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更新日:2017年5月15日

野生きのこ相談室(平成20年度)

各林業指導所やきのこ博士館、林業技術センターで対応した野生きのこの名前を調べる相談と県内で発生した毒きのこによる中毒の概要を紹介します。野生のきのこは、種類を調べ名前を知るのが難しい上、猛毒を持つものもあるので、食用にする場合は、慎重に選別して下さい。
 なお、名前を調べる相談の「種数」は、相談ごとの重複や名前のわからなかったものも積算しています。

平成20年度

 

1.名前を調べる相談


 (1)対応件数と種数
 件数:1,181件 種数:3,251種(うち毒きのこ342種)

 (2)相談の多い種別相談件数(食用,有毒種上位各5種)
 食用: ウラベニホテイシメジ (138件)
 ハタケシメジ  (71件)
 ヒラタケ (49件)
 ニセアブラシメジ (47件)
 ナラタケ (43件)

 有毒:クサウラベニタケ  (112件)
 ハイイロシメジ (39件)
 カキシメジ (19件)
 ニガクリタケ (18件)
 コガネホウキタケ (15件)
 
 食用きのこの相談件数は1位ウラベニホテイシメジ(138件)で,以下2位ハタケシメジ(71件),3位ヒラタケ(49件)となった。ハタケシメジとヒラタケは毎年上位にランクされている種であるが,両種とも昨年(ハタケシメジ120件,ヒラタケ143件)と比べると,相談数は大きく減少していた。昨年1位のナラタケの相談件数は約4分の1に激減し(昨年177件→今年43件),今年は第5位となった。4位に登場したニセアブラシメジ(47件)は昨年の9位より順位を上げたが,昨年の相談件数が64件であったことを考えると,他のきのこに比べて相談数の減少率が少なく,相対的に順位を上げたことがわかる。
 毒きのこでは,クサウラベニタケ(112件)が最も多く,4年連続で1位となった。2位は3年連続でハイイロシメジ(39件)となった。ハイイロシメジは,食用扱いの古い図鑑等もあるが,時に中毒をおこすことがあるので注意を要する。3位のカキシメジ(19件)やニガクリタケ(18件)も毎年相談の多い種であるが,類似の食用きのこが多いので注意してほしい。5位のコガネホウキタケ(15件)は軽い消化器系の中毒を起こすことが知られているが,地域によっては食べている人もいるので,注意する必要がある。

 

2.食中毒発生状況

(1) 平成20年4月10日,ひたちなか市在住の女性が,北茨城市花園渓谷で「オオバギボウシ」と思って採取した野草を,同日夜,ひたちなか市の飲食店で「おひたし」に調理してもらい,知りあいの男性2名とともに食べた。3名とも嘔吐等の症状を呈し,うち男性1名は血圧が60台まで低下し一時重症扱いとなった。持参された生のサンプルからバイケイソウと同定し,食用のオオバギボウシと間違えたことによる食中毒と判断した。
解説:
 バイケイソウの中毒事例は後を絶たず,茨城県でも時折発生している。バイケイソウは山地の日当たりのよい湿地に群生し,茨城県では県北地域に多くみられ,新芽が「うるい」と呼ばれる山菜のオオバギボウシによく似ている。県北地域ではオオバギボウシの方が新芽の時期が遅れるが,判断は難しいので,当ホームページの(バイケイソウに御用心)等を参考にしていただきたい。

(2)・8月3日に男性が高萩市の山林で採取したきのこを「きのこに詳しい人」から食べられるといわれ,少量試食した。試食の結果,異常を感じなかったため,その妻が8月5日に勤務先に持参した。昼食時に調理し,同僚5名(男2名,女3名)と食べたところ,4名が腹痛,下痢,嘔吐,吐き気,発汗などの症状を起こし,病院で手当を受け,うち3名が入院した。持参された生のサンプルの外部形態と胞子の形態からカオリツムタケと同定した。
解説:
 カオリツムタケは地上に株となって発生する。うす茶色~黄褐色でまんじゅう型の傘を持ち,柄は細長い。全体にせっけん臭がある。本種の毒成分は不明だが,食後すぐに消化器系の中毒を起こすことが知られている。株立ちの様子はクリタケやナラタケに似ており,地味で食べられそうにみえるため,注意を要する。

(3)・10月5日,つくば市在住の夫婦とその知人3名が加波山にハイキングに行った際に採取したきのこを持ち帰り,2家族別々に調理して食べた。夫婦は食べて1時間後に激しい嘔吐,下痢を起こして病院に入院した。知人家族3名も体調不良を起こし,病院で受診した。調理に先立ち,きのこに詳しい友人及び下山途中の飲食店の主人に聞いたところ,可食と言われたため,食べた模様。調理済みのきのこ断片の形状と胞子の形態から,クサウラベニタケと同定した。  

(4)・10月6日,ひたちなか市の家族3名が,奥さんの実家からもらったきのこを焼きうどんにして食べたところ,嘔吐や気分不良を訴え,病院に搬送された。持参された未調理のきのこ3本はいずれも食用のウラベニホテイシメジであった。家族が食したきのこ2本の残りは柄の下端のみで種名は確定できなかった。中毒の原因としては以下が考えられる。1.症状から,ウラベニホテイシメジと同属のイッポンシメジ属の有毒種(クサウラベニタケまたはイッポンシメジ)が混入した。2.古くて食に適さないウラベニホテイシメジを食した。

(5) ・10月17日,ひたちなか市在住の夫婦が東海村の山林で採取したきのこをラーメンに入れて食べたところ,嘔吐,下痢の症状を呈し,病院に入院した。持参された生のサンプルの形態と症状から,クサウラベニタケによる中毒と判断した。
解説:
 クサウラベニタケの見分け方については当ホームページの(「いっぽんしめじ」の見分け方)を参照されたい。クサウラベニタケは,きのこに詳しい人でも間違うことがあり,判断には細心の注意が必要である。

(6)・10月18日,北茨城市内の男性が,同市内の笹藪で発生していたきのこを「ムラサキシメジ」と思い採取した。きのこはその男性の家族と近隣の2家族で各々食された。喫食した6名のうち各家族1名計3名が発汗,ふるえ等の症状を起こし,うち1名は病院に入院した。持参されたサンプルの外部形態や胞子の形態及び中毒症状などから,シロヒメカヤタケやコカブイヌシメジに近縁のカヤタケ属の毒きのこ(種名は不明)と同定した。
解説:
 カヤタケ属のきのこは消化器系に加え,神経系の中毒症状をおこすものが多い。カヤタケ属のきのこの中には,名前が不明であるにもかかわらず食用とされているものもあるが,判断には細心の注意が必要である。

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