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更新日:2015年3月23日
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この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成21年9月28日(月曜日)
11時33分~11時56分 会見室
知事:本日は、第3回定例会に提案いたします予算案などがまとまりましたので、まずその概要をご説明申し上げたいと思います。
詳細につきましては、既に財政課からご説明してあるところでございますので、予算編成の基本的な考え方を中心にお話を申し上げます。
まず、最近の我が国の経済情勢でございますが、ご承知のとおり、大企業を中心にやや持ち直しの傾向は出てきておりますものの、一方で、なかなか設備投資とか消費に火がつかないということもございまして、特に雇用の面で大変厳しい状況になっております。失業率が5.7%という高い水準になっておりますし、また、有効求人倍率につきましても、本県の場合0.38倍ということで、極めて厳しい状況になっております。
そういったことを受けまして、これまでの国の補正予算の編成状況などを踏まえて、今回の本県の補正予算を編成させていただいたところであります。
内容につきましては、中小企業向けの金融対策や、研修・雇用一体型の雇用対策などを中心とした働く場所の確保のための対策、あるいはまた、公共事業を中心とした仕事を創出していくための対策などが主なものでございます。
その結果、今回の補正予算の規模は約584億円となりまして、6月補正との合計額で約883億円の規模となってまいります。補正後の予算額で見ますと1兆1,712億円程度となり、昨年度同期、9月補正後に対しまして10.6%程度の増となってまいります。
こういった形で今回の補正予算を編成させていただいたところでありますが、中身につきましては、財政課からも既に説明していると思いますが、さまざまな交付金などを活用いたしまして、例えば、ドクターヘリの導入に向けての体制づくり等々、これまで懸案になってきたことを積極的に予算計上させていただいたところでございます。
また、交付金の扱いにつきましては、まだ政府のほうで正式に決定されておりませんので、今後、どうなっていくか心配な面はございますが、少なくとも今年度分については交付金をやめるということはないだろうと思っておりまして、来年度以降については、また全国知事会などを通じて積極的に働きかけを行ってまいりたいと思っております。
以上です。
茨城:知事選があったために、補正予算が9月から10月になったということで、ちょうど鳩山内閣が行っている補正予算の見直し作業と並行して県議会の審議も行われるかと思うのですが、場合によっては、議決前に国のほうで執行を見合わせる、そういった影響も予想される中で、知事は心配などはないのでしょうか。
知事:そういう事態になったら、それに応じて対応していくということだと思います。今年度の交付金については、予定どおり地方向けについては交付していくというような意思表明がなされていると考えております。
日経:先ほど知事がおっしゃったように、今年度は通常どおり交付されるとして、来年度以降の分について、知事会を通じて要望するというのは、具体的にどういう要望をしていくということですか。
知事:既に知事会からもお願いをしているところでありますが、(来年度以降の)2年目、3年目の事業についても、私ども地方自治体においては計画的に事業を始めているものですから、例えば、ある事業について、初年度は実施できたけれども、交付金が途中で中止になってしまったので、2年目、3年目は事業が実施できないといったことになっては、事業を実施する市町村などにとっても困るわけでありますので、そういう点を十分に配慮してほしいと考えております。
共同(幹事社)まず、幹事社からの質問なのですが、前回の会見でも出ました八ッ場ダムについてなのですが、先日、知事は、中止の理由や代替案についての説明がないことは極めて遺憾だというコメントを出されていましたが、前原大臣が中止を明言した後に現地に説明を行かれたことについて、改めてお考えをお聞かせください。
知事:順序としては、先に現地へ行かれて、現地の方々との話し合いをした上で、やはりマニフェストどおり中止するということを決定されるというのが本来の筋ではないかと思っております。その点で、結論ありきから始まっているものですから、私どもとしては、なぜやめるのか、そして、代替案をどうするのかといったことについて、まだ一切説明を受けていません。そういう点については、地方自治体側もこれまで共同事業者として膨大な金額を負担してきているわけでありますから、しっかりした説明をしてほしいと思っております。
共同(幹事社):あと、前回の会見でも、八ッ場ダムより大きな課題として霞ヶ浦導水の話をなさっていたのですが、八ッ場ダムを公共事業見直しの入り口として、143事業の見直しをする。その中に霞ヶ浦導水も入っていますが、そのことについてお考えをお聞かせください。
知事:霞ヶ浦導水についても、私ども、国と一緒になって、利水面での対策にも役立つだろう、あるいはまた、水質悪化が進んでいる霞ヶ浦の浄化の決め手にもなるだろうということで事業を進めてきたところであります。いろいろ地元でも反対の声などはあるわけですが、仮にやめた場合に、霞ヶ浦の浄化をどうやって進めるのか、あるいはまた、今、暫定水利権という形で活用させてもらっている水量をどうやって確保していくのか、そういうことについてのきちんとした説明をしてほしいと思っております。
琵琶湖は滋賀県が管理しておりますが、霞ヶ浦は国が管理しているわけでありますから、管理している以上は、周りから霞ヶ浦があってよかったと思ってもらえるような状態に維持していくのが当然の責務ではないかと思っております。
そういった点で、やめた場合、どうやって水質悪化を防いでいくのか、その辺の対策というものをしっかり示してほしいと考えております。
共同(幹事社):30日で東海村で起きたJCOの臨界事故から10年になりますが、この10年を振り返って、どのようにお考えになるかというのをお聞かせください。
知事:原子力災害対策特別措置法などもできまして、それなりに体制はできてきたと思っております。ただ、「原子力というものには絶えず危険性が伴っている。潜在的危険性がある。」ということについて、しっかりと県民、国民の皆さんに忘れないように、いつも認識していてもらえるようにという意味では、やや風化も進んできてしまっているのかなと思っております。この10年という節目を機に、ぜひ、今申し上げた原子力についての考え方をしっかり国民、県民の皆さんに認識を深めていただければと思っております。
一部の報道で、例えば、原子力に関する学校教育などに関しても、ややもすればエネルギーの重要性の方に重点が移ってしまって、原子力の持つ潜在的な危険性といったものについて触れられていないということも言われておりましたが、そういった点も含めて、ここでしっかり振り返ってみて、さらに安全の確保に向けて取り組んでいくことが必要だろうと思っております。
読売:前原国交大臣が、空港特別会計の見直しに言及しているようなのですが、これは茨城空港にどういう影響があるのか、現状では不透明な気もするのですが、その辺、知事のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
知事:茨城空港については、ご承知のとおり、共用化に向けて民間滑走路のほうはでき上がっております。今やっているのは防衛省サイドの滑走路の工事で、これもほぼ完了しており、私ども、今回の前原国交相の発言は、茨城空港の建設工事については、直接は関係してこないのではないかと思っております。
読売:今後の維持、管理の面では影響が出てくる可能性というのは、知事はどのようにお考えでしょうか。
知事:維持、管理の面については、空港特会をこれからどのようにしていくのかによりますが、私どもは、国が造ってそのまま放り出すということはないだろうと思っております。国営空港でありますから、造った以上、どうやってそれを活用するかということを考えていかなければ、外国勢に日本の空をどんどん乗っ取られるばかりになってしまうわけでありますから、国策としての航空政策というものが必要だと考えております。
そういう点で、茨城空港についてもいろいろなことが言われておりますが、首都圏の第3番目の空港という意味では、ほかの地方空港とは持つ意味が大分異なっているのではないかと思っております。ほかの地方空港ですと、お客さんが足らない状況なわけでありますが、首都圏という単位で見た場合には、空港が足りなくて、乗り入れを希望していても入れない状況にあるわけですので、その解消に向けて、国としての対策を考える。そして、例えば、世界的に顕著になってきている格安航空会社の急速な普及、そういったことへの対応も考える。そういう面では、私どもは茨城空港をしっかりと国の航空政策の中に位置づけていってほしいと思っておりますし、県が航路誘致しているのをただ見ているのではなくて、国として、もっと積極的にやっていくべきだろうと思っております。最近になって、関空について、利用策を考えなくてはいけないということが一部で言われておりますが、首都圏のほうは乗り入れたいけれども入れないところがあるわけですから、国策として何らかの対策を講じれば、首都圏への外国からのお客さんが相当増えていくのではないかと思っております。
ビジット・ジャパンとか、ようこそ日本へというキャンペーンをやっているわけでありますし、日本としても、これから観光政策というものをきっちりと打ち立てて、外国からのお客さんを迎える。今、観光関係は対外収支が極端にマイナスになっておりますから、そういう面での改善にも役立っていくのではないかと思っております。
毎日:JCO事故に関係してなのですが、事故の交付金でつくった原子力等安全推進基金について、もう少し地元に還元してほしいという声があるように聞いているのですが、その点を踏まえて、これまでの基金の性格ですとか今後の使途の方向性についてもう一度説明いただけたらと思うのですが。
知事:交付金については、もともと全面的に地元に使うということではなく、あの事故によっていろいろな影響を受けたものを少しでもいい方向へ持っていくために使えないかということで交付が決定されたものであります。
今、地元という話が出ましたが、例えば(地元に限らず)県西地方の野菜などでも茨城県というラップで包んで出すと売れない、そのために何も書いていないものをわざわざ作って売ったとか、あるいは茨城県民が他県の温泉に行って茨城県から来たと言ったら、入るのをやめてくれと言われたとか、当時、いろいろな問題が出ました。そういったこと全体を含めて、茨城県のイメージアップや地域振興に役立ててほしいということでありますので、私どもは、今、医療や防災などを中心に使途を決めているところであります。残りの部分についても、全県的な立場から対応していきたいと思っております。
日経:八ッ場ダムの話なのですが、地元の群馬県の知事さんはもちろん中止に反対ということを明言されていて、1都5県と連携していくとおっしゃっていられて、埼玉、千葉、東京なども同じように中止には反対とおっしゃっているわけですが、知事のスタンスとしては、そうおっしゃっている他県の知事と考え方は同じで、そういうスタンスで臨まれるおつもりなのか、そこら辺はどうなのでしょうか。
知事:先ほども申し上げましたが、やめた場合、お金については返すということを言ってくれているようでありますが、どういう代替策があるのかとか、その辺についての説明がまだ正式には何もありません。私どもは、そういったことについて説明を受けた上で判断していかなければいけないのだろうと思っております。
そして、できれば、これまでも他の1都4県と一緒に歩調を合わせてやってきた事業でありますから、歩調を合わせていきたいと思っております。
常陽:JCO事故のことなのですけれども、住民の健康診断なのですが、今後は、県の基金があるということなのですが、今後は県独自の基金で続けていくということですか。
知事:周辺住民の健康診断についてはできるだけ継続していきたいと思っております。不安を訴える人がいないという状況になれば別でありますが、当面は続けていくつもりです。
茨城:やはりJCO事故関連ですが、先ほど知事がおっしゃったように、JCO事故10年で、ほかは相当進んでいるわけです。
訓練につきましても、10年の積み重ねで、訓練の進度が上がっているかと思いますが、一方で、知事の肝入りで始めたマイカー避難とか、あるいは、近くの病院の入院患者さんとか、あるいは災害弱者の皆さんの避難とか、こういったものに関しての現実的な訓練になっているかというと、まだどうしても基礎的なシナリオどおりの訓練に終始しているという意見もあります。
今後、この訓練などについてはどういったお考えですか。
知事:シナリオどおりの訓練ということについてよく非難を受けるのですが、シナリオどおりであっても、訓練をやっていくということは、私は極めて大事だろうと思っておりますし、シナリオに基づかない訓練をどういうふうにやるかという点で、やり方が難しい面もあります。私は、きちんと想定されるさまざまな状況を考えながら、それに対応する方策、準備をしていくことは大変大事だろうと思っております。
ただ、マイカー避難を取り入れた訓練などは、ある意味、やりやすい面もあるのですが、障害を持った方々や寝たきりになっておられる方々など、周辺地域におられる方々が全員参加する形で訓練ができるかというと、この場合、多くの人員や車などが必要になってまいります。例えば、(要援護者)1人について(介助者が)何人必要かを考えると、周辺数キロメートルの範囲に限ってみても、その方たちがいざ避難というときに介助者をどうやって確保するのかということなどは大きな課題ではないかと思っております。そういった点も含めて、これからさらに検討していきたいと思っております。
また、あわせて、事故を起こさないということが一番肝心なことでありますので、(原子力施設で)働いている方たちの教育その他をしっかりとやっていかなければいけないのだろうと思っています。
常陽:空港特会の見直しの件なのですが、前原さんは、日本航空の経営難について、地方空港をいっぱいつくったことが、空港会社にも経営悪化を与えているということなのですが、茨城空港は国内線の誘致をまだやっていると思うのですが、国内線について根本的に見直さなければならないと思うのですが、その辺はどうされますか。
知事:さっき、資料を見ておりましたら、静岡-札幌線の8月末までの累計の搭乗率は83.2%(日本航空と全日本空輸の合計)と大変高い搭乗率になっているにもかかわらず、これも、日本航空では今回、やめる検討対象になっているわけです。そういったことからみて、どこに問題があるのか。必ずしも採算面だけではないのではないかということを十分に検討していく必要があるのだろうと思っております。
例えば、国としてもそうですが、年金受給者がどんどん増えてきている中で、かつての給料に基づく高い年金になっている。それを今、安くなった給料の従業員が支えていけるかどうかとか、いろいろな問題があります。
そういった点で、不採算路線をつくってきたということももちろん経営悪化の一つの要因ではありますが、それだけではないような気がいたします。
今回、日本航空がかなりの路線を廃止するということでありますが、私としては、少なくとも国内線をどうするかという問題は、新幹線やその他の交通手段で代替できるかもしれませんが、日本は島国でありますから、国際的な形でこれからどんどん往来が広がっていく中で、それにどう応えていくかという国策をもっとしっかり国として考えていかなければいけないのだろうと思っております。航空会社の整理だけではなくて、積極的な航空政策を考えていかないと、日本に外国の人が寄らない。日本人はある程度行くかもしれないけれども、こちらで受け入れができなくなって、全世界的にはどんどん人が移動しているのに、日本だけ仲間外れにされてしまうといったことになったら大変だろうと思っております。