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更新日:2018年3月23日
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畜産センター本所
肉用牛研究所
養豚研究所
期間・区分
平成2年度~,県単
背景・目的
黒毛和種の受精卵移植技術の普及定着を図るためには,農家への安定した受精卵の供給と凍結保存受精卵の高い受胎率が必要である。そのために,受精卵の効率的な生産および凍結・融解技術の確立が必要である。
方法
供卵牛(黒毛和種)を供試牛として,常法で過剰排卵処理を行い採卵を実施した。凍結方法は,耐凍剤を用いた緩慢冷却法で行った。
成果・評価
平成25年度は,延べ16頭で採卵した結果,回収卵数は129個であり,そのうち正常卵数は70個であった。正常卵率は54.3%であり,1頭当たりの正常卵数は4.4個であった。
農家へ57個を譲渡した。
期間・区分
平成24~27年度,県単
背景・目的
牛白血病の卵胞液,受精卵,子宮灌流液等の牛白血病ウイルス遺伝子量の調査および垂直感染防除実験により胚移植技術における感染リスクを明らかにし,総合的な清浄化対策を検討する。
方法
BLV感染牛産子の垂直感染防除実験は,分娩直後に母牛から隔離し人工哺乳にて哺育を行い,産子の血液からリアルタイムPCRによりBLV遺伝子を検出した。また,BLV感染牛から体内受精卵採取を行い,子宮灌流液についてリアルタイムPCRにてBLV遺伝子を検出した。
成果・評価
BLV感染牛産子においては,分娩直後から6カ月齢までの血液からBLV遺伝子は検出されなかった。BLV感染牛の子宮灌流液からはBLV遺伝子が検出された。また,子宮灌流液中の血液混入が多いほどBLV遺伝子量が多い傾向がみられた。
期間・区分
平成22~26年度,国補
背景・目的
メラトニンが牛の繁殖成績に与える影響を解明し,牛の繁殖性改善に活用することを目的とする。平成25年度はウシの血中メラトニン濃度と採卵成績との関係およびメラトニンの経口投与における血中動態を調査する。
方法
黒毛和種雌牛の血中メラトニン濃度は,自然光条件下で日南中時,日入,日入4時間後に採血を行い,ラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定することで採卵成績(正常卵率,変性卵率等)との関係を比較した。また,メラトニンを経口投与しRIA法により血中メラトニン濃度を測定した。
成果・評価
血中メラトニン濃度と採卵成績との比較では,個体差が大きく正常卵率,変性卵率等の項目において有意な相関は認められなかった。また,メラトニンの経口投与においては,投与後1時間後をピークに血中メラトニン濃度が上昇し,その後低下した。このことから,メラトニンの経口投与により血中メラトニン濃度を上昇させることが可能であることが明らかになった。
期間・区分
平成25年度~27年度,県単
背景・目的
繁殖技術におけるウイルス伝搬リスクを明らかにし清浄化対策が確立されることによって,受精卵移植技術の高度化・普及に貢献する。
方法
牛白血病陽性母牛とその産子を用いて,血液,初乳,常乳および子宮灌流液を採取し,リアルタイムPCR(rPCR)法で牛白血病ウイルス(BLV)遺伝子を定量した。
成果・評価
抗体陽性母牛はrPCR検査においてもBLV遺伝子(ウイルスコピー数:570~1,020コピー/uL)が検出されたが,出生後に初乳を給与することなく分離飼育した子牛は陰性で経過した。また子宮還流液からはウイルスコピー数0.07~1.99コピー/uLのBLV遺伝子が検出された。
期間・区分
平成25~27年度,県単
背景・目的
県内の酪農家を対象とし,MUNの動態を把握し,その変動要因を解析するとともに,MUN値を活用した飼養管理技術を開発する。平成25年度は当センター飼養牛におけるMUNと乳成分との関連性を調査する。
方法
当センターの飼養牛について平成25年度の12ヶ月間毎月1回,乳脂率,蛋白質率,無脂固形率,乳糖率,体細胞数,MUNを測定し,MUNとその他の相関を解析した。
成果・評価
当センター飼養牛のMUNの月別平均値は5.0~9.2mg/dlの間で推移し,特に7月と11月に低値を示し,その後2月まで上昇する傾向がみられた。またMUNと関連があると考えられている蛋白質率については3.23%~3.40%の間で推移し,7月~9月の間で特に低値を示した。MUNと他の項目について相関はみられていないが,引き続きデータの収集を行う。
期間・区分
平成23~26年度,県単
背景・目的
酪農経営における後継牛の確保は,重要な課題となりつつあり優良後継牛を安定的に生産するため,飼料用米等の水田作の自給飼料を活用した低コストで健全な乳牛の育成技術を検討する。
方法
ホルスタイン種雌子牛9頭を供試し,飼料用米の給与が発育状況等に及ぼす影響について検討した。圧ぺんトウモロコシ給与を対照区とし,試験区として圧ぺん籾米,圧ぺん玄米,粉砕籾米および粉砕玄米を給与した飼養試験を行った。調査項目は日増体量,乾物摂取量,下痢日数,糞便スコア,および初回種付け月齢および初産分娩月齢とした。
成果・評価
日増体量は,粉砕玄米区に比べトウモロコシ区で安定的に高い傾向を示した。7週齢までの乾物摂取量についても,トウモロコシ区で同様に高い傾向がみられた。また,籾米および玄米はいずれも粉砕に比べ圧ぺん処理により発育が良好であった。初回種付けおよび初産分娩月齢は給与飼料による違いはみられなかった。下痢日数および糞便スコアについては,試験区間に差はみられなかった。
期間・区分
平成24~26年度,県単
平成25~27年度,独法委託
背景・目的
異なる生育ステージの泌乳牛への機能性物質の給与および飼料組成の調整が,繁殖性,卵巣機能へ及ぼす影響を解明し,高泌乳牛の泌乳能力を最大限に発揮させつつ繁殖性を改善する栄養管理技術を開発する。
方法
初産牛での飼料組成調整によるSARA(潜在性ルーメンアシドーシス)への影響を検討するため,分娩前後の血液性状や分娩後の繁殖性および産乳性等への影響を調査した。
経産牛への機能性添加物(ラクトフェリン)の給与が,分娩前後の血液性状や分娩後の繁殖性および産乳性等への影響を調査する。
成果・評価
初産牛では飼料摂取や産乳成績,繁殖状況など各種データの収集および分析用サンプルの採材を実施した。
経産牛では対照区において分娩後4週目におけるルーメンエンドトキシン活性と血漿中LBP(リポ多糖結合タンパク質)濃度の上昇が認められたが,ラクトフェリン区では抑制される傾向であった。
また,ルーメン液pHが5.8以下を3時間以上示す個体は認められなかった。
(初産牛:5県協定研究,経産牛:5県協定研究)
期間・区分
平成22~26年度,独法委託
背景・目的
飼料自給率の向上を図るため,飼料用米や稲WCS等の水田作飼料の給与が離乳子牛や育成牛の発育・生理性状に及ぼす影響を解明し,乳用牛への効率的な給与技術を開発する。
方法
稲WCSの給与が育成前期牛の発育,採食(発酵飼料,臭い,酸味等の影響),消化に及ぼす影響を調査するための飼養試験を実施した。目標日増体量を0.95kgとし,必要なTDNの35%を配合飼料,粗飼料として稲WCSとチモシー乾草を飽食させ,試験区はチモシー区,稲WCS区,稲WCS+セロオリゴ糖区の3区とした。調査項目は,日増体量,乾物摂取量,血液性状,第一胃内性状および糞便スコアとした。
成果・評価
飼養試験終了牛(26頭/28頭)の日増体量は,チモシー区,稲WCS区,稲WCS+セロオリゴ糖区それぞれ0.95kg,1.01kg,1.10kgであった。飼料摂取量(DMI/日・kg)はそれぞれ540.9kg,516.7kg,497.4kgであった。
1,6,11週目における血液成分は,チモシー区に比べ,他の2区で1週の総蛋白質で低く,11週の中性脂肪で高い傾向が見られた。
(5県協定研究,供試頭数28頭)
期間・区分
平成24~28年度,国補
背景・目的
生体内の主な抗酸化物質であり,肝機能改善効果が示唆されているグルタチオンに着目し,肝機能と卵巣機能の低下要因について,そのメカニズムを解明し,併せて,グルタチオンを活用した肝機能の維持・改善による繁殖成績向上技術を開発する。
方法
ホルスタイン種泌乳牛8頭(初産牛3頭,経産牛5頭)を供試した。分娩前後における一般血液成分および抗酸化能,ホルモン(プロゲステロン,IGF-1等)濃度の血中動態について解析した。分娩後の発情回帰日数および授精回数,受精率等の繁殖成績を調査した。
成果・評価
飼養条件を同じにしても分娩後の発情回帰の遅延が生じることを確認し,発情回帰早期群(4頭)と遅延群(4頭)に分け,分娩前後の血液性状の調査を行った。発情回帰遅延群では,血中の抗酸化能が低く,GGT(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ:肝臓機能低下の指標となる)が高く推移したことから,分娩後の卵巣機能の低下には肝臓機能の低下が関連することが明らかとなった。
期間・区分
平成23~25年度,受託
背景・目的
温暖地の栽培条件及び利用形態に適応する高糖分・高TDN新品種の育成を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
糖分含量およびTDN含量に優れるイタリアンライグラス育成系統「友系31号」について、収量性等の特性を評価する。
成果・評価
地域適応性検定試験、および冠さび病抵抗性検定試験について3カ年の試験が終了し、「友系31号」の特性が明らかとなった。地域適応性検定試験で生産された試料の分析を行った結果、「友系31号」のTDN含量が高いという特性が明らかになった。実規模での採種性評価においても「友系31号」の採種量および種子品質に問題ないことが明らかとなった。
期間・区分
平成23~26年,受託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する冠さび病抵抗性に優れた新品種の育成を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
冠さび病抵抗性遺伝子をはたあおばに導入した品種候補系統「那系33号」の生産力検定を,系統適応性検定試験の実施要領に従って行い,特性を明らかにする。また,「那系33号」の増殖2代を採種する。
成果・評価
H24年10月に播種した「那系33号」について,生産力検定試験を実施した結果,那系33号の一番草の乾物収量は「はたあおば」より低く,二番草の乾物収量は「はたあおば」と同程度だった。また,那系33号の増殖2代の種子を約30kg採種した。10月にはH26年春の生産力検定試験の播種を実施した。
期間・区分
平成23~26年度,受託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する新品種の比較試験を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
トウモロコシ中晩生5品種(ZX7956,KD750,KD777NEW,ゆめそだち,P2023),イタリアンライグラス早生4品種(優春,いなずま,ワセアオバ,タチワセ),晩生2品種(ヒタチヒカリ,タチサカエ)を供試,収量,熟期,耐病性,耐倒伏性を調査した。
成果・評価
トウモロコシの播種は平成25年4月23日に実施した。絹糸抽出期はゆめそだち,ZX7956,P2023が早く(8月4日),KD777NEWがもっとも遅かった(8月9日)。刈取調査の結果,乾物総重(kg/a)はP2023が最も高く(249.2),次いでゆめそだち(222.8),ZX7956(214.5)の順であった。TDN収量に影響を及ぼす乾雌穂重(kg/a)はP2023が最も高く(113.7),次いでゆめそだち(108.1),ZX7956(94.6)の順であった。
イタリアンライグラスの刈取調査結果は1,2番草合計収量(kg/a)は,早生4品種の中ではいなずまが最も高く(134.4),次いでワセアオバ(133.5),タチワセ(129.0)の順であった。晩生はタチサカエ(146.9),ヒタチヒカリ(142.3)であった。また同一6品種について播種を10月に実施,生育状況を調査中である。
期間・区分
昭和58年~,県単
背景・目的
市販の飼料用トウモロコシについて,本県の気候・風土に適合した優良品種を選定し,県奨励品種決定の基礎資料とすることにより,本県の自給粗飼料の生産性向上を図る。
方法
RM(相対熟度)95~130の28品種について,4月下旬に播種した。施肥等は,県耕種基準を準用した。刈取調査は黄熟期とした。
成果・評価
乾物収量の全品種平均は2,080kg/10aで,品種による差は認められなかった。生草収量の全品種平均は5,528kg/10aで,晩生品種のうちP2817(パイオニア130日)が他品種に比べ多収であった。
期間・区分
平成23年度~26年度,県単
背景・目的
農産物残さの安価な飼料化および保存技術の確立を図る。農産物残さの中から特にレンコン残渣を飼料として利用するため貯蔵・調製技術を開発する。
方法
4月から8月にレンコンセンターより洗浄後の2次残渣を調達し,破砕,天日干し乾燥したのち密封し,サイレージ化した。
成果・評価
水分調整において,強い天日干しでは色が悪くなりやすく乾燥しすぎる場合があり,注意が必要である。粉砕した翌日に水分約70%で踏圧密閉すると,オレンジ色の良質サイレージになる。保存容器では漬け物樽方式がよく,カビ発生も少なかった。
期間・区分
平成23~25年度,県単
背景・目的
有効な肥料成分を含む家畜ふん堆肥への期待は大きく,化学肥料の代替としての活用が求められている。また,堆肥化過程で発生する亜酸化窒素は温室効果ガスであり,その対策は急務である。そこで本研究では,戻し堆肥を添加することで亜酸化窒素の発生を抑制し,堆肥中に硝酸態窒素として保持することにより,地球温暖化防止と併せて窒素含量を高めた肥料価値の高い家畜ふん堆肥を生産して利用促進を図る。
方法
縦型密閉式強制発酵施設で約1週間処理した豚ぷん堆肥を1t堆積し,戻し堆肥添加による亜硝酸酸化促進法を用いた堆肥化試験を実施した。4月から試験を開始し,14週目(7月17日)に堆肥化試験を終了とした。切返しは10週目までは1回/週,その後は1回/2週フロントローダーを用いて行った。堆積から6,9週目に戻し堆肥を試験区表面に散布し,亜酸化窒素発生量,堆積物中の無機態窒素および硝化細菌数の動態を調査した。
成果・評価
背景・目的
亜酸化窒素は二酸化炭素の約310倍の温室効果があるとされており,その削減は大きな課題である。畜産分野ではふん尿の堆肥化過程において多く発生することが分かっており,その対策が求められている。しかし,鶏糞の堆肥化過程で発生する亜酸化窒素については,未だ国内において実規模での測定値がない。そこで,国内での排出係数算定のための基礎データを得るため,実規模施設を用いて亜酸化窒素発生量の測定および堆肥成分の動向について調査する。
方法
夏季(7~10月・10週間)と冬季(11~2月・11週間)の2回,鶏糞とオガクズの混合物を約1t堆積し堆肥化を行った。両期間とも水分含率が異なる2ブロックを設定し,亜酸化窒素の発生量は1時間毎,堆肥中各成分は切返し毎にサンプリングし,測定を行った。
成果・評価
背景・目的
生産現場での安定した家畜ふん堆肥の利用を進めるために,たい肥中の速効性肥料成分(窒素)を解明し,実用化を考慮した速効性肥料窒素の簡易測定法を開発する。さらに,施肥設計システムに反映させる等の実用化技術を開発する。
方法
成果・評価
期間・区分
平成24~27年度,県単
背景・目的
家畜排せつ物の多くは固形物と液状物に分けて処理がされており,うち液状物は浄化放流のほか,蒸発散や液肥として利用されている。一方,県では内環境負荷低減が求められていることから,液状物からのリン回収技術の研究を行い環境負荷低減を図る。
方法
県内の養豚農家(母豚140頭一貫経営)の汚水処理施設にMAP(MAP:マグネシウム,アンモニウム,リン酸の略で,汚水をpH8以上に処理した場合にモル比1:1:1で結晶化したもの)回収設備を設置し,マグネシウム溶液を添加せずに5m3/日の原水を処理対象量として平成25年6月26日から86日間板状アルミパンチング材を設備内に設置した。試験期間中の汚水中のpH,水溶性リン濃度,水溶性マグネシウム,水溶性カルシウムおよびアンモニア性窒素の濃度を調査した。試験最終日に結晶物の回収量を測定した。
成果・評価
期間・区分
平成25~29年度,県単
背景・目的
水質汚濁防止法や霞ヶ浦水質保全条例で規制対象となっている畜産事業所から排出される公共水域放流水中の窒素について法令による基準の達成を目標とした脱窒処理技術のうち,高度窒素除去技術(Anammox)の畜産処理施設における有用性について研究を行う。
方法
県内の養豚農家で浄化放流している汚水処理施設から汚泥を採取し,アナモックス菌の存在をリアルタイムPCRを用いて測定し,アナモックス菌の存在を調査した。調査は平成25年7月23日~7月25日に実施した。
成果・評価
調査養豚農家の汚水処理施設から採取した汚泥からアナモックスDNAを検出することができた。
期間・区分
平成20年度~,県単
背景・目的
本県の地鶏である「奥久慈しゃも」,「つくばしゃも」等の原種鶏や種鶏を維持・保存し,地鶏の種鶏のヒナを供給する。
方法
原種鶏の維持
成果・評価
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
地鶏生産用として維持している種鶏群のふ化率,DNA多型(多様性)等を調査することで近交退化のメカニズムを解明するとともに,不良形質の発現(生産性の低下)を抑制する最適な交配方法を開発する。
優良形質をもった種鶏群を長期維持することが可能となり,奥久慈しゃもなど本県独自の特徴ある地鶏の安定的な生産につなげる。
方法
1 試験計画
2 調査項目
成果・評価
1 試験交配
2 凍結精液による生産(計24本の凍結精液を用いて人工交配した12羽の雌鶏より78個集卵)
3
4 遺伝子解析:「国際動物遺伝学会」推奨の30マーカーのうち28マーカーを解析
解析結果(しゃも)
期間・区分
平成23~25年度,県単
背景・目的
納豆にはプロバイオティクスによる整腸作用があることが知られており,豚においても納豆給与により腸内細菌叢が安定し,医薬品を用いず下痢の発生が減少し生産性が向上することが報告されている。
こうしたことから鶏において育成期および成鶏期に納豆乾燥粉末給与を行った場合の飼養成績や腸内環境に及ぼす影響について検討し,育成率・飼養成績の向上や未利用資源の有効活用につなげる。
方法
1 試験計画
2 調査内容
成果・評価
期間・区分
平成25年度,独法委託
背景・目的
鶏に装着する小型無線センサにより,体温と運動量の変化を早期に検知し,鳥インフルエンザ等感染症発生時の異常を早期に発見することで,家畜疾病の感染拡大を防止するシステムを開発するとともに,実用化に向けて,養鶏現場における端末の長期信頼性とシステム管理への有効性について検証を行う。(企画で修正してみたが,要内容確認)
方法
改良型無線センサ端末を200羽の採卵鶏に3ヶ月以上装着し,センサシステムにより鶏体温と運動量のデータ収集を行う。また,同時に試験鶏の産卵率,飼料効率および卵重を記録し,生産性への影響を確認する。
成果・評価
無線センサ端末の装着による生産性への影響は無かった。
改良型無線センサは,装着時間の短縮(1個あたり25秒から10秒),消費電力の削減(100μwから1μw),電波送信距離の延長(20m以下から20m以上に)が認められた。センサ価格は1個あたり約1万円から約3千円に低下した。
センサ装着の効果をシミュレーションすると,飼養羽数の5%にセンサを装着することで,家禽疾病を非装着時より2日早く発見できた。
昭和27年度~,県単
背景・目的
優良種雄牛を適正に飼養管理し,高品質な凍結精液の生産と譲渡を行う。
方法
種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。
成果・評価
候補種雄牛を含め24,489本を生産し,9,315本を譲渡した。譲渡した精液は,北国関7が9,130本,福茂光120本,その他65本であった。
期間・区分
平成11年度~,県単
背景・目的
肉用牛の改良を図るため,遺伝的能力評価の高い繁殖雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産された雄子牛について能力を調査し選定する。
方法
(公社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。
成果・評価
期間・区分
平成4年度~,県単
背景・目的
直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。
方法
(公社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定(現場後代検定法)に基づいた。
成果・評価
候補種雄牛「北平5」,「北勝栄」の産子について検定を終了した。枝肉重量及び脂肪交雑(BMS)の推定育種価は「北平5」が+95.221kg,+2.017,「北勝栄」が+37.885kg,+1.766であり,茨城県肉用牛育種改良推進協議会で選抜について決定する。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
和牛において,不飽和脂肪酸であるアラキドン酸が肉のおいしさに大きく影響していると推察されるが,このアラキドン酸の生成に関与する酵素であるデルタ6デサチュラーゼ,エロンガーゼ及びデルタ5デサチュラーゼを発現する遺伝子座は未解明なため,この遺伝子多型を解析するとともに,肉質,産肉性との関連を検証することにより遺伝子に基づく能力評価法を確立し,本県和牛集団の改良を促進する。
方法
エロンガーゼの遺伝子座を解明するため,ダイレクトシークエンス(増幅したDNAを直接解析し塩基配列を決定する方法)により塩基配列を解析し,変異部である一塩基多型(SNP)を検索した。
成果・評価
エロンガーゼ遺伝子に関連する7領域について,牛肉56検体のダイレクトシークエンスによる塩基配列の解読を行い,多数の一塩基多型(SNP)を発見したが,アミノ酸非同義置換は見つからなかった。
期間・区分
平成23~27年度,県単
背景・目的
近年,低コストで省エネルギーな飼養管理方法として放牧が見直されている。しかし草地の放牧利用は春から秋にとどまり,秋から春には牛舎内で飼養する形態が一般的である。そこで,簡易に放牧期間を延長する方法を検討する。
ライムギの冬季利用性を検証した。
方法
成果・評価
草高25cmを目安に採草した。牧養力を試算すると,1月中旬(26.9CD/10a),2月中旬(34.2 CD/10a)に利用した後,再生したライムギはそれぞれ3月下旬(22.6 CD/10a),4月上旬(32.2 CD/10a)に利用が可能であった。成分値は,CP16%,TDN65%以上を維持した。
飼料用米刈取り後にイタリアンライグラスを追播し,秋季にひこばえ主体で放牧(放牧1巡目)後禁牧し,春季にイタリアンライグラス主体で再度放牧(放牧2巡目)する効果を検証した。
方法
成果・評価
ひこばえ主体で9月中旬~10月下旬に平均頭数5.1頭で39日間放牧(1巡目)し,牧養力は12.4CD/10a(試算では15.1CD/10a)であった。ひこばえの成分値はCP14.9%,TDN52.1%であった。なお,現在イタリアンライグラス主体で放牧(2巡目)中である。
フォッゲージ(晩秋の寒さにより半ば枯れ葉状になった草)の利用性を検証した。
方法
成果・評価
11下旬(37.4CD/10a)に初霜にあたったが,牧養力は12月中旬(43.1CD/10a)まで増加し,以降1月中旬まで40CD/10aを維持した。成分値は,11月下旬はCP16.1%,EE3.8%,NFE45.9%,1月中旬CP12.0%,EE3.1%,NFE54.4%となり,NFEが増加し,CP,EEが減少した。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
肉を食べた時の口中の香り(フレーバーリリース)は肉のおいしさを左右すると言われているが,これまでほとんど研究されていなかった。そこで,機器分析によりフレーバーリリースの成分を検出する手法を開発し,官能検査の結果とあわせて肉のおいしさを科学的に評価する手法を確立する。
方法
常陸牛,その他銘柄牛(松坂牛,神戸牛,近江牛,米沢牛)及び輸入牛(オーストラリア産)を用い,機器分析及び官能評価を行った。
成果・評価
期間・区分
平成24~26年,県単
背景・目的
哺乳期の子牛は,温度環境の変化や病原菌などの影響で,下痢等の疾病に罹る割合が高くなる。哺乳期の下痢等による発育停滞は,和牛繁殖農家の経済的損失に繋がる。
酪農では,代用乳にシンバイオティクスの添加,給与で,下痢抑制・発育促進などの効果が見られ,シンバイオティクスによる生産技術が確立されつつある。
当研究所では,制限哺育(哺乳)試験の結果から,子牛の下痢の発生,母牛の繁殖機能の早期回復が図られることが分かっている。そこで,制限哺乳を利用し,シンバイオティクスをスムーズに黒毛和種子牛に飲ませ,下痢の発生を抑え発育向上を図る技術を確立する。
方法
成果・評価
期間・区分
昭和27年度~,県単
背景・目的
優良種雄牛を適正に飼養管理し,優良な凍結精液の生産と譲渡を行う。
方法
種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。
成果・評価
候補種雄牛を含め17,206本を生産し,9,925本を譲渡した。譲渡した精液は,全て北国関7であった。
期間・区分
平成11年度~,県単
背景・目的
肉用牛の改良を図るため,肉用牛広域後代検定推進事業により選定された基礎雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産された雄子牛を選定し飼育検定する。
方法
(社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。
成果・評価
期間・区分
平成4年度~,県単
背景・目的
直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。
方法
(社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定(現場後代検定法)に基づいた。
成果・評価
候補種雄牛「福茂光」,「塙平茂」の産子について検定を終了した。枝肉成績を検討した結果,枝肉重量及
び脂肪交雑の推定育種価(BMS)が県能力評価基準値に対して「福茂光」が+97.254,-0.047,「塙平茂」が
+61.706,-0.146となり,茨城県肉用牛育種改良推進協議会で選抜について決定する。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
本県和牛において,不飽和脂肪酸であるアラキドン酸がおいしさに大きく影響しているとされるが,このアラキドン酸の生成酵素であるデルタ6デサチュラーゼ,エロンガーゼ,及びデルタ5デサチュラーゼを発現する遺伝子座は未解明なため,この遺伝子多型を解析し,アラキドン酸に関する成績との比較から,遺伝子に基づく能力評価法を確立し,本県和牛集団の改良を促進する。
方法
成果・評価
デルタ6デサチュラーゼ遺伝子では塩基配列を解読し,翻訳領域にあるエキソン2,エキソン7の変異部である遺伝子多型領域SNPを黒毛和種における多型領域と同定した。この2カ所についてPCRを行うためのプライマーを設計した。またPCRによる遺伝子断片の増幅に最適な反応条件,プログラムを検討した。PCR試薬をTAKARABIOのエメラルダとし,エキソン2では98℃10秒,(98℃10秒,65℃30秒,72℃30秒)×35サイクル,4℃維持とし,エキソン7では98℃10秒,(98℃10秒,63℃30秒,72℃30秒)×30サイクル,4℃維持をPCR増幅の最適条件とした。エロンガーゼ遺伝子については翻訳されるタンパク質との比較によりエキソン8からエキソン1へ翻訳されることが判明した。
期間・区分
平成23~28年度,県単
背景・目的
養豚経営における肉豚生産では三元交配豚を利用するため,雄系及び雌系の各品種について総合的な育種改良が必要になっている。
雌系のランドレース種及び大ヨークシャー種について,本県は全国に先駆け昭和45年にランドレース種の系統造成を開始し,昭和54年に我が国第1号の系統豚として「ローズ」が認定され,その後,ランドレース種2系統,大ヨークシャー種2系統を造成してきた。
これらの系統豚は,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」をはじめとして高品質豚肉生産の基礎豚として県内で広く利用され,高く評価されているところである。
しかし,これらの系統豚を基礎豚から生産された県内の雌豚(LW,WL)に適合した優良な雄豚(デュロック種)は,生産者の減少によって安定供給が難しくなってきている。
そこで,ローズポークをはじめとする優良な三元交配豚を安定的に生産し,県内の高品質豚肉の生産性向上を図るため,養豚農家から要望の高い肉質向上や肢蹄の強健性を改良目標に加えたデュロック種の系統を造成する。
方法
平成23年度より第一世代の生産・選抜を開始し,以後一年一世代の選抜を繰返して平成28年度に5世代で造成を完了する。集団の規模は雄10頭,雌40頭の閉鎖群で,選抜形質および改良目標値(検定期間:体重35~105kg)は,一日平均増体重(DG)1000g,飼料要求率(FCR)2.9,筋肉内脂肪含量(IMF)5%と設定した。肢蹄の強健性については独立淘汰法により実施する。
成果・評価
平成24年度に生産した第二世代候補豚353頭について,体重35kg時に第一次選抜を実施し,雄38頭,雌66頭,調査豚67頭(雌,去勢)を選抜した。このうち検定を終了した雄36頭,雌63頭の一日平均増体重,飼料要求率,筋肉内脂肪含量(調査豚での値)の平均値は,雄でDG 868.2g,FCR 2.86,IMF 4.43%,雌でDG 791.1g,FCR 3.24,IMF 3.69%であった。
総合育種価および肢蹄の強健性により第二次選抜を実施し,雄10頭,雌43頭を選抜した。第二次選抜豚の各形質の平均値は,雄でDG 941.6g,FCR 2.87,IMF 5.04%,雌でDG 813.7g,FCR 3.22,IMF 3.70%であった。
第二次選抜豚雄10頭,雌43頭を交配し,第三世代豚の生産を開始した。
期間・区分
昭和45年度~,県単
背景・目的
大ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」を本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚等として,平成15年度より農家に供給してきたが,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきた。本試験では系統豚の認定を取り消し,この優良な系統豚の資質を高品質豚肉生産の基礎として長期間利用するため,外部から優良な種豚や精液を導入し,開放型育種手法の開発及び確立を図るとともに,農家ニーズに対応した高能力純粋種豚を作出・供給することで広域的な改良効果を生み出すことを目的とする。
方法
常時種雄豚5頭,種雌豚15頭を飼養し,交配はできるだけ血縁の遠い種雄豚を用いるとともに,適宜外部から優良な種豚(精液)を導入し繁殖集団を構成する。集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績などを調査する。育成豚および人工授精用精液を養豚農家に売却する。
成果・評価
平成24年度まで血縁の上昇抑制のため,種豚の更新を極力抑えたことにより老齢の種豚が増加し,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきた。本年度はこれらを考慮し,種雄豚1頭及び種雌豚5頭を更新したほか,外部から精液を導入し,交配した。
また,育成豚を養豚農家等に13頭(雄9頭,雌4頭),人工授精用精液を17本売却した。
期間・区分
平成22~25年度,県単
背景・目的
デュロック種はランドレース種や大ヨークシャー種等と体型がやや異なるため,これまでの肢蹄評価スコアがあてはめられない部分がある。
そこで,デュロック種肢蹄のデータを集積して肢蹄評価方法を確立し,デュロック種系統造成に反映させる。また,農家自らが肢蹄評価を用いた種豚の選抜を行うことが出来るような簡易型スコアシートを作成することで,生産性の向上を目指す。
方法
当所のデュロック種系統造成試験の第一世代豚(191頭)及び第二世代豚(170頭)を用いて,発育調査開始時(35kg時)及び終了時(105kg時)にスウェーデンのスコアモニタリングモデルに準じ,肢蹄の形状及び歩様の状況を調査した。また,種豚審査標準に準じてA~Dのランク分けを行った。
評価部位の形状段階ごとに重み付け(減点倍率)した合計を100点から減じて得点とした。
成果・評価
期間・区分
平成19年度~,独法委託
背景・目的
独立行政法人農業生物資源研究所で医療用モデルブタとして作出された2種類の遺伝子組替えブタ(TGブタ)について,遺伝子のホモ化を行うとともに,小規模集団での遺伝子組換えブタの系統維持法の開発及び将来に向けた増殖技術の確立を目指す。
方法
成果・評価
期間・区分
昭和62年度~,県単
背景・目的
ランドレース種系統豚「ローズL-3」(2011年度認定)を,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」や高品質豚肉の基礎豚として長期間安定して利用することを目的に,認定時の能力を保持しながら近交係数・血縁係数の上昇を最小限に抑える維持・増殖・供給を行う。
方法
「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ,繁殖・育成成績,産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝的構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持する。育成豚を養豚農家に配布する。
成果・評価
期間・区分
平成23~26年度,県単
背景・目的
茨城県のレンコン生産量は,国内1位であるが,年間約1,200tが廃棄されている。これまでに豚へのレンコンの通年利用のため,サイレージ化したレンコン残さの給与が肥育成績に及ぼす影響を検討したところ,飼料中15%程度のレンコン残さの給与は,一般配合飼料のみの肥育と同等な発育成績を得られることが明らかになった。安価なレンコン残さの給与量を可能な限り増やすことは,飼料費の低減と経営の安定につながる。
そこで,サイレージ化したレンコン残さの給与割合を15%以上に設定した際に肥育成績に及ぼす影響を検討した。
方法
供試験豚はWLDとし,体重70~110kgを試験期間とした。試験区は,サイレージ化したレンコン残さを20%給与した20%区と,同様に30%給与した30%区とし,両区共に,一般配合飼料(TDN:78%, CP:13%)を2~4kg給与した。
成果・評価
全飼料摂取量の推移は20%区が最も高く,次いで30%区,対照区の順であった。20%区と30%区は対照区に比べ,有意に高く推移した。一方,配合飼料のみの摂取量は,30%区が他の2区に比べ有意に低く推移したが20%区と対照区の間には有意な差は認められなかった。1日当たりの摂取量は20%区と30%区が対照区に比べ800g程度有意に高かった(P<0.01)。内層と外層脂肪の脂肪融点は20%区と30%区が高くなる傾向であり,特に外層脂肪は対照区に比べ有意に高くなる傾向であった。しかし,脂肪酸組成の値,その他の物性および肉色の項目については,差が認められなかった。枝肉形質についても各項目で有意な差は認められなかった。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
豚肉は,特有のにおい・くさみにより一部の消費者から敬遠される場合があるが,オフフレーバー(異臭・悪質臭)とおいしさの関係については明らかにされていない。そこで,豚肉のフレーバー成分及びフレーバーリリース(咀嚼時に鼻から抜ける香り)成分が豚肉の評価に与える影響を検討した。今年度は熟成期間がフレーバーに及ぼす影響について検討した。
方法
分析は日本原子力研究開発機構が所有するブレスマスを用いた。
試料は,体重110kgでと畜したWLD去勢豚3頭の背最長筋とし,5cm×5cm×5cm(脂肪層1cm含む)に成形した。試料をポリエチレン袋に入れ,袋内の空気を除いた後,標準空気を300ml注入し,2.4℃の冷蔵庫内で熟成した。
一般細菌数について,ブレスマス測定試料と同様の条件で保存した試料を,ブレスマスの測定に合わせて調査した。
成果・評価
ブレスマスによるガス成分の分析結果から,豚肉から放出される酸素と二酸化炭素濃度は,一般細菌数の増加に関係があることが推察された。また,豚肉の熟成過程で放出されるガスの特徴を比較するための標準スペクトルパターン(質量数1~70)を作成した。