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更新日:2015年3月23日
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この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成22年2月17日(水曜日)
14時02分~14時37分 会見室
朝日A(幹事社):まず最初に、知事から発表をお願いします。
知事:本日は、第1回定例会に提案いたします予算等がまとまりましたので、発表をさせていただきたいと思います。
詳しい内容につきましては、既に財政課から説明してあることと思いますので、基本的な考え方だけ申し上げたいと思います。
まず、景気につきましては、皆様方ご承知のとおりでございまして、(1月の)月例経済報告におきましても、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とされているところであります。
茨城県におきましてもその傾向は同じようなものがございますし、また、設備投資や住宅投資が抑制・減少傾向にあるなど、先行きが大変心配される面もございます。
さらに、雇用については、かつてない低い水準が続いているところでございまして、これが一番大きな課題だと思っております。
こういった中で、国におきましては、ご承知のとおり、先般、第2次補正予算を編成したところでございます。県といたしましても、これを受けまして、「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」などを効果的に活用して、さまざまなインフラ整備を図っていくこととしておりまして、これは平成21年度の最終補正予算に計上させていただきたいと思っております。
次に、国の当初予算につきましては、ご承知のとおりでございまして、公共事業費を大幅に削減する一方で、「コンクリートから人へ」ということで、子ども手当の導入や高校の実質無償化などが当初予算案に盛り込まれているところでございます。
国の一般会計予算は約92兆3,000億円と、たいへん大きなものになったところでございますが、一方で、税収が大幅に落ち込んでいることを補うために、国債の新規発行額が前年度を11兆円以上も上回る44兆3,000億円計上されておりまして、公債依存度がたいへん大きくなってきております。
そういう状況下ではありますが、地方交付税につきましては、総務大臣に大変頑張っていただいた結果、出口ベースで約1.1兆円の増となっているところでございます。
地方財政計画の歳出につきましても、「地域活性化・雇用等臨時特例費」が創設されたことなどによって、地方一般歳出は0.2%の増とされているところであります。
このような形で総務大臣には頑張っていただいたのですが、私ども地方側から見ますと、三位一体の改革により、平成16年度以降の6年間で、本県で申し上げますと約2,000億円以上の一般財源が削減されているところでございますので、これを復元するにはまだまだ不十分なのではないかと思っております。引き続き、地方六団体を通じて、地方税財源の充実確保を広く訴えていかなければいけないと思っております。
こういった状況のもとでの本県の平成22年度当初予算の編成でございましたが、まず一番の問題は、ご承知のとおり、税収が急激に落ち込んだということでございます。平成20年度決算で県税収入が4,000億円以上あったのですが、今年度の税収が多分、3,200億円台に落ち込む見込みであり、さらに、来年度は3,000億円を切るという見通しでございます。一番多かった平成3年度には、法人二税だけで1,500億円あったのですが、来年度は500億円強しか見込めないといった厳しい状況にあるところでございます。
一方で、先ほど申し上げましたように、地方交付税や臨時財政対策債の大幅な増加によりまして、実質的な一般財源総額は、平成21年度当初予算と比べますと約20億円程度増加する見通しになっているところであります。
しかしながら、歳出については、医療・福祉関係を中心とする社会保障経費が大きく伸びている、あるいはまた、公債費などの増要因もあるということで、財源対策に一番苦労したというのが実態でございます。
こういう状況のもとではございますが、当初予算の編成に当たりましては、景気・雇用対策を最重点課題として積極的に取り組むこととしたところであります。
また、一方で、昨年の知事選挙に当たりまして「生活大県づくり」ということを標榜させていただきました。そういったこともありまして、医療・福祉、教育など県民生活に密着した分野や、陸・海・空の交通ネットワークを活用した交流の促進といった分野に財源の重点配分を行いながら予算を編成させていただいたところであります。
その結果、一般会計の予算規模は1兆753億円余となり、対前年度当初比0.1%の減、ほぼ昨年と同じ規模でございますが、少しだけ下回ったという状況となったところでございます。
まず、経済・雇用対策といたしまして、金融面では(中小企業向けの)緊急経済対策融資の新規枠を大幅に拡大いたしますとともに、雇用対策としては、研修・雇用一体型事業、これは正規雇用にもつながっていくもので、我々としてはこの分野に大いに力を入れていきたいと思っているところですが、この事業を中心に対策を講じさせていただきました。
また、公共投資につきましては、国補公共事業は、国の伸び率に対応してくるものでございますので、いかんともしようがない訳でありますが、県単公共事業につきましては、地財計画が対前年度比マイナス15%のところをマイナス5.8%としたところでありまして、公共事業全体では、国の減少率に比べて、本県の場合は減少率がやや少ないという状況になっております。
さらに、国の「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を今年度の最終補正予算で追加してまいりますので、平成22年度当初予算と合わせますと、全体で投資的経費は1,334億円を確保しているところでございます。
次に、主な施策といたしましては、医師確保対策や救急医療といった分野に特に力を入れまして、寄附講座による医師の確保やドクターヘリの導入などを行ってまいります。
また、医療費助成制度につきましては、入院・外来ともに小学校3年生まで対象としていくこととしておりまして、これは全国で6県目になってまいります。
さらに、少人数学級につきましては、今、小学校1年生・2年生で実施しているところですが、これを3年生・4年生に拡大しますとともに、「中1ギャップ」と言われる現象が中学校で起きておりますので、中学1年生にも少人数学級を導入してまいりたいと思っております。
そのほか、茨城空港の利用促進や県北地域の振興、あるいは環境対策等々に力を入れて予算を編成させていただきました。
さらに、出資団体等調査特別委員会でのご審議を踏まえ、将来の世代に過大な負担をさせないためにも、住宅供給公社などの保有土地の問題については、先送りすることなく、適切に対応していくこととしたところでございます。
以上が、今回の予算編成の基本的な方向であります。
朝日A(幹事社):では、まず、幹事社から予算関係で質問をさせていただけたらと思います。2つあるのですが、まず、1つ目は、マニフェストの関係でお伺いしたいのですが、今回、マニフェストに掲げた項目で実現されたものが非常に多いと思うのですが、一番苦労された政策などがあればお伺いしたいのと、あと、財源が非常に厳しい中で、国からの交付金が増額となって、その辺にも非常に支えられた側面、マニフェストの実現という意味で、生活大県の実現で支えられた側面は多いと思いますが、その点についてどう思うかという点をお願いします。
知事:税収が非常に厳しいものですから、そういう点ではマニフェストに掲げた事項を全部実施するというわけにはまいりませんでした。例えば、医科大学の誘致ということもマニフェストに書いているのですが、将来的には、医学部の定員を5割増やすということを民主党も打ち出していますので、現在の各大学の定員を少し増やすぐらいでは足りないだろうと思っています。将来的には日本の(大変重要な)課題になってくるのだろうと思っておりますが、今回はそういったことには手をつけられなかったということもございます。
また、一方で、国で様々な基金をつくり、地方に対して(その活用を)働きかけてまいりました。それを受けまして、例えば、子どもの関係とか、地域医療の再生、雇用対策といった面では随分思い切ったことができたという感じを持っておりまして、マニフェストの実現に当たって、それら(の基金)が後押しをしてくれたということは間違いないと思っております。
例えば、地域医療の再生につきましては、医師確保のために寄附講座関係の思い切った予算を計上しております。2地域でそれぞれ25億円ずつ合わせて50億円という思い切った計画を策定させていただいているところでありますが、その中で、寄附講座ということで、大学から医師を派遣していただける体制がある程度見えてきたのは大変いいことだと思っております。他の面でも、国の様々な基金等に助けられている面はたくさんございます。
NHK:改めてになるのですが、予算を取り巻く全体概況がどうで、予算をどういう方針でつくったのかというのをもう一度簡潔に教えていただけますか。
知事:予算を取り巻く全体の状況と申しますと、まず、税収が極端に減少している。それを補うために、今回は総務大臣が頑張ってくださって、臨時的なものではありますが、臨時財政対策債などによって一般財源を確保してくださった。更に、先ほど申し上げましたように各種の基金等がたくさんございます。そういうものを活用しながら、景気・雇用対策に加えて、私がマニフェストで公約として発表させていただいた医師確保対策をはじめとする医療対策や少子化対策、あるいは少人数教育の実施等々を織り込むことができたというのが実態です。
朝日B:空港を公共交通として考えたときの対策を2点お伺いしたいのですが、インバウンド対策で、予算編成中か編成後ぐらいにスカイマークの就航が急遽決定したということで、その点で何か施策で講じた点があればという点と、もう1点は、外国からの誘致ということで、観光物産課が今回から新規に予算を編成していますが、そういった意味では、インバウンド対策を新年度は本格的に本腰を入れてやるというような認識でよろしいのかどうか。この2点をお聞かせ願えますか。
知事:スカイマークさんからは、茨城空港の効率性、LCC仕様といった点で高い評価をいただいたのだろうと思っております。特にこれをやって欲しいということについては、基本的には、国の問題であって、規制緩和をぜひやって欲しいということは幾つかあるようであります。県に対しては、例えば、ハンディキャップのある方たちが乗るときに、公的な支援として、不便さを克服できるような対応策を検討して欲しいというような申し入れはございますが、搭乗率保証というようなことは一切ありません。
それから、インバウンド対策では、1月下旬に韓国で説明会を開催しておりますし、いろいろな場所でインバウンド対策は行って来ているところでございます。3月11日からアシアナ航空が就航しますので、韓国の旅行会社などと組めば、一層効率的な対策もできますし、あるいは韓国の関係者に委託する形で、茨城の宣伝・PRをやっていただくことも、金額的にも大変効率的な感じがいたしますので、そういったことも新たに導入することとしております。
もちろん、空港周辺と東京とのバス路線、あるいは周辺の観光ツアーなどについても積極的にやっていきたいと思っております。
朝日B:東京とのシャトルバスの運行は、スカイマークの就航で急遽決めた施策ではなくて、もともと考えていたのですか。
知事:これについては、私どもは、ぜひ東京との路線はつくらなくてはいけないと思っていました。そして、それとあわせて、緊急雇用という面でも、こうした場で働いてもらうということは、新しい分野の開拓にも将来つながっていきますので、予算査定の議論の中で出てきたアイデアです。
茨城:公社対策の関係なのですが、県知事選で掲げた生活大県のマニフェストが、今回の予算で、非常に実感を持って発信できると思ってはいるのですが、マニフェストにありました公社の早期解散という話については、今回の予算の中では、以前から言われている三セク債の活用などが今回は盛り込まれていないということで、公社の解散問題なのですが、今回、そういった三セク債の計上を見送った理由と、今後、解散問題についてどのようにしていくのかお伺いします。難しい問題ではあろうかと思いますけれども。
知事:(住宅供給)公社の解散問題につきましてはもう少し詰めなくてはいけない部分がありますので、来年度の当初予算には盛り込まなかったということが実情であります。私どもは、前々から申し上げておりますように、公社については、できるだけ早く解散する方向で検討を重ねてきております。ただ、全体が煮詰まるまでには、まだ至っていないという状況であります。
日経:公共事業については県単事業は地財計画よりもかなり積み増した形になっているということでありましたが、今回の予算というのは、知事としてはかなり積極型の予算だというような評価になられるのでしょうか。
知事:公共事業が積極的かといいますと、公共事業のほとんどは国補公共事業ということで、国の枠に縛られてしまいますので、今の経済情勢を考えた場合には積極的と言えるようなものではないと思います。ただ、県としてはできるだけ工夫をしたと申し上げたいと思います。
それから、もう一つは、例えば、先ほど申し上げた地域医療再生基金や健やか子ども基金、あるいは緊急雇用対策の基金など、様々な基金がありますが、こういう基金につきまして、我々としてはかなり思い切った施策を打ち出したつもりであります。その面では、基金がなければできなかったような事業を思い切って今回の予算の中で実施をしていくことができたと思っております。
朝日A(幹事社):基金の活用の件でもう少しお伺いしたいのですが、今回の施策を見ても、雇用基金なりいろいろな基金を施策実現に結びつけたという点は非常によく見えると思うのですが、また、基金の活用率も非常に高いみたいですが、活用について何らかの方針をお持ちになられているのかとか、何か指示を出したとか、そういったことがもしあればお願いします。
知事:予算査定の場で、もっとたくさんのアイデアが出ないのかということで、例年と比べますと予算査定の時間はだいぶ長くとったつもりであります。その中で、基金の活用などにつきましても、ほとんどの基金について議論をしながら新しいアイデアを盛り込むことができたと思っております。
例えば、先ほどの茨城空港と東京との直行バスにつきましても、民間のバス会社からは、茨城空港と水戸、石岡との路線は考えられるけれど、東京へは難しいという話があったのですが、我々としては、そこで(空港と東京を結ぶバス路線の新設で運転手さんなどを)雇っていただければ新たな雇用の創出にも役立つわけでありますし、将来、(正式な)路線ができてくれば、正規の雇用も生まれてくるかもしれないというようなことを考えて、今回、雇用基金の一部を使って、そういった路線にバスを走らせてみてはどうかというようなアイデアなども出させていただきました。
これからバス会社と具体的な詰めを行っていかなければなりませんが、いろいろ知恵を絞って、新しい発想を幾つか盛り込めたのではないかと思っています。
日経:八ッ場ダムについてなのですが、今回、本体工事費について負担分を盛り込んだとお聞きしているのですが、これについての知事のお考えをお聞きしたいのですが。
知事:直轄事業の負担金でありますので、我々としては、国の情報に基づいて対応していかなくてはいけないわけですが、直轄事業として、本体工事を盛り込んだ数字しか我々のほうには来ていないというのが実情であります。そこを我々として、本体工事費は外すということまではなかなか踏み切ることは難しい。ましてや、我々は、東京や群馬、埼玉などと一緒になって、ぜひこの工事をきちんと仕上げてほしいということを申し上げている立場でもありますから、国の情報に基づいて、そのまま計上させていただいたというのが実態です。
毎日:今回の予算なのですが、臨時財政対策債の大幅な増加によって与えられた部分が結構大きいと思うのですが、県の枠組みで考えれば、県の借金は増えてはいないとは思うのですが、税収減はいたしかたない部分があると思うのですが、借金に頼って施策を展開していかなければならない現状をどのように認識していらっしゃるのかということと、もう1点なのですが、生活大県を掲げて、景気に配慮した考え方と、医師不足など喫緊の課題に苦労した点というのが非常に見えるのですが、財政再建という点においては、先ほど、公社の話もあって、具体的な話が、個人的な所感ですが、見えないなという感じがするのですが、それも踏まえて、率直に、知事は、今回の予算は、100点満点で、自己採点をしてどれぐらいの点数をつけられるかお伺いしたいです。
知事:借金で国政、県政、市町村政を運営していくということについては、これは必ずしも誰もいいとは思わないと思います。しかし、それでは、借金をしないで今までのペースで県政運営を行ったとしたら、例えば、社会保障関係経費だけでも(十分に賄えず、)ずたずたに切り裂かれて、とても生活していけない人がたくさん出てきてしまう状況にもなってしまいます。
また一方で、景気を回復させていかなければ、今後の税収の回復などは見込めないわけでありますから、私は、そういう点でもある程度借金をするということは、特に国の立場としてはやむを得ないのだろうと思っています。
ただ、地方の場合には、借金ということについては国の制度にしばられた中でしかできないものですので、我々としては、そういう意味で、今度増額された部分を十分に活用させていただきながら県政運営をしていきたいと思っています。
私自身としては、国の立場で考えれば、経済が厳しいときには、しっかり国として借金をして仕事をしていく。そのかわり、景気が回復した時には、これまでは減税などに充ててきましたが、減税とかではなくて、借金の返済に積極的に充てていくことがいいのではないかと思っております。ですから、思い切った対策を講じる。しかし、税収が増えたら、それはきちんと国債の償還に充てさせていただきますよ、また、国民負担を軽減するというのではなくて、きちんと借金を返しながら(財政運営を)やっていきますよ、という形をとっていくことがいいのではないかなと思っております。
それから、(今回の予算が)何点かということは毎年聞かれるのですが、あまり点数はつけておりません。いろいろな課題、特に財政再建ということは本県にとって一番重くて、また大きな課題でありますので、これをできるだけ方向づけしていきたいということで、今回も議会の出資団体等調査特別委員会などにも具体的な形で説明をさせていただきたいと思っております。我々としては、その方向づけをきちんとした上で、(県政の)新しい方向を目指していきたいと考えており、いつまでも同じ課題をずっとということではなく、長期的ではありますけれども、そろそろ(今度は)こういう方向でいきますよということを、あらゆる課題について打ち出すようにしていきたいと思っています。それをまだ記者の皆さんに十分ご理解いただいていないかもしれませんが、我々としてはできるだけ方向を出させていただいているつもりであります。
そうしたことも含めまして、何点ということはいつも申し上げていないので、それは別にいたしましても、我々としては精一杯の予算編成をやらせていただいたというところです。
毎日:臨時財政対策債とか、劇的に増えているのですが、その制度自体についての不安とか、そういったものは感じませんか。
知事:先ほど申し上げましたように、では他にどうするのだということになってくるわけですが、僕は、世界の動きの中で、日本がこれからきちんと発展していけるような対応は、どんな不況期であってもやっていかなくてはいけないと考えています。そういう意味では、借金をしてもいろいろな施策を行っていく。国は、赤字国債というものを出せるわけでもありますので、しっかりした経済政策のもとで、国として対応していくこととあわせて、地方も一緒に巻き込んだ形で対応していかなくてはいけない。そのためには、地方の財政の手当てをするということは、ある意味、国としての責務かと思っております。
日本テレビ:茨城空港のことで幾つか質問させてください。
3月11日に開港を迎えるわけなのですが、率直な感想と、それから、県民に、茨城県が空港を持つということの意義というものをお話しいただけますか。
知事:いよいよ開港だなというのが実感でありますし、生まれるときは小さいけれども、これをどうやって大きく育てていくかということが当面の大きな課題だと思っております。
また、空港を持つということは、その地域の振興という意味では極めて大きな役割を果たしてくれることになると思いますし、また、国際線、国内線、さまざまな形があるのですが、交流の幅を格段に広げるという点でも大変すばらしいことだと思っています。
また、私は、地域の振興とあわせて、首都圏の第三空港としての役割も県民の皆さんにご理解をいただく中で、この空港を発展させていきたいと思っています。それは、アジアを中心としてこれから航空需要が爆発的に伸びていくだろう。それを首都圏として受け入れ切れないのでは世界の発展に取り残されてしまう。そうしたことを考えながら、私どもとしては、ローコストキャリアが活用しやすいような空港にしたわけであります。ヨーロッパでは4割近くがローコストキャリアに移ってきている。アジアでも、間違いなく、今の10%後半から、すぐ20%、30%になっていくだろう。そのときに、そういう形態の航空路線を受け入れるところが日本にないというのでは、困ってしまうわけでありますので、そういう点でも大きな意味を持つと思っております。
これから地元でどうやって受け入れるか、あるいはまた、地場のものをどうやって買ってもらうか等々、地元の振興のためにもいろいろ工夫を凝らしていきたいと思っています。
日本テレビ:3点ほどお伺いしたいのですが、アシアナ、スカイマーク以外の就航についての交渉の進捗状況、それから、当初の事業計画からは大幅に狂ってしまったようになりましたが、それと、当面、ターミナルビルの赤字ということで、補てんをしていくのでしょうけれども、今後、どういうふうな計画を立てていくのか、それについて県民に対してどういうふうに理解を求めていくのかというのを教えてください。
知事:最後の県民の皆さんにどう理解を求めていくかということについては、先ほど申し上げたようなことを十分認識してもらいながらやっていきたいと思っております。
それから、アシアナとスカイマーク以外の交渉状況でありますが、いろいろなツテというか、人間関係なども使いながら、今、さまざまなことを進めておりますが、発表できるまでにはいきません。ただ、いろいろ具体的な交渉は行っております。
それから、今後どうするのだということについては、国土交通省がかつて発表したような国内の航空路線をそのとおりできるかというと、財団法人運輸政策研究機構の提言でも、国内需要は減っていく代わりに、国際需要はどんどん増えていくという見込みになっておりますので、私どもとしては、国内線は必要最小限、そして、国際線がこれから大きく動き出すという感じを持っております。
日本テレビ:計画を立てたときは、需要予測が過大ではないかという批判があって、そういう意味では、今後、知事がおっしゃったように、LCCの新たな取り組みというか、新たな需要を増やすというか、そういうお考えというのはありますか。
知事:需要予測はもともと県ではやっておりません。我々としては、できるだけ路線を増やして、需要を受け入れていきたいということですが、全体としての首都圏の需要は間違いなく増えていくと思います。
日本テレビ:最後に、百里基地と共用ということで、百里基地は首都圏防衛という役割があって、茨城空港はほかの空港とは違うのかなと思うのです。そういう部分で、茨城空港の意義という部分では、首都圏の防衛という役割を、直接ではありませんが、そういう特殊な部分というのは、もう少し理解を求めるというのは検討する余地はないのですか。
知事:どういう理解を求めていくということですか。
日本テレビ:百里基地と民間共用ということがあるわけですが、当然、批判はあるのですが、空港に理解を求めるために、民間共用がいいだろうという部分で、百里基地の特殊性ということと、空港の意義ということと、運営していくわけなので、そういう部分で、位置づけを少し考えていくというか。
知事:自衛隊に便宜を与えるために今度の滑走路をつくったのではないかなどということをおっしゃる人もおりますが、我々としては、騒音だけ増えるのではなくて、地元としても、きちんと空港があることのメリットを享受させてほしいということで共用化を要望してきたところであります。ですから、現実にお客さんをどんどん増やしていくことによって、自衛隊に便宜を図るためのものではないということをしっかり理解してもらうと同時に、地域にとって本当に役に立つ空港になったと思ってもらえるような努力をしていきたいと思っています。
茨城:工業用水の料金改定の関係、鹿島ですが、今回、工業用水の料金引き下げがあり、この引き下げに至った経緯と、この引き下げが今後の県に与える影響についてお願いします。
知事:繰上償還とか維持管理費の縮減などを実施し、できるだけ工業用水の料金を下げたいというのは、我々が、いつも考えてきたところであります。それがたまたまこの時期になったということと、今、企業はいろいろな点で国際的な競争もあるかもしれないけれども、企業内の競争も大変なのです。どの地域を拠点にしていくかということで、場合によっては、条件の悪いところは工場閉鎖になってしまうかもしれない。そういうことを考えた場合に、工場にとってできるだけいい条件を提供するということが必要になってきます。
あるいはまた、企業誘致をやっていく上でも、できるだけ工業用水が安いということを言っていかないと企業誘致がやりにくい状況になっております。
そういう点で、先ほど申し上げたこれまでのいろいろな工夫が実って、今回、引き下げられるということですので、ぜひこれを効果的にPRしながら、さらに産業振興に努めていきたいと思っております。