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更新日:2026年1月26日

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理化学検査に使用する分析機器のご紹介

当所では、食品・医薬品等の検体に含まれる種々の化学物質を、様々な分析機器を用いて検査する理化学検査を実施しています。

検体をそのまま測定できる分析機器もありますが、大半の分析では検体から目的の化学物質を抽出・精製あるいは化学反応により変化させる操作(前処理)を行い、目的の化学物質を分析しやすい状態にします。その上で、目的の化学物質の種類や濃度、分析を妨害する夾雑(きょうざつ)成分(マトリックス)の有無等の条件により適する分析機器が異なるため、様々な機器を使い分けて検査結果を得ています。今回は、食品や医薬品の検査でよく使用する分析機器として、液体クロマトグラフ2種類をご紹介します。

今回ご紹介する分析機器の検体と検査項目

分析機器 検体/検査項目 関連ページ

 

高速液体クロマトグラフ
(HPLC)

HPLC写真

 

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⇒酸化防止剤(TBHQ)
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ワイン、加工食品等
⇒保存料(ソルビン酸)
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医薬品
⇒有効成分の濃度

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液体クロマトグラフ-質量分析計
(LC-MS/MS)

LC-MS/MS写真

 

農産物等
⇒残留農薬(比較的揮発しにくいもの)
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毒キノコ、有毒植物等
⇒自然毒成分
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⇒ダイエット系・強壮系の医薬品成分
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液体クロマトグラフィー

クロマトグラフィーとは

水ににじんだ印刷例えば三色カラープリンターは、色の三原色に当たるシアン、マゼンタ、イエローの3色を混合して黒色(濃い灰色)を印刷します。

右の写真は、紙に印刷した黒色の長方形に水をかけた様子です。このように、印刷物が水に濡れてにじんでしまい、それらのインクが分かれているのを見たことはないでしょうか。

紙が濡れて水がしみ込んで広がっていく際に、各色のインクの性質(水に溶けやすいかや、紙に定着しやすいか)が異なるため、水に溶けやすく紙に定着しにくい色が先に流され、逆に流されにくい色があまり流されないことで、色が分かれた結果です。

下の写真は、水性インクで紙に点を描いて、そこに水を少しずつ垂らした様子です。黒色だったインクが、外側の青色インクと内側の赤色インクに分かれました。

黒色のインクに水を垂らした様子

この現象を利用して、混合物を固定相(紙)に入れ、移動相(水曜日)でゆっくり流し出して、それぞれの成分(色)を分離する手法を「クロマトグラフィー」と言います。

分析機器に応用されているクロマトグラフィーは、移動相が液体かガスかで2種類に大別されます。今回は、当所で使用している液体クロマトグラフの装置を2種類ご紹介します。

高速液体クロマトグラフ(HPLC)

HPLCとは

高速液体クロマトグラフは、「High Performance Liquid Chromatography」の頭文字からHPLCと略します。その名のとおり、移動相に液体を使用します。移動相を高圧で押し流すことで、目的成分の分離を高速で行うため、このように呼ばれています。当所の場合、試料を1本測定する時間は、15~40分程度になります。

実際の分析では、分析対象の目的成分や共存する夾雑(きょうざつ)成分に応じて、移動相(水、酸・塩溶液、アルコール等の有機溶媒)の種類や混合比と、固定相(カラムという細管)の種類を変えて、できるだけ目的成分のみを夾雑(きょうざつ)成分からきれいに分離できるようにして、精度よく分析できるようにしています。

HPLCと組み合わせる検出器

カラムを通過し、分離された目的成分は、成分の種類に適した検出器を用いて検出されます。

当所で使用しているHPLCでは、ある波長の光をどれくらい吸収するかを連続的に測定するフォトダイオードアレイ(PDA)検出器を使用することが多いです。実際に測定された結果は、横軸に保持時間(リテンションタイム(RT)とも呼ばれる)、縦軸に吸収される光の強さ(吸光度)をプロットしたグラフ(クロマトグラム)として得られます。

試料注入後、カラムによる成分の分離から検出の流れ

実際の分析では、様々な夾雑(きょうざつ)成分が混ざった試料を測定するので、たまたま保持時間がほぼ同じ成分が同時にカラムから出てきて同時に検出器に入ってくることもあります。そのため、検出器の方で目的以外の成分の影響ができるだけ小さくなるように検出器の種類や検出条件を設定し、目的成分のみを測定できるようにしています。HPLCに組み合わせる検出器には、PDA検出器のほか、蛍光検出器や後述する質量分析計等があります。

例えばPDA検出器の場合、目的成分ごとの吸収する波長の違い(可視光であれば色の違い)を見分けることができるため、赤色と青色の成分が同時に検出器に入ってきて一見紫色になっていたとしても、赤色と青色それぞれの成分を区別して測定することができます。

下の図は、実際に蛍光検出器で6成分を混合した溶液を測定したクロマトグラムの例です。不純物の成分もいくつか含まれていますが、各成分がきれいに分離されています。

蛍光検出器のクロマトグラム

横軸は保持時間(注入から検出器に到達するまでの時間)であり、成分の種類ごとに決まっているため、その位置で成分が特定できます。縦軸は蛍光の強さであり、山(ピーク)の高さや面積がその成分の濃度に比例しているため、この図から溶液中の各成分の濃度が計算できます。

高速液体クロマトグラフ 質量分析装置(LC-MS/MS)

LC-MS/MSに接続する検出器(質量分析計)

液体クロマトグラフィーによる目的成分分離後に接続する検出器の種類を、質量分析計(「Mass Spectrometer」の頭文字からMSと略します)とした組み合わせの装置をLC-MS、MSを2つ直列についないだ場合はLC-MS/MSと呼んでいます。

PDA検出器は成分が吸収する波長(色)を区別するのに対し、MSは検出器に入ってくる成分の質量に着目し、質量とイオン価数(電荷数)の比(m/zといい、イオン質量(m)÷イオン価数(z)で表します)でふるいにかけて測定するものです。

例えばイオン質量(m)=120のイオンが、イオン価数(z)=+1の場合はm/z=120、イオン価数(z)=+2の場合はm/z=60になります。検出器に入ってきた2つの成分が仮に両方同じ色で、PDA検出器では区別できない場合でも、m/zが異なっていれば質量分析計なら区別できます。

さらに、MS/MSは四重極型質量分析計といい、質量分析計のふるいを直列に2段組としたものです。2段のふるいの間に成分のm/zを変化させる仕組み(例えばイオンを分裂させてmを小さくするコリジョンセルという部屋)をはさんでおり、1段目で設定したm/zでふるいにかけた成分を、m/zを変化させた後に2段目で設定したm/zでもう一度ふるいにかけ、m/zが1段目と2段目の両方で一致するもののみを目的成分と特定して検出します。

複数の成分が同時に検出器に入ってきた場合でも、1つ目のふるいでm/zが同じであり、かつm/zの変化が同じでない限り区別できるので、夾雑(きょうざつ) 成分の影響を受けにくく、低い濃度を精密に測定できます。

MS/MS検出器の模式図

LC-MS/MSのLC部

液体クロマトグラフ部の原理や構成はHPLCと同様ですが、検出器の性能が高いことにより、注入する試料量がHPLCより少なくて済み、移動相(液体)もより少量で良くなるため、前述のHPLCよりさらに高圧・高速で移動相を流すことができ、超高速液体クロマトグラフィー「Ultra High Performance Liquid Chromatography(UHPLC)」などとも呼ばれます。当所の場合、試料を1本測定する時間は、15~20分程度になります。

LC-MS/MSの特長

HPLCより低濃度の目的成分を精密に測定できること、前述のPDA検出器に比べて夾雑(きょうざつ)成分の影響が少ないことから、ごく微量の濃度の目的成分を分析するために使用します。一方、HPLCに比べると装置が高価で、操作が複雑になります。

保持時間(RT)が同じでカラムで分離できない成分が混ざっている場合も、PDA検出器に比べてMS/MSの方が目的成分を明確に区別して分析できることが多く、食品等の夾雑(きょうざつ)成分が多い検体の分析や、目的成分が多数の場合の一斉分析に向いています。例えば当所のLC-MS/MSでの残留農薬一斉分析では、1試料の測定で農薬60成分を同時に分析しています。

まとめ 当所の液体クロマトグラフ2種類の比較

ここまでご説明した内容を表にまとめます。高低や長短等の記載は、この2台を比較した傾向を相対的に記載したものです。

今回ご紹介した分析機器の比較

分析機器

HPLC

LC-MS/MS

LC部

HPLC(高速液体クロマトグラフ)

UHPLC(超高速液体クロマトグラフ)

移動相の種類

液体

液体

移動相の圧力

高い

非常に高い

移動相の使用量

多い

少ない

1試料当たりの

分析時間

長い

(当所の使用例では15~40分程度)

短い

(当所の使用例では15~20分程度)

検出器

  • PDA(フォトダイオードアレイ)検出器
  • RF(蛍光)検出器  等
  • MS(質量分析計)
  • MS/MS(四重極型質量分析計)

検出するもの

  • 吸光度(PDAの場合)
  • 蛍光強度(RF検出器の場合)
  • 1段目でふるいにかけたm/z(MSの場合)
  • 1段目でふるいにかけた後さらに
    2段目でふるいにかけたm/z(MS/MSの場合)

夾雑(きょうざつ)成分の影響

受けやすい

受けにくい

一斉分析可能な

成分数

当所の使用例では最大6成分

当所の使用例では60成分

測定下限濃度

当所の使用例では1ミリグラム/L(1ppm)前後

当所の使用例では10μg/L(0.01ppm)前後

このページに関するお問い合わせ

保健医療部衛生研究所理化学部

〒310-0852 茨城県水戸市笠原町993-2

電話番号:029-241-6652

FAX番号:029-243-9550

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