ホーム > 茨城を創る > 農林水産業 > 農業研究 > H14試験研究から普及に移す技術

ここから本文です。

更新日:2016年3月24日

H14主要成果

01.酒造好適米品種「ひたち錦」の高品質生産のための窒素施肥法
02.水稲の早期・早植栽培におけるロングマット水耕苗移植栽培の作業体系
03.全量基肥施肥による「あきたこまち」の高品質安定栽培法
04.製粉・製麺特性の優れる小麦「きぬの波」の認定品種採用
05.水稲の密播育苗による育苗コストの低減
06.輪換畑における肥効調節型肥料を利用した大豆増収技術
07.打込式代かき同時施肥播種機によるコシヒカリの湛水土中点播栽培の作業体系
08.水稲不耕起乾田直播の播種期幅と適用地域の拡大
09.生物農薬「マルカライト」を用いたサツマイモつる割病の防除
10.銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤によるいもち病およびばか苗病の防除

 

 

 

酒造好適米品種「ひたち錦」の高品質生産のための窒素施肥法
担当:作物研究室
[背景・ねらい]
酒造好適米は高水準の品質が求められる。平成13年度から奨励品種に採用した本県育成の酒造好適米「ひたち錦」の品質目標を千粒重25.5g以上、心白発現率80%以上、白米粗タンパク質含有率6.4%以下とし、目標達成のための窒素施肥法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
心白発現率は平方メートル当たり籾数と負の相関があり、籾数が25,000粒以下となると、心白発現率80%以上となる。また同様に、白米粗タンパク質含有率とも正の相関があり、籾数が35,000粒以下となると、白米粗タンパク質含有率6.4%以下となる。
籾数は平方メートル当たり穂数と高い正の相関があり、籾数を25,000粒以下にするためには、穂数を350本以下とする。
籾数と「移植後60日目の草丈」には高い正の相関があり、籾数を25,000粒以下にするためには、「移植後60日目の草丈」を63センチメートル以下とする。
「移植後60日目の草丈」が目標値の63センチメートル以下を満たす基肥窒素量は、コシヒカリ慣行施肥量の3割減の0.4キログラム/aである。基肥窒素0.4キログラム/a、出穂前20日の穂肥0.2キログラム/aにより、千粒重、心白発現率、白米粗タンパク質含有率の目標をほぼ達成する。
[成果の活用面・留意点]
1)表層腐植質多湿黒ボク土における5月上旬移植での試験結果である。
2)白米粗タンパク質含有率は精米歩留が約91%の時のものである。
3)基肥窒素量0.4キログラム/a、穂肥0.2キログラム/aの収量は61.1~64.0キログラム/a(坪刈換算)である。


 

水稲の早期・早植栽培におけるロングマット水耕苗移植栽培の作業体系
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
米の価格低迷が続く中で、所得を維持確保するためには生産性の向上と高品質生産を図る必要がある。このため、大区画圃場への対応と大規模稲作経営の省力化及びコスト低減に資するためロングマット水耕育苗移植による栽培技術を確立する必要がある。
[成果の内容・特徴]
育苗は、ロングマット水耕苗施設を用いて行う。播種床に施設した不織布の上に催芽籾を均一に播種し、水を循環させる。(この段階では施肥は行わない)。温度管理は、苗の生育が遅延しないよう、昼間30℃以下、夜間20℃を目標に行う。
施肥は、草丈が2~3センチメートルに達した播種後5日と10日後に液肥専用肥料を用い、養液濃度がEC1.5mS/センチメートルになるように行う。養液タンクの水位は蒸散などにより低下するので加水して、一定のレベルに保つ様にする。
苗の巻き取りは、草丈が8~12センチメートル(播種後約14日)に達したときで、移植の前日か当日行う。作業手順は、苗の損傷を防ぐため長めの棒でベッドからはみ出した苗を苗の内側に押して形を整え、ローラー(直径20センチメートル、幅27.5センチメートル、重さ10キログラム)で苗を上流から鎮圧する。巻取は、巻取補助装置を用い、苗の先端方向(下流)から、巻取を行う。苗カバーをして、水切りを行う。巻き取った苗の貯留は、乾燥を避けるためビニールシートなどをかけて、日が当たらない場所に保管する。
育苗に要する時間は、ha当8.5時間と慣行(土付苗)31.3時間の約27%と省力性が高く、重さは慣行苗の約5分の1で労力低減効果も高い。
移植は苗ホルダーを装着した乗用田植機で行う。代の固さは、通常の田植えと同じかやや柔らかめで、1mの高さからゴルフボールを落としたときに丁度ボールが埋没する固さを目安とする。
コシヒカリでは、1株当たり植付本数6~7本、株間16センチメートル(21.2株/平方メートル)を目標に移植する。6条植では、30aの圃場を無補給で移植できる。
コシヒカリの移植適期は、移植時期別の収量分布から、慣行栽培と同じ4月第5半旬~5月第6半旬までと推察される。収量は、慣行栽培と同等である。
本技術は、慣行移植栽培に代替可能な省力技術として県下全域に適用可能である。
[成果の活用面・留意点]
1)ロングマット水耕育苗施設は、間口5.4m以上のビニールハウスに育苗プラントを設置したものを用いる。育苗プラントは、市販されているが自作も可能である。
2)巻取補助装置は試作機であるが、近日市販される見込みである。
3)苗ホルダ-は、田植機に巻取ったロングマット苗を固定するもので、受注生産で対応しているメ-カ-もあるが、自作して取付けることも可能である。
4)植付深さは、浮苗を防止するため、慣行よりやや深い3~4センチメートルを目標に移植する。
5)水管理は、苗が活着するまで走水程度の灌水か浅水管理で浮苗を防止し、苗の活着を確認後、通常の入水を行う。
6)本技術の詳細については「水稲ロングマット水耕苗の育苗・移植マニュアル」として公表する予定


 

全量基肥施肥による「あきたこまち」の高品質安定栽培法
担当:水田利用研究室
[背景・ねらい]
本県産「あきたこまち」は早場米として高い評価をうけている。しかし、農家の高齢化や規模拡大が進むなかで、この評価を維持していくためには、品質・収量の高位安定とともに省力的な栽培技術が必要である。そこで、肥効調節型肥料を利用した「あきたこまち」の全量基肥施肥法を確立しようとした。
[成果の内容・特徴]
全量基肥施肥区の生育は慣行施肥区に比べ草丈が短く、茎数が少ない。葉色は慣行施肥区よりやや淡く推移するが、登熟後半の肥効切れや残効もなく安定している。全量基肥施肥区の出穂、成熟期は慣行施肥とほぼ同じである。稈長は慣行施肥区より短く、倒伏も少ない。
全量基肥施肥区の収量は、平方メートル当たり籾数に起因して慣行施肥区よりやや少ないものの、R25+R50+R70区では実用的な収量54キログラム/a以上を達成できる。千粒重は全量基肥施肥区で増大する。
整粒歩合はR25+R50+R70区及びR25+R70区が慣行施肥区よりやや優れる。白米粗タンパク質含量は全重基肥施肥区で慣行施肥区よりやや低下する。
[成果の活用面・留意点]
1)セラコ-トRは被覆尿素肥料で溶出パタ-ンはR25:リニア型25日タイプ、R50:シグモイド型50日タイプ、R70:シグモイド型70日タイプである。
2)中粗粒グライ土における全面全層施肥、4月下旬稚苗移植における結果である。
3)この肥料は窒素成分が26%の高成分肥料であり、施肥時の現物投入量が少ないため、肥料補給回数の削減効果も期待できる。
ただし、りん酸、カリの成分は11%と低いので、連年栽培では生育をみながらりん酸、カリを施用する。
4)被覆資材は衝撃に強いため、ブロ-ドキャスタ-による肥料散布も問題なく行える。
5)この肥料は平成15年度から市販される予定である。


 

製粉・製麺特性の優れる小麦「きぬの波」の認定品種採用
担当:作物研究室・水田利用研究室
[背景・ねらい]
本県の小麦主力品種「農林61号」は、製粉・製麺適正に優れるが、コムギ縞萎縮病に弱くまた倒伏しやすいなどの欠点がある。それに対して「きぬの波」は栽培特性が優れ、製粉・製麺適性(やや低アミロース)も農林61号以上であり、総合的に優れた特性を持つ。そこで、きぬの波を輪換畑(水田転作)栽培用の認定品種として採用し、小麦の本県産小麦の評価向上と生産安定を図る。
[成果の内容・特徴]
「きぬの波」は群馬県農業試験場で「関東107号(低アミロース含量系統)」を母とし、「関東100号(バンドウワセ)」を父として育成された品種「農林61号」に比べて以下の特徴がある。
出穂期・成熟期は農林61号より1~3日程度早い早生である。
ふ色は黄(白)の“白ふ”品種である。
コムギ縞萎縮病に抵抗性であるが、うどんこ病には農林61号よりわずかに弱い“やや弱”である。
穂発芽性は農林61号と同程度の“難”である。(育成地調査)。
アミロース含量は農林61号よりやや低い。
農林61号より短桿で耐倒伏性に優れ、多収で、千粒重もほぼ同程度である。
外観品質は農林61号より優れる。
製粉歩留りは農林61号と同程度で、製麺適性は粘弾性、色、滑らかさの項目で優れている。
[成果の活用面・留意点]
1)ふ色は黄色(白)の“白ふ”品種であるため収穫時期の穂の外観は農林61号と異なる。そのため、穀粒水分を測定し、穀粒の状態を充分確認してから収穫する。
2)農林61号より粗タンパク含量が低いため、低タンパクの小麦が生産される圃場では向上に努める。
3)畑圃場では粗タンパク含量が目標値(10~11%)を超え、製麺適性が低下するので作付けしない。
4)フレッケンの発生が見られるが生育、収量等への影響はない。
5)うどんこ病に強くないため無理な多肥栽培は行わない。


 

水稲の密播育苗による育苗コストの低減
担当:水田利用研究室
[背景・ねらい]
最近の米価格低迷、農家の高齢化や規模拡大により、省力・低コストな稲作技術の開発が強く求められている。そこで、ウニコナゾールP液剤を利用した密播育苗による育苗資材費の低減及び播種・移植作業の軽労化を図ろうとした。
[成果の内容・特徴]
ウニコナゾールP液剤を浸漬処理した種子による乾籾播種量240g/箱の密播苗(以降、密播苗)は、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と比べて草丈が短く、同じ育苗期間でも葉齢の展開はほぼ同じである。育苗箱当たりの窒素施肥量は、慣行の1.5g/箱より2g/箱で葉の黄化が少なく良苗が得られる。
密播苗の移植後の初期生育は、移植後の葉齢増加速度、根長、地価部の乾物重からみて、乾籾播種量160g/箱の慣行苗と同程度である。
密播苗は田植機の苗掻き取りを調整することで、株当たり4~5本移植が可能である。
欠株率は350倍処理苗で高まるが、450倍処理苗では問題なく移植できる。10a当たりの苗箱数は慣行苗の2月3日に減少する。
密播移植苗の収量は慣行苗移植と同程度である。
密播苗移植の育苗資材コストは、慣行育苗と比較して山土使用の場合、10a当たり約400円、粒状培土使用の場合では10a当たり約200円の削減効果が得られる。
[成果の活用面・留意点]
1)3月下旬~4月中旬播種、4月下旬~5月上旬移植における結果である。
2)種子消毒、苗立枯病の防除は必ず行い、育苗時の温度管理には注意する。
3)平置き出芽は出芽時に籾の持ち上がりが懸念されるので行わない。
4)ウニコナゾールP液剤は水稲育苗期の徒長防止剤として既に市販されている。


 

輪換畑における肥効調節型肥料を利用した大豆増収技術
担当:作物研究室
[背景・ねらい]
大豆の開花期追肥は収量水準の低い圃場で有効であるが、茎葉が繁茂している開花期の追肥作業は煩雑で重労働であることから生産現場では行われない。そこで、基肥施用時に慣行の速効性肥料にシグモイド型肥効調節型肥料(LPS80)を同時施肥し、開花期追肥作業の省略と収量・品質(粒大・粗タンパク質含量等)向上効果を検討し、省力・増収技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
標準播種・晩播とも施肥法および施肥窒素量の違いは、開花期や成熟期の早晩に影響しない。
全量基肥施肥および開花期硫安追肥は慣行施肥に比べ、標準播種・晩播とも主茎長がやや長くなるが、茎の太さ、主茎節数等生育に差が無く、倒伏は認められない。
全量基肥施肥は慣行施肥に比べ、平方メートル当たり稔実莢数が増加するため平均で約7%増収し、開花期追肥に近い収量が得られる。
全量基肥施肥でのLPS80の窒素量は1.0~0.5キログラム/aでは差が無く、窒素量を0.5キログラム/aまで減肥しても増収効果があり、増収効果は標準播種・晩播ともほぼ同程度見られる。
全量基肥施肥は慣行施肥に比べ大粒率がやや低下するが、百粒重・粗タンパク質含量に差はない。
県内9か所・10地点での10~30a規模の現地試験では、7地点で6~18%の増収効果が認められ、全量基肥施肥と慣行施肥では生育量や倒伏に差は認められなかった。
[成果の活用面・留意点]
1)品種は「タチナガハ」によるものであるが、「ハタユタカ」でも同様な成績が得られている。
2)施肥時期から播種時期の間隔が極端に開くと効果が認められない。肥料の性質から散布後1週間以内に播種する。
3)全量基肥施肥の大豆作付跡の可給態窒素は慣行施肥並であることから、後作物の施肥量は慣行通りとする。
4)速効性肥料と肥効調節型肥料(LPS80)を組み合わせた肥料は市販されている。肥料コストは高まる(慣行対比約2,300円/10a増)が、
慣行施肥より約10kg/10a増収で採算がとれる。


 

打込式代かき同時施肥播種機によるコシヒカリの湛水土中点播栽培の作業体系
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
本県の湛水直播は収穫期に倒伏しやすいため、良食味で市場性が高いコシヒカリを栽培することは困難であった。しかし、米価が低迷している中、現場からはコシヒカリの直播に対する要望が高くなっている。そこで、耐倒伏性の向上が期待できる打込式代かき同時施肥播種機による湛水土中点播栽培技術を確立する。
[成果の内容・特徴]
カルパー被覆種子は、乾燥により水分が減少すると打込時の打撃損傷でカルパーがはく離しやすくなるので、水分減少を抑え被覆がはく離しないようビニール袋等で密封管理する。
施肥は、種子繰出ロールを肥料用溝3穴/回転、繰り出しを種子と同じタイミングとした種子肥料繰出ロールに改良し、案内管につける種子ホッパーを肥料と種子の仕切を入れたホッパーに改造することで、播種と同時に施肥作業ができ省力的である。
窒素成分40%肥効調節型被服肥料の施肥量範囲は、株間20cmでN-2.3~8.1キログラム/10a、株間18cmでN-2.5~9.0キログラム/10aである。粒状肥料の打込み深さはコーティング種子よりやや浅く、条施状となる。また、条止め装置を付加したことで効率的な作業が行える。
播種作業は荒代かき後に行い、作業速度は0.5m/s、打込みデイスク回転数1,030rpm、株間17~20センチメートル、水深3センチメートル以下を標準とする。なお、圃場作業量は2人組作業で4.1h/ha程度である。
播種後は落水し、苗立の安定化とカモによる加害回避を図る。除草剤は水稲直播用に登録されているものを用い、使用時期・使用量を厳守する。病害虫防除、収穫・乾燥調整作業等は移植栽培に準じて行う。
延作業時間は県栽培基準の湛水条播と比べ,ほぼ同程度の66h/haでできる。
播種後の生育は安定し、倒伏程度も全面全層基肥施肥区と比べ同じかやや優る。
[成果の活用面・留意点]
1)本成果は、短強稈良食味品種「ゆめひたち」等でも適用できる。
2)種子は乾籾の2倍量カルパー粉粒剤16をコーティングした結果である。
3)オプション代は、種子肥料繰出ロールは2.8万円/条、条止め装置は2万円/条、ホッパー1.5万円/個程度で装着できる。
4)黒ボク土など代かき後土壌が固まりやすい圃場では、トラクター轍跡が残り種子が露出しやすいので播種作業は荒代かきに続けて行う。
5)播種作業時に水深が5センチメートルと深い条件では、作業速度0.3m/s、ディスク回転数360rpmで行う。
6)成果の内容の一部は、2001年度主要成果「打込式代かき同時播種機による苗立安定化を図るためのカルパーはく離程度」、
普及に移す技術「コシヒカリの湛水土中点播による安定栽培技術」を引用している。


 

水稲不耕起乾田直播の播種期幅と適用地域の拡大
担当:経営技術研究室
[背景・ねらい]
本県の乾田直播栽培は、降雨等による作業遅延のため適期播種ができなかったり、圃場条件等の制約から適用圃場が限られていた。そこで、播種期幅を拡大する早期播種技術や、適用には問題のある土壌型として分類されている細粒強グライ土や黒ボクグライ土での施肥・播種技術など適用地域拡大のための技術改善を行う。
[成果の内容・特徴]
チウラム種子粉衣によって、4月上旬播種の苗立率が向上し安定収量が得られ、従来の4月下旬から播種期幅を拡大できる。
県北地域において、チウラム粉衣した種子と慣行窒素施肥量が20%増量した肥効調節型肥料LP40とLPSS100を混合(1時01分)させた肥料を溝内同時施肥播種することで、地下水位が高く、土壌還元が強い排水不良な細粒強グライ土や黒ボクグライ土でも、収量54キログラム/aの安定栽培ができる。
以上の技術を導入することで、県内の適応可能な地域が増え、播種機1台当たり負担面積は播種期幅拡大により29.5haから60.6haへ増加する。
[成果の活用・留意点]
1)成果はディスク駆動不耕起播種機(農研センタ-開発Ver.3)を用いた結果であり、播種機は市販されている。
2)細粒強グライ土圃場は1999年から連続して不耕起乾田直播栽培を行った結果である。
3)施肥量は、土壌診断をもとに決定する。


 

生物農薬「マルカライト」を用いたサツマイモつる割病の防除
担当:病虫研究室
[背景・ねらい]
現在、化学農薬への過度の依存による環境負荷が懸念され、一方では、安全性に優れた農産物の生産が強く求められている。安全・安心な農産物生産および環境と調和した持続的な農業生産を行っていくため、化学農薬に代わる防除技術として天敵や有用微生物を用いた生物防除が期待されている。
農業研究所では、サツマイモつる割病防除に有効な有用微生物である非病原性フザリウム菌の製剤化に成功し、農薬登録を目指して民間企業(エーザイ生科研株式会社)と共同研究を実施してきた。これまで、サツマイモつる割病の防除は化学農薬のベノミル剤(ベンレート水和剤)に依存していたが、非病原性フザリウム菌製剤が農薬登録を取得することにより、かんしょの減化学農薬栽培が可能となる。
[成果の内容・特徴]
非病原性フザリウム生菌製剤は、平成14年6月18日付けで「マルカライト」の名称で農薬登録(登録番号第20848号)され、本剤は環境にやさしい生物農薬として、減化学農薬栽培・特別栽培かんしょ生産に寄与することができる。
マルカライトは、500倍液を作成し、定植前日にサツマイモ苗の切り口を1晩(17時間)浸透し、定植する。マルカライトを水中に入れるとゼオライトに吸着していた菌体は容易に分散するが、良く撹拌して菌の懸濁液を作成する。
本剤は長年にわたる試験において安定したつる割病防除効果が認められ、各県が実施した新農薬実用化試験においてもベノミル剤とほぼ同等の防除効果が得られた。
[成果の活用面・留意点]
1)本剤は平成15年3月から市販される。
2)本剤は化学農薬と混用しない。


 

銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤によるいもち病およびばか苗病の防除
担当:病虫研究室
[背景・ねらい]
水稲の大量種子消毒は、これまでチウラム・ペフラゾエート水和剤(ヘルシードTフロアブル)の吹き付け処理が行われてきたが、イネシンガレセンチュウ防除剤のMEP乳剤を混用すると薬剤(スミチオン乳剤)の分解が促進されるため、MEP乳剤との混用は中止されていた。しかし、MEP乳剤との混用や近年発生が多い細菌病類に効果の高い薬剤処理を望む声があがったため、これらに対応する新たな薬剤について検討を行ってきた。ここでは、新たに大量消毒に使用される銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤(モミガードC・DF)の種子伝染性病害に対する防除効果を確認する。また、MEP乳剤との混用の可否および長期保存後の防除効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤の7.5倍液を吹き付けた種子ならびにMEP乳剤100倍液との混合薬液を吹き付け処理した種子には、いもち病の胞子形成が見られず、防除効果は高い。また、処理種子の8か月保存後も防除効果は低下しない。
銅・フルジオキソニル・ペフラゾエート水和剤の7.5倍液を吹き付けた種子ならびにMEP乳剤100倍液との混合薬液を吹き付け処理した種子では、ばか苗病の発病がなく、防除効果は高い。また、処理種子の6か月保存後も防除効果は低下しない。
吹き付け処理時に沈殿物の発生はなく、処理装置のパイプおよびノズルに目詰まり等の大きな問題点はなかった(穀物改良協会調査)。
[成果の活用面・留意点]
1)本剤は平成15年販売種子より、MEP乳剤との混用で吹き付け処理される。
2)本剤は、もみ枯細菌病等の細菌病類にも防除効果がある。
3)本剤は、吹き付け処理(種子消毒施設)のほか、農家で塗沫処理も行える。

 

このページに関するお問い合わせ

農林水産部農業総合センター農業研究所庶務課

茨城県水戸市上国井町3402

電話番号:029-239-7211

FAX番号:029-239-7306

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

質問:このページの情報は役に立ちましたか?

質問:このページは見つけやすかったですか?