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更新日:2016年5月19日

大気汚染による樹木衰退の各種症状

研究報告No.26(要旨)

この総説では、大気汚染による樹木衰退の各種症状を整理し、それらを利用した影響の評価法を同時に明らかにした。

1.大気汚染による樹木被害の研究史をまず整理し、1)森林被害についてはドイツを中心とする欧州のドイツ語圏の国々が歴史的に研究の中心であったこと、2)欧州の隠花植物学が着生植物の研究をとおし、大気汚染に対する指標性の役割の解明に寄与してきたこと、3)樹種ごとの樹皮のpHの違いが雨水の酸性化問題のずっと以前から、欧州では注目されていたことを明らかにした。

2.影響評価の方法として、樹木の場合、樹木の地上部全体、葉、樹皮、木部の変化、種子生産や林地に対する影響、諸害に対する抵抗力の低下、栄養生理的な変化を対象とする方法があることを明らかにした。着生植物の場合、大気清浄度指数法、特定の種の分布の有無の把握、着生植物の体内の汚染物質含有量の測定といった方法があることを明らかにした。さらに、樹木、着生植物を移植する場合、鉢植えの苗木を汚染地帯に配置する、空気浄化試験法で樹木、着生植物を栽培する、オープントップ・チャンバーで樹木を栽培する、着生植物を樹皮とともに汚染地帯に移植するなどの方法があることを明らかにした。以上の方法は、A)大気汚染の影響による樹木、着生植物などの活力の低下を生理、生態的な変化として把握する、B)大気汚染の影響のもとで生育する樹木、着生植物の体内に取り込まれた汚染物質の量を測定する、2種類の方法におおむね大別できた。

3.大気汚染にともなう具体的な事例として、樹木の葉の変色と着葉量の減少、着葉量の経年変化の観察、年輪構造のⅩ線解析、多数の樹種が示す可視症状の整理結果について、個々の事例を紹介した。

4.巨木となる国内の主要な100樹種について、樹種ごとの大気汚染に対するおおよその耐性を各種の文献などにもとづいて整理した。

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