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更新日:2016年5月19日

長伐期施業の経営技術に関する調査

研究報告No.22(要旨)

城県においては、年々、高齢の人工林が増えている。しかし、適正な管理が行われていないため、経済的に十分な機能を発揮していない林分が目立ってきた。
この調査では、長伐期施業確立のために必要な基礎的な調査を行った。とくに、独自の方法で、長伐期施業をとり入れながら林業の自立化を図っている経営事例について調査を行った。
調査結果の要約を示すとつぎのとおりである。

(1)長伐期林分の実態を調査した結果、間伐手遅れ等管理不十分な林分が増え、この林分がさらに高齢化へと進んでいる傾向がみられた。

(2)スギ、ヒノキの大径材生産を施業の柱として取り組んでいる茨城県久慈郡里美村の高倉正男氏の林業経営をとらえて、その施業管理の方法について分析した。氏の人工林経営面積は約50ha、このうち伐採利用が可能な林齢35年以上の林分面積は37haあり、これを基礎に連年収穫連年収益の保続経営を実践されている。昭和40年以降、全林分について定期的に毎木調査を行い、成長量に応じてきめ細かい伐採を行っている。ストックである原蓄積を減らさずフローとしての成長量分だけを伐採している。
氏の蓄積経理の方法は、毎木調査を行い、林分ごとの蓄積と径級別本数を確認し、成長量の最大化を目指しながら伐採対象木の選択と林分構成の改善を行っている。(収穫規整の方法としては成長量法であるが、林分全体の構成を配慮している点では、スイスのビォレイが実証している「照査法」に近い。我が国では、針広混交林を対象とした北海道有林の置戸試験林、北海道大学の演習林、愛媛大学の試験林等で照査法による施業を行っている。)
そして、現金所得の一定額を得るために、大径材の注文材生産と間伐材生産を組合せて伐採・販売を実行している。
大径材生産については、スギ、ヒノキとも林齢50年を過ぎた頃、その候補木を選定し、木番号をつけて単木管理を行っている。氏の考え方は、大径木を初めとして、いろいろな径級を揃える径級別本数管理であり、注文に応じて商品を出荷する、いわば卸売業的な在庫管理の手法である。
それを可能にしているのは長伐期多間伐施業と複層林、択伐林施業である。いま、目標にしているのは、こうした伐採方式を継続するように、原資となる人工林の基本蓄積を現在の蓄積より1.5倍に増やしていきたいと考えている。
氏のモデル林分について、100年伐期の林分のha当森林純収穫と内部収益率を試算したところ、24万円、6%となった。

(3)県北の2ヵ村について林家の長伐期施業に対する意識調査を行った結果、回答者の8割の林家が長伐期施業に移行したいと答えている。しかし、現在でも必要な間伐作業さえも実行していない人が多い。長伐期にした場合、新たに必要となる施業管理の方法を理解している人はきわめて少ない。

(4)スギ、ヒノキの大径材で元玉材の価格流通の調査を行った結果、スギの場合、立方メートル当り単価では、3.65m材より4m材が若干、高いが、年々、品質によって価格差が広がっている傾向がみられた。
ヒノキの場合は、4m材がほとんどで、量的に不足しているため、立方メートル当り単価でスギ、4m材に比べ約2.5倍の高値を示している。(茨城県森連大宮共販所の平成4年度の実績)ヒノキはスギほど品質、径級による価格差がないことがわかった。
大径材と中目材の価格比較では、立方メートル当り単価でスギでは約1.9倍、ヒノキでは約1.8倍、大径材の価格が高い傾向を示し、若干、スギの方がヒノキよりその価格差が大きいことがわかった。(平成3年度における水戸営林署と茨城県森連大宮共販所の実績)

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