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更新日:2020年5月26日
癌に効くきのこというと,多くの人は,漢方で用いられるサルノコシカケやマンネンタケ等を思い浮べることでしょう。最近では,ヒメマツタケ(アガリクス茸)というブラジル原産のきのこも,健康食品の分野で話題を集めています。きのこから抗癌剤を作る研究も国立癌センター等で盛んに行われ,カワラタケから「クレスチン」,シイタケから「レンチナン」,スエヒロタケから「シゾフィラン」が開発されて,厚生省の認可を受けています。 しかし,薬効があるのは,これらの薬用きのこや製剤品ばかりではありません。安く,おいしく食べられるスーパーや八百屋でお馴染みの食用きのこにも,食べるだけで意外に高い制癌効果が期待できます。ここでは,そのことを裏付ける研究事例を2例だけ紹介します。 群馬大学の倉茂教授は,ネズミに発癌剤を飲ませながらきのこを混ぜた餌を与えて飼育し,半年後に解剖して癌の有無を調べました。その結果,発癌率は,比較のために餌にきのこを混ぜなかったネズミが100%,シイタケを与えたものが52%,マイタケを与えたものが46%,ヒラタケを与えたものが65%でした。きのこを与えていて発癌したネズミの癌の大きさは,きのこを与えなかったネズミの癌に比べ,はるかに小さかったそうです。 長野県農村工業研究所の小田切博士は,長野県全体とエノキタケ栽培農家(エノキタケを常食していることが多い)の癌による死亡率を比較しました。人口10万人当りの癌による死亡者数は,長野県全体で160人,エノキタケ栽培農家で97人でした。さらに,エノキタケをほとんど食べない家庭と1週間に1~2回以上食べる家庭に分けて,臓器別(胃,食道,直腸,肝臓,膵臓,肺)の癌の発生率を比較しました。すると,すべての癌で,エノキタケを食べている家庭の方が癌になる率が低く,特に胃,食道,直腸,膵臓癌では,半数以下の値を示しました。 ここでは4種のきのこの例をあげましたが,ブナシメジ,ナメコ,マッシュルーム等でも動物実験で制癌効果を認めた事例があります。このように,きのこを常食することで,癌にかかりにくい体を作ることができます。また,癌にかかっても,その進行を遅らせる効果が期待できます。 きのこ食の制癌効果は,人が本来もっている免疫力を活性化させ,その免疫力によって癌を抑えこむもので,癌細胞を直接攻撃する多くの抗癌剤のような副作用はないそうです。人類の悲願である癌の特効薬の鍵は,案外きのこがにぎっているのかも知れません。 |
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