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更新日:2015年3月23日
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この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成21年10月28日(水曜日)
11時18分~12時01分 会見室
茨城A(幹事社):幹事社の茨城新聞です。まず、八ッ場ダムの件から質問いたします。
昨日、前原大臣と関係6都県の知事との会談が前橋で行われたと聞いています。
前原大臣からは、八ッ場ダムについても再検証する、あるいは代替案を検討するというお話があったかと聞いております。これまでの中止一辺倒の発言からすると、方針転換、あるいは、方針が少し変わったのかというふうに評価に値すべきものなのかどうかというのはちょっとわかりかねてはいるのですが、一方で、マニフェストに掲げた中止は明言をしておりますし、平行線をたどったという雰囲気もありますが、県民も非常に関心の高い話ですので、きのうのやりとりなどのご報告と、前原大臣のスタンスについての知事の評価、それと、今後、この問題は、階段は1つ進みましたが、それで終わったともとても思えませんので、これからどうやっていくのか、この件につきましてぜひお願いします。
知事:昨日は、去る19日に私どもでいろいろ議論したことと同じようなことですが、治水、利水の重要性について、各知事から、これまでの災害の事例、渇水の事例などを中心に説明がありました。そして、今後、さらなる地球温暖化の影響などで、特にゲリラ豪雨や渇水などは、今まで以上に発生が予想される。それも踏まえた上でどう考えておられるのか、「はじめに中止ありき」というやり方は非常におかしいのではないか、そういった意見が知事会のほうから出されたわけであります。
それに対して、前原大臣は、閣議後の記者との会見の中で、専門家チームをつくって再検証していきたいということを既に言ってこられた後でしたので、私どももその情報はつかんでいましたから、それを基本にいろいろな議論が行われたところであります。
そして、例えば、石原知事からも、「中止の中止というのはないのか」という質問がまず最初に出たのですが、はっきりした答えはありませんでした。昨日の感じでは、「マニフェストに書かれていることを守るということが基本である」ということを前原大臣としては強く意識しておられるのではないかという感じを持ちました。
ただ、私の意見としては、民主党は、確かに先般の衆議院選挙で大勝したけれども、それは政策全体として、相手方のいろいろな党の政策よりも民主党の政策のほうがいいだろうという有権者の判断の結果であって、個別の政策については、それぞれに意見を聞きながら検討していく姿勢が大事ではないかということを申し上げました。
大臣は大変真面目な方でありますので、それぞれの知事の意見をメモをとりながら聞いておられましたが、基本的な方向としては、私どもが受けた感じは、これまでとあまり変わっていないのではないかというところです。
また、先ほど申し上げましたように、「中止の中止ということはないのか」とか、あるいは、「再検証と言っているけれども、果たして一回でも検証したことがあるのか」というような意見も雑談の中では出ていたところでありまして、いずれにしても、私どもとしては、早くから治水面、利水面で、これだけ重要だということを言ってきた。それに対して、いきなりやめるということではなくて、どういう考え方のもとにやめるのか、あるいは、代替案というものがあるのかどうか、あればそれを示してほしいということを申し上げたところであります。
また、関東知事会の中では、八ッ場ダム関係については、政府に対する提案要望事項の中で、いろいろ代替案の提示を含めて、しっかりした説明をするよう要望を行うこととしております。
茨城A(幹事社)茨城空港についてなのですが、この1カ月の間で、開港日が、まず3月の11日ごろに大筋まとまりそうだという話が出てきました。アシアナ航空も、それを受けた形で運航とスケジュールについても発表がありました。
一方で、県議会のやりとりの中で、ターミナルの運営について、アシアナ就航1社の場合には、最大で1億円程度の赤字が見込まれるというお話もありまして、今、具体的なお話が県民のほうにも徐々に伝わりつつあるということかと思います
開港まであと4カ月少しになった段階で、県民も非常にこの開港を楽しみにしている方も多いかと思うのですが、もしかしたら、このまま開港を1路線で迎えてしまうのではないかというふうな心配もやはり持っている方も多いかと思います。この時期で就航の見通しなのですが、だんだんスケジュールも詰まってきておりますので、このままいくと、1路線の開港になってしまうのではないかという心配があることについて、就航対策の見通しについてもお話しいただければと思います。
知事:我々は、国内線、国際線、両路線をにらみながら、現在もいろいろなところと交渉を続けております。しかし、残念ながら、今の状況では、先般発表された茨城-仁川間のフライトと何カ月か後に茨城-釜山間に就航してもらえるということ以外に発表できる状況にはございません。大変厳しい状況だと受け止めております。
ただ、羽田の発着枠の増加が来年10月ということもありますので、そちらのほうが落ち着いてくれば、国内線についても可能性は出てくるのかなと期待をしておりますし、あるいはまた、この間出された(財)運輸政策研究機構の提言でも、2030年には年間約100万回の発着枠が必要になってくるだろうという話もありまして、それに対応するには、茨城空港もきちんと活用していかなくてはいけないというような内容も盛り込まれているところでございます。
私どもとしては、特に、これからLCC(ローコストキャリア)のウエートがかなり増えてくると考えておりますが、国内である程度LCC対応ができるのは茨城空港しかないわけであります。そういった点でも、茨城空港の持つ意味は十分に理解をしてもらえるのではないかと思っております。
それから、昨日も関東知事会の中でも話していたのですが、ビジネスジェットというか、プライベートジェットというか、この部分を見ると、日本は弱すぎるのではないか。そういうことも含めて考えていくべきではないかというような話を雑談の中でしておられる知事もおりました。私もそれは前々から主張してきているところでありまして、これから、航空行政、特に首都圏の航空行政をどうするのかということは、成田、羽田の関係を含め、大変重要になってくるのではないかと思っております。最近、オープンスカイ構想というものも出されているようでございますが、そういうものが出てきたときに、日本の空は日本の航空会社以外の勢力に「乗っ取られる」と言うと語弊があるかもしれませんが、シェアを奪われてしまうのではないかという心配もなされているところであります。私どもとしては、国として、これからどういう航空行政を進めていくのか、どういう日本の空の体制がいいと考えているのかということについてしっかり示していただくとともに、その一環として、国策としての茨城空港があるわけでありますから、活用策についても十分にいろいろな方面への働きかけを行っていただきたいと思っております。
茨城A(幹事社)知事は、茨城空港、数年後についてはかなりの自信を持たれているというふうに以前から聞いてはおりますが、3月開港時は、現時点ではアシアナ1社でやむを得ないかなと、そういったご認識ですか。
知事:やむを得ないということではありませんが、ただ、知名度、名前を知ってもらうにはある程度の時間がかかる。つい先だっても、茨城空港の存在を初めて知ったということで、かなりの好感を示して接触してこられた航空会社もございます。そういった形で知られていけば、茨城空港に就航したいというところもだんだん増えてくるのではないかと思っております。
茨城A(幹事社):この10月に開かれた議会で、県の出先機関の不適正な経理、1億7,000万円、6年間でという話がありました。私的流用がなかったとは聞いてはいるのですが、県の算定で5,000万円余の損害金が発生しているということで、やはり大きな問題かと思ってはおります。先日の報告書の中にも、特別職を含めて責任を明らかにするという話もありました。一年余の調査で、知事も、こういった事例があったということについては、多分、驚きを持って受け止めているかとは思うのですが、この問題について、知事の責任はどのようにとるつもりなのでしょうか。
知事:会計検査院の検査結果が近々発表になると思いますので、そういったことを踏まえた上で、私ども特別職を含めてどういう形で責任をとるか、あるいは、これからの再発防止策を講じていくかということについてはしっかりまとめていきたいと思っております。私ももちろん責任はとらせていただきます。
茨城A(幹事社):責任のとり方というのは、どういった形があるのでしょうか。
知事:給与をカットするというような形になると思います。
茨城A(幹事社):今朝付の新聞で各社が報道しておりますところによりますと、東海村でこの秋に行われる予定でした国との原子力総合防災訓練なのですが、国の政権交代の影響もあってということで、まだ日程が確定していないという状況にあると聞いております。今年はJCO事故10年の節目でもありますし、本県にとっては意味合いが多少違う訓練になるかとは思っております。まだスケジュールが決まっていない段階で、本県の県議会も、11月の下旬から次の12月議会が始まるということで、日程が非常にタイトになっております。年内開催も危ぶまれるような雰囲気もあるのですが、官邸との調整はどのようになっているでしょうか。
知事:我々が官邸と直接調整するわけにいかないものですから、原子力安全・保安院のほうと接触を持たせてもらっています。その中で案はいろいろ出てきてはいたのですが、臨時国会の開会、あるいはまた、オバマ大統領の来日、そういったことも出てきており、今のところ、まだ訓練日時の決定には至っておりません。私どもとしても、関係先との調整、会場の確保や自動車避難などに参加される方々への連絡など、様々な手続きを踏んでいかなくてはいけませんので、早急に方向を決めてほしいと思っているのですが、総理、あるいは関係閣僚の日程の調整等もすんなりとはいっていないようでありまして、待たざるを得ない状況になっております。
ただし、できるだけ早くしてほしいということは、県からも東海村からも強く原子力安全・保安院に申し入れをしております。
朝日A:空港のターミナルビルの問題なのですが、これまで、茨城空港に関しては、維持管理費等に関しては国が負担するというふうに知事はおっしゃっていまして、今回、空港ターミナルビルの負担が明らかになったところで、新たな県民負担が生じてくる可能性も十分にあり得ると思うのですが、その辺、知事の責任とご見解をお聞かせください。
知事:私は、空港の管理運営は国がやるということと併せて、空港ターミナルビルについては、県がつくっているので、その運営で赤字が出ないように一生懸命努力していかなければいけないということは前々から言ってきております。
これからどういうふうにしていくかということでありますが、いずれにしても、地域振興ということで、せっかく空港ができ上がろうとしている。地元の長年の期待というものがやっと実現するわけでありまして、ターミナルビルがなければそれも可能になりませんので、これをやっていくことはやむを得ないのだろうと思っております。
ただ、その中でどうやって少しでも赤字を減らしていくようにするか。将来的に航空会社が何社も入ってくれればいいのですが、当面、今の状況だと赤字になることがほとんど確実ではないかと見込まれております。これについては、赤字額を少しでも減らさなくてはいけないということで、空港ビルをどういうふうに利活用していくかということのための検討チームをつくりまして、農協、商工会、地元の市や県、あるいは中に入られる出店業者の方々と一緒に振興策を検討しているところであります。今日の庁議でも、空港ビルでいろいろなイベントなどを開催できないか検討するように指示したところであります。私どもとしては、できるだけ空港ビルに賑わいを持ってくる。それによって、例えば、ビルに出店予定のレストランなどのお客さんが増えるようにしていかなければいけないのだろうと思っております。
静岡空港の例など聞いていますと、だいぶお客さんがたくさん来ているようでありますが、空港ビルの経営にいい影響を及ぼすほどにやっていけるのかどうかといったことも含めて、その検討チームに何とかいいアイデアを出してもらいたいと思っております。
朝日A:空港問題に関して言うと、誘致を含めて、国営空港ということもあって、責任の所在がなかなかわかりにくいのですが、そこら辺はどのようにお考えですか。
知事:例えば、地方管理空港は地方が責任を持つでしょうし、国営空港は国が責任を持つということだろうと思っております。今、空港ごとの収支状況もきちんと発表されるようになってきております。これまでの日本の航空行政を考えてみますと、どちらかというと、国営空港であっても、地方の空港については、利用客の増、あるいは就航路線の増ということについて、国のほうはあまりタッチしてこなかった。例えば、成田、羽田ですと、たくさんの就航希望があるわけですから、それをふるい分けする、そういう役割を国が果たしてきたわけでありますが、これからの時代は、そういうことだけではなく、より多くの国から就航路線が日本に入ってきてくれるように、もっと積極的な活動を国としてもやっていくべきではないかと思っております。
最近、関空は大変厳しい状況になってきているということで、関空については、もっと活用しなくてはいけないのではないかという動きが出てきておりますが、これから空の時代になってくるわけでありますから、私は、せっかく造った空港の活用については、ぜひ国として積極的に取り組んでほしいと思っております。
朝日A:知事が前原大臣に直接陳情されるようなことはお考えでしょうか。
知事:機会があればということでありますが、今、前原大臣もだいぶお忙しいようでありますから、政務三役という形で、昨日も副大臣、あるいは政務官も加わっていましたので、そこにきちんと話せば、ある程度通じるのではないかという感じも持っております。
いずれにしても、航空局長以下とはしっかり連絡をとりながら、その後、いつ政務三役にお願いに行くかを検討したいと思っております。また、11月4日に、県選出の衆参両院議員の方々に、県政の中で国政と直接関わってくる諸問題について説明会を開催させていただきますので、その中で、茨城空港の持つ意義や現在の状況等について十分に説明をして、政務サイドからの応援をお願いしていきたいと思っております。
日本テレビ:茨城空港の関連で、羽田、成田、茨城空港は国交省が管理するわけなので、来年から成田と羽田は便数が増えるということで、知事のほうから、前原大臣に、3つの空港についての便数の役割分担、割り振り、それから、成田の場合は、濃霧で、夏が多いのですが、朝、着陸できなくて、代替空港があるわけですよね。その緊急時の代替空港の役割とかということで、定期の協議、会議で、知事のほうから何か提案をして、役割について具体的に運輸管理について提案するというお考えはありますか。
知事:定期の会議をわざわざ大臣に出席してもらってやるほどのものかどうかということは別にいたしまして、3空港の役割分担というものをきっちり決めていっていただきたいと思っております。
ただし、その場合、最優先するのは、いかにして世界の人たちを数多く日本に呼んでこられるか、首都圏に呼んでこられるかという観点が第一でありますから、それを踏まえながら、全体として、これから急激に伸びていくであろう首都圏の航空需要に対応するため、茨城空港をしっかり使ってほしいと思っております。また、例えば、採算面ではそれ程大きなメリットはないかもしれませんが、プライベートジェット、ビジネスジェットを受け入れられないということは、ある意味でビジネスチャンスをどんどんなくしているということでありまして、これは他の国と比べると日本がうまくいっていない分野でありますので、そういったことも踏まえて考えてもらうことが必要なのだろうと思っております。
日本テレビ:運営は別として、具体的プランをつくって、前原大臣に提案するというか、提示するというお考えはありますか。
知事:具体的なプランというのはどういうことですか。
日本テレビ:航空会社の相手があるのですが、今言ったビジネスジェット機を含め、具体的に航空会社も挙げて、茨城空港ではここまで受け入れることは可能だよということで、そのように取り組むことで、具体的プランを前原大臣に上げて、検討の材料にしてほしいと、具体的検討材料にしてほしいというのも一つのやり方かと思うのですが。
知事:成田、羽田をどうするかということについては、県がいろいろと口を出す立場にはありませんが、受け入れられない部分をきちんと回すということについては、例えば、国の関与があれば交渉のやり方は随分違ってくるのです。そういう点で、もう少し積極的に国が関与できないのかということはぜひお願いしたいと思っています。
日刊工業:先日、技能五輪いばらき大会が終了しました。茨城県は金メダル5個を取りましたが、その結果を踏まえて、どういうふうにお考えかと、あと、茨城で技能五輪の大会を開いた意義というか、成果というのはどういう点にあるとお考えですか。
知事:(本県選手の成績は、)金賞、銀賞、銅賞、敢闘賞を合わせた数がこれまでで一番多くなったということですので、県内の若い方たちがこの大会を目指して頑張ってくれたということは大変大きな意義があったと思っております。
また、大会には、小中学生も含め10万6,000人もの来場者があったところでありまして、そういった方たちが、技能、技術というものはすごいものだなということについて認識を深めていただければ、将来の日本の発展のためにも大きな役割を果たすことができたのではないかと思っております。
これからどうするかでありますが、この結果を踏まえて、一過性のものでなく、これからも若い人たちがこういうことに、より関心を持っていただけるようにしていきたいと思っております。具体的に言えば、例えば、来年度もたくさんの選手を派遣するということも大変重要になってくるだろうと思います。
今回の大会を見ておりますと、全体として、圧倒的に愛知県が強いのです。愛知県が本当に強い。石の加工を行う石工という職種については、(3年もの長期間しっかりとした訓練を行う)学校が愛知県にしかないそうで、出場者は全部愛知県の人なのです。茨城県でも稲田の石をはじめとしてこれだけ石材産業が盛んなのですが、なかなかこの大会に出られるまでにならない。若い人がいないためなのですが、こういったことについては若干残念に感じました。これからは、そういう面も含めて、全体的な技能の底上げについて、県も一緒になって頑張っていかなければいけないと思っております。
日経:空港について、1件確認というか、お聞きしたいのですが、先ほど、知事は、羽田の来年10月の増枠が落ち着いたら国内線が見えてくるとおっしゃったのですが、逆に言うと、来年3月はもちろん、来年いっぱいで見ても、国内線の就航というのは難しいというご認識ということなのでしょうか。
知事:枠の配分はもっと早く行われますから、来年10月まで何も決まらないというわけではありません。
また、その枠と関係ない動きもありますから、国内も含めて現在も交渉をやっているところはございます。
日経:そうすると、今現在の認識としては、来年3月開港時に国内線が就航することもあり得るという認識ですか。
知事:極めて少ない可能性ですが、ないことはないです。
共同:県の事業で、市町村の負担金について廃止を検討しているということでしたが、これについて、いつごろを目途に実現したいとお考えでしょうか。
知事:負担金問題については、国のほうは、今、概算要求では、維持管理費関系の直轄事業負担金の要求はやめているけれども、それ以外は何ら新しい方針が出されていないのです。ですから、そこを見定めていく必要があるのだろうと思っております。我々としては、概算要求ではそうなっていても、できるだけ早く、ぜひ来年度からは直轄事業負担金本体について、維持管理費だけではなくて建設費についても廃止してほしいと思っております。
それが決まってくれば、県のほうも対応してまいります。
朝日B:不正経理の問題で、先ほど、責任をとるというお話があったのですが、その前に、結果をどのように受け止めたかという点を知事のお言葉でお伺いしたいのですが。
知事:不適正経理の問題については、本県でもこういった事態が起きてしまったことについては、誠に申し訳ないと思っております。
先ほど申し上げましたように、三役としても、しかるべく責任をとるように対応してまいりたいと思っております。
朝日B:霞ヶ浦の導水事業なのですが、八ッ場ダムについては1都5県が力を合わせてというか、前原大臣を呼べるまで至ったと思うのですが、導水事業については茨城が主体なので、それについては、今後どのように働きかけていくのかという点の見通しをちょっとお伺いしたいのですけれども。
知事:霞ヶ浦導水事業については、実は、まだ国のほうの方針が打ち出されておりません。これを見ないといけないのですが、それ以前に、例えば、先ほど申し上げた11月4日の会合などでは、導水事業の必要性、あるいはまた、もしやめるのであればどういう対応策があるのか、特に霞ヶ浦の水質浄化についてどういう対応策があるのかをきちんと国に示して欲しいということについて説明をしていきたいと思っております。
特に、霞ヶ浦は琵琶湖と違って国が管理をしております。その水を農業用水や工業用水、上水などいろいろな形で使わせてもらっているわけでありますが、あれだけ大きな湖を国として管理していく以上、流入している河川の流域に約100万人の人が住んでいる、あるいはまた、平均水深が約4メートルと大変浅いというような、いろいろな条件はありますが、ある程度のレベルまで水質を浄化していく責任は国としてもあるのだろうと思っております。
あの付近に住んでいる人が臭いを感じてしまうということになっては、とても管理者とは言えないだろうと思っておりますので、もし霞ヶ浦導水事業をやめるということであれば、霞ヶ浦について、こういう形でやっていけば、水質が浄化される、あるいは、少なくとも悪化していくことはないというものを示してもらう必要があると思っています。
IBS:関連で、八ッ場ダムのほうは結構いろいろな意見がありますが、霞ヶ浦導水のほうは、流域漁協が反対ということで、若干、八ッ場ダムとは状況が違うと思うのですが、国の判断はまだ示されてませんが、そのあたりが作用することというのは考えられますでしょうか。
知事:八ッ場ダムと霞ヶ浦導水とを考えた場合に、霞ヶ浦導水についても、渇水対策などは同じなのですが、一番違うのは、生活再建対策という意味で、八ッ場ダムは大変大規模な生活再建対策が行われている。そして、もう既に移転してしまっている人がたしか八百何十人かいたと思います。それだけの人が移転してしまって、きのうも群馬の知事が言っておりましたが、残っている方たちだけでは、地域によっては限界集落になってしまう。あるいは、温泉旅館についても20数軒あったようですが、今、7軒しか残っていないようでして、その7軒がどういう考えからここに残って生計が立てていけるという考えに至ったかというと、ダム湖ができるということが前提なのです。ダム湖ができれば、その景色を活用して、例えば、観光客が温泉に入りながら紅葉を楽しむということもできるだろうということで残っているわけですので、もしダム湖ができなくなれば、一つの売り物としての景観がなくなってしまうわけで、それでやっていけるのかどうかという問題も出てまいります。
そういう点で生活再建が絡んでいるかどうかということが大変大きな違いだと思っております。
常陽:地域医療再生基金事業の件なのですが、100億円事業が減額している問題なのですが、知事の公約でも、医師確保対策の優先順位が高かったと思うのですが、来年以降、どうなるのでしょうか。
知事:今、一律25億円事業にするということで、2つのプロジェクトの申請準備をしております。100億円から25億円に減ってしまったので、事業の規模は大分縮小しなければなりませんが、何とか地域医療再生基金を使って、少しでも本県の医療事情がよくなるように頑張っていきたいと思っております。
常陽:もう一つ、茨城空港のターミナルビルなのですが、先日、赤字になる見通しだということを初めて公表されたのですが、これに対する責任というのはどういうふうにお考えですか。
知事:私としては、最初の年から完全に黒字にならないからだめだとは言い切れないと思いますし、こういう新しい空港の場合には、数年間は厳しい状況が続くということは当然考えているわけでして、それを前提にしながらも、茨城空港をきちんと地域振興に役立てていきたい。そのために今まで誘致活動を続け、建設してもらったわけですから、今はその活用を図ることに全力を尽くしていくべきではないかと思っております。
例えば、ドイツのハーン空港というのが、フランクフルトから120キロメートル離れたところにあります。ここは、1999年にライアンエアーが就航を始めたのですが、最初の年は利用客はたかだか14万人でしたが、2007年には430万人と、急激に伸びてきております。はじめは低空飛行を続けていて、名前が知られてきた段階でぐっと利用客数が伸びるというのがLCCなどのパターンでありまして、この間も、ある著名な航空関係の学者の方と話をしたときに、私が「茨城空港も1年、2年はしんどいけれども、4~5年のタームで見ていきますよ」という話をしたら、「ああ、それなら大変有望ですね」という話をその先生がしてくれました。
我々としては、そういう方たちの知恵も借りながら、どうやればテイクオフできるような空港になってくれるのかということを一生懸命考えながら、頑張ってまいりたいと思っております。
茨城B:新型インフルエンザ対策なのですが、一つは、学校なのですが、市町村によって、教育委員会の対応が休校や何かで分かれているというのがあるそうなのですが、それについてどう受け止めていらっしゃるのか。
もう一つは、新型インフルエンザの接種が今月から始まりますが、本県の場合は、東京都などと比べても、初日から始められていたりして、比較的うまくいっているのかなと思うのですが、ワクチンの絶対量が少ない中で、今、初日から始められていることについてどう受け止められているのか、2点、お伺いします。
知事:(接種を)早くから始めたということで、テレビなどでも報道されまして、そういった点では関係者が頑張ってくれていることに感謝をしているところであります。
また、11月2日からは、妊婦の方、基礎疾患を有する方など約2万6、800回分を接種していきますし、また、11月中旬には、国から約8万1,200回分のワクチンが供給される予定です。これらを活用して、医療機関や市町村の協力をいただきながら、できるだけ速やかに円滑なワクチン接種を進めていきたいと思っております。
それから、市町村によって、学級閉鎖、学校閉鎖などの基準が違っているではないかということだと思いますが、教育委員会としては、万が一ということも考えて、「欠席者が同一集団内で2人以上になった場合」という判断の目安を示しているようでありますので、私どもとしては、当面、教育委員会の方針を尊重していきたいと思っております。ただ、患者がこれからどんどん増えていったときに、それで本当に対応できるのか。今のままでは、学級で2人ぐらいという状況はずっと続く可能性がありますから、1カ月休校になってしまった場合どうするのかということも含めて検討していく必要があるだろうと思っています。
毎日:すごく感覚的な質問で恐縮なのですが、一般的に、今、地方空港が、福島とか静岡とか、余りうまくいっていないという報道もなされていると思うのですが、そういうのを聞いて、茨城に住んでいる人間として、不安になったりとかはされないですか。
知事:例えば、静岡空港では、JALの就航路線の廃止ということがいわれていますが、搭乗率が高い路線も結構あるのです。それでも廃止するというのは、より儲かる路線に機体を回したいというようなことでJALはいろいろ就航路線の再編を行っているようです。
私どもとして、今の状況の中で、国内路線をどうするかということもありますが、今、メインに据えていますのは、首都圏第三空港ということで、ほかの空港とはちょっと役割が違うということです。この間、アシアナ空港の専務さんも多分そういう話をされたのではないかと思いますが、私どもとしては一般の地方空港として、その周辺の利用客だけを相手にするということではありません。例えば、LCCを首都圏としてどこで受け入れるのかということになると、成田、羽田ではなかなか難しい。そういうことも踏まえた上で、これからの世界の潮流の中で間違いなく伸びていくLCCを受けられる体制を国として整備していくべきではないかと思います。そうなると、茨城空港はほかの地域とまるっきり役割が違ってくると思いますので、ほかの地域が今のような厳しい状況にあるから、茨城空港もそれと同じようになるのではないかという心配はしておりません。
毎日:ほかの空港とは違いますか。
知事:ほかとは違うと思います。例えば、先ほど申し上げた、羽生さんという方がやっている委員会の提言書が出ているのですが、「首都圏空港の将来像」というもので、(財)運輸政策研究機構というところがやっております。ここには、メンバーとして相当な権威者が入っております。例えば、東大の経済学部長の伊藤元重さん、あるいはまた、慶應大学の商学部教授の中条さん。そういった方たちなど錚々たるメンバーが入っている委員会の中でも、国内線はどちらかというと減っていくだろうけれども、国際線はものすごい勢いで増えていく。それに対応するためには、「成田、羽田空港の運航や管制方式の改良、羽田空港の滑走路の延伸・新設等、茨城空港の開港、横田基地の活用をあわせると、現在の53万回/年程度から、およそ倍増の100万回/年程度まで容量を拡大することが可能であり、これらの施策を積極的に講じるべきである」と書いてあるのです。
そういう点で、この提言の内容は、かなり有力な方々、しっかりした考えを持っておられる方々が、4つの小委員会をつくって検討を重ねてきたものであり、その中でこういう位置づけをしてくれているということですから、先ほどお話にあったような地方空港とは明らかに違ってくるのだろうと思っています。
日本テレビ:その関連で、もう古い話ですが、成田がありますし、羽田だとか、つまり、空港管制とか、横田の問題があるので、こちらはもともと使用していますが、国として交渉して、羽田で一括管制をして、成田と茨城空港と、つまり、運用できちんと管理ができるというところで、そこのところも含めて具体的に提案をして、国際線の部分で、割り振り、役割も国交省によって、首都圏第三空港という部分ではもう少し具体的に現実味も帯びてくるのではないかと思いますが、その辺の提案はお考えではないですか。
知事:運用はどうするかということは相談しようと思いますが、管制は、例えば、百里飛行場の場合、スクランブルなど非常事態にいきなり出ていくわけでありますから、これは民間と一括管制というのは無理だと思います。それから、先程の中条先生なども、経営を民間にまかせれば儲かるというようなことをテレビなどで発言されていますが、あくまで百里基地の空港でありますから、これも民間を使うわけにはいかないですね。スクランブルをする時に、民間にいちいち言って、それから発進などというわけにいきませんから、そういう面での難しさというのはあると思います。
ただし、路線をどういうふうに割り振るかということについては、3空港をトータルにとらえた中でやっていくことは十分に可能だと思っています。
日本テレビ:管制は羽田が管理して、所沢で百里、横田と調整は可能ですから、さらにそこのところは運用の部分なので、一括管制というか、そういう管制の道筋が見えてくればもう少し現実味を帯びるのではないかと思いますが。
知事:ただ、横田と百里を一括管理というのはどうでしょうかね。
日本テレビ:調整をするのです。所沢が調整をする。
知事:だから、調整していても、いざとなって、スクランブルやその他のことを考えると、その調整どおりに進まないことがいくらでも出てくると思います。それは横田のほうも同じだと思います。
日本テレビ:緊急時の対応と同じなので、そこのところは調整部分なのですから、基本的に羽田の管理です。
知事:ただ、基地を民間が一括管制しているという例は多分ないと思うのです。そこは極めて難しいと思います。
日本テレビ:それは提案です。