目的から探す
ホーム > しごと・産業 > 農林水産業 > 森林・林業 > 茨城県林業技術センター > 特用林産物トピックス > 野生きのこ相談室(令和6年度)
ページ番号:72519
更新日:2025年5月15日
ここから本文です。
各林業指導所やきのこ博士館、林業技術センターで対応した野生きのこの名前を調べる相談と県内で発生した毒きのこによる中毒の概要を紹介します。野生のきのこは種類を調べ名前を知るのが難しい上、猛毒を持つものもあるので、食用にする場合は、慎重に選別してください。
なお、名前を調べる相談の「種数」は、相談ごとの重複や名前のわからなかったものも積算しています。
件数:434件
種数:1,076種(うち毒きのこ137種)
食用:ヒラタケ ……………………………… 57件
ウラベニホテイシメジ ……………………… 36件
サクラシメジ ………………………………… 25件
アラゲキクラゲ ……………………………… 15件
ウスヒラタケ ………………………………… 15件
有毒:ハイイロシメジ ……………………… 18件
クサウラベニタケ …………………………… 17件
ミネシメジ …………………………………… 12件
オオシロカラカサタケ ……………………… 8件
クロハツ ……………………………………… 7件
食用:………………………………………… 0件
有毒:………………………………………… 0件
(1)シロオニタケ
10月25日、利根町在住の2名が近所の公園で採取したきのこを調理して食べたところ、嘔吐、手の震えなどを発症し、病院を受診して1名入院した。持ち込まれたきのこの形状と患者から聞き取られた色から、シロオニタケと同定した。
令和6年度は野生きのこ類の相談件数が434件で、持ち込まれたきのこの延べ種数が1,076種となった。昨年度(相談件数441件、延べ種数549種)に比べると、相談件数は約2%減少したものの、延べ種数は約96%増加した。
水戸地方気象台がホームページにて公表した「茨城県気象年報令和6年(2024年)」によると、きのこが例年多く発生する6、9月の降水量が地域により多かったことが報告されている。雨が降った後にきのこは発生することが多いので、このような気象要因が種数増加の一因である可能性が考えられる。
毒きのこの延べ種数は137種と約7%増加した(昨年度128種)。全相談に対する毒きのこが占める割合は、約32%で、昨年度(約29%)より増加した。また、県内できのこによる食中毒が発生した。(1件、上記参照)。以下に相談の多い種類について記すが、食用きのこと毒きのこが混在することもあるので、1つ1つのきのこをよく見て、最新の図鑑と照らし合わせながら慎重に同定してほしい。
山菜、野草類に関する相談はなかった。
食用きのこの相談件数は6年連続で、1位ヒラタケ(57件)となった。以下2位ウラベニホテイシメジ(36件)、3位サクラシメジ(25件)、4位アラゲキクラゲおよびウスヒラタケ(各15件)となった。1位のヒラタケは、晩秋から冬にかけて発生する、柄がほとんどない大型のきのこであるが、似たきのこに有毒のツキヨタケがあるので、注意してほしい。
毒きのこでは、1位ハイイロシメジ(18件)、以下2位クサウラベニタケ(17件)、3位ミネシメジ(12件)、4位オオシロカラカサタケ(8件)、5位クロハツ(7件)となった。
1位のハイイロシメジはカサは淡い灰色を帯び根元が大きくふくらみニンニクのようなにおいがするきのこである。
2位のクサウラベニタケは、食用の2位のウラベニホテイシメジと間違いやすいきのこである。茨城県林業技術センターのホームページに両種の見分け方を掲載しているので参考にしてほしい。
3位のミネシメジはカサが緑色を帯びた褐色のきのこで、石けんのようなにおいがするのが特徴の1つである。
4位のオオシロカラカサタケは食用のカラカサタケ(このきのこも生食しないよう注意!)に似ているが、きのこが成熟するとひだが緑色になるのが特徴である。
5位のクロハツについて、傘が黒色で、ひだが粗く、肉を傷をつけると赤色~黒色に変化するのが特徴である。過去の図鑑には食用とされているもののあるが、海外の図鑑での知見から、最近の図鑑では毒きのことされるものも出てきた。近縁種のニセクロハツも有毒であるため、絶対に食さないように注意してほしい。