目的から探す
ページ番号:19747
更新日:2015年3月23日
ここから本文です。
この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成21年9月8日(火曜日)
13時03分~13時30分 会見室
知事:本日、5期目へ向けての初登庁をいたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
茨城(幹事社):まずは、5期目の当選、おめでとうございます。新たにまた5期目がきょうからスタートされるということになるかと思いますが、まず、5期目に向けた抱負と、選挙戦では「生活大県」という公約を掲げて幾つかの目玉の施策についても遊説でお話しなさったかと思いますが、その施策の工程表といいますか、ロードマップといいますか、今後、この4年間でどのような施策をどのようなスケジュールで実施していくのか、雑駁で結構ですが、お話しいただければと思います。
知事:5期目は実はまだ始まっていないので、今日は4期目中なのですが、とりあえず予算編成等もあるし、あるいはまた、国の政治の変化等への対応もしていかなければいけないということで、現在、4期目の最後の部分でありますが、初登庁という形をとらせていただきました。
何をやっていかなければいけないかということについては、とりあえずの課題として、景気の回復、雇用の安定ということ、あるいはまた、行財政の徹底した改革等があると思っております。そして、長い目で見た方向として、先ほどお話がございましたが、生活大県づくり、これは、県の力をつけて、その力を生かした形で、県民に茨城に生まれて住んでよかったなと思ってもらえるような、安全・安心・快適な生活環境をつくっていこうというものでございます。
工程表という質問がありました。選挙期間中にだいぶお話を申し上げてきたところでありますが、子育て支援とか、教育の充実といったことについては、早速、来年度の当初予算で対応していけるようにしたいと思っております。例えば、幼児の医療費の助成でありますが、これについては、現在、ほかの県と同じような形で小学校入学前までを対象にしておりますが、これから検討していかなくてはいけませんが、これを小学校3年生ぐらいまで拡大していきたいと思っております。
それから、少人数教育ということについても、今、小学校1・2年生で実施しておりますが、これをさらに小学校3・4年生まで広げていきたいと思っておりまして、これから教育委員会と協議をしていきたいと考えております。
そのほかのことにつきましても、できるだけ早く着手していきたいと考えているところであります。
茨城(幹事社):同日選ということで、中央の国政もがらりと変わりまして、民主党が政権をとるという時代になりました。民主党のマニフェストを見ますと、これまでの自民党の政策と大きく変わった点が多々あるかと思います。知事が特に県政の政策運営に影響を与えそうだと注視している民主党の政策についてお聞かせいただけますでしょうか。
知事:いろいろな分野で県政への影響というものは大きいと思います。例えば、今、既に国土交通省や農林水産省の交付金などは、各省庁が民主党の方針を待って対応していきたいということで、一時的に中止しているところでありますが、そういったものがどうなっていくかということももちろんでありますし、それから、地方分権をどういう形で進めてくれるのか。あるいは、地方の税財源をどうやって確保してくれるのか。私どもの一番の期待というのは、この6年間で本県だけでも2,000億円も一般財源がカットされている三位一体改革、これは三位一体の改悪だと思いますが、これを少しでも復元してくれるような方向に持っていってくれるのかどうか。今年度の当初予算で少し復元の方向に向けて進み始めたところですが、これを本格的にやってもらえるのかどうか、その辺も大変関心を持っております。
茨城(幹事社):本県関係の民主党の政策の中で八ッ場ダムというものがありまして、もう既に一部の関係知事のほうから、多目的ダム法に基づきまして、もし中止とかなれば負担金の返還を求めるというふうな声も出ておりますが、この問題について知事のお考えをお聞かせください。
知事:八ッ場ダムは治水、利水両面から大きな役割を果たしてくれるものと思っておりますが、特に治水はほかの形での代替案というものもあるかもしれませんが、利水のほうで、我々が暫定水利権として持っている部分について確保していけるのかどうか。例えば、渇水などを考えた場合、どういう対応をしていけば国民の皆さんが必要とする水を十分に供給していけるのか、そういったことをきちんと検討していくことがまず先だろうと思っております。
そういう中で、ダムを造らなくても十分対応できるということになれば、それは中止する方向へ行くでしょうし、やはり水が足らなくなってしまうということになったらかつての福岡県のように大変な状態になるかもしれない。そういうことを考えて、造ったほうがいいのではないかという意見になれば造っていくということではないかと思っております。
中止したときにどうするかについては、各県と協調して対応していきたいと思います。
茨城(幹事社):中央が民主党が政権をとったということで、これから民主党の政策に基づいて霞ヶ関も動き、そしてまた、県政もそういった政策の展開になっていくのかと思いますが、県議会のほうは今も自民党が最大会派ということで、この前の衆議院選挙では民主党と激突した中央での野党が県政界ではまだ与党という形になっておりまして、中央と地方県議会のねじれという構図が生まれた形になったかと思いますが、これについて、県政運営上、支障はなさそうでしょうか。
知事:県連の幹事長が野党になると言っていましたが、今回のような状況の中で今後の自民党県連の体制を築かれて、その上でなお野党宣言というものが生きているかどうか確認しながら、これから対応していかなければいけないと思っております。
いずれにしても、私は前々から申し上げていますように、県民にとってどうすればいいかということが県政の一番大きな目標でありますから、そこは県の執行部側も議員の側も同じだろうと思っておりますので、県政を行っていく上で、極端に大変な状況というものは生まれてこないのではないかなと思っています。
茨城(幹事社):今お話がありました自民党の執行部なのですが、昨日、山口会長を含め11名の執行部全員が辞職するという形になりまして、県議会の最大会派も、今、執行部が大きく揺れています。橋本知事の過去4期でも、議会の中で山口会長が占める役割というのはかなり大きかったかと思いますが、県議会最大会派の最大の統率者が、今、表舞台を去って新しい時代が来ようとしていますが、議会対策、あるいは県政と議会との関係ということで何か心配する向きもあるかとは思うのですが、知事はこの点についてはいかがですか。
知事:今申し上げたとおりでして、私自身としては、みんな県民のためにいい方向にということで多くは一致していると思いますので、特に、今度、自民党県連の執行部が変わったからといって、大きな混乱が出てくるとは考えておりません。
読売A:山口会長が、24年間、県連会長をお務めになったのですが、その辞任について、知事のご所感はありますでしょうか。
知事:私は、大変偉大な人だったと思います。バランス感覚もいいですし、情報収集力もすばらしい。そして、判断力といったものも優れている。そしてまた、統率力といった面でもほかの人にはないものを持っている。そういう点で大変すばらしい人だと思います。
ただ、近年、特に一部の人からしか情報が入らなくなったのではないかと思います。そういった点が今回のような事態になったことと関係しているのかなという感じはしております。それ以上のことは何とも申し上げようがありませんが、私としては、この茨城県が発展してくる上で、あるいはまた、県政の安定の上で、大変大きな足跡を残されてきた人だと思っております。
毎日:関連しまして、山口会長と知事は個人的にも親交があったかと思うのですが、選挙戦を通じて、選挙中、もしくは選挙後にも何らかの形で連絡をとられたとか、そういうことはあるでしょうか。
知事:ありません。大きな流れの中での今回の結果ではないかと思います。
常陽:県議会の自民党との距離なのですが、今後、知事としてはどんな動きをしていきたいですか。
知事:今までとそれ程変わらないと思います。我々としては、施策を提案し、議会を通してもらって、その上で執行していくということでありますから、自民党も、民主党も、公明党も、自民県政クラブも、同じようなスタンスで臨んでいきたいと思っています。
常陽:知事にとっては与党というふうにお考えですか。
知事:幹事長みたいな人もいますので、何とも答えようがありません。向こうがどういう形で来られるのか、あくまで野党と言われるのか、それとも、あれは個人的な発言で、党としては別だという対応になるのか。今度、執行部が決まる28日の後になると思うのですが、執行部が決まった後に、やはりきちんと話はしていく必要はあるのかなと思っています。
私は、一応、選挙が終わった後に、各党へ挨拶に行ってきました。自民党会館にも行きましたし、民主党にも行きましたし、公明党にも行きました。
読売B:選挙のことなのですが、5選ということで、多選批判というものも一部にはあったのですが、ご自身としては、そういう点はどのようなことが県民に評価されたとお考えですか。
知事:私は評価される側ですから、どういう点がと言われると答えにくいのですが、いずれにしても、5選は悪いという発想は私は必ずしもいい発想ではないと思っております。私が知事になってから、これまで、8期で辞めた人が1人、6期で辞めた人が5人、それから、5期で辞めた人が9人おります。それではその方たちが後になって評判が悪くなったかというと、そうではなくて、逆にしっかりと評価をされている。
そういう点からしても、初心を忘れずということは極めて大切なことでありますが、私は長いからダメと一概に決め付けることはいいことではないと思っております。一方で、今日、某新聞が、県庁職員が橋本王国などと言っていると書いておりましたが、こういうことは絶対にないように、私自身、心がけていかなければいけないと思っております。風通しのいい県政にしていきたいと考えております。
読売B:初登庁の日に何ですが、6期目への意欲というのはありますか。
知事:僕は、気持ちがどうかはともかくとして、あらかじめ何期までやりたいとか何期で辞めるといったことを言いますと、レームダック(政治的な影響力を失った政治家の意味)ということもあるので、お答えは控えさせていただきます。
日経:先ほどの八ッ場ダムで、再びになって恐縮なのですが、先ほど、知事、各県と協調してというか、話し合っていくということを言われました。一部で知事の間には負担金を返還しろということを明言されている知事もいるみたいですが、茨城としても190億何がしか払っていると思うのですが、その辺、実際に中止になった場合にはどうされることになるのでしょうか。
知事:中止になるときに、どういう形で中止に持っていくのかということも関係してくると思います。例えば、我々が全く納得できない形で中止されるのか、納得できるような方策があるのかどうかも関係してくると思います。
茨城県の場合には、八ッ場ダムよりももっと大きな課題として霞ヶ浦の導水問題があります。霞ヶ浦の導水問題について、今度、当選された一部の国会議員さんの中には絶対反対という声もありますが、そこをどう考えていくのかということが県としてはより大事なことではないかと思っております。
これについては、例えば、霞ヶ浦の水質悪化がこれ以上進んできたときに、農業用水、工業用水、あるいは飲料水等として使えるかどうかということが課題になってまいります。例えば、龍ヶ崎市などは、霞ヶ浦から飲料水を持っていっておりますし、あるいは、鹿島地域は3兆円の製造品出荷額がありますが、これがもし塩水になったら全部ストップせざるを得ない状況になってくる。
また、筑波の中腹まで霞ヶ浦の水を持っていって県西地方の農業用水を賄っておりますが、これがもしあまりに水質汚濁が進んでしまって、農業用水にも使えないなどという話になったら大変なことになってくるわけであります。
いろいろな点をこれから考えながら対応していく必要があるのだろうと考えておりまして、導水事業の持つ意義について十分認識してもらった上で議論をしていく。果たして代替手段があるのかどうかを検討していかなければいけないと思っております。
今、浚渫事業などをやっておりますが、あれに代わる事業でも導入して、水質の浄化が少しでもいい方向にいってくれるということであれば、止めるということも十分考えられますし、こちらの導水事業については、直轄事業負担金を出しているのはほとんど茨城県ですから、これのほうが多分大きな課題になってくると思います。
これについては、実情を十分に理解してもらった上で、民主党としてどういう考え方を出されるのかを見守っていきたいと思っております。
いずれにしても、国の直轄事業でありますから、我々としては、状況がこうで、我々としてこう考えているということをしっかり説明していくことが大切だろうと思っています
日経:そうすると、仮にの話で恐縮ですが、民主党が大型公共事業の見直しを掲げているわけですが、導水も、当然、おっしゃるように中止ということも十分あり得ると思うのですが、仮に中止というような話が出てきた場合には、知事としては反対をされるということでよろしいですか。
知事:私としては、今申し上げましたように、水質浄化しないとどういうことになるか、あるいはまた、導水事業をこれから完成させていった場合にどういう問題が起きてくるのか、その起きてくる問題がすべて解決不可能な問題なのかどうか、そういうことをトータルに見ながら、民主党の新しい政権として判断してもらうことが必要だろうと思っています。
ですから、国のほうでまず十分に説明してもらいたいと思いますし、県としても、民主党の議員さん方に、どういう状況なのか、メリット、デメリットといいますか、やらなかった場合にどういうことが起きてくるのか、その辺を説明していきたいと考えております。
日刊工業:知事は、産業大県から生活大県へということを掲げていますが、中小製造業はまだまだ厳しい状況が続いていると思います。そうしたところへの支援はこれからどういうふうに継続して中小企業の支援を行っていくのでしょうか。
知事:力点を生活大県という方に移すということは申し上げてきましたが、地域によって実情が異なっております。働く場所をつくらないと地域全体としての活力を維持していけないような状況に直面しているところもたくさんあるわけですので、そういった地域については、もちろん、インフラをどうやって整備するか、生活道路や産業用の関係も含めてどう整備するかといった産業大県的な発想が必要になってまいります。雇用の創出や労働力の吸収力の大きい製造業などの産業を誘致するために一生懸命やらなくてはいけない地域もあると思っております。
そういった点で、これまでの政策を変更して、例えば、何かの補助金をカットするというようなことは考えておりません。そして、私も先頭に立って企業誘致等に当たっていかなければいけないと思っています。
茨城放送:行財政改革について伺いたいのですが、金融のプロを任期付きで雇うというお話が出ていましたが、改めて今後の取り組みや方向について伺いたいのですが。
知事:今年の2月に第5次行財政改革大綱を作ったばかりではあるのですが、5期目を迎えるということもありますので、中身についてしっかり再点検をしていきたいと思っております。その中で、今般の大幅な経済悪化や、あるいは国の地方税財政対策がどうなっていくかといったことなどを踏まえながら方向性を決めていかなければいけないと思っております。私どもは、民主党政権に対して、地方交付税の復元、強化を求めているところでありまして、この復元が一番最初(三位一体の改革の前)の平成15年度まで復元してもらえれば、毎年、300億円ぐらいずつ戻ってくるわけでありますので、こうなればやりたい事業で(財源不足で)やれなかったものを実施していくことが可能になってまいります。
ただ、そこまで本当に復元してくれるかどうかといいますと、これはなかなか期待薄だと思っていますので、半分以上でも復元してくれるとか、そういうことを地方としては働きかけていく必要があるのだろうと思っています。
毎日:10月補正の関連ですが、民主党政権移行を見越して、現段階で、これまでの当初予算や6月補正予算を変更ないしは見直しをするのでしょうか。
知事:今やっていますのは当初予算とか6月補正の変更ということではなくて、6月補正を比較的早い時期に編成しましたので、必ずしも国の補正予算全体を反映しきれていないために、それを反映する作業を行っております。その中で、一部(の交付金)を凍結するというような動きも出てきていますので、どれが凍結されるのかを早く示してほしいと思っております。
いずれにしても、そういった交付金があるという前提で、今、作業を進めているところでありまして、もう少し様子を見ながら最終判断していきたいと思っています。
常陽:4期目の退職金の件なのですが、これはどうされますか。
知事:今さら直そうとしても条例が間に合わない。2割カットの状況で受け取ることになると思います。5期目その他についてはまたこれから検討します。
朝日:直轄事業負担金の件について聞きたいのですが、民主党政権になって前提が変わってきているとは思いますが、本県は支払っていないということもあるので、これについてはどういったようにお考えでしょうか。
知事:当面の悩ましい課題ではあるのですが、民主党として直轄事業負担金制度をどういうふうに対応していくのか。私ども、昨年度までのことでありますから、法律に書いてある以上は納めなければいけないと思っていますが、せっかく地方として国に対して強力に働きかけようという一つの方法としてやっているわけですので、それなりの方向性を早めに出してもらいたいと思っております。止めているということによって、それなりの影響は出ていると思います。