、液肥を播種後5日と10日頃に養液のECが1.5mS/センチメートルとなるように施肥する。養液循環量は播種床1本当たり1?/min、ハウス温度を日中30℃、夜間20℃を目標に管理することで、約2週間で草丈8~12センチメートルの健苗が得られる。育苗の作業時間は18.5時間と慣行の約40%である。
2)移植栽培の作業体系
苗の重さは慣行苗の約5分の1と軽く、省力性が高い。移植は乗用田植機に苗ホルダ-を装着し、1人作業で30aの圃場を無補給で移植できる。収量は慣行とほぼ同等である。

[成果の活用面・留意点]
1)ロングマット水耕育苗施設は、間口7.2m以上のビニ-ルハウスに育苗プラントを設置したものである。育苗プラントは、市販されているが自作も可能である。
2)4月第1半旬から第4半旬の育苗では、発芽期(播種後5~6日)に12.5℃以下の低温にさらされ、生育が極端に遅延する場合があり、ハウスの内張による保温や加温を行う必要がある。
3)種子消毒の薬剤は、根の伸長を阻害するものもあるので注意する。温湯消毒(60℃の湯に10分間浸漬処理)は、薬害もなく殺菌効果も安定している。
4)苗ホルダ-は、田植機に巻取ったロングマット苗を固定するもので、受注生産で対応しているメ-カ-もあるが、自作して取付けることも可能である。
5)植付け深さは、浮苗を防止するため、慣行よりやや深い3~4センチメートルを目標に移植する。
6)水管理は、浮苗を防止するため、苗が活着するまで走水程度の灌水か浅水管理とし、苗の活着を確認してから通常の入水を行う。
7)初中期除草剤は通常の入水後、水位が安定してから処理する。
8)本技術の詳細は、「水稲ロングマット水耕苗の育苗・移植マニュアル」として公表する予定である。


 

10.ロングマット水耕苗の植え付け本数と欠株が収量に及ぼす影響
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
水稲移植栽培の軽労・省力化を図るためロングマット水耕苗移植栽培技術が開発されたが、慣行の稚苗移植に比べ、播種量を多くしても欠株や移植精度が劣る状況にある。
このため、育苗時の播種量と移植時の掻取量を調節して、最適な植付本数を把握するとともに、移植精度の向上を図る必要がある。

[成果の要約]
コシヒカリのロングマット水耕苗移植における植付本数は、6~7本/株が多収である。活着後の欠株率と収量の関係は、3%以内が最も多収となる。10%でも減収率は3.2%にとどまることから、欠株率は10%まで許容範囲にあると考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1)代かきは、均平になるようにする。
2)連続欠株が出ないように、田植機の掻取量をやや多めに調節する。
3)移植後の入水は、深水にすると浮き苗が発生するため、走水程度にして活着後に通常の入水を行う。


 

11.簡易にコナギのスルホニルウレア系除草剤抵抗性を検定できる発根法
担当:作物研究室
[背景・ねらい]
平成7年から全国の水田で、スルホニルウレア系除草剤(以下SU剤)抵抗性雑草が発生し、問題となっている(平成13年末現在で推定20万ha)。本県でも平成11、12年に国立研究機関等により美浦村、牛久市でSU剤抵抗性コナギが確認された。本県のSU剤の普及率は高く、全除草剤流通量の約70%を占めることから、他雑草を含め今後拡大することが懸念される。コナギは吸肥力が強く稲の生育・収量に大きな影響を及ぼすため、現場でできる迅速な検定法の普及と、体系処理または新しい一発剤による防除法が求められている。

[成果の要約]
1)市販されているSU剤単剤(イマゾスルフロン0.3%3キログラム粒剤:商品名テイクオフ粒剤)60ミリグラムを水1?に溶かし、これをSU剤溶液(基準濃度)とする。
2)ハ-ト型の葉が1枚展開した頃から開花・結実期までのコナギを用いる。
3)根を1センチメートルに切りそろえ、ベンレ-ト水和剤500倍液で1時間浸漬する。
4)ガラス容器等を用いて、根および根基部をSU剤溶液に浸し、4日程度気温20~30℃の明るい場所に静置する。通常のコナギは発根が抑制されるが、抵抗性コナギは発根が進む。無処理として水にコナギを浸した処理を同時に行い、発根程度を比較する。1処理3~5株を供試する。5)同法により、平成13年度新たに常陸太田市、境町、下館市で抵抗性コナギが確認された。
[成果の活用面・留意点]
1)抵抗性コナギが確認されたら、直ちに中期剤や後期剤で除草し、翌年以降に種子を残さないことが重要である。ただし、中期剤は魚毒性の関係から、使用法に注意する。
2)本方法はイヌホタルイでも、5葉期以降開花期までの個体で適用できる。


 

12.速効性肥料と肥効調節型肥料の全量基肥施肥による大豆の増収効果
担当:作物研究室
[背景・ねらい]
大豆の開花期追肥は、収量水準の低い圃場で効果があることが明らかとなっているが、慣行の施肥法では開花期の追肥作業は、茎葉の繁茂量が多いため煩雑で重労働であることから行われていない。そこで、「ハタユタカ」および「タチナガハ」について、シグモイド型肥効調節型肥料(LPS80)を用いた開花期追肥作業の省略と収量・品質(粒大・粗タンパク含量など)向上効果を検討する。

[成果の要約]
大豆栽培の基肥施肥時に、慣行の速効性肥料に加え肥効調節型肥料LPS80を同時施用することで、慣行施肥に比べ稔実莢数が増加し増収する。肥効調節型肥料LPS80の適窒素量は、開花期における硫安追肥1.0キログラム/aに対して50%減の0.5キログラム/aである。

[成果の活用面・留意点]
1)輪換畑初年目~2年目(表層腐植質多湿黒ボク土)の収量300キログラム/10aを超えるほ場での試験結果である。低収ほ場での効果は今後検討する。
2)開花期追肥は、リン酸緩衝液抽出窒素量が10キログラム/10a以下のほ場で効果が高いことが明らかとなっている。この試験ほ場の抽出窒素量は6.1キログラム/10aで、開花期追肥効果があると診断された。
3)速効性肥料と肥効調節型肥料(LPS80)を組み合わせた肥料は市販されている。肥料コストは高まるが、慣行施肥より約10キログラム/10a増収で採算がとれる。


 

13.夜間照明が「常陸秋そば」の生育、収量、品質に及ぼす影響
担当:作物研究室

[背景・ねらい]
街路灯や広告灯などの人工照明の周辺のほ場で、各作物に様々な生育障害が発生し、収量・品質の低下がみられる。
そこで、夜間照明が常陸秋そばの生育、収量、品質に及ぼす影響について検討する。

[成果の要約]
常陸秋そばは夜間照明で開花が遅れ、子実収量への影響は、生育遅延からくる花房数減少と、登熟不足による千粒重の低下で減収する。その照度は、2Luxで子実収量に影響し、5Lux以上で大きく減収する。また、品質においても9Luxから生育遅延による登熟不足で、未熟粒の増加と果皮色の低下で大きく低下する。

[成果の活用面・留意点]
1)本試験の照明灯の種類は、ナトリウム灯オレンジ色の180ワット、光源の高さ地上8mの街路灯(自動点灯)で、日没から夜明けまでの終夜照明である。また、照度測定方法は、ANA-F11デジタル照度計を用いて、地上1mの位置を光源に対して直角に測定した。測定角度によって照度は大きく違ってくる。
2)人工照明を新たに設置する場合、作物に光が当たらないような設置場所の選定と、照明灯の取り付け工夫が望まれる。


 

14.ディスク駆動型不耕起播種機の汎用利用
担当:経営技術研究室

[背景・ねらい]
作業機械の汎用利用は、コスト低減を図るためには不可欠である。そこで、これまで水稲乾田直播栽培に利用してきたディスク駆動型不耕起播種機の麦・大豆・そばへの汎用利用法を明らかにする。

[成果の要約]
ディスク駆動型不耕起播種機は麦、大豆、そばの播種作業に利用できる。ただし、大豆粒径が小さい場合に株間のばらつきが大きくなるため、播種に供する種子は充実した大粒がよい。

[成果の活用面・留意点]
1)播種機(旧農研センタ-開発Ver.3)は注文生産で現在のところ入手は困難であるが、高いバ-ジョンの機種が大豆不耕起播種機として市販化された。
2)播種条件は耕耘有りで行った。


 

15.クロタラリア属植物の導入によるダイズシストセンチュウの被害軽減効果
担当:病虫研究室

[背景・ねらい]
ダイズシストセンチュウは、大豆の連作により密度が増加しており、生育阻害や収量の低下を引き起こす。この線虫は、土壌中に耐久的に生存しており、防除が非常に困難である。収益性の低いダイズでは高価な殺線虫剤による防除は現実的ではなく、輪作や抵抗性品種の利用が防除対策の基本となる。マメ科植物である「Crotalariajuncea」および「C.spectabilis」の栽培土壌滲出液には、ダイズシストセンチュウの卵のふ化促進する物質が含まれていることが知られている。これら2種のクロタラリア属植物はダイズシストセンチュウの寄主ではないために、ふ化した幼虫は寄生できずにやがて死滅する。そこで、これら2種のクロタラリア属植物およびダイズシストセンチュウに抵抗性を有するダイズ品種を栽培し、ダイズシストセンチュウの密度低減効果および後作の感受性ダイズ品種の被害軽減効果を検討する。

[成果の要約]
マメ科植物「Crotalariajuncea」および「C.spectabilis」を栽培するとダイズシストセンチュウ密度が低下し、後作の感受性ダイズ品種の被害が軽減する。

[成果の活用面・留意点]
1)「C.juncea」はキタネグサレセンチュウを増殖させるので、後作に根菜類などの感受性作物を栽培する場合は、注意を要する。
2)「C.spectabilis」は、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウに対しても高い線虫抑制効果がある。
3)「C.juncea」は、すき込みが遅れると茎が木化して硬くなり作業性が劣る。すき込み期は、「C.juncea」が播種後約50日、「C.spectabilis」が播種後約65~85日である。
4)「C.spectabilis」は、密度低減効果がやや不安定である。


 

16.色素原料用ムラサキマサリはサツマイモ立枯病に対して抵抗性を有する
担当:病虫研究室

[背景・ねらい]
サツマイモ立枯病は、サツマイモ塊根の品質低下や減収の大きな原因となる。色素原料用として注目されている紫イモ品種・系統は比較的病害虫に強いものが多い。そこで、本病に対する耐病性を検討し、防除の一手段として利用できるかどうか検討する。

[成果の要約]
色素原料用品種「ムラサキマサリ」は、サツマイモ立枯病発生ほ場で栽培しても塊根の被害が少なく、サツマイモ立枯病に対する耐病性を有する。

[成果の活用面・留意点]
1)「ムラサキマサリ」は、平成13年度に色素原料用認定品種として採用された。
2)「ムラサキマサリ」は契約栽培が前提となる。
3)「ムラサキマサリ」および「アヤムラサキ」は、立枯病の発病が高まれば塊根被害も高まるが、土壌消毒なしでも栽培が可能である。


 

17.芳香誘因トラップを利用したアシナガコガネ成虫の効率的な捕獲方法
担当:病虫研究室

[背景・ねらい]
アシナガコガネの幼虫はシバの根を食害し、成虫はピラカンサ、パンジ-などの花やケヤキ、カシなどの新葉を初め、多くの植物を加害する。さらに、成虫は白色に誘引されるので、白色の衣服、洗濯物などの集中して飛来する不快害虫でもある。フェネチルアルコ-ルと酢酸ゲラニルを成分とする芳香誘引剤は、アシナガコガネ成虫に対して強い誘因効果を示す。そこで、芳香誘引トラップの設置方法やトラップを改善し、アシナガコガネ成虫の効率的な捕獲方法を検討する。
[成果の要約]
芝に発生するアシナガコガネの成虫に対して緑色芳香誘引トラップを20m間隔に20台設置すると、シバ耕地の約5割の成虫を捕獲できる。また、大型白色とラップと芳香誘引剤を組み合わせた白色芳香誘引トラップは、40m間隔に4台設置しただけで耕地の約3割の成虫を捕獲でき、実用的である。

[成果の活用面・留意点]
1)芳香誘引剤は市販されていない。
2)芳香誘引剤はアシナガコガネ成虫の雌雄成虫の両方を誘引する。
3)白色芳香誘引トラップの縦横40m間隔の設置は、設置間隔や捕獲容量を考慮すると、緑色芳香誘引トラップの縦横20m間隔の設置よりも実用的である。


 

18.コスト低減に主眼をおいた大規模水稲作経営モデル作成の指針
担当:経営技術研究室

[背景・ねらい]
米のコストの大部分は労働費、機械費および地代が占める。この3つの費目に着目し、低コストが実現できる経営の仕組みを持った営農モデル作成の指針を明らかにするとともに、水稲作の収益力を推定する。

[成果の要約]
低コスト稲作経営モデル作成では、オペレ-タ-数と機械セットの比率を2対1(2時01分型、4時02分型)とする。このような仕組みを持った経営モデルは、8時間労働、米の単収510キログラム/10a、米の60キログラムあたり価格15,700円以上で米作部門の維持が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1)本モデルは、水稲作のみに関した基本モデルであり、複合部門を加えたモデルは別に作成中である。
2)水田の区画や労賃、機械の使用年数などのコストに関わる要因は多い。これらの対策と効果については省略する。


 

19.露地野菜のコスト低減方策
担当:経営技術研究室

[背景・ねらい]
最近の露地野菜作における機械化が、作業構造に及ぼす影響とコストの関係を明らかにし、作業構造からみた場合のコスト低減策を明らかにする。

[成果の要約]
レタス、ハクサイ等の露地野菜は、移植、調整作業等の機械化と機械作業能率を高められる作業組織を組み替えることによって大規模化が可能となる。露地野菜作経営では、機械力を活かせる5名程度の分業組織を組むこと、大面積作付けおよび低賃金労働力の活用で野菜作のコスト低減が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1)耕地を従属的な変数として扱っているので、成果の適用には借地拡大の可能性や作付け体系等を検討する必要がある。
2)常時雇用者の労賃が出来高制をとった場合には、規模の経済性は若干低くなる。


 

20.露地野菜経営における環境保全型輪作技術の特徴と導入条件
担当:経営技術研究室

[背景・ねらい]
ハクサイ、レタス主体の露地野菜経営を対象に、土壌診断・畦内条施肥機による窒素減肥技術、根こぶ病抵抗性葉ダイコン・生物農薬を利用した病害虫防除技術および麦・陸稲による輪作技術導入の経営効果と技術導入条件を、線形計画法により明らかにする。

[成果の要約]
環境保全型施肥技術および病害虫防除技術は、経費節減効果が大きいが、麦・陸稲による輪作を導入した場合、土地生産性が低くなる。ただし、借地で耕地拡大が可能であれば、費用節減効果の高い作付体系を選択することができ、経営全体として慣行技術による場合と同等の収益性が期待できる。

[成果の活用面・留意点]
1)施肥量は、土壌診断結果に基づき適宜調節する。
2)麦・陸稲の導入は、コンバインを所有する露地野菜経営において比較的容易であるが、技術の普及拡大には、農地集積促進や低収益に対する補償など行政的支援が重要である。


 

21.持続的農業組織の類型化と適用技術
担当:経営技術研究室

[背景・ねらい]
環境保全、食の安全性への要望が高まっているが、持続的農業技術の普及が進まない状況にある。そこで、これら技術の普及を促進させるために、技術実践組織を類型化し、類型別に適する技術条件を明らかにする。

[成果の要約]
持続的農業を実施している組織は、推進主体と組織機能により5類型に分類できる。推進主体が公的機関とり込み程度の高い組織ほど、組織ぐるみで団地的に取り組む技術の導入が可能である。他方、技術指導・援助や販売情報の提供など多くの機能を担う組織ほど、費用のかかる有機農業的技術や、難易度の高い技術の導入が可能である。

[成果の活用面・留意点]
1)県内で、露地野菜作の持続的農業を実施する組織を対象とした。


 

22.土壌の可給態りん酸は高感度反射式光度計で簡易に定量できる担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
近年、土壌の可給態りん酸含量は蓄積傾向にあり、本県の畑土壌でも改善基準値(10~20ミリグラム)を超過するほ場が多くなっている。地力増進法では乾土100gあたりの上限値をトルオ-グりん酸で100ミリグラムに定め、過剰なりん酸施用を避けるよう指導している。りん酸資材の過剰施用による土壌への蓄積を回避するには、土壌診断に基づいた施肥設計が重要であり、現場レベルで信頼性が高く、簡便な定量法が必要である。

[成果の要約]
土壌のトルオ-グ抽出可給態りん酸(Av-P2O5)は高感度反射式光度計(商品名:RQフレックスプラス)と専用のりん酸イオンテスト(リフレクトクアントプラス)により、簡易ではあるが高精度で定量することができる。

[成果の活用面・留意点]
1)RQフレックスでは土壌のトルオ-グ可給態りん酸は定量できない。
2)操作詳細はアプリケ-ションノ-トに従う。
3)本体は98,000円、1点あたりのコストは90円である。


 

23.オガクズ牛ふん堆肥の腐熟化にともなう内容成分の経時的変化
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
堆肥の腐熟度判定は、色、臭い、品温等の主観での判定や炭素率等の成分分析での判定が中心となっているが、その判定は難しい場合が多く、簡易な判定手法が求められている。そこで、堆肥舎で6ヶ月堆肥化したオガクズ牛糞堆肥の内容成分等の経時的変化について明らかにし、簡易な腐熟度判定について検討する。

[成果の要約]
オガクズ牛ふん堆肥は、6ヶ月堆積しても品温は50℃以下に低下しない。炭素率、アンモニア態窒素は堆積期間が進むにつれて低下する。腐熟化したオガクズ牛ふん堆肥のアンモニア態窒素は20~30ミリグラム/100gまで減少する。

[成果の活用面・留意点]
1)オガクズ牛糞堆肥は、茨城県畜産センタ-堆肥舎で体積70立方メートルの規模で堆肥化し、配合割合は牛糞:オガクズ(籾がら)=72時28分(6)である。
2)堆肥は、横型密閉発酵処理施設で1週間程度前処理した後、堆肥舎に堆積している。
3)堆肥(現物)のアンモニア態窒素及び硝酸態窒素の定量は、堆肥(現物)と2MKClを1時02分の比率で振とう浸出して行う。


 

24.豚ぷん由来堆肥の亜鉛・銅濃度の推定
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
環境保全型農業の推進により、堆きゅう肥の農耕地への施用が盛んに進められている。堆きゅう肥には重金属濃度が下水汚泥並に高いものが一部みられ、農耕地への重金属集積が懸念される。堆きゅう肥の重金属類の分析は強酸分解など高度な技術が必要なことから迅速な対応と指導が難しい。県内の堆きゅう肥等有機質資材の分析結果から、一般的な肥料成分濃度を明らかにするとともに亜鉛、銅濃度の高い豚ぷん由来資材について簡易に測定可能な成分項目からの推定法を検討する。

[成果の要約]
畜ふん別の肥料成分(N、P、K、Mg)及び重金属(亜鉛、銅)濃度は豚ぷん由来資材が最も高い。分解操作を行わなくても簡易に分析可能なECとNO3-Nから、豚ぷん由来資材の亜鉛・銅含量を推定できる。

[成果の活用面・留意点]
1)豚ぷん以外の資材ではZn、Cu濃度と電気伝導率及び硝酸態窒素の相関は低く、豚ぷん由来資材のみに適用できる。
2)電気伝導率と硝酸態窒素は堆きゅう肥乾燥物と蒸留水を1時10分の比率で振とう浸出して行う。
3)普及センタ-においても堆きゅう肥のZn及びCu濃度推定が簡易に行える。
4)有機質資材の分析結果は、堆きゅう肥の施用量の目安として利用できる。
5)肥料取締法は堆きゅう肥の乾物当たり濃度がZn900ミリグラム/キログラム、Cu300ミリグラム/キログラムを越える場合はその濃度表示を義務づけている。


 

25.畑土壌における家畜ふん堆肥連用による重金属の蓄積
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
農業の自然循環機能の維持増進を図るため、家畜ふん堆肥の利用が求められている。しかし、家畜ふん堆肥に含まれる重金属の土壌への蓄積が懸念される。そこで、家畜ふん堆肥を17年間毎年施用した表層腐植質黒ボク土における土壌中の重金属の層位別分布及び蓄積量を明らかにする。

[成果の要約]
家畜ふん堆肥を年1回窒素成分で1キログラム/a投入した表層腐植質黒ボク土の土壌中の亜鉛及び銅は上層部に蓄積される。特に乾燥豚ぷんを施用すると表土に亜鉛が蓄積され、17年間で27.0ミリグラム/キログラムになる。

[成果の活用面・留意点]
1)各作物は栽培基準に準じて化学肥料で施肥をおこない、家畜ふん堆肥施用区は家畜ふん堆肥を窒素成分で1キログラム/a加用している。
2)土壌及び堆肥の重金属は、硝酸で全分解し原子吸光法で分析した。
3)表層腐植黒ボク土においての結果であり、他の土壌ではさらに検討が必要である。


 

26.3種の畜ふん資材の窒素肥効率
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
有機質資材の肥効率を把握することは施肥設計をするうえで極めて重要である。生ふんの肥効率は神奈川県が既に明らかにしているが(昭和52)、堆肥化物等については知見が少なく生ふんの肥効率を堆肥化物に読み替えて代用している。飼養環境、副資材添加内容の変化は肥効率への影響が推定され、環境保全型の有機質資材利用をする場合には肥効率に配慮した適性施用が基本となる。そこで代表的な有機質資材の乾燥豚ぷん、オガクズ牛ふん堆肥、発酵鶏ふんを用い、露地野菜の栽培での窒素肥効率を明らかにする。
肥効率;化学肥料に比べた有機物中窒素の相対的な効果を表す比率。
肥効率=試験区のN利用率×100/化学肥料区N利用率

[成果の要約]
乾燥豚ぷん、オガクズ牛ふん堆肥、発酵鶏ふんの3種の資材について、窒素の肥効率を明らかにした。化学肥料の窒素利用率を100として比べた窒素の肥効率は乾燥豚ぷんが54~70、オガクズ牛ふん堆肥が33~36、発酵鶏ふんが51~67%である。

[成果の活用面・留意点]
1)有機質資材を投入する場合の施肥設計で、窒素量算定の基礎デ-タとする。
2)火山灰畑土壌に適用する。
3)有機質資材の乾物N%(C/N比)は乾燥豚ぷん3.07~3.27%(10前後)、オガクズ牛ふん堆肥1.54~2.17%(20前後)、発酵鶏ふん3.01~4.84%(10前後)であった。
4)耕種概要:トウモロコシ:6月下旬播種、8月中旬収穫。二条大麦:11月初旬播種、6月初旬収穫。ハクサイ:9月初旬定植、11月中旬収穫。ダイコン(マルチ栽培):8月下旬播種、11月初旬収穫。


 

27.有機物施用量の違いが硝酸態窒素の溶脱に及ぼす影響
担当:環境研究室
[背景・ねらい]
本県は有数の畜産県であり、その排泄物量も多い。しかしながら近年、畑地への過大な資材投入や家畜排泄物の野外への放置による地下水等の環境への影響が懸念されている。
そこで、本試験では畑地への乾燥豚ぷん及び牛ふん堆肥の連用施用が浸透水質及び作物栽培に及ぼす影響について検討するため、ライシメ-タ-試験においてレタス及びハクサイを栽培し、浸透水中の硝酸態窒素濃度及び溶脱量を調査した。

[成果の要約]
化学肥料の一部を乾燥豚ぷん及び牛ふん堆肥で代替し、レタス及びハクサイを栽培したところ、有機物で代替した割合が高まるほど、浸透水中の硝酸態窒素の溶脱量は少なくなる。ただし、年次の経過とともに有機物施用区での硝酸態窒素濃度は高まり、溶脱量は増えてきている。

[成果の活用面・留意点]
1)本試験は腐植質黒ボク土を用いた4年間のライシメ-タ-試験(規模:2平方メートル、深さ75センチメートル)の結果である。
2)施肥は全量元肥(N:P2O5:K2O=20時20分20秒キログラム/10a)である。
3)窒素吸収量の傾向は作物の種類により異なった。レタスでは、化学肥料の一部を豚ぷん及び牛ふん堆肥で代替すると、窒素吸収量は化学肥料区と同等か多くなり、ハクサイでは、代替率が高くなるほど窒素吸収量は少なくなった。


 

28.窒素収支からみた秋冬ハクサイの持続可能な施肥管理
担当:土壌肥料研究室
[背景・ねらい]
肥効調節型肥料の局所施用により秋冬ハクサイの施肥窒素の削減が可能となる。しかし、ハクサイの窒素吸収量は施肥窒素量を上まわるため、見かけの窒素収支からみるとマイナスとなり、連用した場合、地力窒素の消耗が懸念される。そこで、秋冬ハクサイの低投入施肥管理における窒素収支を重窒素(15N)標識肥料1)を利用して検討する。

[成果の要約]
秋冬ハクサイにおける肥効調節型肥料1)の局所施用法は、慣行の全面全層施肥法にくらべ施肥窒素の利用率2)が25%程度高い。施肥窒素量を15キログラム/10aに削減しても慣行に近い収量、窒素吸収量が得られる。ハクサイが吸収した土壌由来の窒素吸収量は慣行と差がない。

1)肥効調節型肥料の局所施用は、被覆リン硝安カリ(ロング40日タイフ゜)を畦内施肥した。2)利用率:施肥された肥料成分が作物により吸収される比率
重窒素標識肥料:窒素の安定同位体で、質量の大きいものを重窒素といい、この窒素を一定量含む肥料。

[成果の活用面・留意点]
1)土壌養分の中庸な農研畑ほ場(表層腐植質黒ボク土)での結果である。
2)土壌からの窒素吸収が12キログラム/10aと多いため、有機物投入により地力維持に努める。


 

29.畑地使用農薬の火山灰土壌における鉛直浸透性
担当:環境研究室

[背景・ねらい]
地下水汚染に対する規制として、1997年に「地下水の水質の汚染に係わる環境基準」が告示され、一部の農薬の基準値が設定された。今後、農薬の使用にあたっては、環境への配慮がますます求められる。そこで本研究では、水溶解度が異なる3種類の農薬をハクサイ畑に茎葉散布し、土壌に落下した農薬の土壌中における鉛直浸透性を調査することにより、農薬の地下水等の環境への影響を明らかにする。

[成果の要約]
水溶解度が異なる3種類の畑地使用農薬を圃場(火山灰土壌)に散布し、その後の土壌中における鉛直浸透性を調査した結果、農薬は地表下ほぼ15~25センチメートルまでにとどまった後に消失したので、地下水等の環境への影響はなかったと考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1)農薬による環境への影響を防止するために、農薬の基準使用料を遵守することが、最も重要である。
2)本研究は、火山灰土壌において特定の3種類の茎葉処理剤を用いて行ったものである。
3)本研究における農薬の使用方法は試験のため、安全使用基準に準じていない部分がある。(クロロタロニルのハクサイへの使用は2回までである)。


このページに関するお問い合わせ

農林水産部農業総合センター農業研究所庶務課

茨城県水戸市上国井町3402

電話番号:029-239-7211

FAX番号:029-239-7306

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