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更新日:2018年3月22日
畜産センター本所
肉用牛研究所
養豚研究所
期間・区分
平成2年度~,県単
背景・目的
黒毛和種の受精卵移植技術の普及定着を図るためには,農家への安定した受精卵の供給と凍結保存受精卵の高い受胎率が必要である。そのために,受精卵の効率的な生産および凍結・融解技術の確立を図る。
方法
当センター飼養の供卵牛(黒毛和種)延べ31頭を供試牛として,常法で過剰排卵処理を行い採卵を実施した。凍結方法は,耐凍剤を用いた緩慢冷却法で行った。
成果・評価
平成26年度は,延べ31頭で採卵した結果,回収卵数は268個であり,そのうち正常卵数は135個であった。正常卵率は50.4%であり,1頭当たりの正常卵数は4.4個であった。
11月以降採卵を実施した供卵牛のうち4頭についてβカロテン添加飼料給与による採卵成績の検討を行った。その結果4頭ともに,個体毎の前回採卵結果と比較して採取個数が少ないという結果となり,給与期間の再検討が必要である。
農家への譲渡個数は,103個であった。
期間・区分
平成24~27年度,県単
背景・目的
牛白血病の卵胞液,受精卵,子宮灌流液等の牛白血病ウイルス遺伝子量の調査および,垂直感染防除実験により胚移植技術における感染リスクを明らかにし,総合的な清浄化対策を検討する。
方法
BLV感染牛産子の垂直感染防除実験は分娩直後に母牛から隔離し人工哺乳にて哺育を行い,産子の血液からリアルタイムPCRによりBLV遺伝子を検出した。また,BLV感染牛から体内受精卵採取を行い,子宮灌流液についてリアルタイムPCRにてBLV遺伝子を検出した。また,糞便,初乳,唾液及び鼻汁からBLV遺伝子検出を行い,直検手袋からもBLV遺伝子検出を行った。
成果・評価
黒毛和種2頭およびホルスタイン種2頭の子宮灌流液を検査した結果,黒毛和種1頭,ホルスタイン種2頭の子宮灌流液からBLV遺伝子を検出した。
3頭のBLV遺伝子検査陽性牛において糞便からBLV遺伝子は検出されなかった。初乳についてはBLV遺伝子陽性牛2頭のうち1頭から微量ながらBLV遺伝子が検出された。また,1頭の唾液,鼻汁についてはBLV遺伝子陰性であった。
BLV遺伝子陽性牛4頭中3頭の直検手袋からrPCRにより微量ながらBLV遺伝子が検出された。
期間・区分
平成22~26年度,国補
背景・目的
メラトニンが牛の繁殖成績に与える影響を解明し,牛の繁殖性改善に活用することを目的とする。平成26年度はウシの血中メラトニン濃度と体内胚採取成績との関係,およびメラトニン投与が血中メラトニン濃度および体内胚採取成績に与える影響,卵巣中のメラトニン関連遺伝子の定量を行った。
方法
黒毛和種雌牛の血中メラトニン濃度は,自然光条件下で日南中時,日入,日入4時間後に採血を行い,ラジオイムノアッセイ(RIA)法で測定することで体内胚採取成績(正常卵率,変性卵率等)との関係を比較した。また,メラトニン40mgを過剰排卵処置開始日から人工授精前日までの5日間日没時に経口投与した場合の体内胚採取成績(正常卵率、変性卵率、未受精卵率)と直近の成績を比較した。卵巣中のメラトニン関連遺伝子の定量については卵母細胞および卵丘細胞についてacetylserotonin O-methiltransferase (ASMT),melatonin-receptor 1A (MTNR1A),melatonin-receptor 1B(MTNR1B)をターゲットとしてリアルタイムPCRにて相対定量を行った。
成果・評価
血中メラトニン濃度と体内胚採取成績との比較では,正常卵率,変性卵率等の項目において有意な相関は認められなかった。また,メラトニンを経口投与した際の体内胚採取成績については正常卵率が有意に上昇した。卵巣中のメラトニン関連遺伝子の定量についてはASMTおよびMTNR1Aは卵母細胞および卵丘細胞で、MTNR1Bは卵母細胞のみで発現していた。また,卵母細胞及び卵丘細胞でのASMTの発現は日齢と負の相関があり,卵母細胞でのMTNR1Aの発現は日齢と正の相関が認められた。また,卵母細胞でのASMT発現量と血中メラトニン濃度に負の相関があり,卵母細胞のMTNR1Aの発現量と血中メラトニン濃度に正の相関が認められた。
期間・区分
平成25~26年度,県単
背景・目的
県内の酪農家を対象とし,MUNの動態を把握し,その変動要因を解析するとともに,MUN値を活用した飼養管理技術を開発する。平成26年度は当センター飼養牛におけるMUNと乳成分との関連性を調査した。
方法
当センターの飼養牛について平成25~26年度の24ヶ月間毎月1回,乳脂率,蛋白質率,無脂固形率,乳糖率,体細胞数,MUNを測定し,MUNとその他の相関を解析した。
成果・評価
月毎のMUNと蛋白質率の平均値で弱い相関が認められたが,他の乳成分では認められなかった。また,飼料米を用いた飼養管理条件ではMUNは6.13~10.57mg/dlの間で推移した。
期間・区分
平成23~26年度,県単
背景・目的
酪農経営における後継牛の確保は,重要な課題となりつつあり,優良後継牛を安定的に生産するため,飼料用米等の水田作の自給飼料を活用した低コストで健全な乳牛の育成技術を検討する。
方法
ホルスタイン種雌子牛および雌育成中期牛に給与する配合飼料中の40%を飼料用米で,育成中期牛に給与する粗飼料をイネWCSで代替給与し、発育成績に及ぼす影響について検討した。また,これらの試験で育成された乳用育成牛について繁殖状況,産乳成績等を調査した。
成果・評価
子牛への飼料用米の給与では,全期間(0~13週齢)で粉砕玄米・圧ペン玄米の日増体量がトウモロコシを上回り安定した発育が得られた。乳用育成中期牛への飼料用米の給与が発育に及ぼす影響では,育成中期(14~21週齢)に圧ペントウモロコシの代替に粉砕あるいは圧ペン玄米を給与しても,日増体量はトウモロコシ区と同等の発育が得られた。乳用育成中期牛へのイネWCSの給与が発育に及ぼす影響では,日増体量はチモシーと差はなく代替が可能である結果が得られた。繁殖状況,産乳成績は飼料用米等で育成してもトウモロコシとほぼ同じとなった。
期間・区分
平成24~26年度,県単
平成25~27年度,受託
背景・目的
異なる生育ステージの泌乳牛への機能性物質の給与および飼料組成の調整が,繁殖性,卵巣機能へ及ぼす影響を解明し,高泌乳牛の泌乳能力を最大限に発揮させつつ繁殖性を改善する栄養管理技術を開発する。
方法
初産牛での飼料組成調整によるSARA(潜在性ルーメンアシドーシス)への影響を検討するため,NFC水準の異なる(34%,30%)泌乳前期飼料で飼養し,血液性状や分娩後の繁殖性および産乳性等への影響を調査した。
経産牛への機能性添加物(活性型酵母)の給与が,分娩前後の血液性状や分娩後の繁殖性および産乳性等へ及ぼす影響を調査した。
成果・評価
初産牛では,NFC水準の低減によるエンドトキシン活性の低減効果は認められなかったが,飼料摂取や産乳成績に影響を及ぼす可能性がある。
経産牛では日量10gの活性酵母給与が,乳生産や健康状態に影響されることなくルーメン微生物構成に変化を及ぼすことを確認した。
(初産牛5県協定研究,経産牛5県協定研究)
期間・区分
平成22~26年度,受託
背景・目的
飼料自給率の向上を図るため,飼料用米や稲WCS等の水田作飼料の給与が離乳子牛や育成牛の発育・生理性状に及ぼす影響を解明し,乳用牛への効率的な給与技術を開発する。
方法
出生4日の哺乳子牛30頭に、圧ぺん籾米を1~13週齢は人工乳中のトウモロコシの代替として、14~21週齢は市販の育成用配合飼料に混合し、生後21週齢(147日齢)まで飼養試験を行った。試験区は、枯草菌添加の有無により無添加区、添加区の2区に設定した。
成果・評価
飼養試験終了牛(19/30頭)の離乳時の体重およびDGは,無添加区が72.7kgおよび0.67kg、添加区が70.6kgおよび0.64kgであった。試験終了時の体重およびDGは無添加区が155.6kgおよび0.78kg、添加区が157.1kgおよび0.79kgであった。平成24年度実施した飼料用米の代わりに圧ぺんトウモロコシを配合した結果(離乳時体重67.0kg、離乳日齢45.5日、離乳時体重67.0kg)と比べても遜色ない結果が得られた。
(5県協定研究)
期間・区分
平成24~28年度,国補
背景・目的
生体内の主な抗酸化物質であり,肝機能改善効果が示唆されているグルタチオンに着目し,肝機能と卵巣機能の低下要因についてそのメカニズムを解明し,併せて,グルタチオンを活用した肝機能の維持・改善による繁殖成績向上技術を開発する。
方法
ホルスタイン種泌乳牛8頭(初産牛2頭,経産牛6頭)を供試した。分娩前後における一般血液成分および抗酸化能,ホルモン(プロゲステロン,IGF-1等)濃度の血中動態について解析した。また,分娩後の発情回帰日数および授精回数,受精率等の繁殖成績を調査した。
成果・評価
分娩4週前から分娩時にかけておよび泌乳ピーク時以降の泌乳時期に,総抗酸化能及び血中GGT値が上昇する傾向が見られ,酸化ストレスがかかることで肝機能が低下することが示唆された。また,発情回帰早期群(4頭)と遅延群(4頭)に分けたところ,発情回帰遅延群では血中GGT値が高く,アルブミンが低く,さらにIGF-1が低い傾向にあったことから,遅延群で肝機能が低下していたことが示唆され,分娩後の卵巣機能の低下と肝機能の低下が関連する可能性が示された。
期間・区分
平成23~26年,受託
背景・目的
温暖地の栽培条件および利用形態に適応する冠さび病抵抗性に優れた新品種の育成を行い,自給飼料の生産性向上を図る。
方法
冠さび病抵抗性遺伝子をはたあおばに導入した品種候補系統「那系33号」の生産力検定を,系統適応性検定試験の実施要領に従って行い特性を明らかにする。
成果・評価
H25年10月に播種した「那系33号」について,生産力検定試験を実施し,特性を明らかにした。現在,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所が品種登録出願を行っている。
期間・区分
昭和58年~,県単
平成23年度~,受託
背景・目的
市販の飼料用トウモロコシについて,本県の気候・風土に適合した優良品種を選定し,県奨励品種決定の基礎資料とすることにより,本県の自給粗飼料の生産性向上を図る。
方法
両試験あわせてRM(相対熟度)100~130の28品種について,生産力検定を行った。5月上旬に播種した。施肥等は,県耕種基準を準用し,収量調査は黄熟期に行った。
成果・評価
3年間の供試期間が終了した品種が10品種あり,良好な結果が認められたのは,SM8446(スノーテ゛ント115ホ゜ラリス),SM8490(スノーテ゛ント122レオ),KD731(コ゛ールト゛テ゛ント゛KD731)であった。
なお,晩生品種(RM127,RM130)で,雄穂開花日と錦糸抽出日が大きく離れ,有効雌穂割合が著しく低下した。
期間・区分
平成25~27年度,受託
背景・目的
都府県では労働力不足により飼料作物の作付が減少傾向にあるため,農家に変わって飼料作物の作付や収穫調整を行うコントラクターの活用が注目されており,コントラクター体系にあった作付の技術開発が求められている。
方法
トウモロコシとソルガムの混播を行い,播種期及び収量時期が単位面積当たりの単収にあたえる影響を確認した。1回目の収量調査はトウモロコシの黄熟期に行い,その後ソルガムの再生草の収量調査を行った。調査期は出穂期(10月)または降霜後(11月)とした。
供試品種はトウモロコシが極早生のP38B08と早生のタカネスター,ソルガムは東山交30号と高糖分ソルゴーとした。
成果・評価
播種時期を4月中旬とすることにより,前年に比べソルガムの初期生育を抑えることができた。ソルガム再生草の収穫時期を降霜後とすることにより,十分な乾物収量を確保することができた。
期間・区分
平成23~26年度,県単
背景・目的
農産物残さの安価な飼料化および保存技術の確立を図る。農産物残さのうち,生豆腐粕(生のおから)を飼料として利用するため貯蔵・調製技術を開発する。
方法
生豆腐粕を飼料化する方法として,飼料用米サイレージ調製時の水分調整に使う方法を取った。飼料用米に生豆腐粕を0,12.5,25,50,75,100%添加し,サイレージ化に最適添加割合を検討した。
成果・評価
pHの値は生豆腐粕の添加量が0%ではpH6.90となり発酵せず,100%ではpH4.55となり良質なサイレージ発酵をしなかった。一方,添加量が25~75%の時にはすべてpH4を下回り,良質なサイレージ発酵となった。
期間・区分
平成25~29年度,県単
背景・目的
本県は養豚が盛んであり,うち霞ヶ浦流域は県全体の5割の養豚農家が集中している。霞ヶ浦流域では,県条例による排水基準が厳しく,従来の浄化処理では対応が困難なため,大部分が液状コンポストによる農地利用または蒸発散処理されている。しかしながら,過剰な窒素施肥は環境負荷につながるため,霞ヶ浦条例に対応し,放流可能な窒素除去技術の確立が必要である。
窒素除去は,通常アンモニアを硝化させた後,脱窒反応により行うが,豚舎汚水は有機炭素/窒素比が低いため困難である。近年報告されているアナモックス反応は,窒素除去に有機炭素を必要としないため,有機炭素/窒素比が低い豚舎汚水への応用が期待されている。また畜産農家からのアナモックス汚泥の採取と畜産廃水へのアナモックス処理の利用の可能性が示唆されている。本研究は,霞ヶ浦排水基準に対応したアナモックス反応による窒素除去技術の開発を目的とする。
養豚排水処理にアナモックス反応を利用するにあたり,茨城県内の豚舎排水処理施設においてアナモックス汚泥の存在を確認するため,養豚農家の排水処理施設の調査を行った。
方法
成果・評価
採取した活性汚泥に含まれるアナモックス菌のDNA量は4.82E+10~1.66E+12copy /g-tDNAであった。汚水中の各成分とDNA量の関係に相関はみられなかった。最もDNA量が多いサンプルを得た農家では硝酸態窒素濃度が高かった。また,同施設の処理水に赤いグラニュールが見つかり採取した。アナモックスに特異的なDNAが検出され,その数値は1.15E+14copy/g-tDNAであった。これらのことから,茨城県内における豚舎排水処理施設内の汚泥に高濃度のアナモックス菌が存在することが明らかとなった。
期間・区分
平成25~29年度,県単
背景・目的
本県は養豚が盛んであり,うち霞ヶ浦流域は県全体の5割の養豚農家が集中している。霞ヶ浦流域では,県条例による排水基準が厳しく,従来の浄化処理では対応が困難なため,大部分が液状コンポストによる農地利用または蒸発散処理されている。しかしながら,過剰な窒素施肥は環境負荷につながるため,霞ヶ浦条例に対応し,放流可能な窒素除去技術の確立が必要である。
窒素除去は,通常アンモニアを硝化させた後,脱窒反応により行うが,豚舎汚水は有機炭素/窒素比が低いため困難である。近年報告されているアナモックス反応は,窒素除去に有機炭素を必要としないため,有機炭素/窒素比が低い豚舎汚水への応用が期待されている。また畜産農家からのアナモックス汚泥の採取と畜産廃水へのアナモックス処理の利用の可能性が示唆されている。本研究は,霞ヶ浦排水基準に対応したアナモックス反応による窒素除去技術の開発を目的とする。
養豚排水処理にアナモックス反応を利用するにあたり,養豚排水に用いられる凝集剤がアナモックスに与える影響を調査した。
方法
成果・評価
アナモックス汚泥生重量1gあたり凝集剤を0.3から1.0%添加した場合,アナモックス汚泥は凝集したが凝集剤に白濁状に包まれ,浸漬時において形状の変化はなかった。0.2%添加では,アナモックス汚泥表面は透明で薄いコーティング膜の形状で凝集効果が見られ浸漬時において汚泥の形状は保たれた。0.1%量の凝集剤添加時の形状は0.2%同様であったが浸漬時において,形状は崩れ保持できなかった。
凝集剤添加によるアナモックス反応に与える影響はアナモックス汚泥生重量あたり0.2%添加において,対照区と比較して窒素除去量は低い値であったが有意な差はみられなかった。
結果,凝集剤添加によるアナモックス反応に与える影響は生重量あたり0.2%程度であれば大きな影響を与えることなく利用可能であることが示唆された。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
当センターでは茨城県の銘柄地鶏である奥久慈しゃもの原種鶏を閉鎖群で長年(20年以上)維持している。そのため鶏群の近交度上昇に伴って不良遺伝子が蓄積し,繁殖性低下など近交退化と呼ばれる不良形質の発現が懸念される。
そこで奥久慈しゃもの雄系統(略号J系統)について近交退化の指標となる受精率,ふ化率等の繁殖形質と遺伝的多様性等の世代変化を3つの交配試験区を設けて調査し、近交退化を抑制する飼養技術を開発する。
今年度は20年間保管されていた凍結精液より生産した雌鶏の後代鶏を含む第二世代鶏(H25生産鶏)の近交退化パラメーターとそれらより生産される第三世代鶏の各試験区における遺伝的多様性等を調査して比較解析する。
方法
成果・評価
期間・区分
平成26~28年度,県単
背景・目的
畜産経営にとって悪臭問題は大きな問題であり、本県の畜産業に起因する苦情発生割合では悪臭関連が6割と最も多い。悪臭発生原因施設のうち、糞尿処理施設の多くは開放型の堆肥舎であり、切り返し等を行う際に臭気が拡散され、悪臭の原因となる場合が多い。
本研究では、豚の堆肥化処理施設で発生する臭気物質の捕集方法の検討と、臭気物質の発生パターンを把握する。併せて堆肥化による臭気対策技術を確立する。
今年度はガスクロマトグラフィによる機器分析を実施し、臭気の捕集方法と分析方法の確認とともに、堆肥の切り返し頻度の違いによる臭気物質への影響を調査した。
方法
(1)試験区分
使用した豚糞は約1ヶ月間堆肥舎にて保管したものを用い、堆肥の切り返しを毎週行う区を対照区、切り返しを月に1回実施する区を試験区と設定した。豚糞はそれぞれ1トン堆積し、試験期間は8週間とした。
(2)堆肥化方法と測定方法
堆肥化は高さ2m、幅2.2m、奥行き1.8mのチャンバーを用いて行い、小型ブロワーにより上部から排気した。臭気は堆肥の切り返し前と切り返し後に排気管から捕集した。臭気物質はアンモニア、低級脂肪酸(プロピオン酸、ノルマル酪酸、イソ吉草酸、ノルマル吉草酸)、硫黄化合物(硫化水素、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル)を測定した。また、アンモニアは検知管、低級脂肪酸および硫黄化合物はガスクロマトグラフィによって分析を行った。
成果・評価
(1)品温の変化
両区ともに切り返し直後に急激に発酵温度が上昇した。5週目以降では対照区において切り返し後の温度上昇が緩やかとなり、その後両区とも徐々に温度が低下し、30℃程度になった。
(2) 臭気の発生状況
(3)堆肥化における成分変化
期間・区分
平成26~28年度,県単
背景・目的
地鶏生産は,産地間競争が激しく,より一層の生産コストの削減が求められている。種鶏ヒナの供給羽数は,鶏舎の収容羽数等の条件により1回当たりの必要羽数が増減するため,種鶏の飼養羽数はヒナの最大必要羽数を満たす羽数の確保が必要となり,生産コスト削減のため単純に飼養羽数を減らすことは困難である。そこで,1回あたり少羽数の種鶏から多数の種卵(ヒナ)を安定的に生産し,地鶏の生産コスト削減につながる種卵の長期保存方法を確立する。
方法
種卵を各種条件で保存し,ふ化率を調査することで,種卵の経済的な長期保存方法を検討する。
成果・評価
まとめ
予備加温を加えることによりふ化率の低下を防止する傾向がある。
保存期間22~28日間では,保存温度10℃一定区および10℃から15℃変更区の対入卵ふ化率は50~60%と一定の効果が認められたため,今後例数を増やし検討するとともに,保存期間中の卵殻消毒方法を検討し,ふ化率向上を目指す。また,今回保存温度15℃一定区では,30%台と低く種卵の長期保存には向かないことが分かった。
期間・区分
昭和27年度~,県単
背景・目的
優良種雄牛を適正に飼養管理し,高品質な凍結精液の生産と譲渡を行う。
方法
種雄牛及び候補種雄牛を繋養し,精液を採取して凍結した。このうち,検査に合格したものを保存し,希望に応じ県内に譲渡した。
成果・評価
候補種雄牛を含め18,165本を生産し,8,513本を譲渡した。譲渡した精液は,北国関7が8,123本,福茂光85本,その他305本であった。
期間・区分
平成11年度~,県単
背景・目的
肉用牛の改良を図るため,遺伝的能力評価の高い繁殖雌牛へ基幹種雄牛を指定交配し,生産された雄子牛について能力を調査し選定する。
方法
(公社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定直接法に基づいた。
成果・評価
期間・区分
平成4年度~,県単
背景・目的
直接検定により選抜された候補種雄牛の現場後代検定を実施し,優秀な種雄牛を選抜する。
方法
(公社)全国和牛登録協会で定める産肉能力検定(現場後代検定法)に基づいた。
成果・評価
候補種雄牛「鯉淵298」の産子について検定を終了した。枝肉重量及び脂肪交雑(BMS)の推定育種価は+50.219kg,+1.632であり,脂肪交雑で能力評価基準値に満たないことから茨城県肉用牛育種改良推進協議会で不合格と決定する。
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
和牛において,長鎖不飽和脂肪酸であるアラキドン酸が肉のおいしさに大きく影響していると推察されるが,このアラキドン酸の生成に関与する酵素であるデルタ6デサチュラーゼ,エロンガーゼ及びデルタ5デサチュラーゼを発現する遺伝子座は未解明なため,この遺伝子多型を解析するとともに,肉質,産肉性との関連を検証することにより遺伝子に基づく能力評価法を確立し,本県和牛集団の改良を促進する。
方法
エロンガーゼの遺伝子座を解明するため,ダイレクトシークエンス(増幅したDNAを直接解析し塩基配列を決定する方法)により塩基配列を解析し,変異部である一塩基多型(SNP)を検索した。
成果・評価
エロンガーゼ遺伝子に関連する遺伝子領域について,牛肉56検体のダイレクトシークエンスによる塩基配列の解読を行ったが,アミノ酸非同義置換を伴う遺伝子多型は見つからなかった。
現在,他の酵素について検討中である。
期間・区分
平成23~27年度
背景・目的
近年,簡便な電気牧柵の普及により小規模な遊休農地を利用した放牧が可能となり,低コストで省力的な飼養管理方法として放牧が見直されている。放牧利用は春から秋にとどまり,秋から春には牛舎で飼養する形態が一般的であるが,より一層の低コスト化・省力化を図るため放牧期間を簡易に延長し,黒毛和種繁殖牛の周年放牧技術を開発する。
秋から春に放牧するため,以下3課題を設定し検討を行った。
不耕起・不鎮圧の条件で追播し,冬季の放牧利用方法を検討した。
継続試験結果で,追播草種を検証するため,イタリアンライグラス,エンバク,ライムギ及びライコムギの追播試験を行った結果,ライムギが最も適していた。そこでライムギの播種時期と利用時期を検証するため収量調査を行い,10月中旬に追播すると1月中旬に利用可能であり,さらにその後再生するライムギを利用して3月下旬以降,再度放牧利用できる可能性が示唆された。
方法
本年度は1月中旬に放牧利用し,更に再生草を利用して3月下旬以降,再度放牧可能か検証を行った。
成果・評価
水田の冬季放牧地として,ひこばえ(再生稲)の利用性を検証した。
継続試験結果から,ひこばえの収量は圃場による差が大きいものの,飼料米ひこばえは食用米ひこばえと比較して収量が多く,放牧利用の可能性が示された。そこで8月下旬に稲刈りを行い,水田裏作としてイタリアンライグラスを追播し,秋季に飼料米ひこばえの放牧利用性(9月中旬:15.1CD/10a)及び春季にイタリアンライグラスの放牧利用性(3月下旬:14.9CD/10a)について検証し,有用性を確認した。
方法
イタリアンライグラスの年内利用性を検証するため,本県の追播推奨時期(9月中~下旬)に合わせて9月中旬に稲刈り及びイタリアンライグラス追播し,飼料米ひこばえとイタリアンライグラスを併用した年内放牧利用性を検証した。
成果・評価
秋季に放牧利用後の草地を秋季備蓄草地(ASP)として備蓄し,その冬季の利用性について検証した。
継続試験結果から,ASPの乾物収量が最大となった12月中旬に黒毛和種繁殖牛を備蓄草地に放牧し,実際の牧養力について検証を行った。また,昨年度の結果から,1月中旬に粗タンパク質(CP)が日本飼養標準(肉用牛)よりも低下が認められたことから,窒素施肥量による収量及び一般成分への影響についても同時に検証を行った。
方法
本年度は9月中旬から秋期備蓄草地の備蓄を開始し,12月中旬から放牧を行い,実際の牧養力について検証を行った。同時に,窒素施肥量の効果の検証も行った。
成果・評価
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
肉を食べた時の口中の香り(フレーバーリリース)は肉のおいしさを左右すると言われているが,これまでほとんど研究されていなかった。そこで,機器分析によりフレーバーリリースの成分を検出する手法を開発し,官能評価の結果とあわせて肉のおいしさを科学的に評価する手法の確立を目指す。
方法
機器分析及び嗜好型官能評価を用いて,評価方法を検討した。
成果・評価
期間・区分
平成24~26年,県単
背景・目的
哺乳期の子牛は,温度環境の変化や病原菌などの影響で,下痢等の疾病に罹る割合が高くなる。哺乳期の下痢等による発育停滞は,和牛繁殖農家の経済的損失に繋がる。
酪農では,代用乳にシンバイオティクスの添加,給与で,下痢抑制・発育促進などの効果が見られ,シンバイオティクスによる生産技術が確立されつつある。
当研究所では,制限哺育(哺乳)試験の結果から,子牛の下痢の発生,母牛の繁殖機能の早期回復が図られることが分かっている。そこで,制限哺乳を利用し,シンバイオティクスをスムーズに黒毛和種子牛に飲ませ,下痢の発生を抑え発育向上を図る技術を確立する。
方法
成果・評価
期間・区分
平成23~28年度,県単
背景・目的
養豚経営における肉豚生産では三元交配豚を利用するため,雄系及び雌系の各品種について総合的な育種改良が必要になっている。
雌系であるランドレース種及び大ヨークシャー種について,本県は全国に先駆け昭和45年にランドレース種の系統造成を開始し,昭和54年にはわが国第1号の系統豚として「ローズ」が認定され,その後,ランドレース種2系統,大ヨークシャー種2系統を造成してきた。
これらの系統豚は,本県の銘柄豚肉であるローズポークをはじめとする高品質豚肉生産の基礎豚として県内で広く利用され,高く評価されているところである。
しかし,それら系統豚を基礎豚として生産される県内の雌豚(LW,WL)に適合した優良な雄豚(デュロック種)は,デュロック種生産者の高齢化等によって減少し安定供給が難しくなってきている。
そこでローズポークをはじめとする優良な三元交配豚を安定的に生産し,県内の高品質豚肉の生産性向上を図るため,養豚農家から要望の高い肉質向上や肢蹄の強健性を改良目標に加えたデュロック種の系統を造成する。
方法
平成23年度より第一世代の生産・選抜を開始し,以後一年一世代の選抜を繰返して平成28年度に5世代で造成を完了する。集団の規模は雄10頭雌40頭の閉鎖群で,選抜形質および改良目標値(検定期間:体重35~105kg)は,一日平均増体重(DG)1000g,飼料要求率(FCR)2.9,筋肉内脂肪含量(IMF)5%と設定した。肢蹄の強健性については独立淘汰法により実施する。
成果・評価
平成25年度に生産した第三世代候補豚295頭について,体重35キログラム時に第一次選抜を実施し,雄38頭,雌62頭,調査豚61頭(雌,去勢)を選抜した。このうち検定を終了した雄38頭,雌62頭の一日平均増体重,飼料要求率,筋肉内脂肪含量(調査豚での値)の平均値は雄でDG896.3g,FCR 2.80,IMF 4.46%,雌でDG 789.2g,FCR 3.22,IMF 3.73%であった。
総合育種価および肢蹄の強健性により第二次選抜を実施し,雄10頭,雌43頭を選抜した。第二次選抜豚の各形質の平均値は雄がDG 999.5g,FCR 2.81,IMF 4.86%,雌でDG 810.0g,FCR 3.11,IMF 4.00%であった。
第二次選抜豚雄10頭,雌43頭を交配し,第四世代豚の生産を開始した。
期間・区分
昭和45年度~,県単
背景・目的
大ヨークシャー種系統豚「ローズW-2」は,本県の銘柄豚肉である「ローズポーク」の基礎豚等として,平成15年度から農家に供給してきたが,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきたため,平成25年度に系統豚の認定を取り消した。
しかし,生産農家からは大ヨークシャー種の払い下げの要望が多く,この優良な系統豚の資質を高品質豚肉生産の基礎として長期間利用するため,外部から優良な種豚や精液を導入し,開放型育種手法の開発及び確立を図りながら,農家ニーズに対応した高能力純粋種豚を作出・供給し,広域的な改良効果を生み出していく。
方法
常時種雄豚5頭,種雌豚15頭を飼養した。交配は,適宜外部から優良な種豚(精液)を導入して行い,集団の遺伝的構成,繁殖・育成成績,産肉成績などを調査した。
また,育成豚を養豚農家に払い下げた。
成果・評価
平成25年度まで血縁の上昇抑制のため,種豚の更新を極力抑えたことで,老齢の種豚が増加し,受胎率,分娩頭数などの繁殖成績が低下してきた。そこで,本年度は,外部から種雄豚123頭分の精液を導入し改良を進めた。
また,育成豚は,養豚農家等に21頭(雄14頭,雌7頭),人工授精用精液は,21頭分払い下げた。
期間・区分
平成19年度~,独法委託
背景・目的
独立行政法人農業生物資源研究所で医療用モデルブタとして作出された2種類の遺伝子組替えブタ(TGブタ)について,遺伝子のホモ化を行うとともに,小規模集団での遺伝子組換えブタの系統維持法の開発及び将来に向けた増殖技術の確立を目指す。
方法
成果・評価
期間・区分
昭和62年度~,県単
背景・目的
ランドレース種系統豚「ローズL-3」(2011年度認定)は,本県の銘柄豚肉「ローズポーク」や高品質豚肉の基礎豚として長期間に渡り,安定して利用することを目的に,認定時の能力を保持しながら近交係数・血縁係数の上昇を最小限に抑える維持と増殖・供給を行う。
方法
「ローズL-3」を維持施設内で分娩させ,繁殖・育成成績,産肉成績および育成豚の主要形質の成績,集団の遺伝的構成などを調査し,系統豚「ローズL-3」を維持した。更に育成豚を養豚農家に払い下げた。
成果・評価
期間・区分
平成23~27年度,国補
背景・目的
豚肉は,特有のにおい・くさみにより一部の消費者から敬遠される場合があるが,オフフレーバー(異臭・悪質臭)とおいしさの関係については明らかにされていない。そこで,豚肉のフレーバー成分及びフレーバーリリース(咀嚼時に鼻から抜ける香り)成分が豚肉の評価に与える影響を検討した。今年度は熟成期間がフレーバーに及ぼす影響について検討した。
方法
分析は日本原子力研究開発機構が所有するブレスマスを用いた。
試験には所内で生産した三元交雑種(WL・D)の同腹去勢豚2頭を用いた。
配合飼料のみで肥育した豚を慣行区とし,肥育後期に配合飼料の30%(重量比)を飼料用米で代替して肥育した豚を飼料用米区とした。
肥育終了後,所内でと畜及び解体し,背最長筋を縦5cm×横5cm×高さ5cm(皮下脂肪層1cm含む)に成形し,これを分析試料とした。
試料は標準空気を300ml注入したポリエチレン袋に入れ,4℃の冷蔵庫内で保存し,適宜ガスを採取し,分析を行った。
また,一般細菌数はガス成分測定試料と同様の処理をした試料を用いて測定した。
成果・評価
豚肉から発生したガスは試験区に関わらず測定開始から2日目にかけて上昇し,その後緩やかに減少した
豚肉から発生したガスの経時変化を質量電荷比毎(m/e)に検討した結果,両区ともに上位(44,22,46等)は変わらなかった。しかし,それ以下のm/eについては区間による違いが見られた。
細菌数は試験開始後1から7日目の間に変化はみられなかった。そのため,豚肉から発生したガスの変動は,細菌の活動によるものではなく,肉の変化によるものと考えられた。
期間・区分
平成26~30年度,県単
背景・目的
筋肉内脂肪含有量の向上を改良指標の1つとして造成中のデュロック種系統豚の活用を図るため,この系統豚を用いて三元交雑肉豚を生産したとき肉質(筋肉内脂肪含有量等)へ及ぼす影響を判明させる。
また、筋肉内脂肪含有量を増加させる飼養管理法(給与飼料等)の検討を行い,高品質豚肉生産の技術確立を目指す。
方法
平成26年度は,三元交雑肉豚を生産するための,所内飼養中のランドレース種及び大ヨークシャー種系統豚を用いてLW母豚を育成すると共に,LWの産肉性・肉質を調査した。
肉質調査豚は生体重105kgでと畜し,胸最長筋5カ所を採取して脂肪含有量を測定した。
成果・評価
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