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更新日:2015年3月23日
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この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成21年12月24日(木曜日)
11時18分~11時43分 会見室
毎日(幹事社):まず、知事のほうから発表があるそうなので、よろしくお願いいたします。
知事:お手元にペーパーが配ってあると思いますが、いばらきイメージアップ大賞を決定しましたので、発表をさせていただきます。
今年で4年目になるわけでございますが、今年度は、「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」、皆さんご承知だと思いますが、国営ひたち海浜公園で開催される野外ロックフェスティバルであります。今年で10周年ということで、これをイメージアップ大賞として選定いたしたところであります。
皆さんご承知のとおり、大変人気のあるイベントでありまして、開催日が決定すると、県内のホテル等はほとんどその日のうちに満室になってしまうというような状況でございまして、国内四大ロックフェスティバルの一つとされております。大変茨城のイメージアップにもなってくれていると思っておりますし、特産物を売る飲食店を出店したりテント村を開設するなど、地域に根ざしたイベントとして定着しているところであります。
また、1日に5万5千人。それ以上はいれないような形で、会場内もきちんと整理整頓し、ごみも散らかっていないとか、いろいろな点で茨城のイメージを上げるために大変役に立ってくれているのではないかと思っております。
そのほか、イメージアップ大賞奨励賞として、国民宿舎「鵜の岬」、「木内酒造合資会社」、「野村花火工業株式会社」、それから、「いばらき市(いち)」、この4つを選ばせていただきました。「鵜の岬」については、ご承知のとおり、宿泊利用率20年連続日本一を維持しているところであります。
「木内酒造合資会社」については、地元素材を使った新鮮な料理の提供やイベントの実施など、自分のところで酒や地ビールをつくるだけではなくて、大変活動の幅を広げて、地域づくりという点でいろいろ貢献をしてくれているのではないかと思っております。
それから、「野村花火工業」、これもご承知のとおりでございまして、内閣総理大臣賞ができて、大曲と土浦で全部で20回、賞が出ていますが、その総理大臣賞の半分をこの野村花火工業が取っているところでございます。
それから、「いばらき市」につきましては、宍戸ヒルズカントリークラブがオープンするに当たって、地元と東京との連携をとれないだろうかという話を持ちかけたところ、森ビルが、六本木ヒルズで朝市を開いてはどうかということで実施に至ったものでございます。朝市に並ぶ野菜は、茨城の農家から採れたての新鮮野菜を直送しておりまして、今年の9月からは赤坂アークヒルズでも開催をしているところでございます。
これらにつきましては、まだ正式に日にちがはっきり決まっておりませんが、来年の2月に表彰式を予定しているところでございます。
毎日(幹事社):では、幹事社から3点ほどお伺いしたいのですが、今週の月曜日と火曜日に原子力総合防災訓練が国と合同で行われましたが、それについての所感といいますか、初めての住民によるマイカー避難を行ったわけなのですが、ちょっと渋滞したりとか、課題もあったと思うのですが、どの辺が課題だったかということと、今後、それをどのように活かされていくのかということも含めてお願いしたいと思うのですが。
知事:原子力総合防災訓練につきましては、私は、前々から自家用車避難というものをぜひやってみるべきであるということを申し上げてきたところであります。今年はたまたま国と一緒の訓練ということで注目が集まりましたが、もう既に自家用車による避難は何回か実施をしております。そういった点で、私どもとしては、それがだんだん全国に広がっていけばすばらしいと思っているところであります。
なぜ自家用車による避難というものを考えているかと申しますと、被災地周辺に住んでいる何万人という人を運ぶためのバスの手配がそう簡単にはできないだろうし,ましてや、夜などに事故が起きた場合には、運転手さんが起こされて、車庫に駆けつけて、それから現場まで行くということを考えた場合には、その間、少なくても1時間以上はかかってしまう。それであれば、その間に、自分のところにある自家用車を使って、周りの人と助け合いながら避難すればいいのではないか、それが最も現実的だという発想のもとに訓練を行っているところであります。
今回は,道路の交通規制の関係から避難路を国道245号一本に絞った結果,若干交通混雑が発生いたしましたが、現実の問題になれば西側にほとんどの人が逃げるだろうし、北側や南側にもある程度の人は逃げるだろうということで、避難ルートが今回の何倍にもなってまいりますので、交通規制を十分にすればスムーズな避難ができるのではないかと思っております。
今回の訓練については、住民の方々に、「自家用車避難」ということを知っていただく。それとあわせて、交通規制をどうすればいいかといったことについて、少しでも事前に慣れておくという面でも大きな意味があったのではないかと思っているところであります。
毎日(幹事社):それと、いつも聞いているのですが、先日、HISさんのゴールデンウイークのチャーター便が発表されたばかりなのですが、現時点で今後の見通しなりがもしあれば教えていただきたいのですが。
知事:海外の多くの航空会社から現地を見たいという意見をいただいているところでございますが、具体的に現段階で発表できるようなものはございません。とりあえず、中国の航空会社などから早急に現地を見たいというお話はいただいております。
毎日(幹事社):わかりました。本日の会見が本年最後ということですので、今年1年を振り返った所感というのと、来年の県政運営に向けた抱負をいただければと思います。
知事:今年は、ある意味、本当に大変な年であったと思います。昨年から続いている大変な景気の低迷、雇用の悪化、それが一部持ち直しの兆しが見えてきたと言われているものの、現実には消費に火がつかない。そのために設備投資も本格的に回復しない。さまざまな厳しい状況、現実が突きつけられております。
国の補正予算に加え、県もそれに対応した施策などをやらせていただきました。しかし、なかなか現実には景気の回復というものを実感できなかったのではないかと思いますし、特に離職者がかなり多くなっていること、あるいは、新卒者の内定率が極めて低いこと等々、年末を迎えて厳しい状況に置かれている方々が多いことについては、私どもも精いっぱい対応していかなければいけないと思っているところでございます。
また、それとあわせて、新型インフルエンザもだいぶ流行いたしまして、これも初めてのことということもあって、国民、県民の皆さんに大変不安を呼び起こしたのではないかと思っております。かなり慣れてきたところではありますが、これからも、うがいや手洗いの励行等々、新型インフルエンザにかかる機会を少しでも減らすことができるように皆さんで心がけていただきたいと思っております。
一方で、政権交代という大変な変化もございました。幸い、私は5期目ということで続けさせていただいておりますが、国のほうの政治のありようというものが変わってまいりましたので、これにどう対応していくか。地域主権ということで、大変重要な政策として地方を大事にすることが打ち出されているわけでありますが、現実を見るとなかなかそうもいっていない。これから地方自治体が力を合わせて国に対してもっと地方のことを考えてほしいということを強く働きかけていく必要があるのだろうと考えております。
来年についてですが、何よりも先ほど申し上げました景気の回復、雇用の安定のためになお一層頑張らなければいけない年だと思っております。
また、それとあわせて、先ほどもお話がございましたが、茨城空港も開港しますので、当面は厳しい状況は続くと思いますが、成功に向けて精いっぱい頑張っていきたいと思っております。また、昨日発表されました政府の来年度予算についての基本的な考え方などを見ますと、地方にとってまだまだ厳しい状況が続くと思われますので、私ども、行財政改革をしっかりと行って、少しでも財政がいい方向に行けるように頑張っていかなければいけないという思いを強くしております。
読売:茨城空港についてなのですが、開港時、定期便という形に限って言いますと、今の段階で、アシアナ航空以外に、まだ入る可能性というのはあるのでしょうか。
知事:開港時までには極めて厳しいと思います。
読売:現実問題としては、定期便に関してはアシアナ航空だけでの開港になる可能性が非常に高いということですか。
知事:非常に高いと思います。
読売:今年度の県税収入の見込みというのはそろそろ出ましたでしょうか。
知事:いろいろと見直しを行ってきたところでありますが、実質的な県税収入の減は約350億円程度になるのではないかと見込まれます。
読売:県財政、県政運営に与える影響というのはどうお考えになっておりますでしょうか。
知事:今年度に限って申し上げれば、減収補てん債という形で起債で対応していくことになりますが、今後、毎年毎年、税収が下がっていくということになると、これはとんでもないことになると思います。何とか一日も早く景気が回復するように我々も一生懸命頑張りますが、国としても、積極的な経済対策を講じていただきたいと思っています。
読売:政府予算、今、まとめている最中だと思うのですが、子ども手当に関しては地方負担が言われておったり、地方交付税については増額というような話もあるのですが、その辺、知事の所感はいかがでしょうか。
知事:地方交付税については増額と言われておりますが、地方税の減収見込みが3兆7,000億円と言われております。今回、臨時財政対策債などと交付税の増を含めて、合わせて3兆6,000億円ぐらいの手当てと言われておるところでございますので、まだその詳細はわかりませんが、果たして一般財源総額として地方にとって増えているのかどうか、そこがまだはっきりしない状況にあります。我々としては、来年度の財政運営が大変厳しくなることを心配しているところです。
それから、子ども手当に関しては、民主党では全額国費でということを言っておられたわけですが、今回、報道されたような結果になるということは極めて残念であります。児童手当を一部残して、それに上積みするという、ある意味、姑息な手段をとったわけでありますが、子ども手当として、どうせだったらすっきりスタートさせて、わかりやすくしたほうがいいのではないかなと思っております。
また、昨日の発表などを見ておりますと、各県知事も言っておりますが、協議の内容が我々地方に関係していることであるにもかかわらず全く伝わってこない。以前は地方側の意見を伝える場があったものの、今日は最終決定に近くなればなるほど、そういう機会がなくなってくる。こういったことについては、今後、十分に考えていただければと思います。
茨城:W杯サッカーなのですが、茨城が手を挙げるかどうかということなのですが、1月8日に申請の期限が迫っているのですが、先日、県サッカー協会から開催地としての立候補の要望が出ていると思うのですが、その辺について、知事のお考えはもうそろそろまとまったでしょうか。
知事:この間、サッカー協会の方々や地元の市の方々が来られたときにも、経費の問題、あるいはまた、盛り上がりといったことについて、ある程度納得できる形にならないとなかなか手を挙げにくいのではないかということを申し上げたところであります。例えば、私どもが地元市のほうにワールドカップに手を挙げることについてどうかという話をしても、熱烈にどうしてもやってほしいという感じではなくて、県がやるのだったら協力するというような感じの市が非常に多かったのです。だから、地元がそういうことだったら、私はどうかなという感じがしたのですが、その後、地元市のほうでもだんだん盛り上がってきているのかどうか、その辺についてもしっかり確認していかなければいけません。それから、署名集めも県サッカー協会の木内副会長を中心に積極的に始めたようでありますが、それがどのぐらい集まってくるのか。さっぱり集まらないで、そんなお金は使わないほうがいいのではないかというような結果になるのか、あるいは、この前のW杯と比べればはるかに経費も少なくて済むのだから、ぜひ茨城、日本が元気になるためにもやったらどうかという声になるのか、その辺を見ていきたいと思います。
茨城:そうすると、1月8日までもう期限がないわけですが、その時点では手を挙げないという可能性のほうが高いということでよろしいのでしょうか。
知事:いや、それはまだ、県サッカー協会があれだけ頑張っていますから、木内副会長などの頑張りの様子を見ていきたいと思います。
茨城:ぎりぎりまで待って判断したいということでしょうか。
知事:はい。
読売:茨城空港の話に戻るのですが、県としては、これまで就航交渉でLCCなども働きかけてきたと思うのですが、なかなか開港時までにその辺の見通しがつかなかった要因というのはどの辺におありだと考えていますでしょうか。
知事:一つには、まだまだ知名度が十分でないということもあるのだろうと思います。
それから、特に国内便については、羽田の発着枠の決定がなかなか進まなかったということも大きく影響しているのかなと思います。
読売:県の基本戦略としては、LCCに働きかけるということは今後もやっていかれるのでしょうけれども、その辺、見通し的にいかがでしょうか。
知事:LCCは今、ヨーロッパで35%、それに対してアジアではまだ16%でありますから、私は、LCCに対する需要というものは、アジアではこれから爆発的に増えてくるのではないかと思っております。
いつも申し上げていますが、特に、中国やその他の国の生活レベルのアップが著しいわけでありますので、彼らは間違いなく海外旅行に関心を持ち、興味を高めていくものと思いますので、その場合に、日本は大変重要な受け皿になってまいります。
そのときに、果たして成田、羽田だけで受け入れられるのかどうか。そういうことを考えると、少し名前が知られてくれば、茨城空港を使ってくれる航空会社はだいぶ出てくるのではないかと期待しています。
読売:前原大臣は、関空について、格安航空の拠点にすればいいのではないかというようなことをおっしゃったと思うのですが、その辺、茨城空港が競合するかなという気もするのですが、影響はいかがでしょうか。
知事:今、正直なところ、日本で航空需要が旺盛なのは首都圏と福岡圏ぐらいしかないのです。そういう意味では、例えば、関空にLCCの拠点を持っていったとしても、そこから東京へ来るまでに何万円かかかってしまうわけです。そして、時間も茨城空港と比べれば大変長くかかるわけでありますので、そういった点で、首都圏のお客さんを受け入れる競争相手になるとは考えておりません。
日テレ:最後に、原子力総合防災訓練で、この10年、私も茨城県や東海村と実効性の向上を一緒に取り組んできた専門家の一人として、感想等をちょっと述べたいのですが。知事もおっしゃられましたが、自家用車による訓練を含めて、特に災害弱者、自主防災組織を活用して一緒に自主避難をしてもらったということ、これはほかの県ではやりたくてもやれなかったことをやったということが一番大きなポイントで、大変よかったと思います。例えば、現場の人たちを含めて準備がかかりましたが、僕は大変敬意を表したいと思います。
その中で、ぜひこの機会に知っていただきたいのですが、茨城県は、今年の2月の防災会議で、地域防災計画にリスク評価の考え方を導入しました。これが、チェルノブイリ事故クラスの潜在リスクに対してどう対応するかということが国際基準になっていて、その中で3キロメートルから5キロメートルポイントが潜在的被害を減らせるか減らせないかのポイントの場所なのです。その5キロメートルの外に避難させるということが大事なのだと思います。
それから、短時間で、数時間で放射能を放射するというシナリオも対処するということが国際基準の流れになっているのです。そうすると、今回の30分程度の渋滞というのは何ら問題にならないのです。いわば5キロメートルの外に避難させることが重症化するような健康被害を減らせるわけです。
ということで、例えば、2000年の有珠山の噴火ですが、あれは1万5,000人から1万6,000人ぐらいが対象人口で,避難路は国道1本なのですが,噴火から7時間、避難指示から2時間半で1万人近い人たちが渋滞になっても避難完了できているのです。
そういうことで、ぜひこれからはリスク評価の考え方で検証して物事を考えると,5キロメートルの外にあらゆる方法で避難させるということが大事だということです。多少渋滞があっても全然問題ないということを理解して、評価をしていただければいいと思うのです。
そういう意味では、今回の渋滞をするということは、逆に渋滞をさせる訓練が大事なことで、僕は何の問題もないと思います。これは正しい評価です。それを理解して、逆に広めていかなければいけない。これをぜひともお願いしたいと思います。
知事:私は、常陸那珂港区にある東電の体育館に避難していた方々にも申し上げたのですが、訓練中は交通規制により、一般交通にあまり迷惑をかけすぎると大変だということで、平行ルートが他にある路線だけに限定して交通規制を行い,避難路として使ったものですから渋滞が発生しました。しかし,全方向に行けるようになれば、東海村の場合には避難経路は十分に確保されていると学識経験者の方も言ってくれていますので、私どもとしては、バスが来るまで待っていて、しかもそこへみんなが集まって一緒に避難するというよりは、自家用車を使った避難のほうが現実的な方法だと思っております。
リスク評価という意味で、5キロメートルまでということであれば、多分、ほとんどそんなに混乱しないで行けるのではないかと思っています。