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更新日:2015年3月23日
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この資料は、県政記者クラブとの定例記者会見での発言内容を要約したものです。
(作成:広報広聴課)
平成24年1月18日(水曜日)
11時18分~11時44分 会見室
産経(幹事社):冒頭、幹事社から質問が2つありますので、よろしくお願いします。
まず1問目ですが、先週末に野田内閣が改造されて発足しましたが、これについて知事のご意見なりご感想をお聞かせ願いたいと思います。
知事:岡田克也副総理の起用ということで、社会保障と税の一体改革を何とか成し遂げようという決意を示されたという感じを持っております。
そのほか、適材適所という形で大臣の皆さんの交代があったわけでありますが、社会保障と税の一体改革の前に行財政改革やその他の課題もありますし、震災からの復旧・復興、原発事故への対応、急激な円高による経済低迷、こういった諸々の多くの課題を抱えていますので、全力で取り組んで成果を上げていただきたいと思っております。
産経(幹事社):続いて、2問目ですが、これも政府の発表なのですが、いわゆる原発の寿命についてなのですが、最長で40年が示されて、きのうの発表で、場合によってはプラス20年もという発表がございましたが、原発立地県の知事として、ご意見、どういうふうにお感じになっているか、これもお聞かせください。
知事:これまで(原発の運転開始から)30年を一つの区切りとして、その後は10年ごとに見直しをして(運転を継続して)きたわけでありますが、そういったことが40年という形ではっきりした方針が示されたのはいいことではないかと思っております。ただ、きのうの発表にありますように、20年を限度に延長できるということになると、また、どういう基準で延長するのか等々いろいろな課題が出てくるのではないかと思っております。よりすっきりした形のほうがいいのかなという感じも持っております。
NHK:関連してですが、どういう基準があるのか、課題がいろいろあるのではないかとおっしゃいましたが、あるいは、もっとすっきりした形がいいのではないかとおっしゃいましたが、具体的にはどういう点が今回の20年延長の問題点だと知事はお考えでしょうか。
知事:20年延長を認めるということになると、これまでと同じような運用になってしまう可能性が出てきてしまうのではないかと思います。それをこれまでとは違って、原則はあくまで40年で、滅多なことでは20年の延長は認めませんよという説明はされていますが、具体的にわかりません。ですから問題は、その辺がはっきりしないと、40年ということがよほどのことがない限り延長できないのだという方針として皆さんが理解できるかどうかということだろうと思います。
NHK:つまり、なし崩し的に延長されるのではないかというおそれがあるということですか。
知事:なし崩しかどうかわかりませんが、一般国民から見て、基本的には40年でやめるのだということがぼやけてくるのではないかと思うのです。
NHK:そこが問題だという認識ですか。
知事:そうですね。今度の延長ということによって、せっかく40年という一つの方針を出して、それに対応してそれぞれの地域が対策を講じようということを考え始めたのだと思いますが、今度は20年延長となると、そこがさっぱりわからなくなってしまうということだと思います。
茨城:知事は、40年という一つの指標で、ある意味、ばっさり切ったほうがよろしいという感触なのでしょうか。
知事:もし延長するのであれば、はっきりした基準をあらかじめ示しておくということが必要だろうと思います。その時々の状況に応じて柔軟に対応するというのでは、事業者側も、あるいはまた、我々地方自治体としても大変困惑せざるを得ないと思います。
NHK:東海第二発電所はもう34年経っています。ですから、40年で打ち切るという場合と、さらに20年打ち切りという場合では全く捉え方が変わってくると思うのですが、知事は、これまで、再三、国は老朽化ということで再稼働について検討しているのではないかとおっしゃっていましたが、そのあたり、そのことによっていろいろな影響があると思いますが、県としてこれをどういうふうに。
知事:それは全くわかりません。東海第二発電所について、まだ(運転開始から)40年経っていませんから、国のほうで、40年経過後の延長を見越した形で再稼働を求めてくるのか、あるいは、40年ということで再稼働を求めてくるのか、いろいろな条件を考えて再稼働しないという方針をとるのか、その辺が全くわかりませんので、我々としては対応のしようがない状況です。
NHK:老朽化ということで一つの検討課題として国が示してきているわけです。それが20年延長ということになると、前提から全く違う話になってくると思いますが。
知事:国がそういうふうな方向を出すのかどうか、原則的にはあくまで40年ですよということを強く言っておられるようですから、それがどのぐらい強いのかというのがわからないというのは我々は一番困るわけです。
日経:社会保障と税の一体改革で、消費税増税について、幅とか、時期とか、決め方のプロセスで、国民に信を問うべきだという声もあるのですが、知事のこのあたりについてのご所見がもしあればお聞かせください。
知事:これは我々が考えを示すというより、国民の皆さん全体がどのような判断をされるかということだろうと思います。いろいろな世論調査なども行われていますので、そういったことも踏まえながら国としてきちんと対応していかれることを期待しております。
NHK:国の食品の暫定規制値が100ベクレルに下げられる案が出ていますが、もしそうなった場合、茨城県の産物はかなり基準として厳しい条件になると思うのですが、県としてはどのように受け止めて、あるいは、どういう対策をとろうと考えていらっしゃるでしょうか。
知事:もちろん、徹底した検査は実施していかざるを得ないと思っていますし、そのための体制をつくってまいります。その上で、(規制値を)上回ってしまったものについては出荷を控えるしかないのだろうと思っております。したがって、これからどのぐらい、どういう形で出てくるのか、それに対しての賠償はどうなるのか、あるいは、行政として何ができるのかを検討していくことになると思います。数値が(規制値を)上回っている場合には、売ることはできませんから、(放射性物質の濃度を)下げられる対策がとれるのかどうか、そういうことが課題になってくると思います。
NHK:農畜産業にどのような影響があるとお考えでしょうか。
知事:まだ新しい基準で具体的にどうなるかということを予測しておりませんので何とも答えようがないのですが、今までよりは規制値を上回ってくる可能性は高くなるわけでありますから、そういう(規制値を上回った)ものについて、消費者サイドでは品薄という問題が起きるかもしれませんし、生産者サイドでは損害額を賠償してもらえるのだろうか、あるいは、どうすれば長期間の風評被害につながらないようにできるだろうか、といったいろいろな課題が出てくると思います。
朝日:東海第二発電所について、9首長さんたちが年末に協定の枠組みの拡大について申し入れにいらっしゃって、それに対して、知事は、先日、枠組みの拡大には否定的というか、あまり乗り気でないようなご発言をされていました。首長さんたちは、自分たちが再稼働について議論する場に加わりたいという声も根強くありますし、国が方針を示す前に地元のほうで議論をして、反対なら反対なりそういった意見を国よりも先に打ち出したいとおっしゃっている首長さんもいらっしゃいますが、いかがお考えでしょうか。
知事:(東海第二発電所の再稼働について、)議論の場に加わりたいという話がありましたが、我々はまだ議論を開始しようと考えておりません。現実的に考えた場合に、安全協定を拡大するかどうかということは、新しい政府の方針に沿って、防護措置をどうするかその他を決めていかなければいけないわけですが、一方では、再稼働に向けての一歩を踏み出すことにもなるわけです。我々としては、再稼働に向けてまだ国が要請もしていない段階で一歩を踏み出そうとは考えておりません。国に先んじてと言うことで、再稼働に向けての一歩を踏み出すということになるかどうかわかりませんが、それは我々としてはとても考えられないことですので、理解をしていただきたいと思います。
朝日:再稼働しない方向に一歩先んじて進む話は。
知事:そういう話であれば、遠いところは逆に安全協定は要らなくなってきますから。
朝日:それをセットで、例えば、再稼働を認めない安全協定は存在意義はもちろんなくなりますが、そういう方向で考えるということはないのでしょうか。
知事:再稼働を認めないと言っていて、こっちで安全協定は拡大しましょうというのは理屈が通らない。
朝日:再稼働を認めないということだけ先に話し合うという選択肢はないのでしょうか。
知事:それは、市町村でできますし、東海村でももうどんどん行っています。県が一緒にならなくてもいくらでもできるわけですから、それはやっていかれればいいと思います。
朝日:県としてその場に加わって一緒にそういう方向で話し合いをするということは。
知事:それは考えていません。原子力ということではなくて、あくまでエネルギー政策全体がどうなっていくのか、その中で原子力の取り扱いをどうしていくのか、そういったことを踏まえて国が方針を出すことになると思いますので、県としては、それに対してどう対応するかということを検討していきたいと思っております。
朝日:教育委員さんからの政治資金の提供の件でお聞きしたいのですが、先日、お話を伺った際には、法律上は献金は禁止されていないことでもありますし、もちろん、見識のある方々、委員さんたちなので、献金そのものは全く問題がないというご発言だったかと思うのですが、委員さんたちの側からもう一度お話を伺ってみると、倫理上、問題があるということは理解はできるとおっしゃる方も中にはいらっしゃったのですが、知事としてはいかがお考えでしょうか。
知事:直接、委員さんからそのような話を聞いていないので、記者さんからのお話だけでそのような人がいたということは断定するわけにいきませんので、お答えしかねます。
ただ、私としては、新聞記事を見ていましたら、「任命権者の心証をよくするためとも取られかねず」という記述があったのですが、教育委員の任命に当たりましては、法律に則って、人格、識見とも大変優れた方々を我々のほうで探して、そして、議会の同意を得て任命しているものでして、我々のほうがお願いしている立場であります。教育委員の皆さんは全員大変お忙しいし、また、社会的な地位などもあられる方でありますから、あえて献金によって教育委員になりたいなどということをおっしゃられる方はまずいないと思うのです。現実的にも、先般もあったのですが、ある方は、忙しいので、場合によったら教育委員を遠慮させてもらってもいいか、という話をされた方もおりました。ですから、新聞記事にありましたように、任命権者である知事の心証をよくするためにやっておられる方はいないと思います。
それから、関さんの場合は、実は、途中で企業のほうが社長が交代していたのです。それで関さんが社長の会社ということになっておりますが、私どもとしては、今、多分、会長をやっておられるお父様のほうとのお付き合いということでいただいていたという認識をしておりました。
朝日:ただ、任命権者と任命をされる側とでお金のやり取りがある。そのこと自体が倫理的にというか、問題なのではないかという、市民の感覚からしてもちょっと違和感を感じるという声もあります。
知事:それは記者さんの声ではないかとこの前も申し上げたと思いますけれども、私としても、相手方に迷惑をかけるのは本意ではありません。せっかくいい方を選んで、教育委員会の議論も活発になってきているところですから、相手に迷惑をかけないでこれからもしっかり教育委員を引き続きやっていただけるような対応があるかどうかは検討したいと思います。
朝日:例えば、今後、新しい委員さんを任命される際に、政治資金の提供を受けているか、いないか、今後、受けるのは控えることにするとか、そういったお考えはないのでしょうか。
知事:それはそのときに考えます。
NHK:献金なりパーティー券の購入代金を返還するつもりはないということですよね。
知事:それはありません。文部科学省に問い合わせしても、また、弁護士さんにもお聞きしたのですが、積極的に政治運動をすることには該当しないと言っておられます。政党に所属している方でも教育委員になれるわけでありますので、そういった点からすると、これによって政治的な公正性、中立性というものが侵されるということはないのだろうと思います。
ただ、今後については、先ほども申し上げましたように、相手に迷惑をかけてはいけませんので、その辺はどのような方法があるか考えていきたいと思います。
NHK:どういう方法があるのですかね。
知事:わかりません。今から考えます。
朝日:ただ、以前、県西地域で談合をしていた業者さんから受けていた政治資金については、法的には問題はなかったけれども、道義的にちょっとということで返金をされたことが知事はあったかと思うのですが、それと今回とは、法律には触れていないけれども、倫理上違和感があるという声が挙がっているということについてはいかがですか。
知事:それは相手側が法律に違反しているかどうかとかいう点でまるっきり違いますね。その辺は少し考えていただきたいと思います。同列に扱うというのは誠に失礼な話だと思います。
時事:来年度の予算についてお聞きしたいのですが、来年度の予算の主な方向性というか、知事が考えている柱みたいなものを教えていただきたいのですが。
知事:大きい柱は復旧・復興対策になってまいります。インフラの整備促進はもとよりでありますが、そのほか、風評被害対策とかが中心になってまいります。
それから、緊急雇用対策ということも、補正等もありましたので、かなり大きな柱になってくると思います。
茨城:先ほどの教育委員会の関係なのですが、新聞にあったことは一部報道でしか私ども知らなかったのですけれども、あれは事実ということでよろしいのでしょうか。
知事:それはもう全部発表になっていますから。我々としては県選挙管理委員会に対し、きちんと報告していますし、県報にも告示されています。
NHK:今の予算のお話なのですが、柱として、復旧・復興、緊急雇用対策に大きく盛るということは、逆に言うと、県財政が厳しい中で、強弱ということで言えば、どういうジャンルを少し削って乗せるとか、何かそういう方針があるのでしょうか。
知事:復旧・復興については比較的国のほうで手当てがされていますので、そういった財源を使ってやっていきたいと思っております。
NHK:全体にシーリングをかけるとか何か。
知事:(震災関連を除く)一般の公共事業については、もう既に発表していますように、(今年度当初予算歳出ベースの)9割という形でシーリングをかけるということはやっております。ですから、今年の予算額に9割かけて一般の公共事業の予算を見積もると同時に、復旧・復興については別枠でやるという形になってきます。
NHK:さっきの100ベクレルに下がった場合について、県として、そういうことは非常に地元の産業に大きな打撃となるのでやめてほしいというふうな要請なりを国に訴えていくことは。
知事:それはいたしません。
時点、時点において、徐々にその数値を下げていくということについては、ある程度やむを得ないのではないかと思いますし、県民の健康を守るという点では妥当なものだと考えております。
NHK:そのほか、とれる対策というのはあるのでしょうか。
知事:県のほうでですか。
NHK:はい。
知事:規制値をオーバーしたものは出さないということが、健康への不安に対する一番の対処でありますし、さらに、それがきちんと守られているな、茨城県ではきちんと検査しているな、というふうに見てもらえるようにすることが風評被害への対応でもあると思います。
ただ、規制値を上回っている部分についてどうするか、ということについては、これはなかなか対策はありませんので、東電、国のほうと交渉をして、きちんと賠償金が支払われるように県としても応援していくということだろうと思います。
日刊工業:きのう、東電のほうから電気代の値上げの発表があったかと思うのですが、これに対しての県内の企業への影響をどのようにお考えかということを教えてほしいのです。
知事:これは大きな影響があると思います。燃料費が上がってしまっている。燃料費以外の部分について精いっぱいの努力をしたが、それでも値上げをしないと経営がやっていけないということでありますから、東電の理屈は理屈として十分あるのだろうと思います。
ただ、これから、そういう状況の下で、家庭用も含めて電気料金をどうしていくのか。原子力発電所が使えなくなったためにこれだけ(燃料費が)上がってきているというお話がありますが、ほかに何らかの対応策がないのかも含めて十分に議論をしていくことが必要だろうと思います。
また、私として非常に心配していますのは産業の空洞化ということです。これによって国内でつくっていたのでは製品価格などの面で太刀打ちできないということで産業が海外へ移ってしまいますと、結果的には働く場がなくなってくることになります。
したがって、そういう面も十分に考えた上での対応策を講じなければいけないと思っております。これから原子力発電所がどうなっていくかわかりませんが、いずれにしても、今までよりは(電気料金が)高くなっていくのは間違いないのだろうと思います。そこについてどのように対処するかは、国が考える、東電が考える、ということももちろんでありますが、国民として、県民としても、燃料費が上がったということについては、例えば、飛行機などではサーチャージという形でその状況に応じて随時負担しているわけですから、電力についてもそういう形が必要なのかどうか、原子力が大変危険だということで原子力発電をやめていくという方向を国民が選択するのであれば、逆に、民生用、家庭用を少し高めにしてもいいから、職場、働く場所を守るために産業用については上げ幅を抑えるとかいったことも十分に考えられるところなのではないかと思います。
いずれにしても、産業の空洞化ということについては大変大きな影響を及ぼしかねないと思っております。
日刊工業:それについては、きのう、中小企業さんにいろいろ電話している中で、一部、東電の問題ではなくて、もう国の問題ではないかという話もありましたが、知事としては、県から何か働きかけをしていくとか、そういうことは考えられるのですか。
知事:それは県としては考えておりませんが、個人的には今お話しさせていただいたような考えを持っております。電力料金は燃料を切り替えていくことによって当然高くならざるを得ないわけですから、そこをどういう形で吸収するのか。片一方で、働く場所をきちんと国内で確保できるようにするということとどうやって両立させていくのか、ということは大きな課題だと思います。
日刊工業:日野自動車の関係なのですが、関連会社が今度進出するということで、知事のほうから、かねてより、関連企業の誘致だとか地元企業への新規発注とかという話もありましたが、改めて知事の所感というか、それに対して教えてほしいのですが。
知事:日野自動車が進出してくることによって、日野自動車からの受注が極めて大きい会社がこちらへ一緒に来てくれたということで、大変ありがたく思っております。こういったことがはしりになって、ほかの(関連)企業にも来ていただければもっとありがたいと思っております。
来月8日・9日には、日野自動車本社で、デモンストレーション(提案型展示商談会)などを行わせていただくことにしておりますが、新しくほかから来ていただくだけではなくて、地元の中小企業に対する発注も増やしていっていただきたいと思っております。
朝日:子どもの健康調査のことでちょっとお聞きしたいのですが、他県と一緒に、国に対して、どういった基準でやるのか、そういった統一的な見解を示してほしいという要望を国に対してされていたかと思いますが、それに対する反応というのは何かあったのでしょうか。
知事:12月27日に、私はちょっと用があったものですから、山口副知事に、環境省、経産省に行ってもらって高山政務官と北神政務官にお願いをしてまいりました。私どもとしては、ばらばらにやっているというのではなくて、国としてきちんとした方針を示して、それに基づいて、しっかりした健康影響調査を行っていただきたいということを申し上げてきたところです。
高山環境大臣政務官からは、「問題意識は十分有している。不安払拭のためにさらに何ができるか検討したい。」といった答弁をいただいたと聞いております。また、北神経産大臣政務官からは、「環境省と連携して、不安解消に向けて何ができるか取り組んでいきたい。」というようなお話をいただいたと聞いております。
これからも、国として、きちんと統一的に対応し、そして、将来的にも同じような方針でやっていけば、資料も有効に使えるわけでありますので、そういうことについてお願いしていきたいと思っています。
朝日:その後は、特に反応はあったのですか。
知事:まだありません。
朝日:わかりました。