水稲-イネ紋枯病（Thanatephorus cucumeris）

発生及び被害の状況と発生条件

紋枯病菌は糸状菌の一種で,前年の被害株や畦畔などの罹病雑草に形成された菌核が越冬し,これが第一伝染源となる。紋枯病菌の菌核は代かき時に水面に浮上し,イネの株元に漂着する。気温が22℃を超え,株間湿度が高くなると,菌核から発芽した菌糸が伸長し,葉鞘内に侵入し始める。侵入した病原菌は,周辺が緑褐色～褐色で,内部が灰緑色～灰白色の楕円形病斑をつくる。
また,病斑から菌糸が伸長して,分げつ茎や隣接した稲株に伝染し,さらに,葉鞘をつたって上方に伸び,新しい病斑をつくりながらまん延する。本病にかかると下葉からしだいに枯れ上がり,稲の茎が弱くなって倒伏しやすくなる。高温,多湿,多窒素,早期・早植栽培は発病を助長する。

防除のポイント

1.水際部で初期発生がみられたら,幼穂形成期から乳熟期にかけて薬剤散布を行う。常発地では育苗箱施薬剤も有効である。
2.窒素肥料の多用を避け,過繁茂にならないようにする。
3.多発田では,代かき時に浮遊するゴミに紋枯病菌の菌核が混入しているので,畦畔沿いのゴミをすくい取る。また,冬季に畦畔の雑草を焼却する。

水稲の耕種的防除法

• 耕種的防除法

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  葉鞘部の病徴